間もなくオリンパスの新型ミラーレス「OM-D E-M1 Mark III」が登場すると噂され、スペックの部分的な噂情報が既に出回っています。そこで今回は過去のE-M1シリーズを全て使って来た身として「Mark III」について思うところをいくつか紹介。
Index
E-M1 Mark IIIに関する現在の噂情報
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噂情報まとめ
- 未発表カメラのコードネーム「IM019」である可能性
- 5GHz WiFi
- 2月12日に正式発表される
- OM-D E-M1 Mark III:217,800円
- OM-D E-M1 Mark III 12-40mm F2.8 PRO キット:283,800円
- 236万ドット OLEDファインダー
- AI被写体認識AFは非搭載
- 新型 画像処理エンジン TruePic IX
- 2040万画素 MOSセンサー
- 手持ち50MPハイレゾショット
- 三脚ハイレゾショット(RAWで80MP)
- 5軸7.0段ボディ内手ぶれ補正
- シンクロ手ぶれ補正時は7.5段の補正効果
- 121点 像面位相差AF 75%×80%のエリアをカバー
- 18コマ秒の追従連写
- マルチセレクター搭載
- 画像処理エンジンの更新により「顔・瞳検出」の検出能力とAFアルゴリズムを改良、より小さな顔や横向きに対応
- タッチ操作で顔検出のオンオフに対応
- 星空AFモード(速度優先・精度優先)
- OM-D E-M1Xと同じ改良されたSSWF
- 40万回耐久のシャッターユニット
- 動画専用設計のISモード
- OM-Log400
- マグネシウム合金ボディ
- 防塵防滴・凍結防止設計
- 5GHz WiFi内蔵
- USB RAW現像
E-M1Xの不満点
顔・瞳検出
個人的に最も気になっているポイント。
オリンパス全般で言える事ですが、進化が目覚ましい他社と比べて取り残されている感が半端ない。検出・追従速度どちらもイマイチであり、ピントが合ったとしてもマイクロフォーサーズの被写界深度に助けられている感が強い。
像面位相差AFに対応しているカメラながら、動き回る人間相手に追従しきれないのは悲しい。せめて被写体認識AFに「人間」を追加して欲しかったところ。
パナソニックは検出能力が非常に高い。さらに「人体認識・動物認識」機能を実装しているものの、肝心のAFが「コントラスト検出方式」であり、特に近距離で動く被写体が苦手。被写界深度の深い広角レンズならまだしも、標準や望遠レンズでは辛いと感じる場合があります。
E-M1 Mark IIIは新型画像処理エンジン「TruePic IX」により検出能力が向上しているとの噂。パナソニック並の検出精度と位相差AFによる軽快な応答性が実現しているのであれば、家族写真で積極的に使いたい。
グリップが大きすぎる
ミラーレスカメラとしては非常に大きなグリップを備えています。フルサイズ・APS-Cと比べてもここまで握りやすいグリップを備えたカメラは少ない。
と言ったものの、指が短い私にとってこのグリップは少し大きすぎ。E-M1 Mark IIと比べて特にカメラ上部・前部のボタンが遠いので押しにくいのですよね。
厚手のグローブを装着して操作するには快適なボタン配置だと思いますが、素手で操作する機会の多い自分にはちょっと合わない。
L型プレートが無い(更新)
