パナソニック「LUMIX S 100mm F2.8 Macro」のレビュー第四弾を公開。接写時は良好ですが、撮影距離が長い場合は四隅で悪目立ちする可能性あり。他の100mmマクロと比べると少し見劣りするポイント。
LUMIX S 100mm F2.8 Macroのレビュー一覧
- LUMIX S 100mm F2.8 Macro レンズレビュー 完全版
- LUMIX S 100mm F2.8 Macro レンズレビューVol.6 周辺減光・逆光編
- LUMIX S 100mm F2.8 Macro レンズレビューVol.5 諸収差編
- LUMIX S 100mm F2.8 Macro レンズレビューVol.4 ボケ編
- LUMIX S 100mm F2.8 Macro レンズレビューVol.3 遠景解像編
- LUMIX S 100mm F2.8 Macro レンズレビューVol.2 解像チャート編
- LUMIX S 100mm F2.8 Macro レンズレビューVol.1 外観・操作・AF編
Index
前後ボケ
綺麗なボケ・騒がしいボケとは?
ボケの評価は主観的となりがちですが、個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくない(もしくは個性的な描写)と定義しています。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人もいることでしょう。参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルが以下のとおり。描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によるもの、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向があります。
実写で確認
前後の質感にほとんど違いのないニュートラルな描写。よく見れば前ボケのほうが少し滑らかに見えますが、実写でこの差を識別するのは難しいはず。色収差は良好に補正され、前後とも影響はほとんどありません。
玉ボケ
口径食・球面収差の影響
口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまいます。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法がありません。しかし、絞るとボケが小さくなったり、絞り羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じて口径食を妥協する必要あり。
口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが可能。できれば口径食の小さいレンズが好ましいものの、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要があります。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。
球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。
実写で確認
少なくとも大きなボケが得られる場合、縁取りが少なく滑らかな描写。非球面レンズの影響と思われる玉ねぎボケがうっすらと見えますが、コントラストが高いイルミネーションのようなシーンでなければ目に付きません。
ヴィネッティング(口径食)はやや目立ちますが、小型軽量なマクロレンズとしては想定の範囲内。むしろ大きく重いニコンZよりも軽微。
ボケが小さくなる場合、縁取りが硬くなり、フレーム端では色収差などの影響が強くなります。状況によっては少し騒がしくなる可能性あり。
ボケ実写
至近距離
小動物や植物などを撮影する場合、後ボケは大きくなり、全体的に描写は良好。色収差の影響も少なく、目障りな印象は全くありません。残存するヴィネッティングはF4まで絞ると解消します。
近距離
撮影距離が少し離れた場合でも良好な描写を維持。ヴィネッティングはやや目立つようになりますが、色収差や縁取りは弱い。悪目立ちしない描写。F4まで絞るとヴィネッティングはほぼ解消します。
中距離
撮影距離がさらに長くなると、ヴィネッティングはさらに目立ちます。酷い描写ではありませんが、縁取りと色収差が僅かに目に付き始めます。気になる場合はF4まで絞って調整可能。
ポートレート
全高170cmの三脚を人物に見立て、絞り開放(F2.8)で距離を変えながら撮影した結果が以下の通り。全身をフレームに入れる撮影距離でも中央は悪くない描写。ただし、周辺部や隅は色収差やヴィネッティングの影響が目立ち、状況によっては少し騒がしい見た目と感じるかもしれません。
上半身くらいまで近寄ると周辺部や隅の描写は改善します。それでも隅が悪目立ちする場合は0.5~1.0段ほど絞って調整するのがおススメ。バストアップから顔のクローズアップではF2.8から気兼ねなく使える印象。
まとめ
近距離やマクロ撮影では概ね良好で満足のいく描写。色収差や縁取りなどが少なく、特にこれと言って不満はありません。ヴィネッティングは近距離でも強めですが、特に問題ない場合が多いはず。中距離では後ボケが少し騒がしくなりますが、コントラストの高い背景を周辺や隅に配置しなければ特に悪目立ちしません。玉ボケが多く発生する状況では避けたほうが良さそう。そのような場合は絞りを少し閉じるのがおススメです。非球面レンズの影響による、いわゆる「玉ねぎボケ」はゼロと言えません。しかし、目立つ機会は少なく、コントラストの高いイルミネーションシーンでもほぼ問題なし。それよりもヴィネッティングや強めの縁取りが問題となる可能性が高い。マクロレンズとしては許容範囲内に仕上がっていると思います。ポートレートレンズとして使えないこともないですが、その場合は少し接近したほうが良好な結果が得られるかもしれません。撮影距離が長めの場合が多く、ボケを重視するのであれば、競合するシグマやニコン、キヤノンのほうが良好。
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