IMAGING RESOURCEが「OM SYSTEM OM-1」の初期レビューを公開。画質やオートフォーカス、操作性などを高く評価し、低照度AF時のライブビューが粗くなるなど欠点も指摘しています。
IMAGING RESOURCE:OM SYSTEM OM-1 Hands-on Review
ビルド・外観:
- OM SYSTEM OM-1は、これまでのオリンパスカメラとよく似た外観で、オリンパスのブランド名も入っている。
- このスタイルとデザインは、非常にうまくいっている。
- 追加グリップはカメラ本体と同様に、頑丈で耐候性に優れている。
バッテリー:
- 記載なし。
インターフェース:
- 従来はUHS-II SDカードスロットが1つ、UHS-II以外のカードスロットが1つだったが、OM-1はUHS-II SDカードスロットを2つ搭載している。
- ヘッドフォンジャック、マイクジャック、ピンジャック、マイクロHDMI(Type D)ポート、ホットシュー、USB給電に対応したUSB Type-C(USB 3.0)ポートを搭載している。
携帯性:
- OM-1は、先代のE-M1 Mark IIIと同様に、小型・軽量のシステムカメラだ。
- 本体サイズは134.8×91.6×72.7mm、バッテリーとSDカードを含めた重量は599gだ。
- APS-CのFUJIFILM X-T4のサイズは134.6×92.8×63.8mmで、重さは526g(バッテリーとメモリーカードを含まず)である。かなり似ている。
- そしてフルサイズのソニーα7 IVのサイズは131.3 x 96.4 x 79.8 mmで、重量は658g(バッテリーとメモリーカードを含む)だ。3つの異なるセンサー、3つの似たようなサイズのカメラである。
- OM-1が、より大きなセンサーを搭載した他のカメラよりも相対的に小さくなるのは、レンズを使い始めたときだ。カメラにはもちろん、レンズも必要である。マイクロフォーサーズのイメージセンサーは、その小ささゆえに小さなレンズを作ることができ、OM-1システムはその点で優れている。
グリップ:
- フロントグリップとサムレストの感触は最高だ。フロントグリップは幅が狭いながらも奥行きがあり、カメラをしっかりと握ることができる。
- サムレストは、AFジョイスティックと、ISOボタンを含む突起物の間に位置している。非常に快適だ。
操作性:
- E-M1 IIIを使ったことがある人なら、OM-1はすぐに馴染む。OM-1は洗練されたデザインで、私の手にとてもしっくりとくる。
- 背面も同様だが、AE-LボタンとAF-ONボタンが独立しているので、親指AFが好みのユーザーには朗報だ。
- 重要な撮影操作は、すべて右手で行える。親指の届く範囲には、AELボタン、AF-ONボタン、ISOボタン、AFジョイスティック、方向キー、OKボタン(撮影時にファンクションメニューを表示)、INFO・再生・削除ボタンなどがある。
- また、背面のコマンドダイヤルも親指で操作でき、小さく回転させるたびに「カチッ」という音がする。
- EVF/LCD切替ボタンは、EVFの左側に配置されている。初期設定でEVFと背面液晶を自動的に切り替えるので、このボタンはあまり重要ではない。
- メニューボタンは、ほとんどの設定がボタンで可能なので、撮影時に重要とはならない。それにOKボタンを押せば、クイックファンクションメニュー(訳注:スーパーコンパネ)にアクセスできる。
- シャッターボタンの感触は良好だ。
- 上部にはモードダイヤルがあり、人差し指または親指で回転させることができるが、ダイヤルの回転がかなり硬い。私は二つの指を使って回転する必要があった。
手ぶれ補正:
- 記載なし。
ファインダー:
- OM-1の外装にはいくつかの重要な変更点があり、使いやすさが向上している。最も大きな変更点は、OLEDパネルを使ったEVFを新たに採用したことだ。
- EVFの解像度は236万ドットから576万ドットに向上している。
- さらに、120fpsのリフレッシュレートと0.005秒の遅延を実現し、特定の撮影モードではブラックアウトフリーの撮影にも対応しています。
- また、EVFの倍率はE-M1 IIIの1.48倍から1.65倍に向上している。実際に使ってみると、大きくて、シャープで明るく素晴らしい。
- リフレッシュレートが速いので、スムーズに使えるのもいい。
モニター:
- モニタはバリアングル方式で動かすことが出来る。
- サイズはE-M1 IIIと同じだが、104万ドットから162万ドットへと高精細化されている。
- このディスプレイは十分にシャープで明るく、太陽の下でも問題なく機能する。
メニューシステム:
- 記載なし。
フォーカスシステム:
- 画質の向上とともに、新開発の積層型イメージセンサーがオートフォーカス性能に大きな影響を与えている。