発売から1年ほど経ちますが、未だにL型プレートが登場しません。三脚に載せて使うことが多く、サイドプレートで固定したいと思う場面もあるのでL型プレートが無いのは痛い。汎用L型プレートは荷重が大きくなるとズレるので出来れば避けたい…。
E-M1 Mark IIIはパッと見でMark IIと同じような形状であり、Mark II用のL型プレートが利用可能だと嬉しい。
(追記:読者の方からRRSのLプレートが存在すると教えていただきました。情報ありがとうございます)
液晶ファインダー&大型アイカップが無い
E-M1XのファインダーはE-M1 Mark IIと同じような仕様の液晶パネルを使用しています(光学系は異なる)。決して悪くは無いものの、他社の高解像OLEDファインダーを日頃使っている身としては力不足感を感じます。(主に発色の点で)
アイカップは付属の「EP-17」のみ。Mark IIのように別売り大型アイカップは存在しません。L型プレートと同じく社外製アイカップも無し。
E-M1 Mark IIIに期待したいポイント
サブセレクター
マイクロフォーサーズでもジョイスティック型サブセレクターを搭載したカメラが増えてきました(主にパナソニックですが…)。
オリンパスはE-M1Xで初導入。初めてながら、とても使いやすいジョイスティックに仕上がっています。キヤノン・ニコン・ソニー・パナソニック・富士フイルム、各メーカーのジョイスティックを使ってきましたが、その中でも上位に食い込む操作性。
形状・位置・8方向・応答性・移動速度など、全体的に満足度が高く、個人的にE-M1 Mark IIから乗り換える要素となり得るポイント。
マイメニュー
よく使う設定項目を1つのページに集約することが出来る便利な機能。
ジョイスティックと同じく、オリンパス機としてはE-M1Xで初めて導入されました。
5ページ×7項目、計35の機能を登録可能。マイページ機能としては一般的ですが、E-M1Xではメニュー画面で「RECボタン」を操作することで簡単にマイメニューへの登録・削除を実施することが出来ます。この機能を備えたメーカーは少ないはず、ひょっとするとオリンパスのみ。
他社のマイメニューは膨大な機能群から登録したい項目をいちいち探す必要がありましたが、オリンパスでは普段つかっているメニュー項目から簡単に登録することが可能。これはE-M1X以外のオリンパスユーザーに是非とも体験して欲しい便利機能。(メニューシステムについてレビューした記事はコチラ)
まだE-M1 Mark IIIに実装されるか不明ですが…。
バッファの大容量化
連写時の連続撮影枚数に影響し、バッファが大容量であるほど撮影枚数が増えます。(バッファクリア速度も重要だと思いますが割愛)
今でも十分大容量と言えるパフォーマンスですが、プロキャプチャーなど「毎秒60コマ」の連写速度を利用すると一瞬でバッファが詰まります。
特にプロキャプチャーの「プリ連写枚数」が飛躍的に増加すると刹那のシャッターチャンスで強力なパフォーマンスを発揮するカメラとなるはず。
今のところバッファに関する噂はありませんが、出来れば増えていて欲しい部分。
5軸7.0段 ボディ内手ぶれ補正
E-M1Xと比べて小型ボディながら同程度の手ぶれ補正能力を備えていると噂されています。これは素直に凄い。E-M1Xに搭載しているセイコーエプソン製の高性能なジャイロとアルゴリズムをE-M1 Mark IIIも実装しているのでしょうか?
