Dustin Abbottがソニー「FE 90mm F2.8 Macro G OSS」のレビューを掲載。高価なマクロレンズですが、良好な光学性能と評価。レビュワーはEF100mm F2.8L IS USMから乗り換え検討中とのこと
高いがその価値はある
Dustin Abbott:Sony FE 90mm F2.8 Macro G OSS Review
- FE90mm F2.8 Macroはソニーレンズ設計の過渡期に登場した一つだ。レンズ側面にフォーカスホールドボタンのようにいくつか新機能を搭載している。しかし、最近のGM・Gレンズのように絞りリングは搭載していない。
- 最もユニークなデザインはスライド式フォーカスリングだ。トキナー製レンズのように、クラッチ機構でAF/MFの切替操作に対応している。最初は時代遅れと感じたデザインだったが、実際に使ってみるとミラーレス最大の問題を効果的に解決したことに気づかされた。
通常、ミラーレス用レンズはフォーカスバイワイヤ方式でハードストップや再現性が欠け、操作のタイムラグも感じる。しかしこのレンズは、メカ式フォーカスリングのような感触を得ることができ、滑らかで完璧な抵抗量を備えている。ピント距離表示が示され、最短撮影距離と無限遠のハードストップも存在する。
フォーカスリングの回転角は約165度と大きく、大部分の回転角は最短撮影距離から1mまでに使われている。マクロ撮影時の浅い被写界深度を正確に操作可能だ。フォーカスリング操作時の自動アシストも利用可能である。- 側面には手ぶれ補正と3ポジションのフォーカスリミッタースイッチを搭載している。
- インナーフォーカス方式のため、レンズ全長に変化はない。
- フィルター径は62mmと珍しいサイズを使用する。
- 三脚座は非対応だが、同様の100mm F2.8 Macroで問題と感じたことは無い。
- レンズフードはプラスチック製だ。
- フォーカス駆動にはDDSSMを使用している。ピント距離の長いマクロレンズはフォーカス速度が低下するものの、このレンズのフォーカスはとてもきびきびとしている。適切にフォーカスリミッターを使うことでさらに改善が可能だ。フォーカス駆動音はとても静かだ。動画撮影中に内蔵マイクで音を拾うことはほとんどない。
- ポートレートでの撮影でも完璧にピントが合っている。
- このレンズの画質は完璧とは言えないが、欠点はとても少ない。
- レンズプロファイルがRAWに埋め込まれている。プロファイルを外すと、適量の周辺減光と穏やかな樽型歪曲を確認することが可能だ。
- 軸上色収差による前後の色づきはほとんど見られない。とても良好に補正している。このため、コントラストも優れた水準だ。
- キヤノン100mm F2.8L Macro ISはもう少し色収差が出やすく、コントラストがいくらか低下している。チャートテストでは倍率色収差の痕跡がいくらか見つかる。FE90GMacroはハイコントラストな状況でも色収差の補正は良好だ。
- 4200万画素のα7R IIIと組み合わせてもフレーム全域で高水準の解像度とコントラストだ。F4まで絞ると解像度とコントラストが向上し、中間フレームでも優れた画質となる。
- 絞り開放でも絞り羽根は少し閉じた状態となる。実際、無限遠に近いピント以外では絞り羽根が少し閉じてしまうのが分かる。これはマクロ撮影時にセンサーへ到達する光が少なくなり、効果的な絞りの変更が実施されるためだ。(F2.8レンズだが、最短撮影距離ではF5.6のように動作するのだろう)この影響は最短撮影距離に近づくほど強くなる。皮肉にも、F4まで絞るとボケの形状が改善する。可能な場合はF4まで絞るのがおススメ。
- 玉ボケの内側はかなり騒がしい描写となるが、ボケの全体的な描写はとても美しい。前後のボケはどちらも柔らかく心地よい。
- ゴーストはいくらか発生するが、マクロレンズとしては非常に良好な逆光耐性。
ソニーEマウントのマクロレンズは選択肢がほとんどない。幸いにも、このレンズは私がこれまでテストしてきた中で最高の多目的マクロレンズだ。信じられない程シャープで、収差をうまくコントロールし、優れたコントラストを備えている。
本当に際立っているのは効果的な光学手ぶれ補正、DDSSM駆動の高速かつ滑らかなAF、そしてフォーカスクラッチ構造を採用していることだ。これにより優れた撮影体験を得られ、素晴らしい写真を簡単に撮影することが出来る。
欠点はほとんどないが、前述したように接写時に絞り開放の癖が目に付く程度である。また、このクラスのマクロレンズとしては高価だ。しかし、対価を支払うべき価値のあるレンズだと思う。
10年間愛用してきたキヤノンEF100mm F2.8L IS USMを手放し、ソニーマクロを購入しようか検討中だ。長所:耐候性・素晴らしいビルドクオリティ・クラッチ構造・DDSSMのAF駆動・瞳AFは良好に動作する・全体的に優れた解像度とコントラスト・収差が良好に補正されている・効果的な手ぶれ補正・マクロレンズとしては優れた逆光耐性
短所:高価・接写時の絞り羽根が勝手に閉じる・62mmのフィルター径
とのこと。
既に各所で高評価を獲得しているマクロレンズはDustin Abbott氏のテストでも同様の結果となった模様。やや高価なマクロレンズですが、その価値はありそうですね。シグマ「105mm F2.8 DG DN MACRO」の登場で光学性能は一歩譲る形となってしまいましたが、AFや手ぶれ補正などはまだまだ強みと言えそうです。
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