Lenstipがシグマ「20mm F1.4 DG DN」のレビューを公開。F1.4の大口径20mmながら、ソニーの20mmよりも均質性が高いレンズに仕上がっていると評価しています。
Lenstip:Sigma A 20 mm f/1.4 DG DN
(基本的なスペックなどの紹介は割愛しています)
外観・構造:
- レンズ構成には17枚ものレンズ使用した非常に複雑な光学設計のレンズだ。
- 後玉はマウントから1cmほど奥に入ったところで固定されている。
- レンズマウントには29×23mmのフィルターホルダーを搭載している。
- 製造国は日本である。
- レンズは防塵防滴仕様に加えて、前面に防汚コーティングが施されている。
- レンズフードやストラップ付のケースが付属する。
携帯性:
- 記載なし。
操作性:
- 12mm幅の絞りリングはF1.4からF16まで1/3段刻みで回転する。クリックを解除することもでき、非常に快適だ。ケチのつけようがない。
- AFLボタンやAF/MFスイッチの他にフォーカスロックスイッチや絞りリングロックスイッチなどがある。
- 38mm幅のフォーカスリングは非常に滑らかに回転する。回転動作は適切なトルクで、ピント移動は回転速度に依存する。ゆっくり回すと300度を超え、素早く回しても180度だ。どちらも正確に操作が可能である。
フォーカス:
- α7R IIとの組み合わせでノイズレスで動作する。
- ピント全域を0.5-0.6秒で移動する良好な結果だ。
- 精度に関しても問題は見られなかった。
手ぶれ補正:
- 記載なし。
解像性能:
- α7R III・R IIのRAWに基づいて測定している。
- 良像の基準値は39-41lpmmだ。
- 最高のレンズで75-80lpmmに達する。
- 中央は絞り開放から良好な画質で、絞ると急速に改善する。F4でほぼ80lpmmに達する驚異的な水準だ。
- 中央のみで言えば、一眼レフ用レンズ「20mm F1.4 DG HSM」の絞り開放のほうが良好である。
- フレーム端は一眼レフ用レンズやソニー「FE 20mm F1.8 G」よりも優れた結果となる。
- シグマの光学設計者は中央のみならず、フレーム全体でバランスの取れたパフォーマンスを意識しているようだ。このレンズには弱点が無く、F1.4のフレーム端でさえ実用的な画質である。
像面湾曲:
- 記載なし。
ボケ:
- 広角レンズとしては悪くない描写だ。
- 玉ボケの内側は非常に均質的だ。
- よく見ると玉ねぎボケの兆候が見られるものの、それ以上に口径食のほうが厄介である。
色収差:
- 軸上色収差は一眼レフ用と比べて少し悪化しているように見えるので驚いた。
- 倍率色収差には何の問題も見られない。
球面収差:
- F1.4からF2に絞った際にフォーカスシフトの痕跡が見られる。
- 前後の玉ボケを見比べると僅かな描写の違いも見られる。
- 絞り開放のパフォーマンスがライバルと比べて少し遅れているのは、おそらく球面収差が影響している。
歪曲収差:
- 実写で測定した画角は95.33度だ。公称値の94.5度よりも少し大きな数値だが、差が小さく肯定的に受け取ることが出来る。
- フルサイズでは-2.83%の樽型歪曲となる。これはソニーのライバルや一眼レフ用のシグマレンズよりも良好な結果だ。
周辺減光:
- F1.4での光量落ちは-3.68EVだ。一眼レフ用が-3.02EVだったことを考えると驚くほどの光量落ちではない。F2まで絞ると-2.38EVとなり問題なく感じる。
コマ収差:
- シグマが言及しているようにコマ収差は適切に補正されている。
- 非点収差の平均値はわずか6.5%だ。より口径が小さなソニーと同等の結果である。
逆光耐性:
- 一眼レフ用は逆光耐性に問題がかなりあったが、このレンズは大幅に改善している。フレアが少なく、発生したとしても強度が低い。全体的にとても素晴らしく、称賛に値する。
- 正直言うと、フレーム外の光源でフレアが発生する点には改善の余地を残している。とは言え、複雑な光学設計を考慮すると、逆光耐性を実現するのはかなり難しかったのだと思う。
総評
直接的なライバルがいないため、評価が非常に難しい。この焦点距離の場合、ニコンとソニーは口径が小さいレンズしかリリースしていない。唯一のライバルは、一眼レフ用のシグマレンズのみだ。このミラーレス用レンズは、より小さく、より軽く、一般的な82mmフィルターを使用できるレンズとなっている。さらに誤操作によるピント変更を防ぐMFL(マニュアルフォーカスロック)スイッチや、夜間撮影時に結露を防ぐヒーターを取り付けられるパーツなどを備えている。
解像度に関しては、先代やライバルよりも均質的な性能だ。中央での解像性能はレコードとならないものの、フレーム全体に均等な結果が得られている。F1.4からフレーム全体で良像が得られるのは大きな改善点である。
リストには掲載していない小さな欠点である歪曲収差や球面収差がもう少し良かったら、私は大いに満足していただろう。
いくつか問題点はあるものの、非常によくできたレンズであることは間違いなく、前モデルから本当に進歩していることは間違いない。進化しつつも、より小さく、より軽く、より機能的なレンズだ。
- 長所:
・頑丈でよく考えられた鏡筒
・防塵防滴
・中央の非常に良好な画質
・フレーム端のきちんとした画質
・倍率色収差の補正状態
・コマ収差の補正状態
・非点収差が少ない
・APS-Cにおける周辺減光
・AF性能
・20mm F1.4
・前後にフィルター装着可能- 短所:
・強い周辺減光
・少し目立つ軸上色収差
とのこと。
天体撮影など、20mm F1.4を活かせる低照度撮影をかなり意識したレンズですね。MTFからも分かるように、従来品と比べると周辺部まで良好なパフォーマンスを維持しており、実際にLenstipのテスト結果で諸収差が良好に補正されていることが確認できた模様。F1.4の大口径を気軽に利用できるのは便利ですね。さらに、フィルターホルダーなどを利用せずとも82mm径のねじ込み式フィルターが使えるのもGood。サードパーティ製の単焦点レンズとしては少し高めですが、他に20mm F1.4の選択肢がないことを考えると面白いレンズとなりそうです。参考までに以下にユーザー投稿やレビューサイトのサンプル写真リンクを掲載しておきます。
20mm F1.4 DG DN Sony E | |||
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20mm F1.4 DG DN Leica L | |||
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レンズの仕様
レンズの仕様 | |||
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発売日 | 2022年8月26日 | 初値 | 152,900円 |
マウント | E/L | 最短撮影距離 | 0.23m |
フォーマット | 35mm | 最大撮影倍率 | 1:6.1 |
焦点距離 | 20mm | フィルター径 | 82mm |
レンズ構成 | 15群17枚 | 手ぶれ補正 | - |
開放絞り | F1.4 | テレコン | - |
最小絞り | F16 | コーティング | SMC |
絞り羽根 | 11枚 | ||
サイズ・重量など | |||
サイズ | φ87.8 x 111.2mm | 防塵防滴 | 対応 |
重量 | 635g | AF | STM |
その他 | 絞りリング・MFL・AFL | ||
付属品 | |||
LCF-82 III・LH878-04 |
関連レンズ
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