DPReviewが「OM SYSTEM OM-1」のハンズオンを公開。新型イメージセンサーや改良されたAF性能、強化されたコンピューショナル撮影モードについて紹介しています。
DPReview:Hands-on with the OM SYSTEM OM-1
OM SYSTEM OM-1は、OMデジタルソリューションズ(OMDS)がオリンパスのカメラ部門を買収して最初に発売したカメラだ。(訳注:正確にはOLYMPUS E-P7が先行しています)
「OM-1」という名称は、初代フィルムカメラ「OM-1」の発売50周年を記念して命名したとのことだ。ファインダーには「OLYMPUS」の文字が刻まれている。OMDSは本機をフラッグシップ機と位置づけ、マイクロフォーサーズシステムの強みである「スピード」「手ぶれ補正」「小型化」を追求したデザインとしている。そのために、新しい積層型センサーと高速な画像処理パイプラインを採用し、撮影性能の大幅な向上、AFシステムの改善、それらを駆使したコンピュテーショナルフォトグラフィー技術への対応などを実現している。
ボディ
- マグネシウム合金製のボディを採用している。
- E-M1シリーズを進化させたようなデザインだ。
- グリップを大きくして操作性を向上させた。
- IP53(防塵・防滴・耐寒)に対応している。
- ボディ内手ブレ補正機能は7段に向上し、シンクロIS対応レンズと組み合わせることで8段分の補正効果が得られる。
- コントロールレイアウトは、オリンパスユーザーならすぐに馴染むものだ。ほとんど変更はない。
- UHS-IIカードスロットを搭載している。
- 新バッテリー「BLX-1」はCIPA規格準拠の520枚の撮影が可能だ。
- USB-C端子からの充電に加え、USB-PD電源を使用すれば、カメラを使用しながらの充電も可能だ。
ディスプレイ
- 1600×1200ピクセルの576万ドットOLEDビューファインダーを搭載している。
- 120Hzの高速リフレッシュレートと5msの遅延により、従来モデルと同等の性能でありながら、より高い輝度と解像度を実現している。
- ファインダー倍率は1.65倍で、換算倍率は0.83倍となり、市場で最も大きなファインダーの一つである。
- タッチパネルの解像度は162万ドット(E-M1 IIIは104万ドット)に向上している。
センサー
- 新開発の2000万画素 積層型Live MOSセンサーが搭載されている。
- この数字には少し偽りがあり、8000万画素のクアッドピクセルセンサーに2,000万個のマイクロレンズとそれに対応するベイヤーフィルター配列を施している。これで有効画素数は2000万画素だ。
- つまり、各画素は4つのフォトダイオードで構成され、それぞれが独立して読み出され、カメラのAFシステムの駆動に使用される。
- フォトダイオードの解像度が向上したにもかかわらず、OMDSは従来の2000万画素センサーと比較してスキャン速度が2倍に向上したと主張している。
- 読み出し速度は約8ms(または1/125秒)だ。
- 画像処理エンジンには最新「TruePic X」を採用。従来の「TruePic IX」に比べて3倍の処理速度を実現し、カメラの高速化とコンピュテーショナルフォトグラフィー機能のサポートを強化している。
- 新センサーと処理エンジンにより、OMDSはノイズ性能を2段分、ダイナミックレンジを1段分向上させることができると主張している。
- 正直なところ我々は懐疑的だが、レビューで明らかにしていきたい。
AF
- クアッドピクセル構造のサブピクセルを使ってクロスタイプの位相差AFに対応している。
- これにより、センサーカバー率100%で1,053点のオールクロスタイプのAFポイントを実現。
- 新しいAFアルゴリズムとTruePic Xプロセッサーの組み合わせにより、より速く、より正確なフォーカシングを約束している。
- 機械学習によってAFシステムが認識できるようになった被写体の範囲が広がり、自動車、オートバイ、飛行機、ヘリコプター、列車、鳥、動物(特に犬猫)などが含まれる。
- 顔と瞳を検出するAFも改良し、検出力、精度、露出を向上させたと述べている。
パフォーマンス
- ブラックアウトフリーの連続撮影(電子シャッター使用時)に対応しており、RAWの撮影を含め、AF/AE追従で最大50fpsを実現している。
- C-AFと追従AEが不要な場合は、最大120コマ/秒の高速撮影が可能だ。
- これらの撮影速度は、プロキャプチャーにも対応している。この場合、最大70コマの撮影が可能だ。
- ただし、この速度で撮影するには、オリンパス/OMDS PROシリーズにおける6本のレンズのうち、対応するものを使用する必要がある。他のレンズを使用した場合は、25fpsに制限される。
コンピューショナル撮影モード
- より高速なセンサーとプロセッサーを活用して、主にスピード面でカメラのコンピューショナルな撮影機能を向上させている。
