このページでは「M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO」のレビューを掲載しています。
M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PROのレビュー一覧
- M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO レンズレビュー完全版
- M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO レンズレビューVol.5 ボケ・周辺減光・逆光編
- M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO レンズレビューVol.4 諸収差編
- M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO レンズレビューVol.3 遠景解像編
- M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO レンズレビューVol.2 解像チャート編
- M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO レンズレビューVol.1 外観・操作・AF編
レンズの評価
| ポイント | 評価 | コメント |
| 価格 | MFT用としては高価 | |
| サイズ | 換算600mmとしては大きい | |
| 重量 | 換算600mmとしては軽い | |
| 操作性 | 望遠レンズとして必要十分 | |
| AF性能 | 十分だが電光石火ではない | |
| 解像性能 | MFT用レンズで最高峰 | |
| ボケ | 官能的ではないが綺麗 | |
| 色収差 | ほぼ完璧な補正状態 | |
| 歪曲収差 | 完璧な補正状態 | |
| コマ収差・非点収差 | 問題無し | |
| 周辺減光 | 遠側でわずかな影響あり | |
| 逆光耐性 | 大きな問題無し | |
| 満足度 | MFT最高峰のレンズ |
評価:
ポイント
MFT最高峰のレンズ
マイクロフォーサーズでこの上ない性能の単焦点レンズ。各レビューで高評価を叩き出しているのも納得の結果となりました。優れた解像性能と収差補正は高価な望遠単焦点レンズに期待する結果そのもの。
十分なフォーカス性能を備え、超望遠レンズながらハーフマクロに近い接写性能を実現。一般的な超望遠レンズの用途以外でも楽しむことが出来ます。手振れ補正の効果も高く、携帯性も相まって手持ち撮影が簡単であるのも強みの一つ。
販売価格はマイクロフォーサーズの中で高めですが、おススメの一本。
「300mm F4」なのか「換算600mmのF4」なのか
換算600mmの超望遠をF4の明るさでカバーするレンズです。
仮に300mmのフルサイズレンズをマイクロフォーサーズ相当までクロップしたとして、同程度の解像性能は持ち合わせていないでしょう。マイクロフォーサーズが8000万画素になったとしても、十分に耐えうる性能を持ち合わせています。同システム最高峰の性能。
被写界深度的には(同じ被写体を同じ構図で撮影したとして)「600mm F8」相当ですが、超望遠レンズで被写界深度を心配する必要はほぼありません。
(もちろん600mm F4 でしか撮影できない世界もありますが…)
A prime lens that delivers unparalleled performance in the Micro Four Thirds system. It’s no surprise that it has received such high praise in various reviews. Its excellent resolution and correction of aberrations are exactly what you’d expect from a high-end telephoto prime lens.
It offers ample focusing performance and, despite being a super-telephoto lens, achieves close-up capabilities approaching those of a half-macro lens. This allows you to enjoy it beyond the typical uses of a super-telephoto lens. The image stabilization is highly effective, and combined with its portability, it makes handheld shooting easy—another one of its strengths.
Although the retail price is on the higher side for Micro Four Thirds lenses, it’s one I highly recommend.
This lens covers a 600mm equivalent focal length with an f/4 maximum aperture.
Even if you were to crop a 300mm full-frame lens down to a Micro Four Thirds equivalent, it likely wouldn’t offer the same level of resolution. Even if Micro Four Thirds were to reach 80 million pixels, this lens would still deliver more than sufficient performance. It represents the pinnacle of performance within this system.
In terms of depth of field (assuming you’re photographing the same subject with the same composition), it’s equivalent to a “600mm f/8,” but with a super-telephoto lens, you almost never need to worry about depth of field.
(Of course, there are situations where you can only capture the scene with a 600mm f/4 lens…)
まえがき
- 発売日:2016年 2月26日
- 商品ページ
- データベース
- 管理人のFlickr
爆発的なヒット作となる「OM-D E-M1 Mark II」が登場する年に発売されたマイクロフォーサーズ用の高性能な超望遠単焦点レンズ。35mm判換算で600mm相当の圧倒的な望遠性能を持ちながら、強力な手振れ補正と小型軽量ボディを両立し、手持ちでの超望遠撮影を可能にしています。
特殊レンズ7枚を含む10群17枚の光学系は「史上最高レベルの解像力」とのこと。MTF曲線は中央から隅まで高い解像性能を実現しています。当時としては新しかった「Z Coating Nano」や「シンクロ手振れ補正」に対応しているのも特徴の一つ。
PROシリーズらしい防塵・防滴・耐低温仕様であり、MFクラッチ構造やL-Fnボタン、スライド式内蔵フードをなど機能的。さらに三脚リングはアルカスイス互換のクランプに対応しており、追加アクセサリなしで雲台に搭載することができます。
主な仕様
| レンズマウント | MFT |
| 対応センサー | M4/3 |
| 焦点距離 | 300mm |
| レンズ構成 | 10群17枚 |
| 開放絞り | F4 |
| 最小絞り | F22 |
| 絞り羽根 | 9枚 |
| 最短撮影距離 | 1.4m |
| 最大撮影倍率 | 0.24倍 |
| フィルター径 | 77mm |
| 手振れ補正 | 4段分 |
| テレコン | 対応 |
| コーティング | Z Nano |
| サイズ | φ92.5×280mm |
| 重量 | 1,270g |
| 防塵防滴 | 対応 |
| AF | STM |
| 絞りリング | - |
| その他のコントロール | AF/MF フォーカスリミッター フォーカスクラッチ |
| 付属品 | フード |
価格のチェック
売り出し価格は28万円でしたが、現在は物価上昇や世界情勢の影響で40万円前後まで値上がりしています。ただし、キャッシュバックキャンペーンや値引きクーポンなどの併用で30万円程度で入手することも可能。(2026年夏のキャッシュバックキャンペーンでは4万円のキャッシュバック対象製品でした)
レンズレビュー
外観・操作性
箱・付属品

