シグマ「50mm F2 DG DN 」のレビュー第一弾を公開。今回はレンズの外観や操作性、カメラに装着してAF/MFの使いやすさなどを確認しています。
50mm F2 DG DN のレビュー一覧
- シグマ 50mm F2 DG DN レンズレビュー完全版 2023年6月5日
- シグマ 50mm F2 DG DN レンズレビューVol.6 周辺減光・逆光編 2023年5月28日
- シグマ 50mm F2 DG DN レンズレビューVol.5 諸収差編 2023年5月23日
- シグマ 50mm F2 DG DN レンズレビューVol.4 ボケ編 2023年5月14日
- シグマ 50mm F2 DG DN レンズレビューVol.3 近距離解像チャート編 2023年5月5日
- シグマ 50mm F2 DG DN レンズレビューVol.2 遠景解像編 2023年5月4日
- シグマ 50mm F2 DG DN レンズレビューVol.1 外観・操作・AF編 2023年4月23日
Index
まえがき
2023年4月発売のソニーE・ライカLマウント用の標準単焦点レンズ。シグマ「I Series」に属するレンズで、標準域をカバーするレンズとしては「45mm F2.8 DG DN」に次いで2本目。同シリーズはフードを含めて総金属製のハイクオリティな鏡筒が特徴で、光学系はContemporaryラインらしい(多目的性・携行性に優れた)光学系となっています。
概要 | |||
---|---|---|---|
レンズの仕様 | |||
発売日 | 2023年4月21日 | 希望小売価格 | 110,000円 |
マウント | E / L | 最短撮影距離 | 0.45m |
フォーマット | フルサイズ | 最大撮影倍率 | 1:6.9 |
焦点距離 | 50mm | フィルター径 | 58mm |
レンズ構成 | 9群11枚 | 手ぶれ補正 | - |
開放絞り | F2 | テレコン | - |
最小絞り | F22 | コーティング | SMC |
絞り羽根 | 9枚 | ||
サイズ・重量など | |||
サイズ | φ65.8×76.9mm | 防塵防滴 | 簡易 |
重量 | 340g | AF | STM |
その他 | 絞りリング | ||
付属品 | |||
マグネット式キャップ・フード |
50mm F2クラスのレンズとしては力の入ったサイズ・重量・レンズ構成。そのぶん価格設定も高めですが、光学性能には期待できそう。最短撮影距離や撮影倍率は平凡で、これといって寄りやすいレンズではありません。
価格のチェック
売り出し価格は8.9万円。50mm F2クラスのAFレンズとしては決して安い価格設定とは言えず、むしろ最も高価な選択肢となっています。レンズの作りを見ると分からないでもない価格設定ですが、光学設計が価格に見合うパフォーマンスを備えているかどうか、今後のレビューでチェックしていきたいと思います。
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外観・操作性
箱・付属品
SGV(Sigma Globa Vision)シリーズらしい、白と黒をベースにしたシンプルなデザイン。レンズ名やフィルターサイズ、対応マウントや付属品などの情報をスタイリッシュに表示しています。右上に表示されている3桁の数字はエディションナンバーであり、リリースした西暦下三桁の数字を使用しています。(このレンズは2023年発売のため「023」)
間仕切りには段ボールを使用し、緩衝材はなし。Art・Sportsラインではないので、シグマ謹製のレンズケースは付属しません。
レンズ本体の他に、金属製のレンズフード、レンズキャップ、マグネット式金属製キャップが付属。
外観
Contemporaryラインに属するレンズですが、I Seriesらしく総金属製で質感が高い外装を採用。絞り・フォーカスリングを含めて金属パーツを使用しており、プラスチックパーツはごく一部。ソニーのZAレンズほどすっきりとしたデザインではありませんが、これはこれでアリ。光沢感のある中央のリングはデコレーションパーツで、特に意味はありません。しかし、ファインダー越しに確かな触感が得られるので、フォーカスリングや絞りリングを触りたくない時に左手を添えるポイントとしては役に立ちます。
外装の表示は一見するとプリントされたように見えますが、手で触ってみると僅かな凹凸で刻印されているように感じます。製造国(日本)やエディションナンバー、シリアルナンバーなどの情報あり。
ハンズオン
50mm F2クラスのレンズとしては大きめ・重めですが許容範囲内。適度な質量感が得られ「所有する喜び」を刺激されるものとなっています。レンズのデザインは好みが分かれるかもしれませんが、個人的にはアリ。外装はマットな塗装が施され、傷や指紋や付きにくくなっています。ただし、光沢のあるデコレーションリングの部分は指紋が付きやすい。
前玉・後玉
レンズ前面も金属パーツを採用。専用のマグネット式金属キャップに適合するための独特な形状。他社は前面にレンズ名やフィルターサイズをプリントすることもありますが、シグマレンズの前面はシンプル。白字プリントは光りを反射することもあるので、シグマのデザインが好ましいと考えています。
