このページではキヤノンの一眼レフカメラ「EOS 90D」のセンサー解像性能をフルサイズミラーレス「EOS R」を交えながらのテスト結果とレビューを掲載しています。
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EOS 90Dの解像性能テスト
2019年秋に登場したキヤノン製一眼レフカメラ「EOS 90D」は新開発の3250万画素APS-Cセンサーを搭載しています。これは同じAPS-Cフォーマットセンサーの中では最も高い解像性能となっています。他社を含めて1世代前まで2400万画素が主流であり、中には2000万画素のカメラがあったことを考えると3250万画素がとても高解像なセンサーであると言えるでしょう。
その一方、1画素あたりの占有面積が狭くなり、フルサイズで言うところの7600万画素くらいの密度となっています(キヤノンAPS-Cは他社と比べて少しセンサーが小さいのでもう少し高密度かも…)。その結果、ISO感度ノイズや回折の影響などで不利となることが予想できます。今回はそのような影響がどのように現れるか検証してみたいと思います。
単焦点で90Dの真価を発揮する
「恐らく純正EF-Sレンズの中では最も高解像で高画素センサーと相性の良いレンズ」と考えEOS 90Dと同時に調達したのが「EF-S35mm F2.8 マクロ STM」。国内外のレビューでも評価が高いレンズだったので、EOS 90Dを買ったら使おうと思っていました。近距離解像チャートとの相性が良いマクロレンズと言うこともあり、今回の検証には最適な一本と言えるでしょう。いつもの解像力チャートを使ってテストした結果が以下の通り。滅茶苦茶解像するレンズであることが判明しました。
このナイスなレンズについては後日じっくりとレビューしましょう(今回の主なテーマはEOS 90Dのセンサーについてなので)。
テスト結果を確認すると「センサーの性能を十分に活かせる解像性能を持つレンズ」であることが分かります。今回のテスト結果は同じ3000万画素センサーのフルサイズミラーレス「EOS R」と「RF35mm F1.8 IS マクロ STM」を組み合わせた際の解像性能とほぼ一致しており、特にF2.8~F4の絞り値ではこの組み合わせを上回る解像性能を発揮しています。
ご覧のように、中央解像はEOS Rよりも良好で、周辺解像性能も非常に良好でEOS R以上の結果を出しています。レンズ次第では3250万画素の解像性能はが伊達じゃない事が分かりました。
ただし絞った際は回折による画質への影響が顕著に表れ、特にF11以降は目に見えて解像性能が低下しEOS Rに逆転されてしまいます。マクロレンズは被写界深度を深くするため絞るシーンが多いものの、F8以上に絞る時は注意が必要です。
今回使用したチャートテストの結果を実際のイメージで比較してみましょう。
(今回はレンズの解像性能比較では無いため、RF35mm F1.8の絞り開放は割愛しています。)
やはりF8以降で影響が出始め、F16?F22で顕著となっています。EOS Rとの差は1段程度と言ったところでしょうか?APS-Cとフルサイズセンサーの関係を考えると1段差はやむなし、むしろそれ以上の差は無いと言えるかもしれません。
回折を避けて被写界深度を深くしたいときはF5.6~F8に抑えてフォーカスブラケットで深度合成を利用するのも一つの手。
キットレンズは90Dの解像性能に耐えうるのか?
単焦点レンズが高性能であるのは当然として、EOS 90Dのキットレンズである「EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS USM」はEOS 90Dの解像性能に耐えうるレンズなのか?と言うことで該当レンズを調達してテストを実施しました。中古レンズなので個体差があるかもしれませんが、実写で特に目立った問題は見当たらなかった個体です。
単焦点と比べると見劣りするものの、個人的には悪く無い結果かなと思います。中央は絞り開放からそこそこ良好な解像性能を発揮しており、四隅はやや甘いもののF5.6~F8では良好なパフォーマンスを発揮しています。数値で言えば「2500本」を超えたあたりから良像と言える画質なので、十分実用的なレンズキットと言えるでしょう。
EOS RのF4Lズームレンズと見比べてみると…。
思っていたよりもかなり良いという印象。ただし、これは近接解像テストの結果なので遠景ではF4Lがもう少し良くなる可能性あり。トップスピードは敵わないものの、F5.6~F11の絞り値では満足のいく画質のように感じます。やはりF16~F22における回折の影響は大きいので注意する必要あり。
注意:このキットレンズは広角側の四隅がそもそも甘い(2000?2400万画素でも甘く感じるレベル)なので18?23mmあたりを使うと上記のような印象を受けないかもしれません。
ISO感度ノイズの影響
今度はF値をスウィートスポットに設定し、ISO感度別の解像力を測定。測定に用いる領域はパフォーマンスの安定した中央領域をチョイス。縦軸は機種によって若干ムラがあるので横軸方向への推移に注目してください。
(RAWをLightroom CCを使いシャープネス0・カラーノイズ初期設定・ノイズ低減オフで現像)
EOS 90Dがベストのパフォーマンスを維持しているのはISO100?400付近。ISO800から徐々にノイズの影響を受け始め、ISO3200でワンランク画質が低下し、ISO12800以降は避けたほうが良い画質となっています。(ISO 25600はどう頑張っても測定不能だったので「0」表記しています)
その反面、EOS RはISO100からISO3200まで良好な解像性能を維持。ISO6400においても顕著なディテール損失は無く、ISO12800~ISO25600でも実用的なパフォーマンスを発揮しています。
EOS 90Dの3250万画素のパフォーマンスを活かすのであれば、ISO1600程度までに抑えると良いでしょう。それ以降は徐々に画質が低下するため、出来るのであれば三脚や大口径レンズの使用でISO感度を維持するのがおススメ。
今回は「ISO感度が解像性能に及ぼす影響」のみを数値化しています。色再現性も重要なポイントだと思うので、別の機会でチェックしてみる予定。
雑感:低感度番長・レンズ次第でハイパフォーマンス
…と言うのは言い過ぎかもしれませんが(高感度もAPS-Cとして良好な部類なので)、最も高いパフォーマンスを期待するならISO400程度までに抑えると良い感じ。「出来ることならISO400、次のラインがISO1600、許容範囲はISO6400」と言った具合に抑えたいところ。低感度に抑えることが出来れば、”レンズ次第で”フルサイズEOS RやEOS 5D Mark IVを上回る解像性能を得られるのは間違い無さそうです。
問題はそのレンズ。
特にキヤノンEF-S専用レンズは純正・社外製ともに新製品・リニューアルの製品投入が少なく、光学設計の古いモデルが多いです。古いレンズでも単焦点レンズならば3250万画素に耐用出来るかもしれませんが、ズームレンズはかなり厳しいかも。シグマ「18-35mm F1.8 DC HSM」「50-100mm F1.8 DC HSM」あたりは良いかもしれませんが、大きく重く、ちょっぴり高価なレンズなので悩ましい。特に四隅までシャープな画質を得たいと思ったら、イメージサークルが大きく画質に余裕のあるフルサイズ用を使うのも一つの手。
今回使用した機材
EOS 90D ボディー | |||
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EOS 90D EF-S18-135 IS USM レンズキット | |||
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EOS R | |||
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