このページでは「VILTROX AF 20mm F2.8」のレビューを掲載しています。
VILTROX AF 20mm F2.8のレビュー一覧
- VILTROX AF 20mm F2.8 レンズレビュー 完全版
- VILTROX AF 20mm F2.8 レンズレビューVol.6 周辺減光・逆光編
- VILTROX AF 20mm F2.8 レンズレビューVol.5 ボケ編
- VILTROX AF 20mm F2.8 レンズレビューVol.4 諸収差編
- VILTROX AF 20mm F2.8 レンズレビューVol.3 解像チャート編
- VILTROX AF 20mm F2.8 レンズレビューVol.2 遠景解像編
- VILTROX AF 20mm F2.8 レンズレビューVol.1 外観・操作・AF編
管理人の評価
ポイント | 評価 | コメント |
価格 | 非常に安い | |
サイズ | 十分に小さい | |
重量 | 十分に軽い | |
操作性 | 最小限だが良好 | |
AF性能 | 十分に高速で静か | |
解像性能 | 絞れば良好(像面湾曲あり) | |
ボケ | 玉ボケ以外は良好 | |
色収差 | とても良好な補正状態 | |
歪曲収差 | フレーム端で歪みが強い | |
コマ収差・非点収差 | 絞り開放付近で目立つ | |
周辺減光 | かなり目立つので補正必須 | |
逆光耐性 | 低価格レンズとしては良好 | |
満足度 | 廉価20mmとして検討すべき選択肢 |
評価:
手頃な20mmとして検討すべき選択肢
小型軽量で手頃な価格の20mm F2.8ですが、レンズの作り・操作性・光学性能はバランスよくまとまっています。欠点が無いわけではないものの、致命的な問題を感じるシーンは多くないはず。欠点を考慮するとF2.8を使った夜景や天体撮影には不向きですが、それ以外の用途ではコストパフォーマンスの高い20mm F2.8 AFレンズと感じることでしょう。
Index
まえがき
2023年に発売したフルサイズミラーレス用の超広角レンズ。ソニーEマウント・ニコンZマウントに対応しています。「20mm」の超広角をカバーしつつも全長60mm未満・重量152gと小型軽量なレンズサイズを実現しています。
- 正式発表:2023年10月30日
- 国内販売開始:2023年11月3日
- 初値:158ドル
- フォーマット:フルサイズ
- マウント:E / Z / X
- 焦点距離:20mm
- 絞り値:F2.8-F16
- 絞り羽根:7枚
- レンズ構成:8群10枚
- 最短撮影距離:0.19m
- 最大撮影倍率:0.17倍
- フィルター径:52mm
- サイズ:64.9×59.6mm
- 重量:152g
- 防塵防滴:
- AF:STM
- 手ぶれ補正:-
- その他機能:
・USBポート
他のVILTROXと同じく、AFを始めとした電子接点による通信機能はリバースエンジニアリングと思われます。互換性は完璧と言えないかもしれませんが、USB-Cポートでファームウェアアップデートに対応しています。
価格のチェック
国内でも代理店のPERGEARなどで取り扱いが始まっています。販売価格は2万円前半と非常に手ごろ。ニコンZマウントには高価な「Z 20mm F1.8」しかなく、ソニーEマウントではサムヤンやタムロンなどの競合製品が存在するものの、VILTROXほど安くはありません。手ごろな価格で20mmの超広角を体験してみたい人にとっては面白い選択肢と言えるでしょう。
レンズレビュー
外観・操作性
箱・付属品
ここ最近のVILTROXらしく、白を基調としたモダンなデザインの箱。VILTROX初期ごろのデザインと比べるとずいぶんと洗練されたように見えます。箱のカバーを外すと、被せ蓋に封印が施されています。
このシールをはがしても粘着力が残るため、ふたたび箱のカバーを取り付けると外せなくなるので注意。付属品はレンズキャップとフード、レンズポーチのみ。
外観
VILTROXとしては珍しく、外装にプラスチックパーツを使用しています。安っぽいかというとそうでもなく、初期のサムヤンレンズやYONGNUOレンズと比べると良好な質感。どちらかと言えば、国内メーカーのプラスチック外装と似ています。
意匠はシンプルで、過度な意匠は施されていません。シリアルナンバーなどは外装にシールで張り付けられています。
前玉・後玉
フルサイズに対応する20mmの超広角レンズながら、前玉が小さく、フィルター径も52mmとコンパクト。フィルターワークのためにNDやC-PLを揃える際に経済的と言えるかもしれません。注意点として、前面に白文字でレンズ名などがプリントされているため、強い光を反射してフィルター面に写りこむ可能性があります。
金属製と思われるレンズマウントは4本のビスで本体に固定されています。防塵防滴用のシーリングは見当たりません。マウント部にはファームウェアアップデート用のUSB-Cポートがあります。
フォーカスリング
