このページでは「LEICA DG MACRO 45mm/F2.8 ASPH./MEGA O.I.S.」のレビューを掲載しています。
LEICA DG MACRO 45mm/F2.8 ASPH./MEGA O.I.S.のレビュー一覧
- LEICA DG MACRO 45mm/F2.8 ASPH./MEGA O.I.S. レンズレビュー完全版
- LEICA DG MACRO 45mm/F2.8 ASPH./MEGA O.I.S. レンズレビューVol.6 周辺減光・逆光編
- LEICA DG MACRO 45mm/F2.8 ASPH./MEGA O.I.S. レンズレビューVol.5 ボケ編
- LEICA DG MACRO 45mm/F2.8 ASPH./MEGA O.I.S. レンズレビューVol.4 諸収差編
- LEICA DG MACRO 45mm/F2.8 ASPH./MEGA O.I.S. レンズレビューVol.3 遠景解像編
- LEICA DG MACRO 45mm/F2.8 ASPH./MEGA O.I.S. レンズレビューVo.2 解像チャート編
- LEICA DG MACRO 45mm/F2.8 ASPH./MEGA O.I.S. レンズレビューVo.1 外観・操作・AF編
レンズの評価
| ポイント | 評価 | コメント |
| 価格 | 競合製品が安い | |
| サイズ | 適度なサイズ | |
| 重量 | 重くはない | |
| 操作性 | マクロ側リミッター無 | |
| AF性能 | 必要十分 | |
| 解像性能 | マクロ域で良好な性能 | |
| ボケ | 偏りのない綺麗な描写 | |
| 色収差 | 良好な補正状態 | |
| 歪曲収差 | 光学的にとても良好 | |
| コマ収差・非点収差 | 遠景では隅の画質に影響あり | |
| 周辺減光 | 遠景 F2.8 で目立つ | |
| 逆光耐性 | フレアを効果的に抑制 | |
| 満足度 | まだまだ現役の貴重な中望遠マクロ |
評価:
ポイント
まだまだ現役の貴重な中望遠マクロ
マイクロフォーサーズ最古のマクロであると同時に、LEICA DGシリーズ最古参。既に発売から17年が経過しようとしているレンズ。おそらく、ミラーレス史としても最古に近いレンズのはず。
「最古」と表現するように、メカ的な古さを感じ、光学的に抜群の性能ではありません。と言っても、レンズの描写は古さを感じさせない使い勝手の良さがあります。
また、マイクロフォーサーズでは貴重な中望遠マクロレンズとして検討する価値あり。防塵防滴仕様ではありませんが、発売時期(まだ防塵防滴仕様のボディが登場していない)を考慮すると許容範囲内。
問題は価格設定。
本製品が高すぎるとは言いませんが、焦点距離やライカブランドにこだわらなければ「LUMIX G MACRO 30mm/F2.8 ASPH./MEGA O.I.S.」「M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro」など、より安価な選択肢が多い。特に60mm F2.8は防塵防滴仕様やより長い焦点距離でワーキングディスタンスを長くしやすいなどメリットが多い。特にこだわりが無いのであれば60mmをおススメします。
最終的には「LEICA DG」「換算90mmのマクロ」に価値を感じるかどうかが決め手となります。0
This is not only the oldest Micro Four Thirds macro lens but also the longest-serving member of the LEICA DG series. It’s been nearly 17 years since this lens was first released. It’s likely one of the oldest lenses in the history of mirrorless cameras as well.
As the term “oldest” suggests, it feels mechanically dated and doesn’t offer outstanding optical performance. That said, the lens’s image quality is surprisingly practical and doesn’t feel outdated.
It’s also worth considering as a medium-telephoto macro lens—a rarity in the Micro Four Thirds system. While it isn’t dust- and splash-resistant, this is acceptable given the time of its release (when dust- and splash-resistant bodies hadn’t yet been introduced).
The issue is the price.
I wouldn’t say this product is too expensive, but if you’re not particular about the focal length or the Leica brand, there are many more affordable options, such as the “LUMIX G MACRO 30mm/F2.8 ASPH./MEGA O.I.S.” or the “M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro”—there are many more affordable options available. The 60mm F2.8, in particular, offers numerous advantages, such as being dust- and splash-resistant and having a longer focal length that makes it easier to achieve a greater working distance. If you don’t have any specific preferences, I recommend the 60mm.
Ultimately, it comes down to whether you see value in the “LEICA DG” brand and a “macro lens with a 90mm equivalent focal length.”
Index
まえがき
- 発売日:2009年10月23日
- 商品ページ
- データベース
- 管理人のFlickr
2009年10月発売。「LEICA DG シリーズ」最初期のレンズであり、マイクロフォーサーズシステムとして最初の本格的なAFマクロレンズ。(オリンパスが「60mm F2.8 Macro」を投入するのは2012年9月)
35mm判換算で90mmとなる、マクロレンズとしてはオーソドックスな焦点距離をカバー。撮影倍率は1.0倍を実現しており、実際には35mm判換算で2.0倍相当までクローズアップできるマクロ性能を備えています。
防塵防滴やフッ素コーティング、PowerOISなど、今では一般的な機能に非対応ですが、MFT中望遠の等倍マクロAFレンズとしては唯一無二の選択肢。
主な仕様
| レンズマウント | マイクロフォーサーズ |
| 対応センサー | 4/3 |
| 焦点距離 | 45mm |
| レンズ構成 | 10群14枚 |
| 開放絞り | F2.8 |
| 最小絞り | F22 |
| 絞り羽根 | 7枚羽根 |
| 最短撮影距離 | 0.15m |
| 最大撮影倍率 | 1.0倍 |
| フィルター径 | φ46mm |
| 手振れ補正 | MEGA O.I.S. Dual.I.S対応 |
| テレコン | - |
| コーティング | 情報なし |
| サイズ | φ63mm×62.5mm |
| 重量 | 約225g |
| 防塵防滴 | - |
| AF | STM |
| 絞りリング | - |
| その他のコントロール | フォーカスリミッター OISスイッチ |
| 付属品 | レンズフード レンズキャップ レンズリアキャップ レンズ収納袋 |
価格のチェック
売り出し価格は7.5万円。現在は世界情勢や物価上昇にもかかわらず、6.6万円の量販店価格で入手可能。「M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro」よりも少し高めですが、LEICA DG ブランドとしては9mm/15mm/25mmの単焦点レンズに次ぐ手頃な価格。
| LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm/F2.8 ASPH./MEGA O.I.S. | |
| 楽天市場 | Amazon |
| カメラのキタムラ | |
| 楽天市場中古 | |
| カメラのキタムラ中古 | |
レンズレビュー
外観・操作性
箱・付属品

