タムロンのフルサイズミラーレス用交換レンズ「24mm F/2.8 Di III OSD M1:2 Model F051?」のレビューページにフォーカス関連インプレッションを追加しました。
仕様の確認
OSDとは
AF駆動ユニットに静音性に優れたDCモーター「OSD (Optimized Silent Drive)」を採用し、AFユニットを最適化したことで駆動音が減少。AFの精度とスピードも大きく向上しており、被写体が動き続けるシーンでも的確にピントを合わせることができます。
このレンズも採用している「OSD」とは、一部の一眼レフ用タムロンレンズにも採用されているDCモーターの名称です。
DCモーターはデジタル一眼レフ全盛期の廉価レンズに多いフォーカス駆動でしたが、ここ最近は「リードスクリュー式ステッピングモーター」や「リニアモーター」などミラーレスや一眼レフのライブビューに適した駆動方式へと変化しています。
ステッピングモーターやリニアモーターと比べ、ギアを多用してフォーカスレンズを動かすDCモーターは「静音性」や「応答性」「制御性」などの点で不利。
一眼レフ用レンズ「35-150mm F/2.8-4 Di VC OSD」の使用経験があり、「静音性」や「制御性」はDCモーターながら健闘していた印象があります。ただし、24mm F2.8 Di III OSDの「OSD」は別物と考えておいたほうが良いでしょう(駆動音や制御性がイマイチ)。
レンズ繰り出し式
フォーカシングでレンズが前後に移動する仕様。全群繰り出し式では無く、前玉繰り出し式かと思われます。(このレンズに関する特許出願の公開はまだですが、マクロ位置で強制的に電源をOFFにしても後群は固定されているのを確認)
インナーフォーカスタイプ(レンズ内部でフォーカシングが完結する仕組み)と異なり、フォーカシングで移動するパーツが多く必然的に「速度」や「応答性」が低下します。
動画で確認
Take1
AF-S
ひと昔前のライブビューAFのような速度。無限遠側で静止した被写体であれば許せる合焦速度ではあるものの、マクロの撮影距離では合焦速度の低下が顕著。
まぁ、それでも使えないレベルでは無いのですが…、2019年のミラーレス用レンズとしては遅い部類。「繰り出し式マクロレンズ」と考えておくべし(FE 50mm F2.8 マクロのような)。
AF-C
AF-Sとは打って変わって割とまともなフォーカス速度。ピント面までの無駄な遅さが軽減しているので、AF-Sを使った後だとかなり快適と感じるはず。無限遠→マクロへの移動時はまだ少し時間がかかるものの、マクロ→無限遠は「まずまず高速」と評価できるレベル。
Take2
Take1と同じくAF-Cで快適。
夜間イルミネーションと条件が悪いものの、思いのほか素早く合焦している印象。
フォーカスブリージング
フォーカスブリージングとはピント位置によって焦点距離が変化する現象。
このレンズの場合は無限遠時に焦点距離が短く、最短撮影距離に近づくほど焦点距離が長くなる。
ブリージングの影響は顕著。特に1:5マクロ撮影時は24mmと言えなくなる程に画角が狭くなるので注意が必要。パースを効かせたマクロを考えているならば、事前に確認しておきたいところ。
無限遠側にピントがある状態で四隅のフォーカスエリアを利用すると、想定していたピント位置がフレームアウトすることもあるので注意が必要。
マニュアルフォーカス
幅15mmのフォーカスリングを操作することでマニュアルフォーカスを利用できます。また、ソニー独自の「DMF」に対応。
ゆっくり回転させることで特にマクロ領域で微調整が可能。素早く回転させてもピント距離全域を移動するためには約360度の回転量が必要となってきます。
フォーカスリングの動作は滑らかですが、フォーカスレンズの動作へ反映する際に小刻みで段階的な動作(滑らかでは無い)となる場合がしばしば発生。広角24mm F2.8と言うこともあり、それでもピント合わせに苦労することはありませんが、被写界深度が浅くなるマクロ撮影では少し気になるポイント。
雑感
おそらく、このレンズで最も妥協すべきポイントがフォーカスの足回り。
AF-Sやマクロ領域におけるオートフォーカスの遅さや、マニュアルフォーカス時の滑らかでは無いフォーカスレンズの動作を許容できるのであれば、コストパフォーマンスの高いレンズと感じるはず。
逆にオートフォーカスやマニュアルフォーカス精度を重視する場合は「17-28mm F/2.8 Di III RXD」や純正レンズを選んだ方が無難と言えるでしょう。
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