もともとOLYMPUSブランドのレンズでしたが、現在はOM SYSTEMへのリブランド済み。最近の新製品と同じくエコパッケージ化したデザインを採用しています。他社も同じようなエコパッケージですが、ここまでそぎ落としたメーカーはありません。

レンズ本体のほか、レンズフード(本体内蔵式)、レンズポーチ、説明書・保証書が付属します。
外観

フォーカスリングまで金属製のしっかりとした外装。高級感のある作りですが、光沢のある塗装は指紋など油汚れが目立ちやすく、傷ついた際に塗装剥がれが目立ちやすい。同じ金属製でもLEICA DGシリーズのほうが個人的には好み。
装飾は僅かですが、ブランドカラーとなるブルーリング、三脚リング直後のグレーのリングなど、他社のレンズと比べると主張が強め。特に前述した光沢のある塗装が目立ちやすい。
ハンズオン

| サイズ | 重量 | |
| 300mm F4 PRO | φ92.5×280mm | 1,270g |
| DG 200mm F2.8 | φ87.5×174mm | 1,245g |
| 40-150mm F2.8 PRO | φ79.4×160mm | 760g |
| 50-200mm F2.8 PRO | φ91.4×225.8mm | 1075g |
600mm相当の望遠レンズとしては小型軽量とは言え、フルサイズの300mm F4よりも重い。全長も長く、マイクロフォーサーズ用としては大きめの収納スペースが必要です(防湿庫やカメラバッグで)。
同社の40-150mm F2.8 PROや50-200mm F2.8よりも大きく重い。パナソニックの200mm F2.8よりも大きいレンズですが、重量は同程度。
前玉・後玉

マイクロフォーサーズ用のレンズとしては珍しい77mm径の大きなフィルターに対応。防塵防滴仕様ですが、フッ素コーティング処理されていないため、前面に水滴や油汚れが付着しやすい環境では保護フィルターを装着しておきたいところ。

金属製レンズマウントは4本のネジで本体に固定されています。マウント面には「Maide in Vietnam」の記載あり。
フォーカスリング

金属製フォーカスリングを搭載。適度なトルク感で滑らかに回転します。
ピント移動距離はリング回転速度に依存。ゆっくり回転した場合はピント全域を移動するのに2回転以上。素早く回転すると、約180度で操作可能。

MFクラッチ構造を備え、フォーカスリングを手前にスライドすることで素早くMFへの移行が可能。距離目盛を使ったメカニカルのようなフォーカス操作が可能です。
この場合、ピント全域のストロークは約90度。素早いピント合わせやピント位置の修正に最適。
スイッチ

側面にフォーカスリミッターと手振れ補正オンオフ、L-Fnボタンを搭載。
AF/MFスイッチは非搭載ですが、前述したフォーカスリングを前後にスライドすることで調整可能です。
三脚リング