他のLEICA DGシリーズと同じく黒を基調としたデザイン…ではなく、最初期のグレー/ミッドナイトブルーを基調としたカラーの箱。LUMIX G シリーズレンズと同じデザインです。
「Panasonic」「LUMIX」「LEICA DG」「マイクロフォーサーズ」4つのブランドが1面にごちゃっとプリントされています。レンズ名もそうですが、もう少し短くまとめられなかったのか…。

レンズ本体のほか、レンズキャップとプラスチック製フード、収納ポーチが付属します。
外観

ブラックを基調とした少し光沢の残る塗装。鏡筒の文字は大部分がプリントで、45mmの焦点距離のみブランドカラーのイエローを配色。焦点距離の下部には撮影範囲(リミッター有無の二系統)の表示あり。
コントロールはゴム製フォーカスリング、側面にOISスイッチ・フォーカスリミッターを搭載。
製造国は日本。
ハンズオン

| サイズ | 重量 | |
| LEICA 45mm F2.8 | φ63mm×62.5mm | 約225g |
| LEICA 25mm F1.4 | φ63mm×54.5mm | 約205g |
| OM 60mm F2.8 | Ø56 x 82mm | 185g |
オリンパスの60mmマクロよりも全長が短いものの、鏡筒が太く、重量は重め。これはレンズに光学手振れ補正ユニット搭載が影響していると思われます。とはいえ、重量差は40gほどであり、無視できる小さな違いです。
15mm F1.7など、金属鏡筒のLEICA DG レンズと比べると質感が劣るものの、過度にプラスチッキーで安いっぽいとは感じません。

