PhotographyBlogがニコン「Z fc」のレビューを公開。基本的にはZ 50と同等のAPS-Cミラーレスですが、簡単に飽きることのない外観・操作性を高く評価しています。
PhotographyBlog:Nikon Z fc Review
カメラの紹介:
- APS-Cセンサーを搭載したニコン製ミラーレスカメラだ。いくつか使い慣れた物理コントロールを備え、モダンデザインのZ 50と比べてクラシカルでレトロなデザインである。
- 主な仕様は、209点の位相差AFに対応する2090万画素センサー、常用ISO感度100-51200に対応、AF/AE追従に対応する11コマ秒連写、EXPEED 6プロセッサを搭載、バリアングルモニタ、4K 30p動画に対応、Wi-Fi・Bluetoothに対応などだ。
- APS-Cセンサーを採用したことで、フルサイズ機である「Z 6II」や「Z 7II」と比べて、全体的に手頃な価格になっている。
- 解像度、最大30fpsの4K動画、ISO感度など、多くの主要機能が共通しており、価格的にも大きな差はないため、既存のZ 50との間で選択が難しい。
ビルド・外観:
- 1980年代に登場したフィルム一眼レフカメラ「FM2」からインスピレーションを受けていると言われるデザインだ。
- 外装はシルバーの他にパステルカラーやブラウンなどをカラーバリエーションがある。
- 簡易的な説明書しかないため、より詳しい説明所を参照するにはインターネット上からPDFをダウンロードする必要がある。(訳注:日本語版 公式活用ガイド)
- フラッシュは内蔵していないが、外付けフラッシュ用のホットシューが用意されている。
- カメラを握ってみると丈夫でしっかりとした感触があり、部品のがたつきも目立たない。
- しかし、この国(訳注:イギリス)の気候を考えると、ボディが完全な耐候性を備えていないことが一つの不満だ。
- 付属のリチャージャブルバッテリーは、フル充電で標準的な300枚程度の撮影が可能である。特に不満は無い。
携帯性:
- カードとバッテリーを装着した状態で445gと重すぎないボディ重量だ。
- スマートフォンよりも大きく重いがマグネシウム合金とプラスチックで構成されたボディと小型軽量な対応レンズを組み合わせることで重さを感じない。
グリップ:
- 記載なし。
操作性:
- 多くの競合製品と同様、Z fcのハンドリングと操作性に関して、長所を活かしたアプローチを選択している。また、液晶タッチパネルをタップして撮影することもできる。
- 慣れている人は、天板のダイヤルやノブを心ゆくまでいじって仕上がりを調整することができるし、慣れていない人はオートに設定したまま、ただ指を動かして撮影することも可能だ。
- Z fcのトッププレートには、指や親指を入れるスペースがないほど、さまざまなダイヤルや水準器が詰め込まれている。
- 標準的なP,A,S,M撮影モードの設定は、ISOオプションを選択するダイヤルの下にあるレバーを介してアクセスし、静止画の絞りと動画を切り替えるレバーは、シャッタースピードの設定の下にある。
- 撮影モードダイヤルが「オート」に設定されていれば、カメラはユーザーに最適なISO感度を自動的に選ぶ。
- 面白いことに、カメラメニューで「サイレント撮影」を選択すると、ISOダイヤル最上位のH1、H2感度が無効になり、ISOダイヤルをどちらかに設定していても、記録可能な最大感度はISO51200に制限される。
- 複雑なコントロールレイアウトだが、操作はすぐに慣れ、むしろ好感が持てる。
- トッププレートには、シャッタースピード、露出補正(±3EV)、ISO感度を制御する3つのマニュアルダイヤルがあり、小窓には使用中の絞り値が表示される。
- Z fcのレンジファインダーのような操作性は、写真愛好家はもちろんのこと、写真を撮ることにこだわりたいプロにとっても魅力的なものになるはずだ。それだけにフルサイズセンサーを搭載していないのは残念だ。
- Z fcは、スマートフォンからの自然なステップアップ(または補完的なアクセサリー)としてこの選択肢を検討している人にとって、成長の余地がある。
手ぶれ補正:
- 記載なし。
