DPReviewがニコンのインタビュー記事を公開。14日発表予定のZ 6II・Z 7IIについて、70-200mmF2.8 Sの遅延、2021年に向けての新レンズ、新発売のレンズに関する強みや開発秘話など。
ワクワクする時が来た
DPReview:Interview: Keiji Oishi of Nikon ? "It’s time to get excited"
- 1月以降の動向について
まだ通常の水準では無いが、パンデミック初期に予想していたよりも、状況は遥かに良くなってきている。需要の大変動を予測していたメーカーはサプライチェーンの適応に苦労しているのだろう。
幸いにも需要は力強く戻ってきている。そして近い将来、2つの新しいボディの導入(Z 6II・Z 7II)により、Zマウントシステムは6台のボディ、18本のレンズで構成される。- 最もパンデミックの影響を受けた製品
プロフォトグラファーの仕事がほぼ完全に止まったこと、経済情勢や旅行の制限により高価格帯のカメラが最も影響を受けている。
しかし、予想外にもライブストリーム機能の需要が業界全体で高まってきている。その結果、ニコンも「Nikon WebcamUtility」を公開した。
ニコンは現在、早いペースで回復している。ここ最近ではZ5、14-24mm F2.8、50mm F1.2を市場に投入し、70-200mm F2.8も発売にこぎつけた。- 70-200mm F2.8 Sがこれほど遅延した原因
ご迷惑をかけたことをお詫びする。これにはCovid-19を含む複数の要素が絡んでいる。70-200mmはトップクラスのレンズであり、それ相応の性能が要求される。パンデミックの真っ只中で、我々の課題はサプライチェーンの維持と共に、開発チームの移動が制限されている中で製品の品質を確保することだった。- 登場から2年が過ぎているZ6・Z 7後継に顧客が期待するもの
システム全体の拡張に注力してきた。Zマウントは、最大のマウント径でより多くの集光能力を発揮するなど、優れた能力を持っているため、非常に大きな可能性を秘めているフォーマットだ。
市場からは様々な要望が寄せられている。その一方、継続的なファームウェアのアップデートによる製品の改善について、ポジティブなフィードバックを受け取っている。
10月14日に新型モデルでは、ファームウェアで対処できない幾つかの点をハードウェアアップデートで解決しているのが分かる。
Zマウントシステムが進化するように作られているのは事実だが、ファームウェアのアップデートでできることは限られている。ある時点で、ハードウェアのアップグレードで最新のイノベーションを生み出す必要がある。- トップエンドモデルのミラーレス化は?
今後の商品企画について詳細はお伝え出来ない。
ニコンのようなイメージングへのこだわりを持つカメラ会社にとって、フラッグシップカメラは、最新の革新的な技術により開発されたモデルであると同時に、非常に重要なステートメントでもある。- 2020年のオリンピック中止がビジネスに影響したか?
事業に大きな影響は無いが、オリンピックの延期は大変悲しく思う。ただし、安全第一だ。
2020年初期にD6や120-300mmなど、プロの厳しいニーズを満たす設計の製品をリリースした。オリンピック再開時に利用いただければ幸いだ。- 2021年について
Zマウントシステムを強力なプラットフォームにするために、すでに多くのエネルギーと情熱を注いできた。そしてそれを継続し、NIKKOR Zレンズのラインアップの追加や、システムをより完成させるためのエキサイティングな製品を提供していきたいと考えている。
競合他社よりも後発のため、Zマウントシステムの光学性能やデザインの良さを伝えるのが難しかったことが、ビジネス的に大きな課題の一つだった。
2021年末までに24本以上のレンズを用意し、あらゆるクリエイターのニーズに応えていく予定だ。
Z 6はアマチュア動画ユーザーや映像クリエーターの間で好評を博してきたが、後継機はさらなる進化を約束している。クリエイターのための革新的な機能を備え、より多くの映像のプロがニコンを検討してくれることに期待している。- Z 6の有料アップデートはどれほど購入された?
具体的な数字は分からないが、地域によって異なる。期待を上回っており、Z 6をプロの道具として使いたいと言う人が多かった。
Z 6のProRes RAWファームウェアは関心が高く、マルチメディアクリエーター向けのカメラ開発を継続する必要があると言われている。- アマチュア向けDXフォーマットのレンズについて
常に市場のニーズを考慮し、それに応じて対応する。DXフォーマット用レンズのニーズが高まっていることは認識している。
しかし、全てのZマウントレンズはZ 50でも利用可能だ。今後登場するFX用28mmや40mmなどは、実際にDXユーザーの使用も念頭に置いて設計している。- Z 50について
これまでのところ。評判はとても良好だ。小さなフォームファクタと高度な撮影・カジュアルな撮影に対応する高機能さが評価されている。非常にコンパクトなキットレンズを楽しまれているようだ。
今後も市場を注視し、消費者ニーズに合わせたAPS-C戦略を取ってゆく。- あなたが使っているカメラは?
