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シグマ「fp L」は巧妙なアイデアに満ちた魅力的なカメラだが誰得なのかよく分からない

DPReviewがシグマ「fp L」のファーストインプレッションを公開。「巧妙なアイデアに満ちた魅力的なカメラ」と評価しつつ、「誰のためのカメラなのか、何のためのカメラなのか、正直なところ、まだわからない」と言及しています。

DPReview:Sigma fp L initial review

AF

fp Lには、同社初の像面位相差AFが搭載されている。他の位相差システムと同様、カメラがどれだけピンボケしているかを計算し、どの程度までピントを合わせる必要があるかを算出する。今回使用したfp Lはまだファイナルモデルではないが、フォーカスは初代fpよりも確実に改善されている。特に小さなAFポイントでは、より速く、より正確なフォーカシングが可能だ(ただし、若干の揺らぎやハンチングが発生することもある)。

fp Lには、ポートレート撮影の際に完璧なピント合わせを可能にする瞳検出AFを搭載している。実際に撮影してみると、小さな被写体でも瞳を検出することができ、好印象だ。

fp Lには、7×7の長方形グリッドにフォーカスポイントを配置して動作する被写体追尾AFシステムも搭載されている。まだ本格的には試していないが、限られた時間の中で使ってみた限りでは、うまく機能しているようだ。

クロップズーム

fp Lの高画素センサーの主な活用方法の一つに、クロップズームモードがある。このモードでは、センサーをクロップして、より狭い画角を得ることが可能だ。(実質的にデジタルズームである)。

カメラが使用するセンサーの最大領域と最小領域を、フルサイズから「FullHD(水平1920画素)」のクロップまで設定可能だ。クロップ率は1.0?5.0倍となっており、例えば24mmレンズを装着した場合、24mmの画角から153mm相当の画角までを撮影することができる。

当然のことながら、クロップすればするほど使用するセンサー面積は小さくなり、同じサイズに拡大すれば、解像度の低下だけでなくノイズ増加も避けられない。最大5.0倍ズームの場合、240万画素程度のセンサー領域を使用することになる。

新カラーモード

fp Lのカラーモードに、「Duotone」と「Powder Blue」2つのモードが追加されている。デュオトーンは、コントラストを付けた10種類のカラーグラデーションを画像に適用し、パウダーブルーは、クールで淡い色合いの画像となる。

これらモードの追加により、カラープロファイルは15種類となった。残念ながら、カメラ内でのRAW現像機能はまだないので、JPEGにどのカラーモードを適用するか、後から変更することはできない。

コンポジット低感度ISO

風景撮影に適したカメラにふさわしく、fp Lにはコンポジット低ISO設定がある。これは、露出結果を合成して、低ISOで長時間撮影したような効果を得ることができる。コマ間の動体補正はないので、三脚が必要となるが、ISO6相当までの露出が可能になる。

動画

8Bit MOVまたは8Bit CinemaDNGファイルの内部記録が可能だ。解像度は最大30pのUHD 4Kまで対応している。また、23.97pも選択可能で、24pの動画を撮影できる数少ないカメラだ。

fp Lの動画に対するシグマの配慮には感心させられるものがある。フォーカスピーキングやゼブラといった定番の機能に加え、露出を把握するための波形モニター機能を搭載している。さらに、シャッタースピードだけではなく、シャッター角で露出をコントロールする機能もある。

また、fp Lは動画モードに「クロップズーム」機能を搭載しており、4K撮影時には、センサーの横幅いっぱいからネイティブの3840×2160(約2.5倍)の領域まで、19種類のクロップが可能だ。

fpと同様、fp Lが動画で本領を発揮するのは、外部機器を接続したときだ。外付けSSDを接続すれば、10ビットまたは12ビットのCinemaDNG Raw映像を出力できる。また、接続する外部レコーダーに応じて、ProRes RAWまたはBlackmagic RAWにエンコードされたRAW動画をHDMIで出力することもできる(ただし、CinemaDNG映像よりもディテールが劣るようだ)。また、RAWでの撮影にこだわらなくても、HDMI出力からDCI 4K映像(4096×2160のワイドフォーマット)を出力することも可能だ。

また、fp Lはさまざまなカメラシステムとそのモードで同じレンズを使用した場合のカバー率をシミュレートする「ディレクターズビューファインダー」モードで使用できるアスペクト比の数を増やしている。これにより、Arri、Red、Sonyなどのプロ用シネマカメラと一緒に使用する監督が、フレーミングを確認するための手段としてfp Lを使用することが可能だ。

EVF-11

EVF-11(液晶画面用ルーペ型拡大鏡LVF-11とは別物)は、fp Lのボディ側面にねじ込むタイプの電子ビューファインダーだ。HDMI端子のカバーを外し、USB端子のドアを開けておき、ねじ込むようにして両方の端子に差し込む必要がある。

369万ドットの有機ELファインダーには大きくて快適なアイカップが付属する。また、最大90度まで上向きにチルト可能だ。ファインダーの側面には大きなLCD/EVFスイッチがあり、期待通りの働きをしてくれる(カメラを目に近づけたときに自動で切り替わるアイセンサーは無い)。

このスイッチのすぐ下には、カメラストラップを取り付けるためのネジ穴があり、その下にはヘッドフォンソケットとUSB-Cパススルーがあるので、外付けSSDにデータを出力し続けることが可能だ。ただしHDMI端子は無い。マイク入力は、EVFに遮られることなく利用可能だ。

