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OM-D E-M1Xを使いこなす 外観レビュー編

このページではオリンパスのハイエンドモデル「OM-D E-M1X」の外観や操作性についてレビューしています。

このページの要点

  • マイクロフォーサーズ最大級のボディサイズ
  • 随所にみられる従来機種との相違点(改善・変更)
  • 価格を考慮すると気になるポイントがやや多い

OM-D E-M1X外観レビュー

デザイン

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大きさ(幅×高×奥) 144.4x146.8x75.4mm
質量 (CIPAガイドライン) 997g
質量 ボディのみ 849g

全体的なデザインはOM-D E-M1 Mark IIを踏襲していますが、縦位置グリップ一体型のデザインはトップエンドモデルらしいマッチョな姿。

マイクロフォーサーズのカメラボディとしては最大級。その重量はOM-D E-M1 Mark IIにバッテリーグリップ「HLD-9」を装着した時よりも重く、フルサイズ一眼レフに近い。

おかげさまでグリップのサイズと形状はミラーレスの中ではトップクラス。とても持ちやすく、実際にグリップしてみるとボディの重量はあまり気にならなかったりする。大口径望遠ズームや超望遠ズームレンズなどを装着した時の安定感は最も良好。

とは言え、マイクロフォーサーズ用交換レンズでこのグリップサイズを必要とするレンズはかなり限られる。その一部のレンズもOM-D E-M1 Mark II+HLD-9でなんとかなる。

正直に言うと、縦位置グリップでは無く、強化された手振れ補正ユニットが収まるくらいにボディサイズを大きくしたE-M1 Mark IIタイプでも良かった。

カメラバッグへの収納性・出し入れはとてもじゃないが褒められない。

その一方でカメラの堅牢性や質感はバッチリ。壊れる気がしない。

カメラグリップ

カメラサイズは置いておくとしてグリップは一級品。

フルサイズミラーレスのEOS RやNikon Z 7もなかなか良いグリップ感でしたが、コレと比べるとそうでも無かった。

前後のコマンドダイヤルとレリーズボタンの配置はグリップ状態で操作しやすく違和感が全くない。

フロントダイヤルはE-M1 Mark IIと違いボディ埋没式ですが、配置そのものはE-M1 Mark IIと似ており想像していたよりも自然に扱える。

レリーズボタンはE-M1 Mark IIと同じくクリック感の無いタイプ。バネの強さはE-M1 Mark IIよりやや強めだが、シャッター半押しから全押しまでのストロークは同程度の深さ。

露出補正・ISOボタン・RECボタンはそれぞれカスタマイズ可能。私は一般的な成人男性よりも指が短いので露出補正ボタンを押し辛いと感じました。

余裕のあるボタンレイアウトなので、レリーズボタン横にキヤノンの「M-Fn」のようなボタンを配置した方が使いやすかった。

フロントのFnボタン4つは全て独立した機能を割り当て可能。

ただし、縦位置方向のフロントFnボタンは横位置グリップ時は操作し辛い。縦位置時に同様の使い勝手となるように設定しておいたほうが使いやすい。

縦位置グリップ

グリップの感触は横位置グリップとほぼ同じ。

マルチセレクターやAEL/AFL、コマンドダイヤル、レリーズボタンのレイアウトも同じ感覚で利用できる。

下部マルチセレクターの横に縦位置ボタンのロックレバーがあるのでファインダーを覗いた状態でも直感的にロックレバーの操作が可能。

レイアウトが少し異なると感じたのは下部の露出補正とISOボタン。横位置よりも少し手に近い配置となっているのでISOボタンが近すぎる印象。

ボタンなど

Fnレバー・AEL/AFLボタン

OM-D E-M1 Mark iIIと異なりFnレバーとAEL/AFLボタンが分離。Fnレバーには新しく同軸Fnボタンが追加されています。

Fnレバーの機能は従来通り、ダイヤル機能切替モードとフォーカス切替モードの2択と動画モードへの切り替え機能があります。E-M1 Mark IIと同様に電源レバーにすることが可能。

FnボタンとAEL/AFLボタンはどちらもカスタマイズ可能。

一方でE-M1 Mark IIのサムレストにあったFn1ボタンが無くなってしまいました。個人的にFn1ボタンは多用していたので実に惜しい。

前述したとおり、私は人より指が短いのでFnレバー同軸ボタンまで親指が届かない。E-M1 Mark II比で確実にグリップから遠ざかったボタン。届かないことは無いけど、E-M1Xをしっかりグリップしていると押し辛いのは確か。

モードダイヤルは従来通り右肩に配置。従来通りモード切替時にワンテンポ遅れる感がある。トップエンドモデルなのだからこの辺のレスポンスを高速化して欲しかったところ。

カスタムモードはMark IIの3枠から4枠へ増加。かなり多用しているので枠増加は素直にありがたい。さらにバルブモードがシャッタースピード優先モードから独立したのでコンポジット系機能が使いやすくなった。