手持ちハイレゾショット
手ぶれ補正の効果がE-M1Xと同等、さらに手持ちハイレゾショットにも対応していると噂されています。高解像のみならず、シャドウ側のダイナミックレンジ改善(ノイズ低減)にも役立つので私は積極的に活用しています。
成功率は思っていたよりも高く、撮影スタイルによっては常用できるレベル。
E-M1 Mark IIIに搭載され、手持ちハイレゾユーザーが大きく増えると「高感度やダイナミックレンジの狭いマイクロフォーサーズ」という概念が少し変化するのでは無いかと期待しています。
とは言え、動く被写体には無力ですが…。
USB給電
OM-Dシリーズとしては初となるUSB充電に対応。さらにUSB-PD製品ならば給電にも対応。他社では特に珍しい機能でもありませんが、オリンパスは導入が遅れているのでそろそろ普及して欲しいところ。
USB充電に対応するかまだ不明ですが、E-M5 Mark IIIも対応したのでE-M1 Mark IIIにも期待しています。
AFシステム
E-M1 Mark IIがファームウェアアップデートでも対応していない「カスタムターゲットモード」の導入に期待。
今のところE-M1Xの独自機能。サイズとステップ数をどちらも垂直・水平の2系統で調整可能となっています。被写体に合わせて使いやすいフォーカスシステムに切り替えることが出来るので便利。
ニコン(1/2ステップ)やパナソニック(カスタムマルチ)で似たような機能を備えているものの、オリンパスほど自由に調整することは出来ません。
ただし、肝心の追従性や精度がイマイチ(当たる時は当たり続けるが、大外れもしばしば)なのでアルゴリズムの改善に期待。特に背景にピントが抜けないようになっていると嬉しい。
仕上がり設定の追加
オリンパスの仕上がり設定はバリエーションに富んだプロファイルとは言えず、少し地味な印象があります。もう少し大胆なプリセットが存在したり、ニコンZカメラのようにでデジタルフィルターでも細かく設定を調整できるようになると良いなと思うのです。
また、PEN-Fが無くなってしまった今、カラープロファイルやモノクロプロファイル機能をOM-Dに移植して欲しいところ。
5GHz WiFi・Bluetooth
どちらもE-M1 Mark IIには無かった通信機能なので地味に期待しているポイント。E-M1Xと同じく電源オフ状態からBluetooth接続が出来ることを期待しています。
E-M1 Mark IIIでちょっと気になるポイント
センサー据え置き
噂の段階ですが、「E-M1 Mark IIと同じセンサー」と言われています。これはつまり「2016年に登場したMark IIから画質に関して大きな変化が無い」ことを意味しています。マイクロフォーサーズとしては悪く無いセンサーですが、センサーの更新を期待していた人も多いはず。私もその一人です。
既存のE-M1 Mark IIユーザーにとって乗り換える大きな要素となるだけに、ココが変化していないのは痛い。
今ではE-M1Xに加え、より安価なE-M5 Mark IIIにも同等のセンサーを搭載しています。コストパフォーマンスを重視するのであればE-M5 Mark IIIがおススメ。
ただし、これはオリンパスに限ったことでは無く、パナソニックもGH5以降に大きな変化は見られません。技術的な問題なのか、コスト・市場の問題なのかは不明。
パナソニックはプロセッサーでセンサー性能を引き出していると感じるところがあるので、TruePic IXを搭載するE-M1 Mark IIIにも期待したいところ。
ロゴがダサい
何故ここにロゴを持ってきたのか…。
E-M1 Mark IIと同じく左肩ではダメだったのかと小一時間問い詰めたい。
パッと見がE-M1 Mark IIと同じであるため、商品イメージの混同を防ぎたかったのではと推測。それにしても、もう少しカッコいいロゴが良かった…。
236万ドット OLEDファインダー
噂では従来の「236万ドット液晶ファインダー」から、E-M5 Mark IIIと同じ「OLEDパネル」へ変更されるのだとか。光学系が一新されるのかは今のところ不明
。
OLED化は歓迎できるものの、20万円のミラーレス(2020年製)としては見劣りする仕様。せめて369万ドットにして欲しかったですねえ…。噂が間違っていると信じたい。今や12万円のLUMIX G9ですら368万ドットのOLEDパネルですぞ。
ついでに言えば背面モニタも高解像度化・高輝度対応が望ましい。直接画質には影響しないものの、背面モニタで綺麗な写真を確認しやすいとモチベーションが上がるのです。
ライブNDが無い?
