Olympus/OMDS関連の情報 OLYMPUSレンズ カメラ レンズ 機材の噂情報・速報 機材レビュー 管理人レビュー

M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO レンズレビューVol.1 外観・操作・AF編

「M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO」のレビュー第一弾 外観・操作・AF編を公開。マイクロフォーサーズ用の標準単焦点としは大きく重いものの、F1.2としてはキビキビとしたAFで、金属鏡筒かつ防塵防滴で堅牢なレンズでした。

簡易的なまとめ

マイクロフォーサーズ用の標準単焦点としては最高級のAFレンズ。F1.2の大口径、金属鏡筒、防塵防滴、キビキビとしたAFなど、価格に見合う仕様の製品となっています。個人的に指紋の付きやすい外装の塗装が好きではないものの、欠点を挙げるとしたらそのくらい。

レンズサイズ・重量もトップクラスですが、F1.2の大口径や19枚ものレンズを使った光学設計を考慮すると許容範囲内。ただし、大きなカメラボディと組み合わせないとバランスが悪いのは確か。

MFフォーカスクラッチ構造はAF/MFを素早く切り替えることができるので便利。誤操作の原因と感じる場合はカメラ側で機能をオフにすることも可能。(ただし、対応しているのは新しい機種のみだったはず)

This is the highest-grade AF lens available as a standard prime lens for Micro Four Thirds. With a large F1.2 aperture, metal barrel, dust and splash resistance, and responsive AF, it offers specifications that justify its price. Personally, I'm not a fan of the exterior finish, which tends to show fingerprints, but that's about the only drawback I can think of. The lens size and weight are also top-notch, but considering the large F1.2 aperture and the optical design using 19 lenses, it is within an acceptable range. However, it is definitely unbalanced when paired with a large camera body. The MF focus clutch mechanism allows for quick switching between AF and MF, which is convenient. If you find it prone to accidental operation, you can disable the function on the camera side. (However, this feature is only available on newer models.)

M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PROのレビュー一覧

まえがき

2016年に登場したオリンパス製のマイクロフォーサーズ用交換レンズ。同社は歴史的な銘玉の「レンズの味」を定量的に検証し、「美しくにじむボケ」と解像力を高次元で両立したレンズと言及。絞り開放の光学性能を重視した他社の大口径レンズとは一線を画すコンセプトの製品。

そのコンセプトを実現するために、驚くほどレンズの構成枚数が多く、マイクロフォーサーズ用の標準レンズとしては大きく重く、そして高価な製品となっています。

ちなみに、オリンパスロゴは生産完了品となり、現在はOM SYSTEMロゴの製品に切り替わっています。商品コードが異なるため、ショッピングモールなどで探すときは注意が必要です。

主な仕様

レンズ構成は14群19枚。10群11枚の20mm F1.4や、7群9枚の25mm F1.8と比べると光学レンズの仕様枚数が遥かに多い。例えば、フルサイズ用の他社レンズで最も使用枚数が多いのは「NIKKOR Z 50mm f/1.2 S」で15群17枚。本レンズはZ 50mm F1.2よりも構成枚数が多い。おそらく、標準レンズで最もレンズ枚数が多い製品と言えるのかもしれません。

レンズマウント マイクロフォーサーズ
対応センサー 4/3
焦点距離 25mm
(35mm判換算50mm相当)
レンズ構成 14群19枚
開放絞り F1.2
最小絞り F16
絞り羽根 9枚
最短撮影距離 0.3m
最大撮影倍率 0.11倍
(35mm判換算0.22倍相当)
フィルター径 Ø62mm
手振れ補正 -
テレコン -
コーティング Z Coating Nano
サイズ Ø70 x 87mm
重量 410g
防塵防滴 対応
AF MSC
絞りリング -
その他のコントロール MFクラッチ
付属品 レンズフード(LH-66B)
レンズキャップ(LC-62F)
レンズリアキャップ(LR-2)
レンズケース(LSC-0811)
取扱説明書、保証書

価格のチェック

2016年での初値は12.8万円。現在の実勢価格は物価上昇など様々な影響から15万円前後まで上昇しています。キャッシュバックキャンペーンなどを絡めて購入すると、13万円くらいまで安くなる可能性あり。マイクロフォーサーズ用レンズとしては高価な製品に違いありませんが、複雑な光学設計・レンズ構成枚数などを考慮すると妥当な値付けなのかもしれません。(コストパフォーマンスは別として)