- このセンサーには、1,053個の位相差AFポイントが搭載されており、そのすべてがクロスタイプとなっている。
- すべてのフォーカスポイントが撮像素子全体をカバーするクロスタイプなので、OM-1はフレーム全体でさまざまな被写体を追いかけることが可能だ。
- 実際に使ってみると、非常に感動的だ。
- クワッドピクセル方式のクロスAFは、イメージセンサー上のすべてのピクセルがオートフォーカスとして機能することを意味している。センサーのデータと色やコントラストの情報をもとに、詳細な深度マップを作成し、AI検出AFを実現している。
- AIによるフォーカスアルゴリズムにより、従来のオリンパスのカメラよりも高速で正確なオートフォーカスを実現している。具体的には、AI検出AFは、精度が2倍、速度が3倍になっているそうだ。
- 具体的な精度や速度の向上については言及はできないが、私がこれまで使ってきたオリンパスのカメラよりもOM-1の方がはるかに速くピントが合うことは間違いない。
- AI検出AFは、これまで鳥や電車、車、バイクなどで活躍してきた。OM-1は、新たに犬や猫などの被写体が追加された。実際に試してみたところ、このモードはうまく機能しており、とても良い機能だと思う。
- 照度下でのオートフォーカスも改善されている。-8EV(F1.2レンズ使用時)までフォーカスできると評価されており、E-M1XやE-M1 III以上だ。
- 私の経験では、OM-1は低照度でのオートフォーカスも良好である。ただ、暗いところでピントを合わせようとすると、カメラのディスプレイやEVFが粒状になり、モノクロに近くなってしまうことがある。ほんの少しの間だけ、言葉は悪いが、画面が変に見える。少し違和感があるものの、低照度下でのオートフォーカスは正確だ。
- C-AF性能も信頼できるものだ。動いている被写体を撮影しているときに、時折フォーカスを失うことがあるが、すぐに復帰できるのは重要なことだ。
- 秒間50コマの撮影でも、ほとんどのコマで安定したピントが得られている。この性能は素晴らしい。
連写性能:
- E-M1XやE-M1 IIIよりも圧倒的に高速だ。E-M1XやE-M1 IIIは、AF/AE追従で最大18コマ/秒の撮影が可能だ。これは速いが、OM-1はAF/AE追従で最高50コマ/秒と、非常に高速である。
- ソニーα1やキヤノンEOS R3のようなフルサイズ機でも30コマ/秒のAF/AE追従連写である。
- この速さを実現するためには、電子シャッターを使用する必要がある。この電子シャッターはセンサーの読み出しが速いため、ローリングシャッターが抑えられている。
- フリッカースキャンを搭載しており、人工灯下でのアクションを撮影する際に役立つ。
- 電子シャッターではブラックアウトが発生しない。電子シャッターを使って、AF/AEで5/10/15/20/25/50コマ/秒の連続撮影が可能だ。
- 「プロキャプチャー」モードは、OM-1にも受け継がれている。このモードでは、シャッターを半押しするだけで連続して写真がバッファリングされ、シャッターを全押しすると同時に最新の60フレームが保存され、その後も追加の写真撮影が行われる。
- メカニカルシャッターを使用したい場合は、ファインダーのブラックアウトが発生し、最高撮影速度は10fpsだ。
- メカニカルシャッターは60秒~1/8,000秒、電子シャッターは60秒~1/32,000秒まで利用可能だ。
- 50fpsでは物足りないという方は、「SH1」を使用してブラックアウトなしの最大120fpsの連続撮影が可能だ。ただし、このモードでAF/AE追従機能はない。
- 2,040万画素で50コマ/秒というのは非常に素晴らしいスペックだが、2,040万画素で120コマ/秒というのは驚異的な速さだ。
- バッファ性能はRAW+スーパーファインJPEGを、ProGrade Digital UHS-II SDカード(書き込み速度250MB/s)という高速なSDカードに記録したところ、OM-1はバッファがいっぱいになるまでに約90コマ撮影できた。
- バッファクリアには約25秒かかる。バッファクリア中は、バッファが減ったとはいえ、50コマ/秒の撮影を続けることが可能だ。
- EVFの右下(ディスプレイの左上)には、オレンジ色の数字が表示されており、カメラが画像を処理している間に、バッファの残量がカウントされている。
- JPEGのみを50fpsで撮影する場合、バッファは約15秒でクリアされる。
解像性能:
- ベースとなるISOは200で、シャープな写真が撮れる。
高感度ISOノイズ:
- 新しいイメージセンサーは、E-M1X/E-M1 IIIよりも2段分優れたノイズ性能と、さらに1段分のダイナミックレンジを約束している。近日中にラボでの撮影を行い、これらの主張を試してみたいと思う。