ファインダー:
- 記載なし。
モニター:
- バリアングルモニタを外側に完全に反転させ、自撮り用カメラとして使うことが出来る。Vlogには最適だ。そしてZシリーズのカメラとしては初の機能である。
メニューシステム:
- 「i」ボタンを押して「i」メニューを表示し、タッチパネル液晶を併用することで、様々な設定を簡単に行うことができる。
オートフォーカス:
- 懐かしさを感じさせる操作性である一方で、性能やレスポンスに関してZ fcは最新カメラらしい仕上がりだ。例えば、上位機種であるZ 7IIやZ 6IIに搭載された「ワイドエリアの瞳AF」や「動物検出AF」を静止画と動画の両方で対応している。
連写性能:
- コンシューマー向けということで、標準的なSDカードに対応したカードスロットが1つしかない。しかし、対象とする市場や価格帯を考えると、不満に思うほどのことではない。
高感度ISOノイズ:
- 有効画素数2090万画素のAPS-Cセンサーを搭載した本機は、初期モデル「Z 50」と同様だ。
- 高ISO感度は上の4つの選択肢は避けたいところだが、Z fcの性能にはとても感心している。
ダイナミックレンジ:
- 記載なし。
仕上がり:
- ディテールが豊かでノイズはほとんど見当たらない。
- 色再現は良好だ。
- オート設定の場合に晴天下で露出オーバーとなる傾向があった。これは露出補正ダイヤルで調整可能だ。
動画:
- 動画モードでは、ISO100からISO25600までと、ダイヤルを操作しても撮影可能な範囲が若干狭くなることを覚えておきたい。
- 「Webカメラユーティリティ」に対応しているので、Zoomなどが普及している今、Webカメラとしても利用できる。
総評
「Z fc」は、1980年代からインスピレーションを得て、長年の伝統を前面に押し出し、新しい世代の写真家を魅了しようとしている。
レトロな製品がフルサイズミラーレスではないことに不満を持つ人もいるだろう。しかし、この製品の価格設定は、ニコンが新規参入者と既存のミラーレス写真家をターゲットにしているという事実を反映している。
ライバルやニコンZシリーズと比較してZ fcが比較的手頃な価格であるため、防塵防滴や内蔵フラッシュの欠如、カメラ上部の堅牢な感触のダイヤルやレバーに比べてカメラ背面やカメラ底面が少しプラスチッキーのように感じられるなどに妥協が見られる。
しかし、このカメラはニコンの高い基準を満たしており、写真を学ぶ人が簡単には飽きないデバイスとしておススメできる点がたくさんある。結論として、モダンなミラーレスが好きな人にはZ 50がお勧めだが、ビンテージな雰囲気に魅力を感じたり、ノスタルジーに浸りたい人にはZ fcがお勧めだ。
基本的には「Z 50」と同じスペックのカメラではあるものの、クラシカルなデザインと操作性が強みとなる面白いカメラに仕上がっているとのこと。どちらを買おうか迷った場合、実際に店頭で触って試してみたいところですねえ。
- 「Z fc」と「Z 50」の外観やスペックの違い
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大部分はZ 50と同じですが、部分的に改良されています。ただし、APS-Cミラーレスとしてはかなり平凡なスペックであり、富士フイルムやソニーなど競合他社と比べて見劣りする部分はいくつか存在するので注意が必要。
とは言え、多くの人は十分に満足のいく性能だと思われ、価格も抑えられています。PhotographyBlogが言及しているように「簡単には飽きないカメラ」であり、手の届きやすい価格設定に抑えられているのは魅力的。
ニコンがこのようなカメラを投入するのは一眼レフ「Df」以来ですが、比較してよりエントリー向けのカメラ。フルサイズセンサーではない点を残念と感じる人がいるかもしれませんが、現状のレンズラインアップやニコンが考えているターゲット層などを考慮すると、APS-Cミラーレスが最適解だったのだと思います。将来的にシリーズ化するかどうかはZ fcの実績次第と言ったところでしょうか。
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