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これからOM-D E-M1Xを買う人のための使って感じた良いポイント・悪いポイント

このページではオリンパスのハイエンドミラーレス「OM-D E-M1X」でこれまでレビューしてきた内容をまとめています。

このページについて

  • カテゴリ分けしたOM-D E-M1Xの総合評価
  • 個人的に「悪い」と感じるE-M1Xの5ポイントの紹介
  • 個人的に「良い」と感じるE-M1Xの8ポイントの紹介
  • 諸手を挙げておススメは出来ないけど面白いカメラ

総合評価

ポイント 評価 コメント
発売時期 2017下旬?2018上旬に登場していれば…
価格 部材のクオリティを考慮するとやや高価
サイズ 許容できるが大きい
重量 許容できるが重い
グリップ 快適
操作性 マルチセレクターが高評価
応答性 スリープ復帰は超速だがバッファクリア時にもたつく場合がある
AF性能 C-AFが大きく改善・S-AF、顔瞳検出の改善に期待
画質 E-M1 IIと同等だが手持ちハイレゾで棲み分け可能
カスタマイズ ボタン数は多いがもう少し割当機能の自由度が欲しい
メニュー 従来通り複雑怪奇だがマイメニューシステムが秀逸
レンズ オリンパスを使い続ける理由
ファインダー 低解像だが低照度環境でも低ノイズ
モニター この価格帯では低解像
バッテリー USB-PD製品での給電・充電対応は大きい・充電器は纏めて欲しかった
満足度 持つ喜びに不満な点はあるものの、使い勝手はとても良好

色々書きましたが、ハイライトは「手持ちハイレゾショット」と「改良されたC-AFとAFシステム・操作性」。ここに価値を見出せるかがポイントとなるはず。

OM-D E-M1X
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Good&Bad

Good!
  • 握りやすいカメラグリップ
  • グリップ周辺の良好な操作性
  • 堅牢な防塵防滴仕様のボディ
  • 改善されたC-AF性能
  • 連写性能18fps・60fps RAW出力対応
  • プロキャプチャーモード
  • 他社より使い勝手の良いマルチセレクタ
  • インテリジェント被写体認識AF
  • 実用以上の手持ちハイレゾショット
  • RAW出力対応のライブ系機能
  • USB-PDによるUSB充電・給電
  • M.ZUIKO PROレンズと相性が良い
  • 起動時間・スリープ復帰が高速
  • 低消費電力機能が豊富
  • 他社より使いやすいマイメニューシステム
Bad!
  • 登場時期が少し遅かった
  • 非常に高価
  • 顔・瞳検出の精度と追従性
  • 低照度・低コントラストにおけるS-AF精度
  • ボディサイズ(高い・重い)
  • 画質に画期的な改善が見られない
  • ファインダー・モニターの色・解像度
  • 別売り大型アイカップが存在しない
  • 複雑で解決し辛いメニューシステム

ファームウェアアップデート等で改善して欲しいポイント

E-M1Xのココを直してほしい

  • グレーアウトしたメニュー項目の「干渉条件」の表示
  • バッファクリア中の動作遅延・プチフリーズ
  • マルチセレクター押し込み時の「中央へ戻る」専用機能
  • 特に望遠PROレンズの拡充

これまでのレビュー記事

悪いポイント

非常に高価なマイクロフォーサーズ

国産マイクロフォーサーズカメラとしては異例の30万円台でスタート。

個人的な意見として、この価格設定でこのカメラが刺さる人はそう多く無いはず。

競合他社の高級フルサイズに匹敵する価格設定の中、(このカメラの特性を考慮しても)諸手を挙げておススメするのは難しい。

正直に言うと、同じ金額で「Nikon D500+レンズ」「FUJIFILM X-T3+レンズ」「D850ボディ」「α7R IIIボディ」「EOS 5D Mark IVボディ」などスポーツや自然風景に適したカメラが買えてしまうことを十分に考慮するべき。

