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OMDS「M.ZUIKO ED 60mm F2.8 Macro」レンズレビュー 諸収差編

OMデジタルソリューションズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro」のレビュー第四弾を公開。今回は色収差や歪曲収差など、諸収差のテスト結果と評価を掲載しています。

まえがき

レンズのおさらい

レンズ概要

  • 2012年10月 5日?発売
  • 商品ページ
  • データベース
  • 管理人のFlickrアルバム
  • レンズ構成:10群13枚(EDレンズ、HRレンズ2枚、E-HRレンズ)
  • 開放絞り:F2.8
  • 最小絞り:F22
  • 絞り羽根:7枚(円形絞り)
  • 最短撮影距離:0.19m
  • 最大撮影倍率:1.0倍
  • フィルター径:φ46mm
  • レンズサイズ:φ56 x 82mm
  • 重量:185g
  • ステッピングモーター駆動
  • AFリミッター搭載
  • 防塵防滴
  • レンズフード別売り

2012年発売のマイクロフォーサーズ用マクロレンズ。パナソニック「LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm/F2.8 ASPH./MEGA O.I.S.」次いで設計の古いマクロレンズながら、価格.comで売れ筋No.1を独走する人気モデルで、カメラ専門店でも「納期未定」と書かれるほどの品薄っぷり。新型コロナウイルスでマクロレンズが良く売れるようになったと言われていますが、このレンズも例外では無い模様。

焦点距離は60mmでフルサイズ判換算で120mmの画角をカバーする望遠マクロ。現行のマイクロフォーサーズ用設計のマクロレンズとしては焦点距離が最も長く、プロ・アマチュアを問わず愛用している人は多いはず。
さらに、数あるマクロレンズの中でも防塵防滴仕様はこの60mm F2.8 Macroのみ。撮影環境を選ばずにマクロを撮りたい場合は選択肢がコレしかないのです。(ロードマップ上には望遠PROマクロが存在します)
残念ながらレンズフードは別売りのため、前玉保護、遮光性の観点から購入しておくことをおススメします。

撮影倍率は1.0倍。「M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 Macro」の1.25倍には及びませんが、フルサイズ判換算で2倍までクローズアップ出来るので十分な撮影倍率と言えるでしょう。
フォーカス駆動にはステッピングモーターを使用しているので静かで滑らかな動作を実現。MFはバイワイヤ式となるので直感的な操作は難しいですが、回転速度に応じて動作するので微調整は簡単。

価格のチェック

最安値は4万円?5万円で推移。30mm F3.5 Macro25mm F1.845mm F1.8と比べると少し高価ですが、驚くほどの価格差ではありません。7万円超のLEICA DG 45mm F2.8と比べると安い安い。ただし、スライド式レンズフードは別売りのため、追加投資4000円程度は確保しておきたいところ。

M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro
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像面湾曲

像面湾曲とは?

ピント面が分かりやすいように加工しています。

中央から四隅かけて、ピントが合う撮影距離が異なることを指しています。例えば、1mの撮影距離において、中央にピントが合っていたとしてもフレームの端では1mの前後に移動している場合に像面湾曲の影響が考えられます。

最近のレンズで目立つ像面湾曲を残したレンズは少ないと思いますが、近距離では収差が残存している場合もあります。ただし、近距離でフラットな被写体を撮影する機会は少ないと思われ、像面湾曲が残っていたとしても心配する必要はありません。

無限遠でも影響が見られる場合は注意が必要です。風景など、パンフォーカスを狙いたい場合に、意図せずピンボケが発生してしまう可能性あり。この収差は改善する方法が無いため、F値を大きくして被写界深度を広げるしか手段がありません。

参考:Wikipedia 像面湾曲

実写で確認

特にこれと言った問題は無いように見えます。

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレーム四隅に現れる色ずれです。絞り値による改善効果が小さいため、この問題を解決するにはカメラボディでのソフトウェア補正が必要となります。ボディ側の補正機能で比較的簡単に修正できます。

参考:Wikipedia 色収差

実写で確認

絞り値全域で倍率色収差の影響は見られません。全体的に良好な補正状態ですが、絞り開放側で最も良好となり、最小絞り側で僅かに色収差の影響が強くなっているように見えます。どちらにせよ、大きく拡大しても問題となる可能性は低い。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれを指しています。手前側で主にパープルフリンジとして、奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差です。簡単な後処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えて欲しいところですが、大口径レンズでは完璧に補正できていないことが多いです。

参考:Wikipedia 色収差

実写で確認

絞り開放で僅かに色づいているようにも見えますが、基本的には問題ありません。高コントラストな撮影シーンでも軸上色収差が目立つ機会は少ないはず。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに「歪む」収差です。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすい。主に魚眼効果と似た形状の「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。

参考:Wikipedia 歪曲収差

実写で確認

ミラーレス用レンズはしばしば歪曲収差がデジタル補正に依存した設計となっていますが、このマクロレンズは光学的に歪曲収差が綺麗に補正されています。光学的にゼロに近い収差に抑えられているので、追加の補正は必要無いように見えます。

コマ収差

コマ収差とは?

コマ収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないことを指しています。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日などが影響を受ける場合があります。後処理が出来ないため、光学的に補正する必要がある収差。絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞り開放のコマ収差補正が重要となります(絞るとシャッタースピードかISO感度に影響があるため)。

参考:Wikipedia コマ収差

実写で確認

絞り開放から全体的に良好であり、コマ収差の影響は四隅の端においても極僅か。点光源が多い夜景などでも、絞り開放から快適に利用することが出来ます。

今回のおさらい

これと言った欠点が無く、全体的に良好な補正状態のレンズです。マクロ撮影をはじめ、風景・建築物・夜景・ポートレートなど、幅広いジャンルに不足なく対応できると思います。良好な補正状態は「味気ない描写」と言えなくもないですが、マクロレンズとしては収差を抑えた理想的な光学性能と言えるでしょう。

この価格帯では珍しい、フローティングタイプ(なんと3つの駆動系)のインナーフォーカスに対応しており、接写時にも安定した収差補正が期待できるのはGood。寄って良し、引いて良しの万能望遠マクロとして活躍が期待できます。

購入早見表

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