OM SYSTEM「OM-1」のレビュー第二弾を公開。今回はTruePic Xで一新されたメニューシステムについてチェックしています。
OM-1のレビュー一覧
- OM SYSTEM OM-1 徹底レビュー 完全版
- OM SYSTEM OM-1を使いやすくするためのカスタマイズ解説
- OM SYSTEM「OM-1」徹底レビュー Vol.5 ダイナミックレンジ編
- OM SYSTEM「OM-1」徹底レビュー Vol.4 オートフォーカス編
- OM SYSTEM OM-1を一か月使って感じた良いところ・悪いところ
- OM SYSTEM「OM-1」徹底レビュー Vol.4 ISO感度ノイズ編
- OM SYSTEM OM-1で野鳥を撮影する
- OM SYSTEM「OM-1」徹底レビュー Vol.3 連写・ドライブ編
- OM SYSTEM OM-1に最適なSD UHS-IIカードはどれか?
- OM SYSTEM「OM-1」徹底レビュー Vol.2 メニュー編
メニューシステム
見た目はスタイリッシュでカッコいいものの、実際に使ってみると「おや?」と首をかしげるポイントが多い。
撮影メニュー1
撮影に関する基本的な設定が集まっている(AFと動画を除く)。このため、カテゴリーが多く、8ページ構成で46項目の設定にアクセスすることが可能だ。従来はカスタマイズメニューに存在した項目の多くがこちらに移動しているので、従来のOM-Dユーザーは目的の設定を見つけるまで時間がかかると思う。
旧メニューのように、第二層のカテゴリを判断する色・文字の表示は全くないので、第三層の設定項目を見ながらページを行き来することになる。このあたりのデザインは旧メニューシステムのほうが良かった。ただし構成は間違いなく良くなっている。
- 基本設定/画質
カスタムモードの登録や保持設定の変更が可能。そのほかにRAWとJPEGの出力設定やアスペクト比などを変更できる。さらに従来のカスタムメニュー「G」ページに配置されていた一部の機能がココへ移動している。 - ピクチャーモード/WB
ピクチャーモードのプリセットや、ホワイトバランスに関する設定を変更可能だ。ホワイトバランスは従来のカスタムメニュー「G」ページから移動している。Artフィルターはピクチャーモードにまとめられているが、ニコンのピクチャーコントロールほど自由度は高くない。 - ISO/ノイズ低減
ISO感度の上限下限の設定や、低速限界などの調整が可能。さらに高ISO感度のノイズリダクションや低ISO感度時の解像優先などを設定できる。 - 露出
従来はカスタムメニュー「E」ページで、測光と共にまとめられていた項目が独立した。フリッカーや露出ステップ、基準値調整なども設定可能だ。 - 測光
これまではカスタムメニュー「E3」にまとめられていた機能群だ。さらに「AEL」ボタンが独立したことで、AELの便利な機能が追加されている。 - フラッシュ
カスタムメニュー「F」の機能群に加えて、バウンス調光設定などが追加されている。 - ドライブモード
シャッター方式や連写速度などの設定にアクセスすることができる。従来は撮影メニュー2やカスタムメニューに分散していた項目がまとまっているので非常に使いやすい。電子先幕モードである「低振動撮影」や電子シャッターモードである「静音撮影」の設定を素早く調整できる項目が新たに追加されている。 - 手ぶれ補正新機能として「手振れ補正アシスト」を利用可能だ。シャッター半押し時に、画面中央に手振れを示すインジケーターが表示される。これは半押し時・露光中も表示されるので手振れを抑える目安になると思う。
撮影メニュー2
この「撮影メニュー2」タブには特殊な撮影機能がまとめられている。ハイレゾショットやライブNDなどコンピューショナルな合成写真に加え、各種ブラケットやインターバル撮影機能がある。目新しい機能は無いが、全体的に使い勝手が良くなり、合成処理も高速化しているのでお世話になる機会は間違いなく増えると思う。
- コンピューショナル撮影