より高画質だったり、オートフォーカスがより優れているカメラは探せばいくらでもある。

その上で「センサーサイズは小さいけどE-M1Xでしか得られないこと」に価値を見出して購入することで満足度は高くなるはず。

ミラーレスとしては重く・巨大なカメラボディ

ミラーレス初(?)となる縦位置グリップ一体型のカメラボディ。これが小さいわけない。

「良好なグリップ」「堅牢なボディ」「余裕のあるボタンレイアウト」などプラスの側面は無視できないが、中判フォーマットの「GFX 50S」より重いカメラであることは事実。

組み合わせるレンズはマイクロフォーサーズらしく非常にコンパクトだが、巨大なカメラボディは携帯性・収納性に大きく影響することは避けられない。

特にカメラバッグへの収まりが非常に悪い。ボディからレンズを外さないと広い収納スペースを必要とするのは覚悟しておくべき。

「マイクロフォーサーズカメラで使用していたカメラバッグに収まらなくなった」と言う人は多いに違いない。

基本的な画質はE-M1 Mark IIと同等

引き続き2000万画素のイメージセンサーを使用しており、高感度ISOノイズやダイナミックレンジに劇的な改善は見られない。もともとE-M1 Mark IIの段階でかなり良好だったため、これ以上の改善は望めないかも。

手持ちハイレゾも実用化されたことだし、(高解像はハイレゾにまかせて)1200?1600万画素に抑えて高感度ノイズ耐性やダイナミックレンジを改善できるセンサーが無かったのか気になるところ。

補足すると、フルサイズセンサーと比べて差があるのは確か。しかし、APS-Cセンサーと見比べて画質差が大きいとは思わない。

クロップした際の解像性能差は微妙に感じるので使い方次第。JPEG出力の場合はノイズリダクションに差がある印象(特にソニー・フジフイルムと差を感じる)。

ファインダーの発色・モニターの解像度

端的に言うとほぼE-M1 Mark IIと同じ

ファインダー像倍率こそ異なるものの、2019年に「登場した30万円のミラーレス」としてはかなり安っぽく感じる。

撮影中の発色やコントラスト、撮影後のディテール確認でモチベーションが上がるタイプの人間なのでこれは非常に残念だった。せめてファインダーをOLED、背面モニターを210万ドットにして欲しかったところ。

ただ、低照度環境や暗部領域はノイズが非常に少なく非常に見やすい。地味だけどかなり強みとなる部分。

これはNikon Z 7などフルサイズよりも良好で、高解像ファインダーを搭載するLUMIX G9と見比べると顕著。低解像で発色もボチボチながら、様々なシーンで安定したファインダー像を得ることが出来る点は評価したい。

S-AFの精度と速度

C-AFは目に見えて改善しているものの、S-AFは正直なところ今まで通りで改善した感じがしない。

特にイルミネーションや低コントラストの被写体はLUMIXのほうが高速で正確。C-AFの1点AFで撮影したほうが精度・速度が共に快適。

九龍城のように複雑怪奇なメニューシステム

マイメニューシステムの導入で僅かに改善がみられるものの、基本的には従来通り。

意図せず機能干渉した場合、何を設定変更すればグレーアウトした機能が使えるようになるのかサッパリわからないのは明らかにマイナス。色々と試してみたけど、解決の糸口が見えずにグレーアウトし続けている設定項目もあるはず。

また、測光や連写速度などの設定項目が撮影メニューにあったりカスタマイズメニューにあったり規則性を感じない点も理解不能。

OM-D E-M1-E-M1 Mark II-E-M1Xと乗り継いできた身としては慣れっこですが、初のOM-Dユーザーだったとしたら匙を投げるかもしれない。

良いポイント

カメラグリップはミラーレスの中でトップクラス

α7 III・Z 7・EOS R・E-M1 Mark II・LUMIX G9・X-Pro2など各社ミラーレスを使ってきましたが、その中でも握りやすいカメラグリップであることは間違いない。

ただ握りやすい、と言うだけでなく周辺ボタン・ダイヤルの操作が快適である点でトップクラス。(次点でEOS RやG9、Z 7やα7系は少し窮屈すぎる)