前玉・後玉

フィルター径は同システムで一般的な46mm。C-PLやNDフィルターを共有しやすい。
前玉がフッ素コーティング処理されている記述はないので、何らかのダメージが想定されるシーンでは保護フィルターの装着をおすすめします。

金属製のレンズマウントは4本のネジで本体に固定。周囲に防塵防滴用のゴムリングはありません。
最後尾のレンズはマウント付近に固定。周囲は不必要な反射を防ぐために黒塗りされています。
フォーカスリング

ゴム製のフォーカスリングを搭載。滑らかで、適度なトルク感を持っています。
最新LUMIXの機能「リニア」「ノンリニア」設定には非対応です。ピント全域を操作するためのストロークは「ノンリニア」で固定。
ストロークは長く、素早く回転してもピント全域の移動には360度程度の操作量が必要。ゆっくり回転した場合は4、5回の回転操作が必要。
スイッチ

レンズ側面にフォーカスリミッターとOISスイッチを搭載。
AFリミッターをオン(LIMIT)にすることで、撮影範囲が「5m~∞」まで狭くなります。撮影範囲をマクロ側に限定するコントロールはありません。
レンズフード

反転装着に対応しない角型レンズフードが付属。プラスチック製であり、金属製の堅牢さや高級感はありません。
装着例

OM-3に装着。
25mm F1.4 IIよりも少し大きく、重めですが、顕著な差はありません。グリップ無しのOM-3に装着してもバランス良好。
レンズフードを反転装着できないのが厄介ですが、全長が短いので普通に装着したままでも気になりません。
AF・MF
フォーカススピード
フォーカス駆動にはステッピングモーターを使用。近距離から遠距離まで適度なAF速度で動作します。十分ではありませんが、他社のリニア駆動・ナノUSM駆動のマクロレンズと比べるとかなり遅い。
ブリージング
ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指します。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となります。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離・無限遠で撮影した結果が以下の通り。
マクロレンズらしくフォーカスブリージングはかなり目立ちます。フォーカス時の動作音も大きく、動画撮影向けとは言えません。


精度
OM-3・G9M2との組み合わせで大きな問題はありません。
MF
ゆっくり操作しても360度のストロークがあるフォーカスリングで精度の高いMF操作が可能。
解像力チャート
撮影環境

テスト環境
- カメラボディ:LUMIX DC-G9M2
- 交換レンズ:LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm/F2.8 ASPH./MEGA O.I.S.
- パール光学工業株式会社
「【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)」
- オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
- 屋内で照明環境が一定
- 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
- RAW出力
- ISO 100 固定
- Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
・シャープネス オフ
・ノイズリダクション オフ
・色収差補正オフ
・格納されたレンズプロファイル(外せない) - 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
(像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェック) - 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)
補足
今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性あり。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。
テスト結果

全体的にF2.8から良好な結果。
マクロ域では周辺が落ち込むというレビューもありますが、マクロほどではない近距離の場合に大きな問題はありません。

G9M2のハイレゾモードを使用すると、中央から隅まで解像チャートの限界値に到達しています。今後、センサーの解像度が向上したとしても、十分に耐えうるパフォーマンスを備えています。
中央