リアコマンドダイヤルはフロントと同じくボディ埋没式。E-M1 Mark IIのようにストラップ金具と干渉しなくなったのは地味に嬉しいポイント。

左肩のボタンはHDR機能が無くなった代わりにボタンが3系統に分化してBKTが追加。BKTボタンは「オン/オフ」の切り替えのみ機能(従来機で言うところのカスタム機能「BKT」に相当)するため、ブラケット設定は従来通りメニュー画面を開いて選択しておく必要がある。微妙に使い勝手が悪い。

追記:BKTボタンは長押しすることでブラケット種類の選択機能を利用可能。ただし、深度合成は引き続きメニュー画面からの呼び出しが必須

その他機能は従来通り。ドライブモードやフラッシュはカスタムボタンに割り当てることが出来るのに、フォーカスモード+測光ボタンはココ限定という謎仕様。フォーカスモードはインテリジェント被写体認識AFの実装により呼び出す機会が増えているのでカスタマイズボタンへ登録したいのです…。

3つのボタンはどれもストロークが深く、かなり押し込まないと反応しない。誤操作を予防するにしても少しストロークが深いように感じる。

モニターボタンは従来通り。バリアングルモニターを展開してもアイセンサーが無効とならないのはなんとかして欲しい。せめてこのボタンにアイセンサー無効を割り当てたい。

従来機と操作性が大きく異なるのがこの部分。

特にメニューボタンとゴミ箱ボタンの位置は慣れるしかない。右手のみで操作出来なくなってしまったのはつらい。

CARDボタンは書き込みスロットや再生スロットの選択時に利用可能。WBは初期設定でホワイトバランス呼出となっていますが、カスタムボタンに割当可能。

どうせならこの辺りに「フォーカスモード」や「測光」「フラッシュ」ボタンを付けて欲しかった。

マルチセレクター

オリンパスユーザーの悲願。ついにマルチセレクター実装!

サイズ・形状・配置は文句なし、さらにLUMIX G・GHと違いナナメ操作に対応しているので使いやすい。さらにα7やNikon Zと違い、AF-Cの追従中にも操作できるのが強み。

一度この操作性を体感してしまったOM-Dユーザーは過去モデルに戻れない体質となるに違いない。

敢えて言えば、レバー押し込み時の機能が「Home」「ターゲット選択」と「OFF」しかないのが残念。なぜ普通に「フレーム中央へ戻る」やその他Fn機能が使えないのか謎。

ファインダー

E-M1 Mark II比で主な変更点は以下の通り

  • 光学系の変更
  • ファインダー倍率0.83倍

その他は従来撮り236万ドット プログレッシブ方式液晶ファインダー。

確かに光学系が変わって見やすくなった。

しかし、30万円の2019年モデルとしてはいささか解像度と発色が厳しい。2016年のOM-D E-M1 Mark IIとほぼ同等。

20万円台のミラーレスに369万ドット、30万円台で576万ドットの有機ELファインダーを搭載している時代にも関わらず、このファインダー像は明らかにマイナス。

その一方で予想外のメリットもあった。

暗い屋内や夜間など低照度におけるノイズが極めて少なく抑えられているのでとても見やすい。これは競合するLUMIX G9よりも顕著で、フルサイズミラーレスのNikon Z 7やEOS Rよりも良好。ディテールや発色はともかく視認性の安定感は高い。F1.2 PROレンズと組み合わせると納得の低照度AF性能を発揮する。

ご覧の様に、F1.8のレンズでなんとかライブビュー像が写る超低照度環境におけるノイズ差は歴然。オートフォーカスもZ 7よりサクサク動作するのは快適そのもの。

イルミネーションでのS-AFはあまり改善が見られなかったものの、暗い環境におけるAF性能や視認性は確実に向上していると感じます。

指摘ポイントを付け加えると、E-M1Xには別売りの大型アイカップがありません。

しかも、同梱されている初期アイカップはソニーα7シリーズのように平らな形状となっているので遮光性が低い。特にマスクをしていると空気がアイカップ内に入り込みやすく、たちまち曇ってしまいます。この点でLUMIX G9のような大型アイカップは遮光性・密閉性の観点から優秀。

モニター

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ファインダーと同じく従来通りの104万ドットモニタ。

210万ドットの他社機と見比べると解像度の違いは感じてしまう。ここは時代の流れに合わせて210万ドットが良かった。特に他社のグリップ一体型には無いバリアングルモニタを搭載しているのだからモニターにはこだわって欲しかった。