プラスチック製の幅広いフォーカスリングを搭載。手ごろな価格のレンズですが、フォーカスリングは適度なトルクで滑らかに回転します。応答性も良好で、微調整でもピント位置がジャンプするような兆候は無く、滑らかなピント移動となっています。ストロークが非常に長いため、素早いフォーカス操作には不向き。
レンズフード
プラスチック製の花形レンズフードが付属。サムヤン(旧世代)やYONGNUOほど安っぽくは見えません。内面に反射防止用の植毛などはありませんが、マットブラックの塗装が施されています。逆さ付けに対応していますが、コンパクトなフードなので、そのままでも邪魔にはなりません。
ケラレ耐性
フィルター一枚なら問題ありませんが、2枚重ね付けすると僅かにケラレます。
装着例
Z 8に装着。Z 28mm F2.8やZ 40mm F2よりも少し大きめですが、驚くほどの差はありません。20mmの超広角レンズとしては小型軽量。20mmのお散歩レンズとして常用できそうです。
AF・MF
フォーカススピード
AFにはステッピングモーターを使用。Z 8との組み合わせで近距離から無限遠まで快適なAF速度で利用できます。電光石火のAFとまでは言えませんが、大部分の被写体で問題なく追従することができるはず。実写では、比較的近距離の動物でも快適に利用することができました。
ブリージング
ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指します。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となります。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離・無限遠で撮影した結果が以下の通り。
極端ではありませんが、少し目に付く画角変化があります。操作速度にもよりますが、ゆっくりとピントを移動させる場合は問題ないように見えます。
精度
Z 8との組み合わせで良好な精度・追従性能。AF-Sの再現性も良く、精度の高い動作となっています。
MF
前述したように、長いストロークで滑らかな操作が可能。無限遠や接写時の微調整に適しています。
解像力チャート
撮影環境
テスト環境
- カメラボディ:Nikon Z 8
- 交換レンズ:VILTROX AF 20mm F2.8 Z
- パール光学工業株式会社
「【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)」 - オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
- 屋内で照明環境が一定
- 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
- RAW出力
- ISO 100 固定
- Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
・シャープネス オフ
・ノイズリダクション オフ
・色収差補正オフ
・格納されたレンズプロファイル(外せない) - 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
(像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェック) - 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)
補足
今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性あり。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。
テスト結果
中央は絞り開放からまずまず良好で、F4まで絞ると優れた結果を得ることができます。周辺部や隅はF2.8の絞り開放こそソフトな画質ですが、F4~F5.6まで絞ると急速に改善します。絞っても中央と同等の結果とはなりませんが、小型軽量で手ごろな価格の超広角レンズとしてはきちんとした結果。注意点として、像面湾曲がかなり強めに発生するため、絞ってもパンフォーカスを得るのは難しい。
中央
F2.8から良好ですが、F4まで絞ると細部の解像性能が大きく向上。F4以降に大きな変化はないものの、ピークの性能がF8まで続きます。
周辺
像面湾曲を回避するためにピントを合わせた状態でもF2.8はソフトな画質。F4まで絞るとだいぶ改善しますが、ピークに近づくのはF5.6まで絞った時。しっかりと絞った状態では満足のいく結果を得ることが出来ます。
四隅
周辺と同じような傾向ですが、F4でもまだソフトな画質。F5.6でようやく実用的な画質に到達し、F8でピークに近い結果を得ることができます。20mmの超広角で、主要な被写体を隅に配置することは無いと思いますが、そのような場合はしっかりと絞ったほうが良いかもしれません。
数値確認