「これだけしっかりとしたグリップがマイクロフォーサーズに必要か?」と言う疑問はあるものの、そういったレンズは今後増えていくのでしょうね。

C-AF性能が明らかに改善している

E-M1X-P2260221-Edit-100 mm

多くのE-M1Xユーザーが発信しているように、目に見えて改善傾向にあるC-AF性能。これは良い。

完璧では無いものの、命中率が大きく向上しているので撮っていて楽しいカメラ。被写体が急接近してきた場合の捕捉力が高く、「さすがにこれはダメだったかな?」と感じたカットまで成功している。

特に9?25点を使った際のC-AF性能は一眼レフに近く、小型軽量でレスポンスの良いマイクロフォーサーズレンズと組み合わせることで超快適。

このパフォーマンスがあればカメラを失敗の言い訳に出来なくなるはず。ココがスタート地点となり「もっと工夫して撮影しよう、カメラ設定を煮詰めよう」と前向きにトライ&エラーを繰り返せるはず。

一つ気になる点があるとすれば、連写後のバッファクリア中に操作の遅延やフリーズが発生すること。これはスポーツカメラとしては頂けない。UHS-IやUHS-IIのSDカードを何枚か差し替えて試しても発現するのでカメラ側に問題があるはず。

マルチセレクター・新ターゲットモードで使い勝手が向上

オリンパス初のマルチセレクターにして使い勝手は他社と同等かそれ以上。

サイズ良し・形状良し・配置良し・ナナメ対応と文句なし

特にC-AF動作中にも関わらず、マルチセレクター操作で測距点を移動できるのは便利。コレは他社だとあまり対応していないのです。

ただし、マルチセレクター押し込み時の機能に「中央へ戻る」というシンプルな機能が無い点はどうにかして欲しい(測距選択モードじゃないと押し込み中央回帰機能が無い)。

インテリジェント被写体認識AFは使える

「いったいぜんたいどうしちゃったの?」と思えるくらいC-AF+TRが出来る子に。

インテリジェント被写体AFと組み合わせることで、精度や粘り強さがイマイチだった「C-AF+TR」が見違えた様に使える機能となりました。

鉄道・モータースポーツ・飛行機と被写体は限定されるものの、手ごたえ十分。正直に言えば「人体」や「鳥」「小動物」のほうが需要あると思うので今後のファームウェアアップデートに期待したいところ。

顔検出や瞳検出の精度と追従性能は今まで通りなので、その辺はなんとかして欲しい。

手持ちハイレゾショットが想像以上に実用的

E-M1X-P2220007-Edit-24 mm

手持ちでここまで撮れるのか、と恐ろしい程に使える。想像以上にスローの手持ち撮影に対応していた。

動く被写体が写りこむと不自然な描写となるものの、解像性能は手持ちのフルサイズミラーレス「Nikon Z 7(4700万画素)」に肉薄。

12-100mm F4 IS PROと組み合わせることで、フルサイズ換算「24-200mmのズームレンジ」で画質に妥協せず5000万画素のイメージを生成可能。これが凄い。

さらに、16枚と数多くのイメージを合成するためノイズが劇的に改善する。ベースISO感度で通常撮影するくらいなら、ISO800?1600まで上げて手持ちハイレゾで撮ったほうが良いと感じるほど。

ライブNDが悪く無い使い勝手

E-M1X-P2240355-Edit-24 mm

電子NDフィルターでは無く、コンポジットを拡張発展させた機能と知った時はガッカリしたものの、いざ使ってみると悪く無い。

特にライブND単体で使うと言うよりも、NDフィルターと組み合わせてND効果を調整する機能と考えると面白い。

例えばND500フィルターにライブND4を掛け合わせると、実質ND2000の効果を得られることになる。実際にND2000のフィルターを使った場合とやや異なる写りになるものの、気にならないシーンではまさにNDフィルターのような使い勝手となるはず。

