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NIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VR レンズレビュー Vol.4 ボケ 編

ニコン「NIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VR」のレビュー第四弾を公開。今回は前後のボケ質差や玉ボケの形状と絞り羽根の影響、撮影距離を変化した場合のボケ質などをチェックしています。

NIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VRのレビュー一覧

前後ボケ

綺麗なボケ・騒がしいボケとは?

ボケの評価は主観的となりがちですが、個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくない(もしくは個性的な描写)と定義しています。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人もいることでしょう。参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルが以下のとおり。描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によるもの、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向があります。

実写で確認

基本的には前後でボケ質の差が少ないニュートラルな描写。ただし、よく見てみると、後ボケが僅かに滑らか。

玉ボケ

口径食・球面収差の影響

口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまいます。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法がありません。しかし、絞るとボケが小さくなったり、絞り羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じて口径食を妥協する必要あり。

口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが可能。できれば口径食の小さいレンズが好ましいものの、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要があります。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。

球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。

180mm

縁取りが目立たない綺麗な描写です。ここ最近の同クラスは良好な描写のレンズが多く、区別化できるような強みではないものの、少なくとも欠点とは感じません。軸上色収差による色づきも僅か。このサイズのボケであれば口径食が小さく、フレーム全域で良好。

300mm

基本的に180mmと同じ傾向。

600mm

描写は他の焦点距離と同じですが、広角や中間域と比べると口径食が少し強めに発生します。大きなボケとなる場合は問題ありませんが、ボケが小さくなる(撮影距離が長い場合)と隅に向かって玉ボケが変形しやすくなります。以下に作例を掲載。

ボケ実写

全高170cmの三脚を人物に見立て、各焦点距離の絞り開放で撮影した結果が以下の通り。

180mm

「180mm F5.6」らしく、ボケは得られますが大口径ズームと比べるとかなり小さい。微ボケの領域が広く、やや硬めで縁取りがあり、少し騒がしく感じるかもしれません。ただ、過度に目立つ縁取りが発生している訳ではなく、色収差の影響も僅か。

600mm

開放F値は6.3ながら、焦点距離が600mmと非常に長いのでボケは得やすい。やはり微ボケが騒がしい場合もありますが、ボケが大きくなりやすいので目立ちません。

サンプル

鳥の直後に防護ネットあり。微ボケとなり、やや2線ボケの兆候が見られます。撮影距離が長い場合でも背景をぼかすことが出来ます。溶けるように滑らかな描写ではありませんが、超望遠ズームレンズとしては許容できるボケ質に見えます。比較的近距離。猫など小動物を600mmで撮影する場合は大きなボケが得られます。この際は滑らかで綺麗、口径食も少なく、使い勝手が良好。

まとめ

ボケが硬調でざわつく領域は間違いなくあるものの、実写で気になる撮影シーンは少ないと感じました。大部分は滑らかで綺麗なボケが得られます。野鳥や野生動物など、撮影距離が長くなるシーンでも、ボケが荒れる部分はごく僅か。口径食はゼロと言えませんが、遠距離でも良く抑えられているように見えます。ボケの縁取りも悪目立ちするほど強くなく、被写体を背景から分離する際に厄介な描写とはなりにくい。(可能性はゼロではない)単焦点レンズの水準を期待することはできません。しかし、最近の600mmズームレンズとしては互角か、それ以上で戦うことが出来るのではないかなと。(ソニー200-600・シグマ150-600・タムロン150-500の使用経験を元に)

購入早見表

作例

オリジナルデータはFlickrにて公開。

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