金属製三脚リングは左下のノブで操作可能。リング回転時のクリックストップはありません。90度ごとの目印がプリントされているのみ。

三脚座の底面には通常のネジ穴が一か所のみ。ネジ穴で固定する場合、横ずれ防止用の穴が無いので使い辛い。
アルカスイス互換のクランプで固定したほうが良さそうです。クランプ使用時に脱落を防ぐためのM3ネジ穴があります。ネジは付属していないので、Amazonなどで購入する必要あり。
レンズフード
前後にスライド可能な円筒型レンズフードを内蔵。40-150mm F2.8 PRO用フードのように取り外すことはできません。フードの内側は反射防止用のフェルト生地が張り付けられています。

レンズフードは伸ばしきったところで回転することで固定可能。反対側に回転することで固定を解除することができます。フードにプリントされている矢印は解除方向なので注意。
装着例

OM-3に装着。
重いレンズなので、OM-3での片手持ちは難しいですが不可能ではありません。OM-1のように大きなグリップだと問題無し。三脚リング装着時に重心はちょうど三脚座にあり、バランスは良好。
AF・MF
フォーカススピード
フォーカス駆動にはリードスクリュータイプのステッピングモーターを使用。(公式サイトに記載ありませんが、デジカメwatchのインタビューにて言及)
他社の高性能レンズはボイスコイルモーターが主流となっていますが、OM SYSTEMは軽量化のためにステッピングモーターを使用している模様。
40-150mm F2.8 PRO のDual VCMほど電光石火ではないものの、近距離から遠距離まで十分なAF速度で動作します。
ブリージング
ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指します。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となります。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離・無限遠で撮影した結果が以下の通り。
近接性能が高いことを考慮すると、ピント位置による画角変化は抑えられているように見えます。


精度
OM-3やG9M2との組み合わせで精度は良好。ミスショットがあるとすれば、カメラ側の問題である可能性が高い。
MF
ノンリニアレスポンスの通常MFと、リニアレスポンスのMFクラッチを利用可能。状況に合わせて使い分けることが出来ますが、通常MFはカメラ側でAFから切り替える必要があります。
解像力チャート
撮影環境

テスト環境
- カメラボディ:LUMIX DC-G9M2
- 交換レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO
- パール光学工業株式会社
「【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)」
- オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
- 屋内で照明環境が一定
- 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
- RAW出力
- ISO 100 固定
- Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
・シャープネス オフ
・ノイズリダクション オフ
・色収差補正オフ - 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
(像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェック) - 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)
補足
今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性あり。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。
テスト結果 300mm

F4.0の絞り開放から、全体的にピークのパフォーマンスを発揮。絞ることで一貫性が高まりますが、被写体を中央に配置する場合は絞る必要性がありません。超望遠単焦点らしい優れた性能です。

80MPハイレゾモードでも、絞り開放からチャートテストの上限値に到達。フレーム隅が少し出遅れるものの、F5.6まで絞ると改善します。
中央

F4から非常にシャープでコントラストも高い。RAW編集ソフト側のシャープネス処理が必要ないくらい優れた結果。F8以降は回折の影響で少しソフトとなります。
周辺

中央とほぼ同じ。非常にシャープで高コントラスト。
四隅

中央や周辺と比べると細部が若干ソフトですが、それでも優れた結果に違いありません。
テスト結果 420mm

テレコン非装着時と比べると性能が少し低下しますが、影響は軽微。中央から隅まで良好な結果が得られています。画質低下を気にすることなく、焦点距離の拡張が可能。

中央・周辺はピーク値が300mmより低下しているものの、ハイレゾモードの効果がわかるくらいには優れた解像性能です。フレーム隅でパフォーマンスが若干低下し、絞っても大きな改善はありません。
中央

