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NOKTON Classic 40mm F1.4 S.C VM レンズレビューVol.1 外観・操作編

コシナ フォクトレンダー「NOKTON Classic 40mm F1.4 S.C VM」のレビュー第一弾を公開。今回はレンズの外観や操作性についてレビューしています。

NOKTON Classic 40mm F1.4 S.C VM のレビュー一覧

まえがき

2004年に発売されたライカMマウント用レンズ。35mmよりも画角が狭く、50mmよりも広い、「40mm」と絶妙な焦点距離でF1.4の大口径をカバー。ニュートラルな色調を目指した「M.C.(マルチコート)」版と、クラシカルな色調を再現した「S.C.(シングルコート)」の2種類が用意されており、販売価格に差はありません。現在はより複雑な光学設計の「NOKTON 40mm F1.2 Aspherical」が登場しているので、本レンズは「Classic」を冠したクラシカルな描写の味わいを特徴とするレンズに分類されています。比較的して手頃な価格を実現しており、気軽に標準大口径レンズを試してみたい人にとって面白い選択肢となることでしょう。

  • 公式ウェブサイト
  • データベース
  • 発売日:2004年4月10日 発売
  • 初値:¥44,155
  • マウント:VM
  • フォーマット:フルサイズ
  • 焦点距離:40mm
  • レンズ構成:6群7枚
  • 開放絞り:F1.4
  • 最小絞り:F16
  • 絞り羽根:10枚
  • 最短撮影距離:0.7m
  • 最大撮影倍率:不明
  • フィルター径:43mm
  • 手ぶれ補正:-
  • テレコン:-
  • コーティング:不明
  • サイズ:55.0×29.7mm
  • 重量:175g
  • 防塵防滴:-
  • AF:MF限定
  • その他:-

6群7枚の比較的シンプルな光学系を採用しており、非球面レンズなどは使用していません。最短撮影距離が0.7mと長いため、小さな被写体を撮影するには不向き。ただし、ミラーレスカメラで使用する際はクローズフォーカスに対応するアダプターを使用することで0.7mよりも短い距離での撮影が可能となります。

価格のチェック

物価が高騰する2023年以前では3万円台後半と非常に安く入手が可能でした。現在でも販売価格は4万円台前半と手頃な価格を維持しており、MマウントレンズでF1.4レンズを気軽に使ってみたい人にとって最初の選択肢になると思います。

外観・操作性

箱・付属品

箱のデザインは従来通り黒を基調としたものにレンズ名や外観などが描かれています。箱を開けようとすると、フォクトレンダーが掲げた信条である「…weil das Objektiv so gut ist(レンズがとても良いから)」を見ることができます。レンズ本体は発泡スチロールの緩衝材に包まれた状態で収納。同梱品は説明書と前後のキャップのみ。レンズフードは別売りのため、必要であれば買い足しておきましょう。

外観

本体は金属とガラスの塊。
総金属製のコンパクトな鏡筒に40mm F1.4 光学系が詰め込まれています。小型軽量なレンズであるため、フォーカスリングや絞りリングは小さめ。

ピント位置や絞り値などの表示は単なるプリントではなく、刻印したうえでペイントが施されています。製造国は日本。カラーリングはブラックに加えて先端のみシルバー。ツアイスZMレンズとよく似たデザインとなっていますが、マウント指標のカラーリングは青ではなく赤。

ハンズオン

F1.4の大口径ながら手のひらサイズ。ポケットに突っ込んでおけるコンパクトなレンズです。サイズを考慮すると(金属とガラスの塊らしく)重量感があるものの、苦にならない程度に収まっています。

前玉・後玉

正面から見ると、シルバーカラーの金属製フィルターソケットに囲まれた凸型の前玉を確認できます。周囲にはレンズ名がプリントされ、「S.C.」のみ青色の表示。おそらくコーティングで反射する色の成分を表しているのかなと(青みが抜けて少し黄色に偏る印象)。