中央 | 周辺部 | 四隅 | |
F2.8 | 3736 | ||
F4.0 | 4662 | 2280 | |
F5.6 | 4531 | 3661 | 2069 |
F8.0 | 4658 | 3914 | 2859 |
F11 | 4343 | 3759 | 3272 |
F16 | 3824 | 3506 | 3225 |
実写確認
遠景解像力
テスト環境
- 撮影日:2024年3月13日 くもり 微風
- カメラ:Nikon Z 8
- 三脚:Leofoto LS-365C
- 雲台:SUNWAYFOTO GH-PRO II
- 露出:絞り優先AE ISO 100
- RAW:Adobe Lightroom Classic CC
・シャープネスオフ
・ノイズリダクションオフ
・レンズ補正オフ
・クロップ部を見やすいように若干(約1EV)の露出調整 - ピント位置:中央
テスト結果
中央はF2.8から優れた解像性能を発揮していますが、像高5割から外側がややソフト。後述しますが、これは像面湾曲が影響しており、周辺部にピントを合わせると改善します(中央の性能が低下しますが)。像面湾曲の影響を回避するには大きく絞る必要あり。遠景ではF8~F11まで絞るとフレーム端までシャープな結果を得ることが可能。
中央(F5.6がミスショット気味)
F2.8から良好な性能ですが、軸上色収差の影響がごく僅かに残っています。全く気にならない程度ですが、絞るとコントラストが改善する可能性あり。
周辺
前述したように、中央にピントを合わせた状態だと、周辺部は少しピントが外れた状態となります。絞り開放からソフトな状態が続き、F8で良像と呼べる状態まで改善。ベストを尽くすのであれば、F11まで絞りたいところ。
四隅
基本的に周辺部と同じく像面湾曲の影響を受けます。周辺減光も強いため、風景シーンではF8やF11まで絞って使うのがおススメ。絞って使うぶんには悪くない結果が得られています。
像面湾曲
像面湾曲とは?
中央から四隅かけて、ピントが合う撮影距離が異なることを指しています。例えば、1mの撮影距離において、中央にピントが合っていたとしてもフレームの端では1mの前後に移動している場合に像面湾曲の可能性あり。
最近のレンズで目立つ像面湾曲を残したレンズは少ないものの、近距離では収差が増大して目立つ場合があります。と言っても、近距離でフラット平面の被写体を撮影する機会は少ないと思われ、像面湾曲が残っていたとしても心配する必要はありません。
ただし、無限遠でも影響がある場合は注意が必要。風景など、パンフォーカスを狙いたい場合に、意図せずピンボケが発生してしまう可能性あり。この収差は改善する方法が無いため、F値を大きくして被写界深度を広げるしか問題の回避手段がありません。
実写で確認
以下の作例はF2.8の絞り開放を使用し、中央にピントを合わせた場合と隅にピントを合わせた場合の差を見比べています。
ご覧のように、同じF2.8の絞り開放でもピントを合わせる領域によって結果に大きな違いが発生しています。像面湾曲の影響が残っていると言うことができ、フレーム全体でパンフォーカスを得るには強めに絞る必要があります。
倍率色収差
倍率色収差とは?
主にフレームの周辺部から隅に現れる色ずれ。軸上色収差と異なり、絞りによる改善効果が小さいので、光学設計の段階で補正する必要があります。ただし、カメラ本体に内蔵された画像処理エンジンを使用して、色収差をデジタル補正することが可能。これにより、光学的な補正だけでは難しい色収差の補正が可能で、最近では色収差補正の優先度を下げ、他の収差を重点的に補正するレンズも登場しています。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向あり。
実写で確認
倍率色収差の補正がオフの状態でも絞り全域で良好な補正状態です。特に大きな問題はありません。
軸上色収差
軸上色収差とは?
軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれ。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられます。F1.4やF1.8のような大口径レンズで発生しやすく、そのような場合は絞りを閉じて改善する必要があります。現像ソフトによる補正は可能ですが、倍率色収差と比べると処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えておきたいところ。ただし、大口径レンズで軸上色収差を抑える場合は製品価格が高くなる傾向があります。軸上色収差を完璧に補正しているレンズは絞り開放からピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できます。
実写で確認
絞り開放でも残存する色収差はごく僅か。高コントラストなシーンでも問題ないので、実写で目立つシーンはほぼ無いと言えるでしょう。
歪曲収差
歪曲収差とは?
歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうこと。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすく、魚眼効果のような「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。
比較的補正が簡単な収差ですが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となります。
実写で確認
全体的に良好な補正状態ですが、フレーム端にやや目立つ糸巻き型のような歪みがあります。Adobe Camera RAWには専用のレンズプロファイルが存在するものの、補正を適用しても修正されません。リニアな変形ではないので、手動補正は難しいと思われます。必要に応じて端をトリミングしたほうが早い。
コマ収差
コマ収差・非点収差とは?
コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないこと。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要あり。
絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる場合もあります。
実写で確認
完璧な補正状態ではなく、F絞り開放付近で点像の変形がみられます。顕著な影響ではありませんが、気になる人はF4からF5.6まで絞って撮影するのがおすすめ。
球面収差
前後のボケ室に顕著な違いはありません。球面収差は良好に補正されているように見えます。軸上色収差のテスト結果からもわかるように、絞りによるピント位置の移動はありません。
前後ボケ
綺麗なボケ・騒がしいボケとは?
ボケの評価は主観的となりがちですが、個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくない(もしくは個性的な描写)と定義しています。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人もいることでしょう。参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルが以下のとおり。描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によるもの、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向があります。
実写で確認
後ボケ
少なくとも近距離における後ボケは滑らかで綺麗。残存するわずかな球面収差で滑らかなボケを実現しているように見えます。広角レンズとしては評価できる描写。
前ボケ
後ボケとは打って変わって、ボケのアウトラインが強い硬めの描写。とはいえ、20mm F2.8で前ボケが大きく写りこむシーンはほとんどありません。特に心配する必要はありません。
玉ボケ
口径食・球面収差の影響
口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまいます。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法がありません。しかし、絞るとボケが小さくなったり、絞り羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じて口径食を妥協する必要あり。
口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが可能。できれば口径食の小さいレンズが好ましいものの、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要があります。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。
球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。
実写で確認
フレーム隅の玉ボケをクロップして確認すると、玉ボケが大きく変形していることがわかります。絞ると改善しますが、F5.6-8まで絞るとボケがかなり小さくなってしまいます。玉ボケの描写は「20mm F2.8」としてはとても良好で、アウトラインが目立たず、色収差による色づきも少なめ。非球面レンズの研磨ムラと思われる、いわゆる「玉ねぎボケ」の影響はありますが、中国レンズメーカーの広角レンズとしては健闘しているのかなと。
ボケ実写
至近距離
接写時でもシャープなピント面と悪目立ちしないボケ。極上のボケとは言えませんが、20mm F2.8の後ボケとしては良好。前述したように、アウトラインの強調がなく、色収差の補正状態が良好である点が功を奏しているようです。
あえて言えば、放射方向にボケが流れているように見え、これを抑える場合はF5.6くらいまで絞る必要があります。
近距離
基本的には接写時と同じ。手頃な価格の広角レンズとしては健闘しているように見えます。とはいえ、フレーム隅に向かって流れるようなボケの描写が騒がしく見えます。気になる場合はF4~F5.6まで絞って撮影したほうがいいでしょう。
ポートレート
全高170cmの三脚を人物に見立て、絞り開放(F2.8)で距離を変えながら撮影した結果が以下の通り。
全身をフレームに入れる場合、ボケはほとんど得られません。この際のボケはコマ収差などの影響が強く、フレーム周辺部の点光源が悪目立ちする可能性あり。顔のクローズアップ以外は同じ傾向が続くので、状況に応じて少し絞ったほうがよさそう(周辺部の描写を改善するため)。
周辺減光
周辺減光とは?