OM SYSTEM独自のハイレゾショットやライブNDをはじめ、深度合成や多重露光に対応している。深度合成は従来までブラケットにまとめられアクセスし辛かった機能だが、今回は第2層から選択することができ、マイメニューにも登録可能だ。OM-1は新プロセッサによる合成処理が非常に速いため、これらの機能を使う機会は増えると思う。 - ブラケット撮影
従来は「ブラケット」からさらに下の階層で調整が必要だった機能群が第2層にまとめられ、アクセスしやすくなっている。ブラケットを多用している人は朗報だ。 - その他の撮影機能
インターバル撮影やライブコンポジット・ライブバルブなどの機能にアクセスできる。以前のライブコンポジット設定項目はカスタムメニュー「E」ページにあったりしてメニュー画面を行き来する必要があったことを考えると最適化されている。
AFメニュー
- AF1
カスタムメニュー「A」に含まれていたいくつかの機能がまとめられている。フォーカスモード関連のページだ。シャッターボタン半押し時の動作をC-AF/S-AFで切り替えることも可能となっている。 - AF2
AF補助光や被写体・顔/瞳検出に関連した設定項目がまとめられている。相変わらずC-AF時のクラスター表示は初期設定でオフとなっているので、「AFターゲット表示」の設定で「on2」に切り替える必要がある。
顔検出のオンオフは従来のようなターゲットモードで切り替えることが出来なくなってしまった。このため、素早く切り替える際はスーパーコンパネを使ったり、ショートカットボタンを配置するする必要がある。なお、被写体検出と顔/瞳検出は全く別のシステムであるため、ショートカットボタンは個別に二つ必要だ。 - AF3
C-AFのカスタマイズやAFリミッター・AFスキャンの調整が揃っている。状況に応じて設定を変える必要性が高い項目が多く、アクセスする頻度が多い。その割に3ページ目となっているので、通常のメニューから設定項目にたどり着くのは不便と感じる。必要に応じてマイメニューを積極的に活用したい。 - 動画AF
特にこれと言って大きな変更点は無い。 - AFターゲットの設定/操作
フォーカスエリアに関連した設定項目が揃っている。特にAFターゲットモード設定はデザインが切り替わっているので慣れが必要だ。カスタムターゲットモードにはアクセスし辛くなったように感じる。なぜ通常のターゲットモードと統合したのか小一時間問い詰めたい。
相変わらずマルチセレクター押し込みで「中央に戻る」機能は存在しない。このため、HOME登録で疑似的に「中央に戻る」設定を記憶させておく必要あり。 - MF
MFやFMFアシストに関連した機能が揃っている。
動画メニュー
- 基本設定/画質
コーデックや画質モード、P/A/S/Mなどの設定項目が揃っている。OM-1はオリンパス系譜のカメラとしては初めて10bit 4K 60p動画に対応した。ただし、10bitを利用できるのはH.265時のみ。さらに4K動画時にALL-Iを選択することは出来ない。同時期に登場したLUMIX GH6と比べると自由度はかなり低い。 - ピクチャーモード/WB
動画専用のピクチャーモードにアクセス可能だ。Flat、OM-Log400、HLGを使用可能である。 - ISO/ノイズ低減
ISOとノイズリダクション関連の設定項目が揃っている。 - 手ぶれ補正
動画撮影時の補正方式と補正強度を選択可能だ。2項目しかないので、ISOページと統合しても良かったのでは? - 録音/接続
従来通りの録音機能とHDMI関連の項目が揃っている。 - 撮影アシスト
センターマーカー、ゼブラ、赤枠表示機能がある。
再生メニュー
特筆すべき項目が無いので割愛する。高速連写に対応しているので、そろそろ連写時のグループ表示機能が欲しいところだ。
- ファイル
- 操作
- 表示
カスタマイズメニュー
- 操作
従来のカスタマイズメニュー「B」にあたる機能が揃っている。ボタンカスタマイズは静止画と動画に分かれており、さらに動画モードではシャッターボタンを使い録画開始することも出来るようになった。また、ダイヤル設定の中にはメニューにおけるリアコマンドダイヤルの循環設定が追加されている。 - 操作
