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NOKTON Classic 40mm F1.4 S.C VM レンズレビューVol.4 諸収差編

コシナ フォクトレンダー「NOKTON Classic 40mm F1.4 S.C VM」のレビュー第四弾を公開。欠点はいくつか存在するものの、絞りで調整しやすく、扱いの簡単なレンズという印象。

NOKTON Classic 40mm F1.4 S.C VM のレビュー一覧

像面湾曲

像面湾曲とは?

ピント面が分かりやすいように加工しています。

中央から四隅かけて、ピントが合う撮影距離が異なることを指しています。例えば、1mの撮影距離において、中央にピントが合っていたとしてもフレームの端では1mの前後に移動している場合に像面湾曲の可能性あり。

最近のレンズで目立つ像面湾曲を残したレンズは少ないものの、近距離では収差が増大して目立つ場合があります。と言っても、近距離でフラット平面の被写体を撮影する機会は少ないと思われ、像面湾曲が残っていたとしても心配する必要はありません。

ただし、無限遠でも影響がある場合は注意が必要。風景など、パンフォーカスを狙いたい場合に、意図せずピンボケが発生してしまう可能性あり。この収差は改善する方法が無いため、F値を大きくして被写界深度を広げるしか問題の回避手段がありません。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

像面湾曲は良く抑えられているように見えます。ただし、フレーム全体の画質を整えるためにはかなり絞る必要があります。

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレームの周辺部から隅に現れる色ずれ。軸上色収差と異なり、絞りによる改善効果が小さいので、光学設計の段階で補正する必要があります。ただし、カメラ本体に内蔵された画像処理エンジンを使用して、色収差をデジタル補正することが可能。これにより、光学的な補正だけでは難しい色収差の補正が可能で、最近では色収差補正の優先度を下げ、他の収差を重点的に補正するレンズも登場しています。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向あり。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

フレーム隅でわずかな色収差が残存。顕著な影響ではないので、カメラ側の補正で綺麗に修正可能。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれ。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられます。F1.4やF1.8のような大口径レンズで発生しやすく、そのような場合は絞りを閉じて改善する必要があります。現像ソフトによる補正は可能ですが、倍率色収差と比べると処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えておきたいところ。ただし、大口径レンズで軸上色収差を抑える場合は製品価格が高くなる傾向があります。軸上色収差を完璧に補正しているレンズは絞り開放からピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できます。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

前後のボケに色づきははっきりと表れます。とはいえ、より高価な大口径レンズで、より強い色づきのレンズも数多く見てきました。このレンズは小型軽量でシンプルな光学系としてはよく補正されています。F2-2.8まで絞ることで、軸上色収差を抑えることが可能。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうこと。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすく、魚眼効果のような「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。

参考:ニコン 収差とは

比較的補正が簡単な収差ですが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となります。

実写で確認

わずかな樽型。建築物や屋内など直線的な物体がフレーム周辺になければ目立ちません。

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないこと。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要あり。

参考:ニコン 収差とは

絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる場合もあります。

実写で確認

絞り開放付近には極端なほどの収差が残存。少し絞る程度では解消しません。完全に抑える場合はF4~F5.6まで絞る必要があります。

球面収差

前後のボケ質に明らかな差が生じるほどに収差が残存。テストした撮影距離では硬い後ボケと柔らかい前ボケとなっていますが、撮影距離によって大きく変動します。球面収差がやっかいと感じた場合はF2.8まで絞ると安定します。

まとめ

欠点は欠点として、間違いなく存在する光学系。しかし、その欠点は理解しやすく、絞りで調整可能な範囲に抑えられています。絞りでの調整が難しい像面湾曲や倍率色収差、歪曲収差などは(まずまず良好に)補正された状態。球面収差やコマ収差は間違いなく本レンズの欠点ですが、裏を返せば個性的な長所にもなる。個性が邪魔をする場合は絞りを数段絞れば大人しい描写となる。扱いが簡単なレンズ。

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