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OM SYSTEM OM-1で野鳥を撮影する

OM SYSTEM「OM-1」で野鳥を撮影した際のインプレッションを記事として公開。今回は撮影時のAF性能や連写性能、そして操作性についてレビューしています。

OM-1のレビュー一覧

OM-1 AFのおさらい

OM SYSTEM OM-1は4/3フォーマットの積層型CMOSセンサーを搭載したマイクロフォーサーズシステムのカメラだ。従来の2016年から使い続けていた121点クロスタイプの像面位相差AFに対応していた2000万画素センサーではなく、クアッドピクセル方式でセンサー全域のクロスタイプAFに対応した新しいイメージセンサーである。

クアッドピクセルによるクロスタイプAFシステムは各社が特許で実用案を挙げているが、実際にミラーレスで商品化したのはOM-1が初めてである。他社は位相差検出用の画素を水平に配置しており、基本的には縦線の検出が可能だが、横線の検出には対応していない。OM-1のクロスタイプAFは全域で縦線・横線の検出が可能だ。

測距点は最大で1053点まで分割可能だ。グループエリアは1~165点まで柔軟に変更でき、さらに最大4枠のカスタムターゲットグループモードに対応しており、AFフレームを39×27でカスタマイズできるほか、移動ステップ数を1~5・1~8で調整することが出来る。ここまで柔軟にAFエリアをカスタマイズできるカメラは他に無い。
ちなみに初期設定のAFグループ「シングル」は1点AFだが、ステップが刻まれているので微妙なAFエリアの移動に適していない。細かく調整したい場合はカスタムモードで「1×1(サイズ)」+「1×1(ステップ)」と設定したエリアを作る必要がある。

OM-1は機械学習による被写体認識機能に対応しており、モータースポーツや航空機、鉄道など乗り物に加えて鳥や犬・猫などの動物も検出可能だ。従来は「C-AF+TR」時のみ有効だったが、このカメラはどのAFモードでも利用可能である。

被写体認識

OM-1は被写体認識「鳥」に対応しているので早速使ってみた。被写体が小さく、遮蔽物で見えづらくなっている場合でも、まずまず良好に被写体を認識する(合焦するとは言っていない)。撮り手が気が付く前に隠れている野鳥を検出する場合もあり恐れ入った。

ただし奇跡は期待しないほうが良い。
検出は途切れやすく、途切れた瞬間から通常のAFグループに戻ってしまう。例えば「シングル」と被写体認識を組み合わせた場合、途中で被写体検出が途切れると元のシングルエリアでAFが動作し、被写体からピントが外れてしまう可能性が高い。これによりピントを外したと思われるミスショットが多々見られた。検出が外れやすい環境・被写体であれば、認識機能はオフにしておいたほうが良いかもしれない。

被写体認識が度々使えなくなるようなシーンは、機能をオフにしておくのが無難だ。予め被写体認識をオフにするボタンを割り当てておくと素早く切り替えることが出来る。被写体認識が途切れやすく、ピントが迷いがちなシーンは、機能をオフにして1点AFなどで対応したい。

また、被写体認識の信頼性にも疑問が残る。被写体を検出中にも関わらず、前景にピントを合わせる傾向が強く、ピントが乗り移っていることが多々ある。信頼のおけないシステムだ。
被写体検出時の白枠はあくまでも検出枠であり、AF測距点とは異なる点に気を付ける必要がある。特に検出枠の周辺に前景があると、それに引っ張られる可能性が高い。初期設定のままだと分かりづらいが、メニューの「AFターゲット表示」を「On2(初期設定はOn1)」に切り替えることで視覚的に判断できるようになる。

C-AF+TR

C-AF+TRは他社で言うところのロックオンAFや追従AFに似た機能だ。追従を開始したフレームにある被写体をフレーム全域で追い続けることが出来る。この機能を使うと、被写体認識の検出が外れてしまったとしても、外れた地点からC-AF+TRに切り替わって追従を再開してくれる。追従範囲は基本的にセンサー全域で、ターゲットグループの設定は反映されない。

被写体認識との組み合わせで便利かもしれないが、C-AF+TRの追従性能に過信は禁物だ。従来機と比べてC-AF+TRの基本性能が改善したとは感じない。つまり、他の物体にAFエリアが乗り移りやすく、特に前景に引っ張られやすい傾向が見られる。遮蔽物が何もないシーンでは使いやすいかもしれないが、状況によっては役立たずと化す。特にこの時期の「桜+鳥」のようなシーンは苦手と感じた。諦めて1点AF+被写体認識を使うのがおススメである。

連写速度

追従連写時に50fps、AF/AE固定連写時に120fpsまでRAW出力が可能だ。追従50fps時は対応レンズが限られているものの、RAW出力に対応した追従AFの連写速度としては貴重な存在である。特に野鳥の撮影では瞬間的なシャッターチャンスが多く、連写速度の恩恵を受けやすいシチュエーションだと感じた。従来機で20fpsまでしか追従連写に対応していなかったことを考慮すると、OM-1の連写性能は非常に優れている。上手いことAFが食いつけば、従来機では撮りづらかったシーンもしっかりとピントを掴むことが出来る点には驚いた。