その他操作に関する設定項目の寄せ集め。このメニューシステムにおいて、「メニューカーソル設定」は重要となっているので目を通しておきたい。 - ライブビュー表示
ライブビューに関連した項目が揃っている。従来のカスタマイズメニューで言えば「D」に当たるページだ。従来の機能に加え、「ナイトビュー」や「自分撮りアシスト」が追加されている。 - info表示
3ページ目と同じく、従来の「D」にあたる機能が揃っている。「シャッター半押し時の表示/水準器表示」機能が追加されている。 - 撮影のその他
ガイド線やマルチFnの設定を変更することが可能。従来通りガイド線の色は自由に変更することが可能だ。さらにファインダー・動画専用のガイド線を細かく設定できるようになっている。
セットアップメニュー
- カード/フォルダ/ファイル
カードのフォーマットやスロット設定など。これと言って目新しい項目は無いが、どちらもSD UHS-II対応スロットとなったので、バックアップやリレー時にボトルネックの心配がなくなっている。 - 情報記録
従来通りレンズ情報として2つのボディキャップレンズが登録されている。 - モニター/音/接続
モニター/EVFの輝度や色の調整が可能だ。記憶が正しければ、従来まではモニターの輝度/色調整のみで、ファインダーは調整できなかったはず。HDMI出力は4K 60pまで対応している。 - Wi-Fi/Bluetooth
無線通信接続に関連した設定項目が集まっている。新発売の無線リモコンとペアリングする機能もこのページにある。電源オフ時のバックグラウンド通信は初期設定で「オフ」となっているので、常時接続を利用したい場合は「スマートフォンの接続設定」からバックグラウンド通信に関する設定の変更が必要だ。 - 電池/スリープ
従来通り、バッテリー残量や劣化度を確認することができ、低消費電力モードなどもこのページに揃っている。 - リセット/日時/言語/その他
従来通り。
マイメニュー
E-M1Xで初導入され、E-M1 Mark IIIにも存在したマイメニューはOM-1でも健在。通常のメニュー画面でRECボタンを押すことで任意の機能をマイメニューに登録できる仕組みは秀逸だ。登録できる機能は「5ページ」×「7行」=「35項目」である。特に使う頻度が多い機能やページが入り組んでいる場所にある機能を登録しておきたい。メニューボタンで優先的にマイメニューからスタートできる設定もある。(カスタマイズメニュー2 メニューカーソル設定)
まとめ
おそらく、既存のOM-DユーザーがOM-1に乗り換えたら、新メニューシステムに慣れるまで時間がかかると思われる。レイアウトが変わり、構成が変わり、操作性まで変化している。OM-1を初めて手に取ったら、まずはメニューシステムをざっと確認したほうが良いと思う。
メニュー構成は間違いなく改善していると感じるものの、操作性は賛否が分かれる可能性が高い。垂直から水平構造へと切り替わり、第2層の各ページはスライドして確認するまでカテゴリの区別がつかないのは改善が必要だ。おそらくキヤノンを意識したメニューシステムのデザインだと思うが、個人的には従来通り垂直のメニュー構造を維持しつつ、構成を変えればよかったように感じる。とは言え、メニューシステムが変わった以上、これに慣れるしかない。
部分的に設定機能のデザインにも手が加わっている。ソニーはBIONZ XRプロセッサ導入にあたって新構造のメニューシステムを採用したが、一つ一つの設定項目は従来通りだった。比較してOM-1の新メニューは手が込んている。フォントも見やすく好印象だ。
しかし、右手だけで操作できないコントロールや、ダイヤル操作が必須な素早いタブ切り替えなど、粗削りな部分が多々ある。このあたりは今後のファームウェアアップデートで改善することを期待したい。
参考情報
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