スーパーコンパネはタッチ操作対応(選択のみ)。モニター表示ボタンで背面モニタをコンパネ固定にした状態ではダブルタッチでロックを解除してコンパネを選択できます。

メディアスロット

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つまみ式の開閉ロック機構を採用しているため誤ってドアを開けてしまうことは皆無。その分、少し面倒になりましたが…。

E-M1 Mark IIと違い、どちらもUHS-II対応となったので連写時のコピーや移行がスムーズとなっています。

連写後のSDカード書き込み中でもカメラ設定の変更や連写再開、フォーカスフレームの移動などに対応。しかし、SD UHS-IIを使ったとしても書き込み中に妙なプチフリーズや操作遅延が発生するのは要改善点。

アクセサリー端子

全体的にOM-D E-M1 Mark IIと似ていますが、端子部に脱落防止用の固定具を装着可能となっています。

Mark IIと同じく、USB-C端子を採用していますがUSB-PD対応製品を利用することでUSB充電とUSB給電に対応。これはオリンパス製ミラーレスで画期的な進化ポイント。ついにUSB充電できる時がきた!

ただし、(少なくとも私の環境では)USB給電しながらのHDMI出力は出来ませんでした。

バリアングルモニタを展開するとHDMIポートとUSBポートに干渉しますが、マイク・ヘッドホンはギリギリで利用可能。

バッテリー

バッテリーアクセスはOM-D E-M1 Mark IIのHLD-9と似ていますが、ロック機構は従来のレバー式からノブ式へ変更。

そのままノブをつまんでスロットを引き出すことが出来ます。

気を付けたいのはバッテリースロットの材質。全体的にマグネシウム合金ボディですが、このバッテリースロットのみプラスチック製。

他の部位は落下しても凹みやスレで済むかもしれませんが、この箇所を下に落としてしまうと最悪プラスチックが割れるかもしれません。ここだけ別売りで販売したほうが良いと思うのです。

実際、Nikon D5などはバッテリー室カバーのみ別売りとなっていたりします。

バッテリースロットを取り外すと出てくるのは従来式のBLH-1。

OM-D E-M1 Mark IIと同じバッテリーなので共有できて嬉しい!と感じる反面、「オイオイ、トップエンドモデルがバッテリーこれですか?」と感じる人もいるはず。

実際、専用の大容量バッテリーでも良かったと思うのですがどうなのでしょう?

良い点を挙げるとすると、専用バッテリーチャージャーで充電すると非常に短時間でフル充電できること。これは他社よりもかなり高速で快適。

その専用充電器はなんとOM-D E-M1 Mark IIと同じモデルが2個付いてくる。

なぜ、2スロットの専用充電器を用意しなかったのか…。

2個付けてくれるのは良いとして、例えば旅行先で家庭用コンセントの数が限られているシーンは厳しい仕様。

旅行先で使うなら、USB-PD対応アダプターやモバイルバッテリーを買ってしまうのがおススメ。少なくともAnker製品では使えました。

今回のおさらい

OM-D E-M1Xの外観特徴

Good

  • ミラーレスでトップクラスのサイズ・形状を持つグリップ
  • 堅牢で質感の高いカメラボディ
  • フロントに4つのFnボタン
  • 操作性の変わらない縦位置グリップ
  • ほぼ完璧なマルチセレクター
  • 低照度でもノイズが少ないライブビュー像
  • デュアルSD UHS-IIカードスロット
  • 端子固定金具を装着できるアクセサリポート
  • USB充電・給電に対応
  • ノブ式のバッテリー・メディアスロットのドア

Bad

  • マイクロフォーサーズで最大級のボディサイズ
  • Fnレバー同軸ボタンがグリップから遠くなった
  • モードダイヤルのレスポンスがイマイチ
  • 左肩ボタンのストロークが深すぎる
  • フォーカスモード機能が左肩ボタン限定
  • バリアングル展開時にアイセンサーを切ることが出来ない
  • 慣れが必要なMENUとゴミ箱の位置
  • フラットな形状の低解像ファインダー
  • 低解像なバリアングルモニタ
  • プラスチック製バッテリースロット
  • 2つのコンセントが必要な充電器

全体の印象は悪くありませんが、32万円のマイクロフォーサーズカメラとしては欠点が少し多い。

我慢できない程では無いにしろ、バッテリーとファインダーはもう少しなんとかして欲しかったなーと言うのが正直なところ。

とは言っても、本当に気になるポイントはそのくらい。他の項目は慣れてしまえば特に問題ない程度。

自然風景などでじっくりファインダーを覗くとイマイチと感じるかもしれません。しかし、スポーツや野鳥撮影などパッと見る場合の視認性を重視する人にとってはプラスと捉える人もいることでしょう。ファインダー像は実際に実機を手に取って確認することをおススメします。

今回使用した機材

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