F2.8の絞り開放で細部のコントラストがやや低め。しかし、F4まで絞ると改善します。
周辺

絞りによる大きな変化はないものの、F2.8から優れた結果が得られています。
四隅

細部に倍率色収差の影響があるものの影響は軽微。周辺と同程度の良好なパフォーマンスです。
数値確認
通常撮影
| Center | Mid | Corner | |
| F2.8 | 3026 | 3010 | 3297 |
| F4.0 | 3816 | 3168 | 3378 |
| F5.6 | 3904 | 3041 | 3389 |
| F8.0 | 3298 | 3148 | 3331 |
| F11 | 2598 | 2435 | 2763 |
| F16 | 2271 | 2226 | 2159 |
| F22 | 1650 | 1673 | 1521 |
ハイレゾモード
| Center | Mid | Corner | |
| F2.8 | 4569 | 4532 | 4609 |
| F4.0 | 4639 | 4664 | 4590 |
| F5.6 | 4654 | 4654 | 4615 |
| F8.0 | 4253 | 4125 | 4484 |
競合製品比較
実体験ではM.ZUIKOがより安定感があり、隅まで一貫した結果が得られたと思っていましたが…。テストチャートではLEICA DGがより良好な結果となりました。中央 F2.8はM.ZUIKO有利ですが、隅まで一貫したパフォーマンスはLEICA DG。さらにハイレゾモード使用時に細部を良く解像しているのもLEICA DG。
ただし、LEICA DGは倍率色収差の影響がM.ZUIKOより強いため、状況によっては細部のコントラストが少し低いと感じるかもしれません。
いずれも優れたマクロレンズに違いないため、好みの焦点距離・使い勝手で選べば良いでしょう。
遠景解像力
テスト環境

- 撮影日:2026.6.9 くもり 微風
- カメラ:LUMIX DC-G9M2
- 三脚:SIRUI AM324
- 雲台:アルカスイスZ1+
- 露出:絞り優先AE ISO 100
- RAW:Adobe Camera RAW 現像
- シャープネスオフ
- ノイズリダクションオフ
- レンズ補正オフ
テスト結果
中央
解像チャートテストと同じく、F2.8で細部が若干ソフト。しかし、F4まで絞るとシャープな結果が得られます。ピークの画質はF5.6まで続き、F8以降で徐々に低下。

周辺
中央よりも細部がソフトで、F4まで絞っても僅かに甘さが残ります。F5.6からF8まで絞るとピークの画質に到達します。

四隅
傾向は周辺と同様ですが、細部は周辺部よりも少し甘い。

像面湾曲
像面湾曲とは、本来は平らなはずのピント面が、レンズの特性によって曲面になってしまう収差。
理想的なレンズでは、平らな被写体を撮影した際に画面全体へ同じようにピントが合う。しかし、像面湾曲があると、中央にピントを合わせたときに周辺がぼやけたり、逆に周辺へピントを合わせると中央がぼやけたり。
例えば、壁や新聞、建物の正面など平面的な被写体を撮影すると、中央はシャープなのに四隅だけ甘く見えることがあります。この場合、レンズの解像性能が低いのではなく、ピント面が湾曲していることが原因の可能性あり。また、像面湾曲には内側へ曲がるものと外側へ曲がるものがあり、レンズによって傾向が異なる。
像面湾曲は画面の隅に向かうほど影響が大きくなるため、風景や建築写真では重要な性能項目の一つ。一方、ポートレートや近接撮影では必ずしも欠点とは限らず、被写体の立体感や独特の描写に寄与することも。
なお、像面湾曲はピント位置の問題であり、色収差や歪曲収差とは異なります。また、レンズを絞ると被写界深度が深くなるため影響が目立ちにくくなる。レンズレビューで「像面湾曲が少ない」と評価される場合、画面中央から周辺まで均一なピント面を維持しやすく、風景や建築物をシャープに撮影しやすいことを意味する。