周辺

四隅

数値確認
300mm
| 中央 | 周辺部 | 四隅 | |
| F4.0 | 3764 | 3368 | 2994 |
| F5.6 | 3554 | 3262 | 3414 |
| F8.0 | 3134 | 3228 | 3249 |
| F11 | 3079 | 2878 | 2761 |
| F16 | 2318 | 2365 | 2507 |
| F22 | 1719 | 1772 | 1834 |
420mm
| 中央 | 周辺部 | 四隅 | |
| F5.6 | 3286 | 2884 | 3130 |
| F8.0 | 3102 | 3049 | 3058 |
| F11 | 3088 | 2672 | 2508 |
| F16 | 2435 | 2176 | 2293 |
| F22 | 1800 | 1788 | 1911 |
競合製品比較
M.ZUIKO超望遠の最終兵器である「M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO」と比較。150-400mmは非常に高性能であり、24MPであればズームレンズながら中央の解像性能は300mmに匹敵。周辺や隅のパフォーマンスも良好。
300mm F4 は80MPの高解像モードで全体的に優れた結果が得られています。MC-14装着時も画質低下が少なく、流石の単焦点レンズ。将来的に3000万画素や4000万画素の解像度に対応した場合、300mm F4のパフォーマンスが活きてくるはず。
現状、2000万画素のOM-1 Mark II と組み合わせるのであれば、150-400mm F4.5で十分なパフォーマンスを発揮できると言えるでしょう。300mm F4 の解像性能は過剰気味。
遠景解像力
テスト環境

- 撮影日:2025.12.11 晴れ 微風
- カメラ:LUMIX DC-G9M2
- 三脚:SIRUI AM324
- 雲台:アルカスイスZ1+
- 露出:ISO 100 絞り優先AE
- RAW:Adobe Lightroom Classic
- シャープネスオフ
- ノイズリダクションオフ
- レンズ補正オフ
- 超望遠の遠景は大気の影響が強いため参考までに
テスト結果
中央

F4からシャープでコントラストは良好。絞りによる大きな変化はありません。
四隅

中央と見分けがつかないくらいにシャープ。少なくとも2400万画素ではフレーム全域でF4からピークの性能が得られています。
MC-14 中央

F5.6の絞り開放から良好ですが、F8まで絞ると僅かに改善します。300mmをクロップするよりも僅かに有利。
MC-20 中央

実用的な画質。300mmと比べるとソフトですが、420mm(MC-14)と見比べて大幅な画質低下はありません。F8.0の開放F値で問題なければMC-20でも良いのかなと。ただし、換算1200mmの狭い画角は難易度が高め。
倍率色収差
倍率色収差とは?
倍率色収差とは、レンズが光の色によって異なる倍率で像を結んでしまう現象。その結果、画像の色ごとの大きさがわずかに異なり、被写体の輪郭部分に色のずれが発生。
軸上色収差がピント位置の前後で起こるのに対し、倍率色収差は主に画面周辺で目立つ。例えば、建物の輪郭や電線、木の枝などの境界部分に、赤や紫、青、緑などの色の縁取りなど。画面中央ではほとんど見えないものの、周辺へ行くほど目立ちやすくなるのが特徴。
倍率色収差は絞りを変えてもほとんど改善しないため、レンズ設計による補正が重要。一方で、軸上色収差と異なり、デジタル補正との相性が良く、多くのミラーレスカメラや現像ソフトでは自動補正容易。そのため実際の撮影では大きな問題になりにくい場合も多い。
ただし、高解像モデルで風景や建築物を撮影する際には解像感の低下につながる可能性あり。レンズレビューで「倍率色収差が良好に補正されている」と評価される場合、画面周辺でも色の縁取りが少なく、被写体の輪郭をより正確かつシャープに描写できることを意味しています。
- 良好な補正
- 倍率色収差あり
実写で確認
絞り値全域で色収差はとても良好に補正されています。
軸上色収差
軸上色収差とは?
軸上色収差とは、レンズが光の色ごとに異なる位置へピントを結んでしまう現象。光には赤や緑、青などさまざまな色が含まれており、レンズを通ると色によって曲がり方がわずかに異なる。そのため、ある色にピントが合っていても別の色は前後にずれ、画像に色のにじみが発生。
軸上色収差は主にピント面の前後に現れ、ピントより手前では紫色やマゼンタ色、奥側では緑色のにじみとして見えることが多い。特に開放F値の明るいレンズや望遠レンズで目立ちやすく、金属の反射部分や白い文字、逆光の被写体など高コントラストな場面で確認しやすい。
また、画面中央でも周辺でも発生するため、絞りを開けた状態では画面全体の解像感やコントラストを低下させる原因となる。一般的にはレンズを1~2段ほど絞ると大幅に改善。近年の高性能レンズでは特殊低分散ガラスなどを使用して補正されているものの、完全にゼロにすることは難しい。レンズレビューで「軸上色収差が少ない」と評価される場合は、ピント面前後の色にじみが少なく、よりシャープな描写が期待できるという意味。

