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ニコン NIKKOR Z 50mm f/1.4 レンズレビューVol.3 解像チャート編

ニコン「NIKKOR Z 50mm f/1.4」のレビュー第三弾 解像チャート編を公開。近距離では絞り開放や周辺・隅の性能低下が目立ち、S-LineやZ MCと比べると見劣りする結果となりました。

本日のおさらい

S-LineやZ MCと比べると近距離の解像性能が低めのレンズです。特に絞り開放における性能低下が顕著で、中央なら2段、周辺や隅を考慮するなら3段くらいは絞りたいところ。中央ならば開放から「十分な性能」と言えなくもないですが、高解像センサーを活かせるほどの性能ではありません。ただし、中央は絞ることで非常に良好な結果を得ることが可能。

Compared to the S-Line and Z MC, this lens has lower resolution performance over short distances. The performance drop-off is particularly noticeable at maximum aperture, and you should stop down the aperture by at least two stops in the center and by at least three stops in the periphery and corners. While it is not impossible to say that the lens has “sufficient performance” in the center at maximum aperture, it is not enough to make the most of high-resolution sensors. However, it is possible to achieve very good results by stopping down the aperture in the center.

NIKKOR Z 50mm f/1.4のレビュー一覧

解像力チャート

撮影環境

テスト環境

  • カメラボディ:Z 8
  • 交換レンズ:NIKKOR Z 50mm f/1.4
  • パール光学工業株式会社
    【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)
  • オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
  • 屋内で照明環境が一定
  • 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
  • RAW出力
  • ISO 64 固定
  • Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
    ・シャープネス オフ
    ・ノイズリダクション オフ
    ・色収差補正オフ
    ・格納されたレンズプロファイル(外せない)
  • 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
    (像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェック)
  • 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)

補足

今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性あり。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。

テスト結果

「絞り開放からピークの性能」と言うわけにはいかず、レンズのパフォーマンスを最大化するためには2~3段絞る必要があるようです。絞ると急速に改善し、優れた結果を得ることが可能。S-Lineと比べるとクラシカルな傾向のあるF1.4ですが、少なくとも絞った際の中央はとても良好。

その一方で周辺や隅は開放で非常にソフト、絞っても大幅に改善することはありません。遠景のテストで良好な結果が得られていることを考慮すると、近距離で収差が変動し、パフォーマンスが低下しているものと思われます。絞りや撮影距離によって表情の変わるレンズと考えておいたほうが良いでしょう。

中央

絞り開放ではややソフトでコントラストも低め。F2まで絞ると改善傾向が見られ、F2.8で大幅に向上します。ベストを尽くすのであれば、少なくとも2段絞り、3段絞りがおススメ。

周辺

中央と比べると遥かにソフトで、F2まで絞っても少し甘さの残る描写。シャープな結果を得るためには少なくともF2.8まで絞りたいところ。F4でさらに改善しますが、中央に追い付くことはありません。

四隅

周辺から隅にかけて極端な低下は無いものの、周辺と同じくソフトな描写。F2.8-4で改善しますが、比較してややソフト。

数値確認

中央 周辺部 四隅
F1.4 3201
F2.0 3771 2983 2782
F2.8 4549 3370 3078
F4.0 4706 3713 3187
F5.6 4419 3545 2981
F8.0 4133 3642 3175
F11 3953 3195 3007
F16 3332 2883 2533

実写確認

競合レンズとの比較

低価格で小型軽量なZ 40mm F2と比べると隅のパフォーマンスが良好。ただし、近距離に特化したZ MC 50mm F2.8マクロほど高性能ではありません。そして、S-LineのZ 50mm F1.8ほど絞り開放がシャープではなく、周辺や隅の差が大きい。近距離で解像性能を優先する場合はZ MCやS-Lineを選択するのが賢明。

 

まとめ

S-LineやZ MCと比べると近距離の解像性能が低めのレンズです。特に絞り開放における性能低下が顕著で、中央なら2段、周辺や隅を考慮するなら3段くらいは絞りたいところ。中央ならば開放から「十分な性能」と言えなくもないですが、高解像センサーを活かせるほどの性能ではありません。ただし、中央は絞ることで非常に良好な結果を得ることが可能。必要十分と言えばそう。
F1.4レンズを近距離で使う際に解像性能を重視する人はそう多くないと思います。どちらかと言えば滑らかなボケ質など、官能的な描写に重点を置くことでしょう。近距離の性能が低いからと言って過度に心配することはありません。絞り値や撮影距離によって表情が変わるレンズと考えると、それはそれで面白いレンズ(安定感がないとも言えますが)。

とはいえ、大きなボケと切れ味のあるピント面を重視するのであれば、「NIKKOR Z 50mm f/1.8 S」や「NIKKOR Z MC 50mm f/2.8」を検討することをお勧めします。

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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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