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EOS R3はダイナミックレンジが狭いものの、AFはケチのつけようがない

Lesnumeriquesがキヤノン「EOS R3」のレビューを公開。ダイナミックレンジが狭いと指摘しつつ、オートフォーカスはケチのつけようがなく、堅牢で豊富な機能を備えたボディデザインを評価しています。

Lesnumeriques:Test Canon EOS R3 : un quasi sans-faute pour l'hybride haut de gamme

ビルド・外観・応答性

  • 1DX3と同水準の防塵防滴だが、ビルドクオリティは僅かに劣っている。
  • 起動に少し時間がかかる。1.51秒と少し残念だ。

携帯性

  • 1DX3よりもコンパクトだ。全幅・全高が小さくなり、重量は20%も減っている。
  • ミラーレスカメラとしては大きく、1kgの重いボディだ。

グリップ

  • 縦位置グリップ一体型デザインだ。グリップは人差し指の部分が窪み、良好なグリップを得られる。ただし、角ばった側面は快適さに欠け、サムレストが小さすぎる。
  • グリップの表面はとても独創的なデザインだ。
  • 赤外線スマートコントローラーは初期設定で無効となっており、AF-ONボタンとしてのみ機能する。これをオンにすると手袋着用時でも効果的なAF操作が可能だ。しかし、誤操作することも多く、最終的にオフに戻した。

操作性

  • 詳しく解説はしないが、プロフェッショナル向けのあらゆる設定が詰め込まれている。ただし、導入は複雑なので、最初は慣れが必要だ。
  • 全ての主要機能は直接アクセス可能である。
  • 多くのボタンはカスタマイズ可能だが、露出補正ボタンは変更できない。

手ぶれ補正

  • 記載なし。

ファインダー

  • 576万ドット 0.76倍のOLED電子ファインダーを搭載している。
  • リフレッシュレートは120fpsまで利用可能だ。
  • ソニーはより高解像で240fpsを利用可能だ。
  • ハイダイナミックレンジモードを実装しており、より人の目に近いファインダー像が得られるようだ。ただし、実際に記録される画像とは少し異なる。
    実際に使ってみたが、あまり大きな違いは感じられなかった。個人的には撮影結果が分かるライブビュー像のほうが好みだ。

モニター

  • 縦位置グリップ一体型ボディとしては珍しくバリアングルモニタを搭載している。動画撮影などで効果的だ。
  • 解像度は420万ドットと高解像だ。

メニューシステム

  • 記載なし。

オートフォーカス

  • 被写体の検出能力が高く、ミスショットは非常に少ない。
  • 30コマ秒でも効果的にピントを合わせることが可能だ。
  • AFにケチをつけるのは難しい。

連写性能

  • 珍しく電子シャッターモードで1/64000秒のシャッタースピードに対応している。

高感度ISOノイズ

  • ノイズ耐性はとても良好だが、ノイズリダクションの効果が強すぎる。
  • ISO800まで優れた性能を発揮し、ISO3200でノイズが強くなる。RAW使用時はISO6400まで良好だ。
  • ISO12800でノイズにより画質が著しく低下する。用途にもよるが、実用に耐えうるのはISO25600~51200までだろう。

ダイナミックレンジ

  • EOS R3で残念なポイントだ。
  • 静止画で利用できるダイナミックレンジは限られている。
  • シャドウは-3EVの回復でノイズが発生し、-4EVで重度のノイズが発生する。とりわけ色の濃い部分に見苦しいバンディングノイズが見られる。
  • 特に問題となるのはハイライトだ。2EVまではディテールの再現が可能だが、+1.3EVから明らかに白飛びが見られる。

仕上がり機能

  • 記載なし。

動画

  • いつものように、キヤノンの動画モードが惜しみなく提供されている。必ずしもカメラ本来の目的ではないにしても、このカテゴリーに非常によく適合している。
  • DCIフォーマットはノンクロップで、UHDフォーマットでは僅かなクロップで撮影可能だ。
  • 画質は良好だが、少しでもシャープで美しい画像を得るためには、ポストプロダクションを行うか、仕上がりを煮詰める必要がある。
  • 4K 120fpsははまだ珍しい機能だ。
  • 何よりもEOS R3を強くしているのは、高度なオプションである。30分以上の録画が可能なことや、内部記録で4:2:2 10bitのサンプリングが可能である。HDR PQモード、ポストプロダクション用のCanon Log 3プロファイルも搭載している。
  • 6K RAWもあるが、ビットレートは2600Mb/sに達するので注意が必要だ。最速のCFexpressカードでないと追いつかない(約4秒で1.5GB)。
  • ローリングシャッターはとても良好だ。4K30pで良好なパフォーマンスを確認している。60fpsに切り替えると、かなり抑え込んでいるが、FullHDのように完全に抑えることは出来ない。

インターフェース

  • SDカードスロットとCFexpressカードスロットを搭載している。
  • シンクロソケットやマイク、ヘッドホン、HDMIにも対応している。HDMIポートはmicroではなくフルサイズが良かった。
  • USB-C経由による給電が可能だ。ただし、互換性バッテリーでは充電が出来ない。
  • Wi-FiやBluetoothに加えてGPSも搭載している。
  • ホットシューも進化しているが、従来との互換性は維持されている。

総評

センサーのダイナミックレンジがやや狭いのは欠点だが、それ以外はエキスパート向け、プロ向けモデルらしいものだ。キヤノンの卓越したテクノロジーを象徴するカメラに仕上がっている。

  • 長所
    ・エルゴノミクスとカスタマイズ
    ・防塵防滴
    ・レスポンス
    ・ISO感度
    ・AF性能
    ・手ぶれ補正
    ・30コマ秒連写
    ・1/64000秒のシャッタースピード
    ・ローリングシャッターの幕速
    ・6K RAWと4K 120p動画
    ・高品質なEVFとLCD
    ・バリアングルモニタ
    ・SD&CFexpress
    ・給電撮影
  • 短所
    ・小型たとは言え大きなボディ
    ・グリップの握り心地
    ・複雑な操作性
    ・AFモードの管理が面倒
    ・ダイナミックレンジが狭い
    ・競合機種と比べて解像度が低い
    ・起動時間が遅い
    ・USB充電不可(バッテリーによる)

とのこと。
ダイナミックレンジが狭いのは気になるポイントですが、この辺りはISO感度ノイズを含めて他のレビューサイトのテスト結果も確認しておきたいところ。DPReviewやDXOMARK、Photons to Photosなど、独自のテストでどのような結果となるのか注目ですねえ。積層型CMOSセンサーは、既にソニーやニコンも導入していますが、デュアルピクセル方式はキヤノンのみ。これでどのようなメリット・デメリットがあるのか。
また、起動時間が遅いと指摘されていますが、これは電源オフ時のシャッター閉幕機能が関係しているかもしれませんね。この辺りはもう少し検証が必要に見えます。(更新:別記事で検証されていました。保護機能をオフにしても0.1秒ほどしか向上しない模様。)

高感度ISOは好みもありますが、RAWでISO51200までは使えそうな画質に見えます。ISO102400以降はノイズが急激に増える模様。α9 IIとの比較もありますが、作例はJPEGを使用しており、ノイズリダクションが強すぎて参考にし辛いかも。Lesnumeriquesが高く評価しているフォーカス性能は別の記事でじっくり検証されているので、後日チェック予定。

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