- 私の主観的な印象では、OM-1は、これまで使ってきた他のオリンパスのカメラよりもきれいで良い画像が得られる。
- ISO 25,600での画質は驚くほど良好だ。
- ダイナミックレンジやディテールは明らかに狭くなるが、高ISO感度で撮影した画像は、かなりノイズが多いものの十分に使えると思う。
ダイナミックレンジ:
- RAWファイルは自由度が高く、全体的な画質を損なうことなく、ファイルに対して多くのハイライトやシャドーのリカバリーを行うことができる。
- また、小さな撮像素子にもかかわらず、画像全体の階調性や深みにも感心した。
画質・仕上がり機能:
- ハイレゾショットは手持ちモードと三脚モードの両方を使ってみたところ、OM-1には感心させられた。このモード自体は新しいものではないが、センサーと処理能力の向上により、ハイレゾショットモードではより良い画像が得られる。
- さらに、処理時間も速くなっている。画像の合成には約5秒かかるが、アクションではなく、風景などの静物に適したモードであることを考えると、決して悪くないと思う。
- 「ライブND」モードも搭載されている。ハイレゾショットモードと同様、処理速度は速い。ただし、シミュレーションでは、カメラを動かさないようにしないと、プレビューが非常に不鮮明になる。このモードを有効にするには、事前に構図を決めておくのがベストだ。
- 「ライブコンポジット」も搭載されており、ライトペインティングなどの用途に応じて使い分けることができる。ライブコンポジットでは、明るい部分だけを合成する。これにより、長時間露光撮影時のハイライト部の白飛びなどを防ぐことができる。OM-1では、この機能が手ブレ補正と連動するようになり、手持ちでの撮影が可能になった。
- 「深度合成」も搭載している。仕組みはこれまでと同じだ。撮影枚数とコマ間のフォーカス変動を選択して、カメラが動作する。新機能ではないが、合成時間が短縮されている。
- はHDR撮影機能は特に言うことはないが、うまく機能している。このモードを有効にしても、オリジナルのRAWファイルを記録してくれるのもいい。
動画:
- OM-1は、4Kおよびシネマ4Kを最大60フレーム/秒で記録できる。従来のカメラでもこれらの解像度で撮影は可能だが、最大でも30pだった。
- H.264(8ビット)とH.265(10ビット)の動画を記録できるが、外部レコーダーを使用すれば、最大12ビットの4:4:4のRAW動画も撮影可能だ。
- OM-Logにも対応しており、カラーグレーディングをより柔軟に行うことができる。OM-1のモニターはHDRに対応していないため、外部ディスプレイで映像を見る必要があるが、OM-1にはHLG(ハイブリッド・ログ・ガンマ)ビデオピクチャーモードが搭載されており、より簡単にHDR撮影ができる。
総評
長年のオリンパスファンにとって、オリンパスのマイクロフォーサーズカメラの魅力がすべて残っているということは、とても安心できることだ。それどころか、より良くなっている。OM-1は、あらゆる面でこれまでのオリンパスのカメラよりも印象的だ。
- 長所:
・素晴らしいデザイン
・頑丈
・改良されたEVF
・積層型CMOSセンサーの性能
・画質
・コンピューショナル撮影モード
・優れたAF
・新メニュー- 短所:
・低照度でライブビュー像が粗くなる
・連写速度は良好だがバッファが物足りない
とのこと。
新型センサー・新型プロセッサ・新AFシステム・新メニューを搭載したOM SYSTEM初となるフラッグシップモデルですね。従来機と比べて全体的に改良が見られ、OM SYSTEMの顔となるカメラに仕上がっている模様。4/3センサーで気になる高ISO感度の画質もなかなか良さそうですね。低照度AF性能も良好みたいですが、AF動作時にライブビュー像が少し粗くなるのは気になります。これまでのオリンパス機は低照度でも比較的安定したライブビュー像だと感じていたので、どれほど変化があるのか実機で確認したいところ。
積層型CMOSセンサーの恩恵も大きいながら、個人的に新プロセッサでハイレゾショットなど合成処理の短時間化が非常に嬉しいポイント。特に手持ちハイレゾは撮影中に多用していたので、どれほど速くなったのか確かめてみたいですねえ
連写性能は向上していますが、バッファが物足りないと指摘。これはバッファ容量が小さいと言うよりは高速連写にSDカードの書き込み速度が追い付いていないように見えます。50コマ秒や120コマ秒で一瞬にしてバッファが詰まり、書き込みで数十秒待つ必要があるのは残念。次世代のメモリーカードであるCFexpressを採用しなかったのは惜しまれるポイント。
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