2022年9月22日付けでオリンパスの気になる特許出願が公開。OMDSへの移譲が完了した後に出願された、被写体検出AFに関連する技術のようですね。
概要
- 【公開番号】P2022137760
- 【公開日】2022-09-22
- 【発明の名称】焦点調節装置および焦点調節方法
- 【出願日】2021-03-09
- 【出願人】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社- 【課題】主対象物の前を横切るような細い対象物(遮蔽物)を排除して主対象物に合焦させることができるようにした焦点調節装置および焦点調節方法を提供する。
- 【0001】
本発明は、物体を追尾し、この追尾物体にピントを合わせる焦点調節装置および焦点調節方法において、主となる物体を検出すると共に不要な物体を焦点調節対象から排除して、主となる物体に対してピントを合わせるようにした焦点調節装置および焦点調節方法に関する。- 【背景技術】
【0002】
従来より、焦点検出機能を備える装置においては、連続して撮像される画像の中から焦点調節の対象を選択し、連続するコマ間でその対象を追尾し続ける機能を有するものがある。このような装置においては、追尾対象物に対して、適切な焦点調節を行うことが可能となっている。- 【0003】
追尾機能を有する焦点検出装置において、ユーザが多数の被写体を追尾したい場合には、追尾のための演算が膨大になってしまい時間がかかってしまう。そこで、追尾対象を主被写体とこの主被写体の手前にある被写体(遮蔽被写体)のみとし、主被写体が存在する測距点を合焦時に選択するようにした焦点検出装置が提案されている(特許文献1参照)。すなわち、この焦点検出装置では、主被写体と遮蔽被写体の両方を追尾し、主被写体上であり、遮蔽被写体上ではない測距点において焦点検出を行うようにしている。- 【0005】
上述の特許文献1に開示の焦点検出装置においては、比較的面積の大きい遮蔽物の場合には、焦点検出を有効に行うことができる。しかし、例えば、鳥の顔と重なるように顔から極近い距離にある細い横切り被写体(枝)を、鳥の顔から分離して追尾することは困難である。すなわち、上述の焦点検出装置では、追尾の主対象物の前を横切るような面積の小さい対象物(遮蔽物)を排除して主対象物に合焦させることは困難である。- 【0006】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、主対象物の前を横切るような細い対象物(遮蔽物)を排除して主対象物に合焦させることができるようにした焦点調節装置および焦点調節方法を提供することを目的とする。
オリンパスは映像事業は2021年1月1日にOMデジタルソリューションズとなっていますが、その後の3月にデジタルカメラのオートフォーカスに関連すると思われる特許を出願していた模様。医療分野でも像面位相差AFを使った特許をいくつか出願しているのですが、中身を見た限りではデジタルカメラ関連かなと。被写体検出した鳥をフォーカスしつつ、小枝など遮蔽物が被写体を遮ったとしても鳥をフォーカスし続けるようにするための技術のようです。
映像事業は既に移譲しているものの、既に開発中だった製品はオリンパスが何等かの形で関わりがあったのかもしれません。例えば、2022年に登場したOMデジタルの最新モデル「OM SYSTEM OM-1」の意匠はオリンパス名義で登録されています(E-P7も同様)。実際に特許中の技術が商品に導入されているのかどうかは不明。
最新モデルである「OM SYSTEM OM-1」を使った限りでは、まだまだ改善が必要なポイントであると感じています。被写体検出が動作していたとしても、前景に引っ張られやすい傾向があり、いくつかのファームウェアアップデート後でもこの傾向は続いているように感じています。被写体に遮蔽物が少しでもあると厳しい印象。逆に、前景重視のAFは手前に向かって飛翔してくる鳥を驚くほどのレスポンスで捕捉し続けることが可能ですが、個人的には一般的なシーンでもう少し粘りを見せる追従AFを見てみたいなと。
被写体検出AFを実装するメーカーが増えてきており、既に10万円ちょっとで購入できるカメラへの実装も始まっています(EOS R7やEOS R10)。大手メーカー相手に開発競争は難しいかもしれませんが、高性能AFの敷居は確実に下がってきているので、OMデジタルが生き残るためには賢い被写体検出AFの実装が必須なのかなと感じています。現状でOMデジタル内で開発が続いているのかは不明ですが(特許出願がほとんどない)、そろそろOM-1のファームウェアアップデートなり、新製品で改善したAFを見てみたいところ。
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