ライブコンポジットと同じくRAW出力に対応。複数の写真を合成したイメージとなるため、シャドーのノイズが通常よりも低減しているのは隠れたメリット。

USB-PDによる給電・充電に対応

バッテリーはE-M1 Mark IIと同じBLH-1を2個搭載し、バッテリー効率はほぼ変わらない。つまりE-M1 Mark IIにHLD-9を装着した場合と持続時間に差は無いはず。

D5やEOS-1D X Mark IIのように専用バッテリーが用意されておらず、あまつさえ付属充電器は従来式のシングルタイプが2個というお粗末さ。(せめて1つで2個充電できるモデルを用意して欲しかった)

とまあ最初はイラっと感じたものの、AnkerのUSB-PD対応製品を購入してからはUSB給電・充電を利用することでストレスフリー状態。

自宅でカメラをカスタマイズしたり、写真を確認したりする場合に給電を利用することでバッテリーを消耗しないのは地味に便利なのです。

魅力的なM.ZUIKO PROレンズラインアップ

12-100mm F4 IS PROや40-150mm F2.8 PRO、8mm F1.8 PRO、25mm F1.2 PROなど魅力的なレンズが多いオリンパスのPROレンズ群。

これがあるからオリンパスカメラを使っている、と言う人も多いのでは?

マイクロフォーサーズ用レンズとしては高価なレンズが多いものの、他社ではあまり見かけないスペックやコンセプトのレンズが存在。高性能で操作性が良く、ビルドクオリティも上々。

このPROレンズ群のパフォーマンスを最大限に引き出すボディがOM-D E-M1X。

開放からシャープなのでレンズの明るさを最大限に活かしつつ、E-M1Xの強力なボディ内手振れ補正を組み合わせた低照度撮影。

フォーカスレンズが小さくレスポンスの良いオートフォーカスが可能なF2.8ズームレンズと劇的にC-AF性能が向上したE-M1Xを使ったスポーツ撮影。

高倍率・高画質・鬼のような光学手振れ補正を併せ持つチート級のズームレンズと組み合わせた手持ちハイレゾショット。

などなど、OM-D E-M1Xの真価はレンズとセットで語るべきものだと思うのです。

参考:2019年3月現在のPROレンズ群

この中で使ったことが無いのは7-14PROと300PROくらい。どれも良いレンズ。

初めて40-150mm F2.8 PROを購入して「おお、これがオリンパスか」と体感してからあれよあれよとオリンパスへのめり込む結果に…。

まとめ

OM-D第2世代の最終兵器

満足度は90点。

新世代OM-Dと言うよりは、2016年に登場したOM-D E-M1 Mark IIを煮詰めて煮詰めて作り上げたOM-D第2世代の最終兵器。OM-Dの中では間違いなくベストなカメラ。登場がもう少し早ければより高い評価となったかも。

18コマ秒の追従連写速度で良好なC-AF性能を発揮するスポーツカメラとして活躍し、5000万画素の高解像カメラとして活躍し、ライブNDやライブコンポジットなど風景撮影シーンで活躍する。

まさにオールインワン、十徳ナイフのような万能カメラ。

オートフォーカス性能はE-M1 Mark IIから(特にC-AFが)改善している。少なくとも私が使ってきたミラーレスの中では最も一眼レフと似た使い方が出来るカメラ。完璧では無いものの、トライ&エラーを楽しめる性能と操作性のはず。

OM-D E-M1Xはおススメできるカメラか?

個人的にはPROレンズありきで買うカメラボディだと考えています。ボディありきで考えると機能性を考慮しても高すぎる。

PROレンズの「パフォーマンス・使い勝手・堅牢性・システムサイズ」を考慮した上で光り輝いてくるカメラボディ。

他社から乗り換える程か?と言うとおススメするのは難しい。まずはそのお金で安くなっているOM-D E-M1 Mark IIとPROレンズを買ってみるべき。そこでオリンパスの魅力に気が付いたらE-M1Xを検討してみるのもありでしょう。

今回使用した機材

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