大石氏
メインカメラはZ 6とD850だ。個人的な見解として、D850はほぼ完璧な一眼レフカメラであり、信頼性が高いと考えている。学生時代に購入したAF85mm F1.4Dで撮影することがほとんどだ。
既にD850を持っていたので、Z 6を購入した。Z 50mm F1.8 Sとの組み合わせで動画との相性も良い。
過去にはD5500も使っていた。
鈴木氏
旅行が好きなので、コンパクトなNIKKOR 18-200mm F3.5-5.6G ED VR IIを使って楽しんでいる。同僚の山崎氏と共に開発を担当したレンズだ。さらに14-24mm F2.8 Sも購入する予定だ。
山崎氏
レンズ設計に携わってきたものとして選ぶのは難しい。敢えて言えばAF-S Zoom Nikkor 17-35mm F2.8D IF-EDかもしれない。当時としては注目に値するコンパクトさとパフォーマンスのレンズだった。個人的にはローライ35も楽しんでいる。- 新製品の最優先事項
光学的な観点から、技術的に可能な限りの限界に挑戦し、創造性を刺激する製品を作り続けることを第一に考えている。
今後の商品企画について詳細は申し上げられないが、ハードウェアの高機能化に妥協することなく、使いやすさと信頼性を向上させ、撮影の楽しさを高めていきたいと考えている。。具体的には、より強力なマルチメディア機能の追加、性能の向上、機能の拡張など、全面的な改善に注力していきたい。- 「Z 8」「Z 9」について
Zマウントシステムの伸びしろはまだまだある。プロを含めたユーザーの期待を超えるような将来の製品の検討に努めているが、特定の製品開発についてこれ以上のコメントはできない。- 来年のレンズに関する最優先事項について
大口径レンズのラインアップとして、Z 50mm F1.2 Sを発表し、Z 14-24mm F2.8 Sが加わったことで大三元が完成した。
次は、薄さを重視したレンズや、Z 24-50mm F4-6.3のようなエントリー向けのレンズ、そしてユニークなレンズなど、幅広い層に訴求できるレンズを提供していきたいと考えている。- Z 50mm F1.2 Sの強み
この種のレンズはZマウントの強みを活かしたレンズだ。超大口径・超シャープ・ゴージャズで滑らかなボケと驚くべきシャープネスを完璧なバランスで備えている。
レンズを通る光の歪みを最小限に抑える対称的なレンズ構造だ。これにより、最もピュアでクリーンな画像が得られる。
大口径マウントの最大の効果は、フォーカスユニットを後方に配置し、AF性能を確保したことだ。大口径レンズとしては異例のマルチフォーカス駆動を採用しているので優れたAFスピードを実現している。- Fマウントの50mm大口径レンズとの違い
このレンズ設計はFマウントでは不可能だ。大きなZマウントが革新的な光学設計を可能としている。
そして、従来のFマウントでは手ぶれ補正を適用させるために補正レンズを導入する必要があったが、ボディ内手ぶれ補正を搭載し、フランジバックが短いことからレンズ内のスペースを確保しやすくなった。これにより50mm F1.2 Sはマルチフォーカスが可能となり、近接の優れた光学性能やAF性能を実現している。- 高性能Zマウントレンズのコストや重量について
レンズ設計の課題だ。妥協のない究極の画質を求めるユーザーもいれば、携帯性を求めるユーザーもいる。必要に応じて対応できるのがZマウントの強みだ。
バランスを決める最大の要素はお客様の声である。- Zマウントについて
レンズ設計者にとってエキサイティングな時代だ。マウント径が大きくなったことで、よりクリエイティブな設計が可能となり、より明るいレンズの設計が可能だ。
ボディ内手ぶれ補正の搭載により、広角レンズの制約が少なくなり、より高性能なAFが可能となっている。
動画への配慮もZマウントシステムの重要なミッションだ。STM駆動によりフォーカス音を抑え、そして最小限のフォーカスブリージングを実現している。- AF-S・Z 14-24mm F2.8の違い
今回の14-24mm F2.8は高性能と携帯性の両立を第一に考えた。よりシャープに、より軽く、より高速AFを実現することを念頭に置いた。
点像再現性や逆光耐性が大幅に向上しており、長年の要望であった円形フィルターにも対応した。- 後玉が大きいレンズのメリット
光を無理に曲げてセンサーに乗せる必要が無くなった。小型マウントで光を無理に曲げると画質が低下することがある。
ショートフランジバックは「レンズの小型化や性能向上に寄与している。- 14-24mm F2.8のデジタル歪曲収差補正は?
ほぼ全てのレンズに独自のアルゴリズムを実装している。技術の進化に伴い、光学的、技術的、計算的なイノベーションを駆使して最高の画質を実現している。
とのこと。
約2年間のクールタイムを経て、初代Z 6・Z 7にどのような改良が加わるのか気になる所ですね。Z 7ユーザーとしてはカメラのボタンレイアウトやAFシステムに改良が加わっていると良いなと思っています。
ここ最近は高価なレンズのリリースが続き、少し手を付けづらい状況となっていましたが、次回はコンパクトレンズ・エントリー向けレンズとなりそうですね。個人的に28mmや40mmは多用する焦点距離なので大いに期待。コンパクトながらレンズ口径は「F2」程度を確保して欲しいところ。「28mm F2」「40mm F2」とかならば合わせてお買い上げですよ!
ニコンは2021年末までに「24本以上のレンズラインアップ」と述べており、以前に公開されたシルエットのみのレンズも全て登場しそうな勢いですね。
このラインアップに無い「24-50mm F4-6.3」を含め、残すところは以下の通り
- 28mm
- 40mm
- Micro 60mm
- Micro 105mm S
- 24-105mm S
- 100-400mm S
- 200-600mm
- DX 18-200mm
これらが、2020年?2021年末にかけて登場が期待できそう。そして、まずは28mm・40mm、「個性的」と言うところで言えばMicro 60mmや200-600mmあたりでしょうか?今後の動向に注目したいところ。
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