前回に引き続きシグマ「16mm F1.4 DC DN」のレビュー。今回はレンズの外観や操作性について。
外観・操作性レビュー
箱
2012年にシグマがグローバルヴィジョンを示した以降、外観は他のレンズと同じデザイン。
世代でコロコロと意匠が変わるタムロンより統一感がああり、ブランディングではシグマが大きくリードしている。
開封すると説明書・保証書・レンズ本体が梱包されている。
contemporaryシリーズと言う事で便利なレンズケースは付属していない。一方で、より安価な19mm F2.8 Artにはレンズケースが付属している。
外観
レンズの外観は30mm F1.4 DC DNと似ているものの、サイズは一回り大きい。
鏡筒の材質は金属かTSCか言及されていないが、金属のような質感でプラスチッキーで安っぽい印象は感じられない。
全体的にとても質感は良好。しかし補足しておくと以下の競合レンズ群も金属鏡筒で質感は良い。
- E 16mm F2.8
- M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
- M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8
- LEICA DG SUMMILUX 15mm/F1.7 ASPH.
- VoightLander NOKTON 17.5mm F0.95
本レンズは「マイクロフォーサーズ」のマークが印字されている部分の材質のみ樹脂っぽくなっている。
フード
フードは花形のプラスチック製。
内側に反射防止のリブが付いているものの、植毛はされていない。
ちなみにフードはAPS-Cの16mm(35mm判換算で24mm)に合わせているためか、マイクロフォーサーズの16mm(35mm判換算で32mm)として使うと遮光性がやや心もとない。
ハンドリング
レンズのサイズはオリンパスのF1.2 PROシリーズとほぼ同じ。
E-M1 Mark IIやGH5などグリップの大きいカメラと相性は良いが、αシリーズやGF、PENなどのカメラボディはオーバーサイズと感じるかもしれない。
この画角はコンパクトなレンズが多いため、ソニーEやマイクロフォーサーズにコンパクトさを求めている人が敢えてこのレンズを選択する必要性は無いはず。
しかし、レンズのサイズが大きいことにもメリットがある。
一つ目はカメラを左手で支えやすいこと。
二つ目はフォーカスリングの幅が広く、マニュアルフォーカスの操作が快適であること。
特にマニュアルフォーカスの操作性はコンパクトなレンズと比べて明らかに良好。フォーカスリングは素早く操作することで90度程度の回転角で無限遠から近接まで移動可能。フォーカスリングをゆっくり回すことで360度近い回転角となる。
前玉・後玉・マウント
この画角のレンズとしては前玉が思ったよりフラットな形状。お手入れは簡単だ。
しかし前玉が撥水撥油性のある防汚コート仕様であると言及はされていない。画角的に接写する機会が多いと思うので、水飛沫や汚れが心配ならばプロテクトフィルター推奨。
フィルター径は67mmであり、APS-Cやマイクロフォーサーズ用としては少し大きめのサイズ。スペック的に見ると、フジフイルムの「XF16mmF1.4 R WR」と同じサイズなのでレンズ口径を考慮すると仕方のないフィルター径なのでしょう。
悲しいことにEマウントやマイクロフォーサーズマウントで67mmフィルターを使うレンズはとても少ない。NDやC-PLフィルターを購入するのであれば一回りサイズの大きい72mmか77mmが良いでしょう。
67mmフィルターを使うレンズは他に「LEICA DG VARIO-ELMARIT 8-18mm F2.8-4.0?ASPH.」くらいか?
前玉に防汚コートが施されていないものの、マウント部の簡易防塵防滴シールは存在。過信は出来ないものの、無いよりあった方が良い。
マウント部は後玉など密閉された状態で、ボディ側の塵やゴミがレンズ側へ入り込む隙は見当たらない。
E-M1 Mark II装着例
E-M1 Mark IIに装着。決してコンパクトとは言えないが、PROシリーズのレンズを使っているならば抵抗感が無いサイズでバランスは良好。
鏡筒はそこまで太くないので厚いグローブを装着した状態でもグリップ可能。
フードは広角大口径らしく大きいため底面がスレやすい。使っているうちに設置面だけスレていきそうな予感がする。
E-M1 Mark IIとの組み合わせではバランスが取れているため片手で操作しても安定。サイズは大きいものの、スナップレンズとして使えなくもない。
オートフォーカス
16mm F1.4と言うスペックを考慮すると十分高速で静音。画角的に遅いと感じないが、一部の標準・望遠レンズのように爆速と言う訳ではない。
フォーカス作動音は最小限だが、動き始めとロック・ハンチング時にバッグラッシュのような音が僅かに聞こえる。しかし、動画撮影時のようにじわじわとピントが動く場合には全く聞こえない。
ブリージング(ピント移動における画角の変化)が小さいので動画撮影や深度合成用のフォーカスブラケットに向いている。
外観と操作のチェックを終えて
前回のレビュー同様、良い造りだがマイクロフォーサーズ用としては強力なライバルの存在が大きい。
競合レンズと比べて場合、このレンズの外観的な長所は「マニュアルフォーカスリングが大きく、滑らかな動作である」と言う点に絞られる。つまり、動画撮影でこの画角の単焦点を探しているのであればオススメできるレンズ。
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