DPReviewがソニー「α1」の画質レビューを公開。高解像・高速読み出しを実現しつつも、ダイナミックレンジを犠牲にしていない優れたセンサーと評価しています。
ソニーα1は、ソニーセミコンダクタが開発した次世代のフルサイズ積層型CMOSを搭載している。α9に続く2つ目のCMOSであり、読み出し速度を5ms以上向上させ、電子シャッターによる1/200秒のフラッシュシンクロ、ローリングシャッタや人工光下でのバンディングリスクの低減、毎秒120回のAF・AEを可能にしている。さらにこの電子シャッターは、20コマ/秒・30コマ/秒(fps)の連続撮影を実現している。
クラスリードのダイナミックレンジ
- α9は少し予想外のダイナミックレンジの低下が見られた。これは読み出すビット深度を落とし、ダイナミックレンジをトレードオフにして、高速読み出しを実現しているように見えた。
- α9 IIでは大幅に改善されたが、深いシャドウのノイズレベルは、ソニー・セミコンダクタのベンチマークセンサーほど低くはなかった。
- ダイナミックレンジのテストでは、α9もα9 IIもソニーのα7 IIIのようなノイズのないシャドウ(つまり高いダイナミックレンジ)を達成していないことがわかった。
- 高画質と高速の両立は出来ないように思われた。しかし、α1でそれを実現している。
- α1のセンサーは、高速スキャンレートと高ダイナミックレンジは相反するものではないことを証明している。α9 IIと比較して、ベースISOのダイナミックレンジが1EV近く向上し、読み出し速度が20%以上向上、リニアな解像度が1.44倍に向上している。
- α1は、すべての電子シャッターモード(20fpsと30fpsの連続撮影モードを含む)で13.71EVのベースISOダイナミックレンジを実現しているのに対し、α9 IIはすべての電子シャッターモードで12.96EVだ。この0.75EVの向上は、低ISOダイナミックレンジにおいて、α1をすべてのプロスポーツ向けカメラの中で断然優位に立たせている。これまでのソニーのプロ向けカメラだけでなく、他のプロスポーツ向けカメラをも凌駕しているのだ。
- 高ISOダイナミックレンジでも競争力を維持しているが、高ISOでは画素ピッチが小さく、デュアルゲインステップ(ISO 500 vs 640)がα9 IIに比べて1/3EV低くなっているため、わずかに遅れをとっている。
- キヤノンのEOS-1D X Mark IIIはベースISOで同程度のノイズレベルを示すが、これはノイズリダクションにより低ノイズレベルを実現しているものだ。よってディテールはかなり低下している。
単なるスポーツカメラではない
- α1のダイナミックレンジは、単にスポーツカメラとして優れているわけではない。我々がテストした最高のフルサイズカメラとほぼ同等の性能を持っている。それでセンサースキャンレートが高速なのだから多くの注目を集めているのだ。
- α1のベースISOダイナミックレンジは、クラストップのソニーα7R IVと0.1EV差しかなく、ほぼクラストップのダイナミックレンジを実現している。
- 電子シャッタモードにおけるダイナミックレンジの犠牲はせいぜい0.2EV程度であり、ISO感度が高くなるとその差もなくなってしまう。
- 画素サイズ、デュアルゲイン、および上流のリードノイズによって変化する傾向のある高ISOダイナミックレンジは、α7R IVを上回り、他の高解像度カメラと比較しても遜色ない。ただし、低解像度のプロ・スポーツ志向の競合他社と比較するとわずかに劣る。
- しかし、特に印象的なのは20fpsと30fpsの連続撮影時におけるダイナミックレンジの犠牲がわずか0.2EVであることだ。
- これまで、高速読み出しはノイズが犠牲となるのが一般的だったが、α1は従来のメカニカルシャッターに近い読み出し速度にもかかわらず、ほぼ同じダイナミックレンジを維持している。
- これは高速読み出しモードを使用しても、最高の風景カメラに匹敵するダイナミックレンジを備えていることを意味している。
- 30fps連写では、圧縮されたRAWに切り替える必要がある。この際のダイナミックレンジで犠牲となる部分は測定していない(低ISO感度における深いシャドウでノイズが発生するかもしれない)。
高感度ISO性能
- 光量が低下しても、高解像度を考慮すると競争力を維持している。
- 中間トーンのノイズレベルは、クラストップのニコンD5やキヤノンEOS-1D X Mark IIIと比べてわずかに遅れをとっている。我々は、高ISOにおいてダイナミックレンジよりも中間トーンのS/N比の方が重要だと考えている。
- α1は中間ISOでα9 IIのダイナミックレンジを上回り、最高ISOでα9 IIや他の低解像度センサーと比べてわずかに遅れをとっている。
実写で確認
- 6EVの増感後、シャドウのノイズレベルはα7R IVと同等だ。
- 電子シャッター使用時は最も暗いシャドウのトーンでノイズの増加がわずかに見られるだけである。
- α9 IIと比較しても、ノイズが大幅に少なく、細部までしっかりと描写されており、特にソニーが初のフルサイズ積層型CMOSであるα9と比較してノイズが少ない。
- キヤノンとニコンの「プロ」製品と比較すると、α1はディテールが大幅に向上し、ノイズを低減しているのが分かる。
- キヤノンを電子シャッターモードに切り替えると、ダイナミックレンジの違いはかなり顕著だ。
まとめ
- α1に搭載されたセンサーは、α9やα9 IIに搭載された第1世代のフルサイズ積層型CMOSと比べて、解像度、読み出し速度、ダイナミックレンジが格段に向上している。
- これまでセンサーの読み出し速度とダイナミックレンジは相反するもののように思われていたが、「α1」ではこれを両立している。
- 圧縮RAWによるダイナミックレンジの低下は見られるが、電子シャッター使用時の低下幅のほうが大きく、圧縮RAWを使うことによるコストは実質的にゼロである。
とのこと。
α1に搭載されている積層型CMOSセンサーははα7R IVに次ぐ高解像センサーですが、30コマ秒の連写速度や1/200秒のフラッシュシンクロに対応する電子シャッターを実現しています。α9は高速性を実現するために、ダイナミックレンジがやや狭くなっていましたが、α1は犠牲を伴わずに高ダイナミックレンジを実現している模様。これでトップクラスのパフォーマンスを備えているのは凄いですね。非常に高価なミラーレスカメラですが、それだけの価値を備えた1台となっているようです。
このα1の登場を受けて、キヤノンやニコン、そしてLマウントアライアンスがどのような競合モデルを投入するのか気になるところですねえ。ニコンは2021年内予定と「Z 9」を開発発表し、キヤノンも年内と噂されています。
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