フッ素コーティングなどは施されていないため、水滴や油汚れなどダメージが想定されるシーンでは保護フィルターを装着しておいたほうが事後のメンテナンスが容易。シングルコートレンズにマルチコートのフィルターを装着することで影響がどの程度あるのかは不明。

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金属製レンズマウントは3本のビスで固定。ライカMレンズのような6bitコードはなく、カメラと通信する手段はありません。全群繰り出し式フォーカスのため、ピントリングを操作することで後玉を含めて光学系が前後に移動します。

フォーカスリング

金属製で幅の狭いフォーカスリングを搭載。グリップを改善するためにフォーカシングレバーを搭載しており、カメラを支えた状態の左手で操作しやすくなっています。リングの抵抗感は適度であり、誤操作を防ぎつつ、微調整しやすいトルクでの操作が可能。リングのストロークはピント全域で90度を少し超える程度。最短撮影距離が0.7mであることを考慮すると十分に長いと言えるでしょう。

絞りリング

レンズ先端には小さな絞りリングを搭載。グリップはないに等しいので、指のかかりを改善するためのレバーを二か所に配置。リングは1/2段ごとにクリックストップがあり、適度な抵抗感でしっかりと固定されます。一部のフォクトレンダーレンズのようなクリック解除機能はありません。

ケラレ耐性

43mmフィルターが手元にないので明言できません。ざっと試した限りでは、少なくともフィルターソケットの縁から1cmほどはケラレが無いように見えます。(F16まで絞って無限遠で確認しました)複数枚のフィルターを重ね付けしても問題はなさそう。

レンズフード

レンズフードが別売りで、個人的には角型フードが良かったので社外製を購入。今回はHaogeの角型フードを購入しました。35mmに対応するレンズフードなので、40mmでは問題なく利用できます。

フードは金属製で、フィルターソケットへのねじ込み式ではなく、純正品と同じくフードマウントに装着するタイプ。良好な作りで、しっかりとレンズに固定することが可能。

装着例

今回はTZM-02アダプター経由でニコン「Z 8」「Z f」に装着。TZM-02アダプターとの組み合わせても違和感はほとんどなく、見た目を大幅に損なうことはありませんでした。カメラのサイズによってはフォーカスリングを操作しづらいと感じるかもしれません。

ブリージング

ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指します。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となります。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離・無限遠で撮影した結果が以下の通り。

スライドショーには JavaScript が必要です。

全群繰り出し式フォーカスということもあり、ピント位置によってリニアに画角が変動します。画角変化は目立ちますが、マニュアルフォーカスしづらいと言うほどのものではありません。

まとめ

新品でも4万円ちょっとで購入することができる「40mm F1.4」として面白いレンズ。少なくともレンズの作りは良好で、フォーカスリング・絞りリングの操作性は悪くありません。

最新のフォクトレンダーと比べるといくらか安っぽいですが、価格を考えると妥協できる範囲内。最短撮影距離が0.7mは少し長いと感じるものの、古いレンジファインダー用レンズとしては一般的な最短撮影距離だと思います。 肝心のレンズ描写はと言うと、普通によく写ります。「Classic」だからと言って、絞り開放が低コントラストと言うわけではありません。シングルコートでも逆光耐性は悪くなく、オールドレンズのような広範囲に広がるフレアや特徴的なゴーストが得られるわけでもありません。比較して中国製の安価なMFのほうがフレアやゴーストの影響を受けやすいくらい。コシナ自身が言及しているように、色調がクラシック寄り(やや黄色?)になるのがS.C.の特徴なのかなと。ただ、色調はデジタルカメラ側のWBや仕上がり設定によって大きく異なるので実感しづらいかもしれません。基本的には、マルチコート版と同じように使えるレンズだと思います。

そのほか、レンズの光学性能についてはこれから徐々にテストしていきたいと思います。

購入早見表

作例

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