実写で確認
F4.0からほぼゼロ。実写で問題となることはまずないでしょう。
歪曲収差
歪曲収差とは?
歪曲収差とは、被写体の形そのものが変形して写る現象。レンズの解像力やピントとは別の問題で、直線であるはずのものが曲がって記録されるのが特徴。
- 糸巻き型歪曲
- 適切な補正
- 樽型歪曲
代表的なものは「樽型歪曲」と「糸巻き型歪曲」。樽型歪曲では画面中央から外側へ向かって線が膨らみ、建物の壁や地平線が外側へふくらんで見える。一方、糸巻き型歪曲では線が内側へ引っ張られたように曲がる。また、ズームレンズでは広角側で樽型、望遠側で糸巻き型になることも多い。
歪曲収差は特に建築物や室内、風景写真など、直線が多い被写体で目立ちやすい。人物撮影では気付きにくい場合もありますが、画面周辺に人物を配置すると体形や顔の形がわずかに変形して見える可能性あり。
他の収差と異なり、歪曲収差は画面のシャープネスや色にじみにはほとんど影響しません。そのため、近年のミラーレスカメラや現像ソフトではデジタル補正が広く利用されており、多くのレンズで自動的に補正されています。
レンズレビューで「歪曲収差が少ない」と評価される場合は、建物や水平線などの直線を自然な形で再現できることを意味しています。一方、歪曲収差をソフトウェア補正する前提で設計されたレンズも多く、実写では大きな問題にならない場合も少なくない。
実写で確認
補正の有無に関わらず、歪曲収差は綺麗に補正されています。