ピント面が分かりやすいように加工しています。
実写で確認
像面湾曲について大きな問題はありません。隅に向かって像が甘くなるものの、これは別の要素が原因である可能性あり。
倍率色収差
倍率色収差とは?
倍率色収差とは、レンズが光の色によって異なる倍率で像を結んでしまう現象。その結果、画像の色ごとの大きさがわずかに異なり、被写体の輪郭部分に色のずれが発生。
軸上色収差がピント位置の前後で起こるのに対し、倍率色収差は主に画面周辺で目立つ。例えば、建物の輪郭や電線、木の枝などの境界部分に、赤や紫、青、緑などの色の縁取りなど。画面中央ではほとんど見えないものの、周辺へ行くほど目立ちやすくなるのが特徴。
倍率色収差は絞りを変えてもほとんど改善しないため、レンズ設計による補正が重要。一方で、軸上色収差と異なり、デジタル補正との相性が良く、多くのミラーレスカメラや現像ソフトでは自動補正容易。そのため実際の撮影では大きな問題になりにくい場合も多い。
ただし、高解像モデルで風景や建築物を撮影する際には解像感の低下につながる可能性あり。レンズレビューで「倍率色収差が良好に補正されている」と評価される場合、画面周辺でも色の縁取りが少なく、被写体の輪郭をより正確かつシャープに描写できることを意味しています。
- 良好な補正
- 倍率色収差あり
実写で確認
良好な補正状態です。色収差の影響は絞り全域で目立ちません。
軸上色収差
軸上色収差とは?
軸上色収差とは、レンズが光の色ごとに異なる位置へピントを結んでしまう現象。光には赤や緑、青などさまざまな色が含まれており、レンズを通ると色によって曲がり方がわずかに異なる。そのため、ある色にピントが合っていても別の色は前後にずれ、画像に色のにじみが発生。
軸上色収差は主にピント面の前後に現れ、ピントより手前では紫色やマゼンタ色、奥側では緑色のにじみとして見えることが多い。特に開放F値の明るいレンズや望遠レンズで目立ちやすく、金属の反射部分や白い文字、逆光の被写体など高コントラストな場面で確認しやすい。
また、画面中央でも周辺でも発生するため、絞りを開けた状態では画面全体の解像感やコントラストを低下させる原因となる。一般的にはレンズを1~2段ほど絞ると大幅に改善。近年の高性能レンズでは特殊低分散ガラスなどを使用して補正されているものの、完全にゼロにすることは難しい。レンズレビューで「軸上色収差が少ない」と評価される場合は、ピント面前後の色にじみが少なく、よりシャープな描写が期待できるという意味。

実写で確認
F2.8から良好に補正されています。厳しいシーンでも色収差が目立つことが少ないはず。
歪曲収差
歪曲収差とは?
歪曲収差とは、被写体の形そのものが変形して写る現象。レンズの解像力やピントとは別の問題で、直線であるはずのものが曲がって記録されるのが特徴。
- 糸巻き型歪曲
- 適切な補正
- 樽型歪曲
代表的なものは「樽型歪曲」と「糸巻き型歪曲」。樽型歪曲では画面中央から外側へ向かって線が膨らみ、建物の壁や地平線が外側へふくらんで見える。一方、糸巻き型歪曲では線が内側へ引っ張られたように曲がる。また、ズームレンズでは広角側で樽型、望遠側で糸巻き型になることも多い。
歪曲収差は特に建築物や室内、風景写真など、直線が多い被写体で目立ちやすい。人物撮影では気付きにくい場合もありますが、画面周辺に人物を配置すると体形や顔の形がわずかに変形して見える可能性あり。
他の収差と異なり、歪曲収差は画面のシャープネスや色にじみにはほとんど影響しません。そのため、近年のミラーレスカメラや現像ソフトではデジタル補正が広く利用されており、多くのレンズで自動的に補正されています。
レンズレビューで「歪曲収差が少ない」と評価される場合は、建物や水平線などの直線を自然な形で再現できることを意味しています。一方、歪曲収差をソフトウェア補正する前提で設計されたレンズも多く、実写では大きな問題にならない場合も少なくない。
実写で確認
未補正で穏やかな糸巻き型歪曲です。補正無しでも全く問題ありませんが、修正することで完璧となります。