- 例えば、12枚の画像を合成して50MPのファイルを生成する「手持ちハイレゾショット」モードの処理時間は、E-M1 IIIの16秒から7秒に短縮された。
- また、8枚の画像を合成して80MPのファイルを作成する「三脚ハイレゾショット」モードも同様に改善されていると思う。
- 複数の短時間露光を組み合わせて長時間露光をシミュレートする「ライブND」モードでは、最大6段(ND64)のNDフィルターを使用できるようになった。
- 複数の長時間露光におけるショットごとの変化を組み合わせて、ライトペインティングのような合成画像を作成する「ライブコンポジット」モードは、カメラの手ぶれ補正システムの使用に対応した。
- 深度合成の画質向上とともに2倍の速度向上、HDRモードの画質・速度向上を実現している。
- ワークフローを改善するために、コンピューショナル撮影モードをカスタムボタンに割り当て、撮影中にアクセスできるようにした。
動画
- OUHDとDCIの両方を含む最大4K/60pの映像を撮影することが可能だ。
- 1つのバッテリーで最大90分撮影することができる。
- 外部電源を接続した場合、オーバーヒートの問題に陥ることなく2時間以上の録画が可能であるとしている。
- H.264とH.265の両方のコーデックに対応している。
- H.264は8bit 限定で、カメラから出力された映像をそのまま使用する場合に適している。
- H.265は10bitで、カラーグレーディングなどの後処理を行う場合はOM-Log、HDRディスプレイやテレビで直接見る場合はHybrid Log Gammaを使用する。
- EM/OMカメラで初めてとなる、Log撮影時に最終画像のおおよそのプレビューを見ることができるビューアシスト機能が搭載されている。
- ProResまたはProRes Rawを直接記録したい場合、HDMI経由でAtomos Ninja VまたはNinja V+にRAWを出力することができる。
メニュー
- メニューシステムを一新した。従来の縦長でDOS的なメニューから、色分けされたタブと考え抜かれたグループで構成された新レイアウトだ。
- 見た目の美しさは向上したが、サブメニューのタイトルを見ながら操作する旧システムに比べ、メニュー構造を覚える必要がある。
- しかし、新メニューは非常に合理的な方法でグループ化されているため、特定の設定がどこに置かれるかを推測し、関連する機能を一か所で見つけることが可能だ。
- 新しいシステムが多くのユーザーにとってより良い操作性を提供できるかどうかはこれから評価される。しかし、この分野でのOMDSの改善努力は評価できる。
とのこと。
新型の積層型CMOSセンサーは実質的に8000万画素であり、この結果としてフルサイズの積層型CMOSセンサーよりも読み出し速度が遅い点には注意が必要かもしれません。電子シャッターで1/150秒のフラッシュ同調速度に対応するα9系、1/200秒に対応するα1、そして1/250秒に対応するZ 9と比べるとやや遅め。とは言え、Z 9でもLEDバンディングは発生し、α9の読み出し速度で一般的な静止画撮影では十分なパフォーマンスを発揮しています。もともセンサー読み出し速度で有利な4/3型CMOSセンサーだからこそ、クアッドピクセル方式で高速読み出しに対応できたと言えるかもしれません。
ボディはE-M1XやE-M1 Mark IIIで対応している「IPX1」からさらに強化されています。レンズ交換式カメラであるミラーレスで「IP53」を実現しているのは凄いですね。ただし、当然ながらレンズ側が対応している必要あり。古い12-40mm F2.8 PROはこの規格を満たしていないらしく、防塵防滴性を高めたいのであれば新型12-40mm F2.8 PRO IIに入れ替える必要がある模様。
個人的に注目しているのはハイレゾショットや深度合成の短縮化。より短い時間で撮影できるようになり、よりコマ数を稼ぐことができるようになったのは嬉しいポイント。さらにスローシャッター時の手ぶれ補正アシストや、ライブコンポジットの手ぶれ補正対応など、オリンパス(OM SYSTEM)らしい強化ポイントも存在します。
最速120コマ秒の連続撮影に対応しているものの、バッファは約90枚のRAW撮影で詰まってしまいます。AF/AE追従時の50コマ秒連写でも2秒と維持できません。個人的には高速書き込みに対応しているCFexpress Type Bカードを導入して欲しかったのですが、発熱やコストなどの問題で導入できなかったのでしょうか?(まだまだメディアの価格も高いですし…)
それでもプロキャプチャーモード時に70コマまでストックできるようになったのは大きい。例えんば50コマ秒でも1秒くらいまで遡って撮影することが可能。昆虫や鳥の飛翔シーンを撮影したい時に便利な機能となるはず。
メニューシステムは垂直構造から水平構造に一新されました。キヤノンや旧ソニーのようなメニューシステムですね。使い勝手は評価が分かれているので、今後の改良に期待したいところ。
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