Lenstipがシグマのフルサイズミラーレス用交換レンズ「35mm F1.2 DG DN | Art」のレビューを掲載しています。
- 直径30mmの後玉は金属製レンズマウントから1cmほど奥へ埋まっている。周囲は黒く塗りつぶされた綺麗な仕上がりだ。
- 製造国は日本だ。
- 19mmの絞りリングはF1.2~F16とAポジションが印字されている。1/3段ごとに動作し、デクリック機構も備えている。とても快適でひなの余地はない操作性だ。
- 55mm幅のフォーカスリングはとても滑らかで適切な抵抗量で動作する。ピント距離全域の回転量は580度と非常に大きい。正確な微調整に適しているが、素早い操作には向いていない。
- 解像度:
・α7R IIのRAWから計測している。
・良像の基準値は39?41lpmmだ。
・最良の単焦点レンズで70lpmmを超える数値である。
・今のところFiRiN 20mm F2 MFが72.6lpmm、コシナ 65mm F2が78.5lpmmがレコードホルダーだ。
・中央解像はセンセーショナルな結果となった。絞り開放から既に50lpmmを超え、絞ると急速に改善し、F2.8でピークの72.9lpmmに達する。サムヤン35mm F1.4のパフォーマンスより顕著に良好な結果だ。
・F1.2の中央解像はF16よりも優れている、恐るべきレンズだ。
・APS-C領域でも絞り開放から実用的な画質であり、絞ると65lpmm近くとなる。フルサイズ四隅でも60lpmmに近い。この結果は中央解像のレコードホルダーであるAPO65mm F2やAF85mm F1.4 FE以上である。- 軸上色収差の補正は完璧では無く、絞っても色ずれは目に付くが大きな問題ではない。
- 倍率色収差はフルサイズ隅で0.03%と非難の余地がない。低収差だがAPS-Cの端付近の絞り開放で最も目に付く。
- 球面収差の補正は完璧では無く、前後の玉ボケ描写に違いが見られる。
- 歪曲収差はこのレンズにおける欠点だ。APS-C領域で-1.11%となり、フルサイズでは-2.53%の樽型歪曲が見られる。最近の競合他社と見比べると、シグマの収差は本当に大きい。APS-C領域の歪曲がシグマ35mm F1.4 DG HSM Artのフルサイズ領域の歪曲収差よりも大きいと言えば分かりやすいだろうか。物理的に大きなレンズだが、歪曲収差の光学補正は諦めているようだ。
- コマ収差の補正は完璧とはいかないものの、影響は僅かである。F1.2の大口径レンズでこのような補正は難しかったことだろう。文句を言うべき筋合いはない。
- 非点収差の平均値は7.5%だ。主にF1.2~F1.4で目に付き、F2まで絞ると解消する。
- ボケは僅かな玉ねぎボケと目立つ口径食の影響が見られる。
- 周辺減光はフルサイズ領域でとても目立ち、F1.2で-3.76EV、F1.4で-3.15EVと非常に目立つ。
- 逆光耐性は歪曲・周辺減光に次ぐ弱点だ。太陽がフレーム内にあり、絞り開放付近では問題無い。しかし、フレーム外に光源があるとレンズフレアが発生する。
- オートフォーカスはノイズレスだが特に高速と言う訳では無い。ピント距離全域を移動するのにおよそ1秒ほどかかる。精度の問題は無く、明らかなミスショットは極僅かだ。
長所:センセーショナルな中央画質・非常に良好なAPS-C領域の画質・良好なフルサイズ四隅の画質・僅かな軸上色収差・無視できる倍率色収差・きちんとしたコマ収差補正・非点収差が小さい・穏やかなAPS-C領域の周辺減光・静かで正確なAF
短所:競合レンズより大きな樽型歪曲・逆光耐性が少し弱すぎる・巨大な周辺減光
シグマは非常に競争力のある方法でフルサイズミラーレスのレンズ市場に参入した。個性的なスペックのみならず、フレーム全域の画質も考慮したレンズ設計だ。ミラーレスですら大口径レンズのフレーム端における画質を向上させるのは難しかったが、シグマはこれをやってのけた。
しかし、レンズサイズと重量にも関わらず、大きな歪曲収差と周辺減光が光学性能とトレードオフになっているようだ。フレーム全体で高い解像度を実現するには避けて通れなかったのだろう。そうは言っても、逆光耐性はもう少し改善が出来たのではないか?
ここ最近の完全無欠なシグマレンズと比べると、いくらか目に付くポイントはある。しかし、少なくとも35mm F1.2 DG DNに競合するレンズが登場するまでは批判することは出来ない。
とのこと。
Lensrentalsでも絞り開放のMTFがとても高く評価されていましたが、Lenstipでも同様の結果となったようです。中央解像はともかく、広角レンズとしては類まれなる解像性能を持ち合わせている模様。コマ収差の影響も少ないらしいので明るさと高解像を活かした天体撮影や夜景に強いレンズと言えるかもしれませんね。
歪曲収差と周辺減光はボディ側の補正で問題無いと思うので、減光補正時のノイズ増加だけ気を付けておきたいところ。逆光耐性も指摘していますが、実写作例を見る限りでは問題となるシーンは限られてくるのかなと思います。
既にFlickr Groupでこのレンズを使った作品のユーザー投稿が始まっています。併せて確認しておくと良いでしょう。
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