フィルターサイズは58mm径に対応。Eマウントレンズ数あれど、58mm径は少ないです。I Seriesでも58mm径を採用しているのは35mm F2のみ。C-PLやNDフィルターは個別に揃えるか、ステップアップリングで対応する必要あり。
真鍮製レンズマウントは4本のビスで固定されています。周囲には簡易防塵防滴用のシーリングあり。カメラへの装着はシーリングの摩擦でやや固め。最後尾のレンズ周辺は反射防止のために黒塗りされ、不要な光を反射するパーツは無いように見えます。
フォーカスリング
金属製のフォーカスリングをレンズ先端に配置。ソニー純正レンズと比べると抵抗感のある操作性で、パナソニックLUMIX Sレンズに近い印象。ソニーEマウントにおけるレスポンスは「ノンリニア」で、回転速度に応じてピント移動距離が変化。それでも、素早く回転した場合に全域を操作するストロークは約180度と長め。ゆっくり回転すると2~3回転以上のストロークで微調整が可能。
絞りリング
しっかりとした抵抗感のあるクリック付き絞りリングを搭載。フォーカスリングよりも回転動作に力が必要で、誤操作の心配はなし。静止画用としては気持ちの良い使い勝手です。ただし、Artシリーズやソニー純正レンズと異なりクリックを解除することは出来ません。クリックの抵抗感が強いので、動画撮影中に絞りリングを操作するとフレームがずれたり、操作音が発生する可能性が高い。
スイッチ類
左側面にはAF/MF切り替えスイッチを搭載。一般的に切り替えスイッチは光軸に対して平行(前後スライド)ですが、このレンズは上下に切り替えるデザインを採用しています。AF時は空白部分が白色表示される効果的なデザイン。左手親指で操作しやすい位置・抵抗感となっています。
レンズフード
本体に負けず劣らずの質感が得られる金属製レンズフードが付属。ソニーZAレンズのようなスタイリッシュな印象ではありませんが、本体のデザインや自社製カメラ(fp)のデザインを考慮するとこれが最適解なのかもしれません。レンズフードは逆さ付けに対応しているものの、フォーカスリングへのアクセスができません。
装着例
α7R Vに装着。50mm F2としては大きめですが、バランスは良好。フロントヘビーではなく、片手での保持も簡単です。グリップとレンズの間には十分な空間があり、撮影時の体勢でフォーカスリングや絞りの操作も容易。良質な撮影体験が得られるレンズです。
AF・MF
フォーカススピード
フォーカスレンズの駆動にはステッピングモーターを採用。十分に高速と言える程度のフォーカス速度で動作します。サードパーティー製レンズらしく、AF-SとAF-Cで動作速度が異なり、瞬発力を重視する場合はAF-Cがおススメ。また、動画撮影にも適した滑らかで静かなAFを実現しています。
ブリージング
ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指します。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となります。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離・無限遠で撮影した結果が以下の通り。
標準レンズの多くが目立つフォーカスブリージングであり、このレンズも例外ではありません。最短撮影距離と無限遠で画角の変化が目立ちます。ソニー純正レンズと異なりフォーカスブリージング補正に対応していないので、画角の変化に対応するのは難しい。
精度
α7R Vやα7 IVと組み合わせた限りでは問題なし。
MF
前述したとおり、ストロークの長いフォーカスリングで精度の高いマニュアルフォーカスが可能です。一方で、スナップ撮影のように素早いピント操作が求められるシーンには不向き。そのような用途ではAFに切り替える必要があります。
まとめ
シグマ I Seriesらしく、とても良好な作りの50mm F2レンズです。外装の作りをはじめ、フォーカスリングや絞りリングの操作性も良く、抵抗感やレスポンスを含めて良く考えられていると感じました。オートフォーカスは最新のリニアモーター駆動と比べると見劣りしますが、一般的な撮影で不満を感じることは無いでしょう。
外装のデザインは好みが分かれるかもしれませんが、個人的には(真ん中のデコレーションリングを除いて)アリ。α7シリーズに最適とは言えませんが、SIGMA fpにはよく合うデザインじゃないのかなと。
光学性能はテスト中ですが、今のところは非常に良好。解像性能はF1.4 Artに近い結果が得られ、諸収差の補正状態も悪くありません。欠点を挙げるとすると、標準単焦点としては一般的な目立つフォーカスブリージングが見られること。特にソニー純正と比べて電子的な補正に対応していないので、動画撮影では厄介な問題と感じるかもしれません。
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作例
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