50fpsが速すぎると感じた場合は設定から連写速度を低下させることが可能だ。OM-1ではブラックアウトフリーを維持しながら25fpsでの連写にも対応している。ただし、SH2の選択肢は「25fps」「50fps」の2択のみ。個人的には30-40fpsあたりで、もう一つの選択肢が欲しかった。

バッファなど

OM-1はRAWで90~100コマ程度のバッファを備えているが、高速連写モードと組み合わせるとあっという間に底をついてしまう。バッファフル後はSD UHS-IIへの書き込み速度に依存するが、書き込み速度が速いカードでも秒10枚程度しか処理できない。特に高速連写を何度も利用するような場合は連写設定から「連写速度」「枚数リミッター」などを調整して無駄うちを抑えたほうが良いだろう。それに無駄うちが減ることで撮影後の整理や処理も楽になる。

撮影後の整理に関して言えば、SH2やプロキャプチャーモードで撮影した後に発生する大量のミスショットの処理が非常に面倒くさい。他社の一部カメラは連写時の写真を1グループとしてまとめることが可能で、それをボタン一発で削除可能だ。OM-1の場合、ミスショットと思われる写真を一つ一つ選択しながら消すしかない。この手間を考えると50fpsの高速連写を気軽に使えないのが悩ましいところ。是非ともファームウェアアップデートで改善していただきたい。

プロキャプチャーモード

シャッター半押し中から内部的に記録が始まり、全押し前の最大70枚まで遡って記録可能となるモードだ。これを利用することで、鳥の飛翔シーンなどはかなり撮りやすくなる。従来は35枚まで遡れたが、OM-1では倍の70枚まで遡ることが出来る。つまり、50fpsで連写したとしても、1秒前まで遡ることが可能だ。さらにOM-1は追従AFで50fpsのプロキャプチャーモードを使用できるため、飛翔シーンはめっぽう強くなったと感じる。

とは言え、プリ連写枚数「70枚」をフルに使ってしまうと、バッファの大部分がプリ連写に食われてしまう。場合によって無駄うちも増えるので、自身の反射神経や撮影環境と照らし合わせながら「プリ連写枚数」「枚数リミッター」を調整するのがおススメだ。個人的に「桜+鳥」のシーンでは「プリ連写20枚」「枚数リミッター40枚」くらいで丁度良かった。

操作性

まず確認しておきたいのがAFターゲットモード設定。前述した通り、自由度が高いので、自身の撮影環境に合わせて幅広くカスタマイズが可能だ。被写体認識を考慮した際のベストな組み合わせをじっくりと考えたい。「桜+鳥」の場合は、特に小さなサイズでステップ数を大きく刻んだモードが便利だった。

撮影用の設定はほぼ固定できるので、カスタムモードに登録しておくことで簡単に呼び出すことが可能だ。ボタンカスタマイズでボタンを使った一時呼び出しも可能だが、「カスタムモード」同士の行き来には対応していない(例 C1→C3など)。
例えば、プロキャプチャーモードで待機中にシングルショットで撮影したい状況がある場合、P/A/SMモード時にシングルショットの設定を記憶しておき、プロキャプチャーモード用の設定をカスタムモードに記憶しておくと便利である。

ボタンカスタマイズを活用することで、撮影時に素早く設定を変更することが可能だ。特にあると便利と感じた機能は以下の通りである。

  • カスタムモード撮影
  • 被写体検出
  • AFリミッター

このほか、指定した連写設定やAFモードにボタン一発で切り替える機能があると尚良かった。直前に連写したひとまとまりの写真群を削除できる機能もあると便利そうな気がする。

まとめ

追従AF/AEの50fps RAW連写は間違いなく重宝する。これを利用できるカメラは他に無く、OM-1の強みと言えるだろう。瞬間的なシャッターチャンスを撮影するのにこれほど適したカメラは存在しない。
さらにカメラの被写体認識とAF性能、そしてレンズのフォーカス性能の組み合わせで応答性が非常に高く、電光石火のフォーカスが可能となっている。素早く動く被写体をクローズアップしたとしても、それに食いついていけるだけのポテンシャルはあると感じた。

これだけのパフォーマンスを備えたカメラが20万円台で購入可能だ。高速性・AF性能が必要であれば面白い選択肢になると思う。他社を探しても、このような連写性能とAF性能を兼ね備えたカメラを20万円で手に入れるのは難しいはずだ。

ただし、AFシステムはまだまだ要改善と感じる部分が多い。被写体検出は敏感ながら途切れやすく、通常のAFモードとの繋がりが非常に悪い。特に改善が見られないC-AF+TRの挙動は論外で、被写体検出の断続的なサポートが無ければまともに追従することが出来ない。
それでも前述したレスポンスは非常に高速であり、魅力的だ。シャッター半押しした瞬間にAFエリアに合焦し、瞬間的なシャッターチャンスで被写体をしっかり掴むことが出来た。他社のAPS-Cやフルサイズではカメラやレンズの性能で「追いつかない」ようなシーンでも、OM-1と40-150mm F2.8 PROでそのような「遅さ」は感じなかった。

これまで言及してきたような「使いこなし」を楽しめないのであれば、素直に主要メーカーのフルサイズミラーレスを検討したほうが良いだろう(ただし高価でシステムサイズが大きく重い)。
それでもOM-1に魅力を感じるとしたら、連写性能やプリ連写、粗削りながらもレスポンスの良いAF性能だ。運転が非常に難しいスポーツカーのようなカメラである。

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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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