M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO OM SYSTEM版
OM SYSTEM ストア
楽天市場 Amazon キタムラ Yahoo
ビックカメラ マップカメラ ECカレント eBEST
メルカリ キタムラで中古在庫を探す
M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO Olympus版
楽天市場 Amazon キタムラ Yahoo
ソフマップ icon e-BEST ノジマ PayPay
メルカリ キタムラで中古在庫を探す

外観・操作性

箱・付属品

アウトレット品を購入したので2016年発売当時のデザイン。黒を基調として、焦点距離の数字が大きくプリントされています。現在のOM SYSTEM版はエコパッケージとなっているので、OM-1 Mark IIなどと同様

レンズ本体のほか、レンズフード、レンズポーチ、説明書・保証書が付属します。

外観

フォーカスリングまで金属製のしっかりとした外装(L-Fnボタン周辺のみ樹脂製)。高級感のある作りですが、光沢のある塗装は指紋など油汚れが目立ちやすく、傷ついた際に剥がれやすい。同じ金属製でもLEICA DGシリーズのほうが個人的には好み。

ミラーレス用AFレンズとしては珍しく、ピント距離指標や被写界深度指標を備えています。(後述)
ブランドカラーとなるブルーリングや、フォーカスリング直後のグレーのリングなど、最近のレンズと比べると主張が強め。特に前述した光沢のある塗装が目立ちやすい。

ハンズオン

全長87mm、重量410g。マイクロフォーサーズ用の標準単焦点としては最も大きなAFレンズです。F1.2の大口径と複雑な光学設計を考慮するとサイズ・重量は順当。

ハイグレードなAPS-C用F1.4レンズや、フルサイズ用F1.8レンズよりも重い。同程度のレンズサイズで19枚ものレンズと金属鏡筒、防塵防滴を詰め込んでいるので、当然と言えば当然の重量でしょうか。凝集され、塊感のあるレンズです。

OM-1やG9など、グリップの大きなボディと組み合わせる場合には問題ありません。PENやGXなど、比較的コンパクトなカメラと組み合わせる場合はアンバランス。

前玉・後玉

マイクロフォーサーズ用のレンズとしては珍しい62mm径フィルターに対応。防塵防滴仕様ですが、フッ素コーティング処理されていないため、前面に水滴や油汚れが付着しやすい環境では保護フィルターを装着しておきたいところ。

Amazonで62mmフィルターを探す

金属製レンズマウントは4本のネジで本体に固定されています。マウント面には「Maide in Japan」の記載あり。オリンパス・OM SYSTEMの生産工場はベトナム(OM Digital Solutions Vietnam Co., Ltd.)に存在するため、少なくとも別の会社に生産委託している可能性が高い。

フォーカスリング

金属製の幅広いフォーカスリングを搭載。やや緩めの抵抗感で滑らかに回転します。ピント移動距離はリング回転速度に依存します。ゆっくり回転した場合はピント全域を移動するのに1.5回転ほど必要。素早く回転すると、180度ほどで操作可能。動作は滑らかで操作しやすい。被写界深度指標を備えていますが、通常モードでは利用しません。

フォーカスリングクラッチ

フォーカスリングを手前にスライドすると、AFモードからMFモードへ素早く切り替えることができます。この際、リングと鏡筒の間に距離指標が現れ、指標で指定されたピント位置にフォーカスが移動します。0.3mの最短撮影距離から無限遠まで90°のストロークで操作可能。回転速度に依存せず、リニアで再現性の高い操作に対応しています。

カメラ側で「リニア」「ノンリニア」に応答性を設定変更できる製品が増えてきましたが、レンズ側で操作を切り替えることができる製品は珍しい。オリンパス・OM SYSTEM PROシリーズの特徴と言えるでしょう。

ボタン

レンズ側面にL-Fnボタンを一つ搭載。機能はカメラ側でカスタマイズできます。
AF/MFスイッチはありませんが、MFクラッチを操作することで代用可能。

レンズフード

円筒形のシンプルなレンズフードが付属。フィルター操作窓などはありません。逆さ付け可能ですが、この際はフォーカスリングがほぼ隠れてしまいます。

装着例

OM-3に装着。重量的なバランスは悪くないものの、グリップが無いと保持し辛いレンズ重量であるのは確か。基本は左手でレンズを支えて撮影することになると思います。OM-1 Mark II やG9M2であれば問題ありません。

AF・MF

フォーカススピード

MSCという名のステッピングモーター駆動。F1.2の大口径レンズながら、フォーカスはキビキビと動作。ボイスコイルモーター駆動ほど電光石火ではないものの、大部分の撮影で十分なフォーカス速度。フレーム隅を使用しても問題ありませんでした。