コマ収差
コマ収差・非点収差とは?
コマ収差とは、画面周辺の点光源が彗星(Comet)のように尾を引いた形に変形して写る現象。名称の「コマ」は英語の Coma(彗星)に由来。
本来、星や街灯のような点光源は丸い点として写るべきところ、コマ収差が大きいレンズでは画面周辺で三角形や鳥が羽を広げたような形に崩れる。特に画面の隅に近づくほど目立ちやすい。
コマ収差は星景写真や夜景撮影で重要な性能項目。例えば、画面中央の星はきれいな点に写っていても、四隅の星が流れたような形に。昼間の撮影では気付きにくいものの、夜間の点光源では容易に確認可能。
一般的にはレンズを少し絞ることで改善。レンズレビューで「コマ収差が良好に補正されている」と評価される場合、画面周辺の星や街灯も点に近い形で再現できることを意味しています。
- 良好な補正状態
- 悪い補正状態
実写で確認
点像再現性はF4.0から良好です。
球面収差
球面収差とは
球面収差とは、レンズの中心を通る光と周辺を通る光が異なる位置でピントを結んでしまう収差。その結果、ピントが合っているはずの部分でも像がわずかににじみ、シャープさやコントラストが低下。
理想的なレンズでは、すべての光が同じ位置に収束。しかし実際のレンズは、中心付近を通る光と周辺部を通る光の集まり方が異なるため、一点に完全には集まりません。
球面収差が大きいレンズでは、開放F値で撮影した際に全体が少し柔らかく見えたり、光がにじんだような描写。特にポートレート用レンズでは、この特性を活かして肌をなめらかに見せる場合もあります。一方、風景や建築写真では解像感の低下につながるため、できるだけ少ないことが望ましい。
球面収差は前ボケと後ボケの見え方にも大きく影響。球面収差の補正状態によってボケの柔らかさや輪郭の強さが変化するため、レンズごとの描写の個性を生む要素の一つ。
一般的にはレンズを絞ることで周辺光線が制限され、球面収差は大幅に改善。レンズレビューで「球面収差がよく補正されている」と評価される場合は、開放F値から高い解像感とコントラストを得やすいことを意味します。一方で、あえて球面収差を少し残すことで、柔らかく自然なボケ描写を実現しているレンズも存在。
実写で確認
前後のボケ質に違いはほぼありません。球面収差は良好に補正されています。
玉ボケ
口径食・球面収差の影響
玉ボケとは、背景や前景にある小さな光源が、丸い光の円として写るボケ表現のこと。夜景のイルミネーションや木漏れ日、水面の反射などでよく見られる。一般的に、明るいレンズほど大きな玉ボケを作りやすく、背景を印象的に演出できるため、ポートレートやスナップ撮影で人気がある。
理想的な玉ボケは、円形で輪郭が目立たず、内部の明るさが均一な状態で。しかし実際にはレンズ設計の影響により、さまざまな特徴が現れることがある。例えば、輪郭が明るく縁取られた玉ボケは背景が騒がしく見えやすく、内部に同心円状の模様が現れるものは「玉ねぎボケ」と呼ばれる。
- 影響が強い
- 影響が弱い
また、画面周辺では玉ボケが円形を保てず、楕円形や猫の目のような形に変形することがある。これは周辺部で光が一部遮られるためで、「口径食」と呼ばれる現象によるもの。
- 前ボケ
- 後ボケ
実写で確認
F4から全体的に滑らかで綺麗な描写。口径食の影響はほとんどありません。
ボケ実写
全高170cmの三脚を人物に見立て、絞り開放(F4)で距離を変えながら撮影した結果が以下の通り。
滲むような柔らかいボケではないものの、収差を高度に補正した綺麗なボケ質です。全身をフレームに入れるような遠距離でも微ボケから背景ボケまで全く問題ありません。より近距離であればなおさら。
周辺減光
周辺減光とは?
周辺減光とは、画面の中央に比べて四隅や周辺部分が暗く写る現象。英語では「ビネッティング(Vignetting)」とも呼ばれる。
本来は画面全体が同じ明るさで写るのが理想ですが、レンズの構造上、周辺部へ届く光の量が中央より少なくなることがあります。その結果、写真の四隅がわずかに暗くなり、特に青空や白い壁など均一な被写体を撮影すると目立ちやすい。
周辺減光は広角レンズや大口径レンズで発生しやすく、開放F値付近で最も強く現れることが多い。レンズを1〜2段ほど絞ると改善する場合が多く、近年のミラーレスカメラではソフトウェア補正によって自動的に軽減。
一般的には欠点として扱われるものの、必ずしも悪い現象とは限りません。画面の四隅が暗くなることで視線が中央へ集まりやすくなり、ポートレートやスナップ写真では雰囲気作りに役立つ場合もあります。そのため、あえて補正せずに利用する写真家もいるくらい。
- 良好
- 周辺減光
ソフトウェアで簡単に補正できる現象ですが、露出不足を後処理の補正(増感)で補うため、センサー由来のノイズが発生する原因となる点には注意。特に夜景や星空の撮影などで高感度ISOを使う場合はノイズが強く現れる可能性あり。
最短撮影距離
補正オフの状態でF4.0の絞り開放から全く問題ありません。
無限遠
F4で周辺部に僅かな減光効果があります。無視できる程度で、レンズ補正により簡単に修正可能です。F5.6-8まで絞るとほぼ解消。
逆光耐性
逆光耐性とは
逆光耐性とは、太陽や強い照明が画面内、または画面のすぐ外にある状況で、画質をどれだけ維持できるかを示す性能。
逆光下では、レンズ内で光が反射・散乱することで「フレア」や「ゴースト」が発生。フレアは写真全体が白っぽくなってコントラストが低下する現象で、ゴーストは光源の形をした模様や色付きの像が画面内に現れる現象。
逆光耐性が高いレンズは、強い光源が画面内にあってもコントラストや色の再現性を維持しやすく、フレアやゴーストの発生も少ない。近年のレンズでは特殊コーティングの採用により大幅改善。
ただし、逆光耐性が優れていても完全にフレアやゴーストをなくすことは難しい。特に超広角レンズやズームレンズでは光学設計上の制約から発生しやすい場合があります。
レンズレビューで「逆光耐性が優秀」と評価される場合、太陽を画面に入れた撮影でも画質の低下が少なく、安定した描写が期待できることを意味しています。
中央
超望遠で強い光源をフレームに入れる機会は稀だと思います。レンズフレアの問題は目立ちませんが、センサー上のベイヤーフィルターを反射したと思われるRGBが写りこみやすい。絞るとさらに目立ちます。
隅
光源を隅に移動すると、センサー面の反射以外はフレアとゴーストが良く抑えられています。
光条
光条とは
光条とは、太陽や街灯などの強い点光源から放射状に伸びる光の筋のこと。英語では「サンスター(Sunstar)」とも呼ばれる。
光条は主にレンズを絞ったときに発生しやすく、絞り羽根の枚数や形状によって見え方が変化。例えば、夜景の街灯が星のように見えるのは光条の効果によるもの。
光条がシャープで均一なレンズは、風景写真や夜景写真を好む撮影者から高く評価されます。一方、光条が太かったり不揃いだったりすると、見栄えがやや不自然。
一般的に開放F値では光条はほとんど目立たず、F8〜F16程度まで絞ると現れやすくなる。ただし、絞りすぎると回折の影響で解像感が低下するため、光条の強さと画質のバランスを考慮する必要があります。
レンズレビューで「美しい光条が得られる」と評価される場合、夜景やイルミネーション撮影で点光源を印象的に表現しやすいことを意味しています。逆に「光条が不規則」と評価される場合、光の筋の長さや形が揃わず、やや雑然とした印象になることを示しています。
実写で確認
絞ると綺麗な光条が発生しますが。明瞭となるのはF16-F22。回折の影響が強いため、実使用で有効となる機会は少ないはず。
まとめ