ファインダー使用時には、カメラの背面スクリーンがAFタッチパッドとして動作する。相対位置ではなく絶対位置なので、AFポイントを左上に配置するには、画面の左上をタップする必要がある(スワイプではなく、ポイントの現在位置との相対位置だ)。

ファインダー単体での購入は699ドルだが、キットとして購入する場合は実質500ドルだ。

バッテリー

fp Lには、初代fpと同じBP-51バッテリーが採用されている。このバッテリーは8.7Whで、シグマは1回の充電で240枚の撮影が可能だ。ただし、fp LはUSB-C端子からの給電で動作・充電が可能だ。これにより、外部電源を使用すれば、動画撮影やウェブカメラとして長時間使用することができる。

ボディ・操作性

fp Lは、fpと同様に小さなボディだ。箱型のシンプルなデザインで、目的に応じてさまざまなアクセサリーを取り付けることができる。新開発のファインダーモジュールにより、その選択肢は大きく広がった。

シャッターボタンを囲むように配置された大きなコマンドダイヤル、カメラ背面の第2ダイヤル、その上下に配置されたQS、AEL、メニューボタンがある。QSメニューは、ユーザーがカスタマイズできるクイックメニューであり、4方向ボタンで移動し、ダイヤルを回すことで設定を変更する。

メニューは、横長のタブにページが配置されたキヤノンらしいものだ。メインダイアルはタブの間をジャンプし、リアダイアルは上下にスクロールするというキヤノンのロジックでメニューを操作する。いくつかのメニューオプションには、トップメニューと非常によく似た独自のサブメニューがある。

しかし、ボタンやダイヤルの操作がやや難しい(迷ったときはAELを押してみると選択肢が増える)ことを乗り越えれば、fp Lにはよく考えられた小さな工夫がたくさんある。例えば、動画モードでは小さな波形モニターだけでなく、シャッター角で露出を指定することができる。同様に、ISOオート機能も充実しており、焦点距離を考慮した「オート」シャッタースピードの閾値を設定し、焦点距離の倍数で調整することが可能だ。ライブビューを一時停止して、トーンカーブのハイライトとシャドウを調整できる。

しかし、これらのオプションへのアクセス方法については、もう少し考えた方が良い。例えば、ISOオートのシャッタースピード閾値をボタンに割り当てることができないため、6回から11回のボタン操作が必要となる。

第一印象

Sigma fp Lは、カテゴライズし辛いカメラだ。風景写真用でもなければfpのようなハイブリッドモデルでもない。

6100万画素CMOSセンサーはセンサー読み出しが非常に遅く(静止画モードでは約1/10秒)、その結果、ローリングシャッターが非常に発生しやすくなっている。これは、多くに影響を与えることになり、結果的にfp Lの使用方法を制限することになるだろう(どんな人工光の下でも、高速シャッタースピードでは多くのバンディングが見られる)。

ファインダーモジュールはfp Lの実用性を大幅に向上させ、特に背面モニタと比べて明るい場所でより使いやすくなる。また、ヘッドフォンソケットが追加されたことでさらに使いやすくなっている。さらにUSBパススルーポートが搭載されているので、CinemaDNG動画を外付けSSDに記録できるようになったのも嬉しい。

しかし、このEVFのUSBパススルーは、充電や給電としては機能しない。カメラのバッテリー駆動時間が限られていることを考えると、これは問題かもしれない。また、EVF-11はHDMIポートを占有しているため、ProRes RAWやBlackmagic RAWを出力したくても外部レコーダーを使用することができない。また、EVF-11のヘッドフォンソケットで音声をモニターしたい場合にも不満が残る。

ファインダーを覗いているときに、カメラ背面モニタがタッチパッドとして機能するのは嬉しいことだが、アイセンサーでは無く手動でモニターとファインダーの表示切替が必要だ。fp Lでの撮影では、時間の半分をEVFとLCDの切り替えに費やしているような気がした。メニューシステムと同様、この点についてもカメラとの付き合いが長くなれば慣れてくると期待している。

全体的に、Sigma fp Lは巧妙なアイデアに満ちた魅力的なカメラだが、誰のためのカメラなのか、何のためのカメラなのか、正直なところ、まだわからない。使っていくうちにそれが明らかになっていくことを期待しているが、今のところ、このカメラにこれほど遅いセンサーを搭載する意味があるのかどうか分からない。

とのこと。
最小・最軽量のカメラボディに超高画素センサーを搭載した面白いカメラとなりましたね。6100万画素センサー搭載モデルとしてはお手頃価格ですが、ボディ内手ぶれ補正が無かったり、メカニカルシャッターが無かったりで用途は限定的となるかもしれませんね。ファインダーも手動切替や絶対位置のタッチパッドは慣れるまで時間がかかりそう。

とは言え、高画素を活かしたクロップズームは使ってみたい機能。6100万画素は4/3センサー相当までクロップしても1600万画素ほど残るので、まだまだ実用的な解像度を得ることが出来ます。同じ6100万画素センサーを搭載するα7R IVはAPS-Cクロップしか利用できないのですよね。クロップ後の換算焦点距離も表示されると尚便利となりそう。

DPReviewでは言及していませんが、6100万画素と高解像ながらローパスフィルターを搭載した点は個人的に評価しています。ローパスフィルターレスのα7R IVは細部を確認すると偽色やモアレがそこそこ発生しているのですよね。特に豊富なクロップ機能を持つfp Lにとってディテールの再現性は重要となってきます。

さらに気になるのがLマウント初となる像面位相差AF搭載モデルとなること。引き続き49点AFのようですが、どれほどAF速度や追従性能が改善するのか気になりますね。詳細は不明ですが、第一印象はポジティブな結果となったようです。

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