S-AFでは合焦直前にコントラストAFのような挙動(ピント位置が前後に微動)が混じり、C-AFでは位相差AFのように最後まで滑らかに合焦します。

ブリージング

ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指します。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となります。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離・無限遠で撮影した結果が以下の通り。

極端ではないものの、撮影位置によって画角が少し変化します。最短撮影距離側ではなく、無限遠側で変化が大きく、素早いピント移動では目立つ可能性あり。

精度

OM-3・OM-1 Mark IIとの組み合わせで問題ありませんでした。再現性の高いAFが可能。ただし、絞り開放付近は像面湾曲の影響があるため、パンフォーカスを得にくい。遠景を撮影する場合はF4くらいまで絞ったほうが良いでしょう。

MF

リニア・ノンリニアの2種類に対応し、全体的に滑らかで応答性の高い操作が可能。

まとめ

マイクロフォーサーズ用の標準単焦点としては最高級のAFレンズ。F1.2の大口径、金属鏡筒、防塵防滴、キビキビとしたAFなど、価格に見合う仕様の製品となっています。個人的に指紋の付きやすい外装の塗装が好きではないものの、欠点を挙げるとしたらそのくらい。

レンズサイズ・重量もトップクラスですが、F1.2の大口径や19枚ものレンズを使った光学設計を考慮すると許容範囲内。ただし、大きなカメラボディと組み合わせないとバランスが悪いのは確か。

MFフォーカスクラッチ構造はAF/MFを素早く切り替えることができるので便利。誤操作の原因と感じる場合はカメラ側で機能をオフにすることも可能。(ただし、対応しているのは新しい機種のみだったはず)

では実際の描写はどうか?
現在テストですが、メーカーが主張する「美しくにじむボケ」は間違いありません。ピント面の適度なコントラストを維持しながら、球面収差による柔らかい微ボケが得られるのが特徴的。柔らかいボケのレンズは他にいくらでもありますが、撮影距離による描写の振れ幅が小さく、解像度とボケのバランスを維持したレンズは貴重。

気を付けておきたいのは、「解像度を極めたレンズ」「ボケを極めたレンズ」どちらでもないこと。両方を高水準にまとめていると感じますが、(球面収差の影響が強い)夢のようなボケが得られるわけでもなく、F1.2で目の覚めるようなシャープネスが得られるわけでもありません。

ソニーGMやシグマArtなど、他社の高級レンズを「解像性能を重視しつつもボケが綺麗」と評価するならば、このF1.2 PROは「柔らかいボケを重視しつつも解像性能が高い」という感じ。防塵防滴やAFなどの使い勝手の良さも加味しつつ、ボケ寄りにバランスを取った製品。

ボケの質感に重点を置いているので、低照度でF1.2の大口径を活かすシーン(夜景・天体)とは相性が抜群とは言えません。レンズ構成が多く透過率が低いため(T1.8くらいと予想)、大口径ながら「光量を稼ぎやすいレンズ」とも言えません。あくまでもボケの質感を高めた汎用性の高いレンズです。

F1.2の大口径レンズですが、被写界深度の浅さ(ボケのサイズ)はフルサイズのF2.4相当(画角とフレーム上の被写体のサイズを揃えた場合)。単純に大きなボケを期待する場合はフルサイズ用の50mm F1.8やマイクロフォーサーズ用の45mm F1.8を購入したほうがコストパフォーマンスは良好。

逆にF2.4相当の被写界深度(ピントの合う範囲が広い)で柔らかいボケが得られるフルサイズ用レンズは多くありません。絞り開放でも被写体にピントを合わせやすく、かつ後ボケが滑らかで綺麗。少し深めの被写界深度で絶妙なバランス。

長々と書きましたが、個人的には描写の特性と使い勝手の良さ、そして被写界深度の深さから唯一無二のレンズ。ただ、万人が価格ほどの価値を見出せるかというと、そうでもないのかなと。

購入早見表

このような記事を書くのは時間がかかるし、お金もかかります。もしこの記事が役に立ち、レンズの購入を決めたのであれば、アフィリエイトリンクの使用をご検討ください。これは今後のコンテンツ制作の助けになります。

M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO OM SYSTEM版
OM SYSTEM ストア
楽天市場 Amazon キタムラ Yahoo
ビックカメラ マップカメラ ECカレント eBEST
メルカリ キタムラで中古在庫を探す
M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO Olympus版
楽天市場 Amazon キタムラ Yahoo
ソフマップ icon e-BEST ノジマ PayPay
メルカリ キタムラで中古在庫を探す

作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

関連レンズ

関連記事

-Olympus/OMDS関連の情報, OLYMPUSレンズ, カメラ, レンズ, 機材の噂情報・速報, 機材レビュー, 管理人レビュー
-,