コマ収差
コマ収差とは?
コマ収差とは、画面周辺の点光源が彗星(Comet)のように尾を引いた形に変形して写る現象。名称の「コマ」は英語の Coma(彗星)に由来。
本来、星や街灯のような点光源は丸い点として写るべきところ、コマ収差が大きいレンズでは画面周辺で三角形や鳥が羽を広げたような形に崩れる。特に画面の隅に近づくほど目立ちやすい。
コマ収差は星景写真や夜景撮影で重要な性能項目。例えば、画面中央の星はきれいな点に写っていても、四隅の星が流れたような形に。昼間の撮影では気付きにくいものの、夜間の点光源では容易に確認可能。
一般的にはレンズを少し絞ることで改善。レンズレビューで「コマ収差が良好に補正されている」と評価される場合、画面周辺の星や街灯も点に近い形で再現できることを意味しています。
- 良好な補正状態
- 悪い補正状態
実写で確認
F2.8では点像の変形が発生。過度では無く無視できる程度ですが、きちんと結像するためには2段絞る必要があります。
球面収差
前後の玉ボケを見比べても質感の違いは目立ちません。球面収差は良好に補正されています。
前後ボケ
綺麗なボケ・騒がしいボケとは?
綺麗なボケとは、輪郭が目立たず、背景がなめらかに溶けるような描写。被写体が背景から自然に浮かび上がり、見る人の視線を主題へ導きやすい。ポートレートや花の撮影で好まれることが多く、「柔らかいボケ」「なめらかなボケ」と表現される場合もある。
騒がしいボケとは、背景の輪郭や模様が強調されて見えるボケ。木の枝や葉、フェンスなど細かな模様が二重線になったり、ざわついた印象になったりする。背景が目立ちすぎるため、主題への視線が分散することがあります。
ボケの良し悪しは単純に明るいレンズほど優れるわけではなく、球面収差の補正状態やレンズ構成、絞り羽根の形状などによって変化します。また、撮影距離や背景との距離によっても印象は大きく変わります。
ボケの評価には好みも大きく関係。一般的にはなめらかなボケが高く評価されることが多いものの、被写体や作品の雰囲気によっては、少し騒がしいボケが独特の立体感や個性を生む場合もあります。そのため、ボケの質はレンズの性能だけでなく、写真表現の一部として捉えることが重要。

後ボケ
滲みを伴う柔らかい描写ではないものの、収差を補正した綺麗なボケです。前後ボケに質感の違いは無く、ニュートラルな傾向。色収差も良好に補正され、ボケの色付きは穏やか。
前ボケ
前述の通り、前後ボケ質の違いは目立ちません。使い勝手の良い描写です。
玉ボケ
口径食・球面収差の影響
玉ボケとは、背景や前景にある小さな光源が、丸い光の円として写るボケ表現のこと。夜景のイルミネーションや木漏れ日、水面の反射などでよく見られる。一般的に、明るいレンズほど大きな玉ボケを作りやすく、背景を印象的に演出できるため、ポートレートやスナップ撮影で人気がある。
理想的な玉ボケは、円形で輪郭が目立たず、内部の明るさが均一な状態で。しかし実際にはレンズ設計の影響により、さまざまな特徴が現れることがある。例えば、輪郭が明るく縁取られた玉ボケは背景が騒がしく見えやすく、内部に同心円状の模様が現れるものは「玉ねぎボケ」と呼ばれる。
- 影響が強い
- 影響が弱い
また、画面周辺では玉ボケが円形を保てず、楕円形や猫の目のような形に変形することがある。これは周辺部で光が一部遮られるためで、「口径食」と呼ばれる現象によるもの。
- 前ボケ
- 後ボケ
実写で確認
隅に向かってやや強めの口径食が発生するものの。玉ボケの内側は滑らかで綺麗、色収差の影響も少なく、使いやすい描写です。口径食はF5.6-8.0くらいまで残存するため、玉ボケを重視する場合はOM SYSTEMの60mm F2.8 Macroが有利。