良かったところ
ココがおすすめ
- 換算600mmの世界を気軽に手持ち撮影できる
- アルカスイス互換の三脚座
- 防塵防滴
- MFクラッチでAF/MFを素早く切り替えることができる
- スライド式レンズフード内蔵
- 十分に高速なSTM駆動のAF
- フォーカスブリージングが目立たない
- 撮影距離を選ばず高解像
- 0.48倍相当の高い撮影倍率
- 色収差を良好に補正
- 歪曲収差を良好に補正
- コマ収差を良好に補正
- 球面収差を良好に補正
- 綺麗なボケ
- 口径食・周辺減光が穏やか
悪かったところ
ココに注意
- マイクロフォーサーズ用としては非常に高価
- 金属外装が傷つきやすい
- 三脚座にネジ穴が一つだけ
- 光条が明瞭となる絞り値が高すぎる
結論

マイクロフォーサーズでこの上ない性能の単焦点レンズ。各レビューで高評価を叩き出しているのも納得の結果となりました。優れた解像性能と収差補正は高価な望遠単焦点レンズに期待する結果そのもの。
十分なフォーカス性能を備え、超望遠レンズながらハーフマクロに近い接写性能を実現。一般的な超望遠レンズの用途以外でも楽しむことが出来ます。手振れ補正の効果も高く、携帯性も相まって手持ち撮影が簡単であるのも強みの一つ。
販売価格はマイクロフォーサーズの中で高めですが、おススメの一本。
「300mm F4」なのか「換算600mmのF4」なのか
換算600mmの超望遠をF4の明るさでカバーするレンズです。
仮に300mmのフルサイズレンズをマイクロフォーサーズ相当までクロップしたとして、同程度の解像性能は持ち合わせていないでしょう。
被写界深度的には(同じ被写体を同じ構図で撮影したとして)「600mm F8」相当ですが、超望遠レンズで被写界深度を心配する必要はほぼありません。
(もちろん600mm F4 でしか撮影できない世界もありますが…)
購入を悩んでいる人
M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO

現時点で、300mm F4とほぼ同等の解像性能が得られる唯一無二の驚異的な望遠ズームレンズ。3000万画素以降では差が開くと思われますが、2000万画素や2400万画素なら150-400mmの解像性能で天井に到達しています。
大きく重く、非常に高価なレンズですが、150mmから400mmまでF4.5を利用できるのが魅力的。手持ち撮影もできないこともない。
300mm F4 は携帯性が高く、解像性能も高いですが、300mmの単焦点は扱いが難しいピーキーなレンズ。
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M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS II

ズーム全域、フレーム全域で安定感のある画質が強みとなる100-400mmズームレンズ。ただし、解像度のピークが低く、トリミングやクロップには適していません。下記の75-300mmと同じく、被写体に十分近寄ることができる環境であればコスパの良い選択肢。
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M.ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7 II

3-4万円で入手可能な300mmズームです。マイクロフォーサーズで最も入手しやすい300mmAFレンズ。低価格ながら、良く写ります。遠距離やクロップに耐えうる性能ではないものの、近距離で被写体に十分近寄ることができる環境であれば、これで十分と感じるかもしれません。
ただし、全体的に開放F値が大きめ。特に300mm F6.7は非常に暗いです。ISO感度が上がりやすく、低照度や曇天でシャッタースピードを上げにくい点に注意が必要です。
購入早見表
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