フレーム周辺部で発生する不自然な光量落ち。
中央領域と比べて光量が少なく、フレーム四隅で露出不足となります。主に大口径レンズや広角レンズで強めの減光が発生。
ソフトウェアで簡単に補正できる現象ですが、露出不足を後処理の補正(増感)でカバーするため、ノイズ発生の原因となる点には注意が必要。特に夜景や星空の撮影などで高感度を使う場合はノイズが強く現れる可能性あり。
最短撮影距離
絞り開放から四隅の減光が目立ち、F4以降は絞っても大きく改善しません。小型軽量な広角レンズとしての欠点と言えるでしょう。この減光が気になる場合はカメラ、現像ソフトでの修正が必要となります。
無限遠
無限遠では周辺減光がさらに強くなり、F4まで絞っても非常に目立ちます。F5.6以降で改善しますが、それでも四隅には目立つ減光が残ります。
逆光耐性・光条
中央
絞り開放では完璧と言えないものの、フレアの影響はよく抑えられています。ただし、絞ると光条とベイヤーフィルターの反射と思われるゴーストが目立ち、フレーム全体もフレアの影響でコントラストが若干低下しています。
隅
強い光源をフレーム外周辺に配置すると、過度ではないものの部分的にフレアの影響が発生。ゴーストは発生しませんが、画質に影響を与えるであろう強度のフレアは絞っても解消しません。
光条
F8付近から光条が明瞭となり、F11~F16でシャープな描写。手頃な価格の広角レンズとしては綺麗な光条で、特に不満はありません。
まとめ
良かったところ
ココがおすすめ
- 手頃な価格
- 小型軽量
- 絞れば隅までシャープ
- 色収差の補正状態が良好
- 歪曲収差の補正状態が大部分が良好
- 球面収差の補正状態
- 滑らかな後ボケ
- 絞ると綺麗な光条
手頃な価格の小型軽量な20mm F2.8としては驚くほどよくまとまっています。全てが完璧とは言えませんが、この価格帯の20mm F2.8に求められる性能として十分。F2.8からピント位置はシャープに写り、しっかりと絞れば全域で良好な結果を得ることが可能。諸収差も大部分は良好に補正されており、致命的な問題はありません。手頃な価格ながら、滑らかな後ボケやシャープな光条も評価したいポイント。
悪かったところ
ココに注意
- フードが緩くて固定できない
- 接写時に周辺・隅の解像性能低下
- 像面湾曲の影響がある
- フレーム端で歪曲収差の影響が目に付く
- コマ収差の補正状態
- 玉ボケに口径食・非球面レンズの影響
- 周辺減光の影響が強い
- 光源の配置によってはフレアが避けられない
気を付けたいのは「像面湾曲」「コマ収差」「周辺減光」の3点。いずれも絞り開放付近で影響が目立ち、特に夜景や天体などのシーンとは相性が悪いように見えます。絞ればある程度の改善を期待できますが、絞れないシーンでは別の選択肢を検討したほうがいいでしょう。
総合評価
満足度は90点。
2万円前半で購入できる20mm広角レンズとしては十分過ぎるパフォーマンスを発揮します。F2.8を活かした遠景の撮影には不適ですが、それ以外であれば概ね期待通りの結果が得られます。リバースエンジニアリングの社外製レンズである点を考慮しても、気軽に超広角を体験してみたい人にとって面白い選択肢になると思います。
購入を悩んでいる人
悩むほど選択肢がない、というのが正直なところ。AF対応の20mmでVILTROXほど安いレンズが他にありません。
NIKKOR Z 20mm f/1.8 S
2024年4月現在、ニコンZマウントの20mmAFレンズとして唯一の競合製品。と言っても、F1.8の大口径でサイズが大きく、販売価格はVILTROXの5倍。サイズ・価格が問題ないのならNIKKOR Zを選べば良いと思いますが、20mmに10万円以上も出せないのであればVILTROXが最良の選択肢。
NIKKOR Z 17-28mm f/2.8
F1.8の大口径が必要ない場合、同じような価格帯で17-28mmのF2.8ズームレンズを購入可能。VILTROXのようにコンパクトではありませんが、焦点距離を柔軟に変更することができます。
購入早見表
作例
関連レンズ
- NIKKOR Z 20mm f/1.8 S
- FE 20mm F1.8 G
- 20mm F1.4 DG DN
- 20mm F2 DG DN
- 20mm F/2.8 Di III OSD M1:2
- FíRIN 20mm F2 FE MF
- FíRIN 20mm F2 FE AF
- AF 18mm F2.8 FE
- Batis 2.8/18
- NOKTON 21mm F1.4 Aspherical E-mount
- Color Skopar 21mm F3.5 E-mount