ライブNDとはライブコンポジット派生の疑似NDフィルター機能です。被写体を選びますが、NDフィルター無しでスローシャッターのような効果を得ることが可能。コンポジットしたRAW出力も可能であり、シャドウ側のノイズ改善が期待できます。(ライブNDに関するレビューはコチラ)
今のところE-M1Xの独自機能となっており、E-M1 Mark IIIの噂情報でライブNDが実装されていると言った話はありません。
個人的には良く使う機能なのでE-M1 Mark IIIにも期待したいところ。
価格
噂ではボディキットが「217,800円」とのこと。E-M1 Mark IIの初値とほぼ同じですが、Mark IIの実勢価格は既に12万円台。
E-M1 Mark IIIとの価格差が大きいうえ、ここ最近は20万円台のフルサイズミラーレスが充実しています。「217,800円」は非常に悩ましい価格。
手持ちハイレゾや新型プロセッサーを搭載するとは言え、センサーを一新するなり、高解像OLEDファインダーを搭載するなり、もう少し訴求力が欲しいところ。
E-M1 Mark IIIを買うか?買わないか?
ポイント
期待する点
- 顔・瞳検出の改良
- AFアルゴリズムの改良
- サブセレクター搭載
- Mark II用アクセサリーの互換性だとより良い
- OLEDファインダー
- 新型プロセッサー
・処理速度向上
・バッファの大容量化だとより良い
・多機能化 - 手持ちハイレゾショット
- E-M1Xと同等の手振れ補正
- USB充電・給電対応だとより良い
- マイメニューだとより良い
心配な点
- 236万ドットのファインダー解像度
- モニターの解像度(今のところ解像度は不明)
- センサーがE-M1 Mark IIと同じ?
- ライブND非対応?
- スペックに見合う価格設定
買う
正直なところ、E-M1 Mark IIの実勢価格を考慮すると買い辛いと感じます。しかし、今のところは購入予定。
私は「OM-D E-M1」とPROレンズでオリンパスに魅了され、「OM-D E-M1 Mark II」「OM-D E-M1X」と乗り換えてきました。ですので、個人的にはE-M1 Mark IIIがどのような形(マイナーチェンジに近いスペックアップ)で登場したとしても乗り換えて使ってみたい。
その上で「良かった点・悪かった点」をユーザーとして色々と挙げていこうかなと思っています。
しかし…
噂の段階ですが、(価格を含めて)スペックが本当だとすると「Mark III」では無く「Mark IIs」とでもネーミングするようなモデルチェンジとなっています。特に画質で大きな進化を期待できないのは痛い。
間違いなくパワーアップしているものの、価格を考慮すると多くのE-M1 Mark IIユーザーや新規ユーザーを取り込めるカメラでは無いかなと感じます。せめてスタートから大きなキャッシュバックでもあればもう少しおススメ出来ると思うのですが…。
旧型機となる「Mark II」がとても安くなっているので、Mark IIIのスペック次第でMark IIを検討してみるのも大いにアリ。細かい点を除けば今でも良いカメラです。
これからオリンパス機を導入しようとする人にE-M1 Mark IIIをおススメできるか?
まだフルスペック情報がリークされていないので何とも言えませんが、20万円の価格設定が本当であれば同価格帯のフルサイズミラーレスも要検討。高感度耐性は遥かに良好であり、安くて良いレンズも揃ってきています(もしくはレンズアダプターでなんとでもなる)。
特にEOS R・RP、α7 II・α7 IIIなどは20万円を切り、豊富なネイティブマウント(Eマウント)や互換性の高いマウントアダプター(EF-EOS RF)で一眼レフ用レンズを使うことが出来ます。ファインダーやモニターの質も良い(悪いモデルもありますが…)
それでも…
それでも、追従18コマ秒、固定60コマ秒の超高速連写や追随を許さない手ぶれ補正、自由度の高いプリ連写モード、魅力的なPROレンズ群とシステムサイズはオリンパスの強み。
さらにE-M1Xより小型軽量で、同等かそれ以上のパフォーマンスを備えているのであれば価値のある1台。兎にも角にも新型プロセッサー次第。
20万円超は正直高いと感じるものの、プロセッサーのパフォーマンス次第で許容できない価格帯でも無いかなと思うのです。
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