ボケ実写
至近距離

口径食がやや強めですが、全体は滑らかで綺麗な描写。ボケが大きいので粗さがしをしても欠点は見当たりません。
近距離

ボケが少し小さくなっても綺麗なボケ描写は継続。中央から隅まで滑らかな描写です。
中距離

さらにボケが小さくなると、ボケの硬さが少し気になり始めます。しかし、ボケは滑らかで綺麗であり、悪目立ちする描写ではありません。
ポートレート
全高170cmの三脚を人物に見立て、絞り開放(F2.8)で距離を変えながら撮影した結果が以下の通り。
中距離まで問題ありませんでしたが、フレームに全身を入れるような撮影距離ではボケの縁取りが強く、2線ボケの兆候が見られます。ボケが小さいので目立ちませんが、気になる場合は少し絞ったほうが良さそう。
上半身くらいまで近寄ると、ボケの欠点は目立たなくなります。
周辺減光
周辺減光とは?
周辺減光とは、画面の中央に比べて四隅や周辺部分が暗く写る現象。英語では「ビネッティング(Vignetting)」とも呼ばれる。
本来は画面全体が同じ明るさで写るのが理想ですが、レンズの構造上、周辺部へ届く光の量が中央より少なくなることがあります。その結果、写真の四隅がわずかに暗くなり、特に青空や白い壁など均一な被写体を撮影すると目立ちやすい。
周辺減光は広角レンズや大口径レンズで発生しやすく、開放F値付近で最も強く現れることが多い。レンズを1〜2段ほど絞ると改善する場合が多く、近年のミラーレスカメラではソフトウェア補正によって自動的に軽減。
一般的には欠点として扱われるものの、必ずしも悪い現象とは限りません。画面の四隅が暗くなることで視線が中央へ集まりやすくなり、ポートレートやスナップ写真では雰囲気作りに役立つ場合もあります。そのため、あえて補正せずに利用する写真家もいるくらい。
- 良好
- 周辺減光
ソフトウェアで簡単に補正できる現象ですが、露出不足を後処理の補正(増感)で補うため、センサー由来のノイズが発生する原因となる点には注意。特に夜景や星空の撮影などで高感度ISOを使う場合はノイズが強く現れる可能性あり。
最短撮影距離
F2.8の絞り開放で僅かに影響がありますが無視できる程度。F4-5.6まで絞るとほぼ解消。
無限遠
F2.8で四隅にやや目立つ減光効果あり。F4.0でも残存し、F5.6でも僅かな減光あり。
逆光耐性
逆光耐性とは、太陽や強い照明が画面内、または画面のすぐ外にある状況で、画質をどれだけ維持できるかを示す性能。
逆光下では、レンズ内で光が反射・散乱することで「フレア」や「ゴースト」が発生。フレアは写真全体が白っぽくなってコントラストが低下する現象で、ゴーストは光源の形をした模様や色付きの像が画面内に現れる現象。
逆光耐性が高いレンズは、強い光源が画面内にあってもコントラストや色の再現性を維持しやすく、フレアやゴーストの発生も少ない。近年のレンズでは特殊コーティングの採用により大幅改善。
ただし、逆光耐性が優れていても完全にフレアやゴーストをなくすことは難しい。特に超広角レンズやズームレンズでは光学設計上の制約から発生しやすい場合があります。
レンズレビューで「逆光耐性が優秀」と評価される場合、太陽を画面に入れた撮影でも画質の低下が少なく、安定した描写が期待できることを意味しています。
中央
絞り開放では強い光源を正面に受けてもフレア・ゴーストが発生しません。とても良好な逆光耐性です。絞るとゴーストが複数発生しますが許容範囲内。
隅
光源をフレーム隅に移動してもゴーストの発生はありません。光源付近にフレアが少し発生しますが、影響は穏やか。絞ると光条がやや強調されます。
光条
光条とは、太陽や街灯などの強い点光源から放射状に伸びる光の筋のこと。英語では「サンスター(Sunstar)」とも呼ばれる。
光条は主にレンズを絞ったときに発生しやすく、絞り羽根の枚数や形状によって見え方が変化。例えば、夜景の街灯が星のように見えるのは光条の効果によるもの。
光条がシャープで均一なレンズは、風景写真や夜景写真を好む撮影者から高く評価されます。一方、光条が太かったり不揃いだったりすると、見栄えがやや不自然。
一般的に開放F値では光条はほとんど目立たず、F8〜F16程度まで絞ると現れやすくなる。ただし、絞りすぎると回折の影響で解像感が低下するため、光条の強さと画質のバランスを考慮する必要があります。
レンズレビューで「美しい光条が得られる」と評価される場合、夜景やイルミネーション撮影で点光源を印象的に表現しやすいことを意味しています。逆に「光条が不規則」と評価される場合、光の筋の長さや形が揃わず、やや雑然とした印象になることを示しています。
実写で確認
最小絞りまで絞っても先細りする光条にはなりません。回折の影響を避けるF値で明瞭な光条は期待できず。このレンズで光条を発生させたい場合はフィルターを使ったほうが良さそうです。
まとめ

良かったところ
ココがおすすめ
- 光学手振れ補正を搭載
- フォーカスリミッター搭載
- マクロ域で良好な解像性能
- 色収差の補正状態が良好
- 歪曲収差が穏やか
- コマ収差が穏やか
- 球面収差の補正状態が良好
- ニュートラルで綺麗なボケ
- 玉ボケが滑らか
- 逆光時のフレア・ゴーストを抑制
2009年登場の非常に古い設計のマクロレンズですが、2026年現在でも通用する光学性能です。特に偏りのない綺麗なボケやフレア・ゴーストが発生しにくい逆光耐性、光学的に補正された歪曲収差が強み。
光学手振れ補正はボディ側非搭載のカメラで重宝しますが、現行モデルの大部分はボディ側手振れ補正を利用可能です。(G100Dくらい)
悪かったところ
ココに注意
- MFTマクロレンズとしては少し高価
- 防塵防滴非対応
- レンズフードが逆さ付け非対応
- 遠景では周辺・隅が平凡
- 周辺減光・口径食が少し目立つ
- ポートレート距離で後ボケがやや騒がしい
- 絞っても光条が先細りしない
光学性能は今でも通用するとは言え、古さを感じるポイントが多い。AFや絞りの動作、手振れ補正の効き目、高解像センサーを想定していない周辺・隅の解像性能など。防塵防滴非対応のため、コンディションによっては撮影が難しいのも悩ましいポイント。扱い辛いレンズフードも地味にマイナス。
結論

マイクロフォーサーズ最古のマクロであると同時に、LEICA DGシリーズ最古参。既に発売から17年が経過しようとしているレンズ。おそらく、ミラーレス史としても最古に近いレンズのはず。
「最古」と表現するように、メカ的な古さを感じ、光学的に抜群の性能ではありません。と言っても、レンズの描写は古さを感じさせない使い勝手の良さがあります。
また、マイクロフォーサーズでは貴重な中望遠マクロレンズとして検討する価値あり。防塵防滴仕様ではありませんが、発売時期(まだ防塵防滴仕様のボディが登場していない)を考慮すると許容範囲内。
問題は価格設定。
本製品が高すぎるとは言いませんが、焦点距離やライカブランドにこだわらなければ「LUMIX G MACRO 30mm/F2.8 ASPH./MEGA O.I.S.」「M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro」など、より安価な選択肢が多い。特に60mm F2.8は防塵防滴仕様やより長い焦点距離でワーキングディスタンスを長くしやすいなどメリットが多い。特にこだわりが無いのであれば60mmをおススメします。
最終的には「LEICA DG」「換算90mmのマクロ」に価値を感じるかどうかが決め手となります。
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購入を悩んでいる人
M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro

マイクロフォーサーズでマクロ撮影を検討しているのであれば、最優先で検討したいレンズ。適度に長い焦点距離でワーキングディスタンスを長くすることができ、防塵防滴仕様でコンディションを選ばない撮影が可能。
伸び縮みするレンズフードLEICA DG よりも使いやすく、フォーカスリミッターは遠側・近側の両方に対応。おまけに等倍に素早くピントを移動させる便利機能付き。
これで LEICA DG よりも安い。おススメしない理由がない。敢えて言えば、LEICA DG よりも細長いレンズのため取り扱いに注意が必要。また、光学手振れ補正を搭載していません。
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作例
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