「VILTROX AF 35mm F1.8 II EVO」のレビューを掲載しています。
VILTROX AF 35mm F1.8 II EVOのレビュー一覧
- VILTROX AF 35mm F1.8 II EVO レンズレビュー完全版
- VILTROX AF 35mm F1.8 II EVO レンズレビューVol.6 周辺減光・逆光編
- VILTROX AF 35mm F1.8 II EVO レンズレビューVol.5 ボケ編
- VILTROX AF 35mm F1.8 II EVO レンズレビューVol.4 諸収差編
- VILTROX AF 35mm F1.8 II EVO レンズレビューVol.3 遠景解像編
- VILTROX AF 35mm F1.8 II EVO レンズレビューVol.2 解像チャート編
- VILTROX AF 35mm F1.8 II EVO レンズレビューVol.1 外観・操作・AF編
レンズの評価
| ポイント | 評価 | コメント |
| 価格 | 買い方次第で安い | |
| サイズ | 同クラスで大きめ | |
| 重量 | 同クラスで重め | |
| 操作性 | 全てを備えている | |
| AF性能 | 必要十分だが互換性に注意 | |
| 解像性能 | NIKKORに近い性能 | |
| ボケ | ニュートラルで綺麗 | |
| 色収差 | 実写でほぼ問題なし | |
| 歪曲収差 | 穏やかで無視できる程度 | |
| コマ収差・非点収差 | 穏やかで無視できる程度 | |
| 周辺減光 | やや強め | |
| 逆光耐性 | 強い光源でフレアが出やすい | |
| 満足度 | 注意点もあるが高性能な35mm |
評価:
ポイント
注意点もあるが高性能な35mm
いくつか注意する欠点があるものの、大部分は高性能な35mm F1.8レンズ。入手方法によってはコストパフォーマンスが非常に高い。ポートレートや夜景、天体など、様々なシチュエーションに適したレンズです。
Although it has a few drawbacks to be aware of, for the most part, it’s a high-performance 35mm f/1.8 lens. Depending on how you acquire it, it offers excellent value for the price. It’s a lens well-suited for a variety of situations, including portraits, nightscapes, and astrophotography.
まえがき
- 発売日:2026.4.20
- 公式
- データベース
- 管理人のFlickr
NAB Show 2026にて、EVOシリーズの新製品として「AF 35mm F1.8 Evo」と「AF 55mm F1.8 Evo」を発表。ソニーFEおよびニコンZマウントに対応する単焦点レンズ。
シリーズ初のAPO設計を採用し、色再現性の向上や色収差の低減、描写の一貫性を強化。写真と動画の両立を目指す同社の統合的な制作環境構想の一環として開発された製品です。
競合製品の多いカテゴリであり、35mm F1.8 II EVOはその中でも比較的高価。APO設計の光学系と豊富なコントロールで付加価値を高め、競合製品と区別化を図っています。
主な仕様
| レンズマウント | E / Z |
| 対応センサー | フルサイズ |
| 焦点距離 | 35mm |
| レンズ構成 | 10群13枚 |
| 開放絞り | F1.8 |
| 最小絞り | F16 |
| 絞り羽根 | 9枚 |
| 最短撮影距離 | 0.34m |
| 最大撮影倍率 | 0.15倍 |
| フィルター径 | 58mm |
| 手振れ補正 | - |
| テレコン | - |
| コーティング | フッ素 HD |
| サイズ | φ69×78mm |
| 重量 | 350g |
| 防塵防滴 | 対応 |
| AF | STM |
| 絞りリング | 搭載 |
| その他のコントロール | Fnボタン AF/MFスイッチ クリック切替 |
| 付属品 | レンズフード |
価格のチェック
国内代理店経由での通常価格は7万円前半。VILTROX直販で換算6万円ほど。55mmEVO、85mmEVOと比べると少し高めです。ソニー純正品と同程度、ニコン純正品より少し安い、と言った価格帯であり、従来ほど「コストパフォーマンスが高い」とは言えなくなりました。
非ライセンス品であり、互換性はVILTROXのファームウェア次第という潜在的なリスクを考慮すると価格設定が少し高めという印象。
AliExpressで4万円台だったりしますが、個人輸入のリスクは覚悟する必要あり。私は3.9万円の出品を見つけて購入しました。
| VILTROX AF 35mm F1.8 II EVO | |||
| 楽天市場 |
Amazon |
キタムラ |
|
| VILTROX | |||
レンズレビュー
外観・操作性
箱・付属品

Airシリーズと同じく、白を基調としたデザイン。ただし、「EVO」のみ青色背景で強調されています。

レンズ本体のほか、レンズフードやポーチ、保証書などが付属。販売価格を考慮すると十分。
外観

外装はプラスチック製でフォーカスリングと絞りリングはどちらも金属製。触れる部分が金属製であるため、プラスチッキーな印象は全くありません。シグマのI Seriesほど凝った造りではないものの、良好で堅牢な質感のレンズです。
コントロールも充実しており、35mmレンズに求められるほぼ全てを搭載。
フォーカスレンズの駆動にはステッピングモーターを使用しているので、Proシリーズレンズのような「カタカタ」と異音は発生しません。
コントロール以外の意匠は最小限。側面に「EVO」のバッジを配置しているのみ。マウント付近にはシリアルナンバーなどのシールが張り付けられています。
ハンズオン

| サイズ | 重量 | |
| VILTROX | φ69×78mm | 375g |
| NIKKOR Z | φ73.0×86.0mm | 370g |
| SONY FE | φ65.6×73.0mm | 280g |
| SAMYANG P | φ69.8×71.5mm | 216g |
| 7Artisans | φ72×92mm | 426g |
高性能な標準レンズ F1.8-2.0クラスのレンズとしては一般的なサイズで重量はやや重め。
考慮すべき点として、VILTROXは防塵防滴仕様に加え、金属パーツや絞りリングを搭載しています。ビルドクオリティ、操作性、携帯性のバランスが非常に良好。
前面・後面

58mm径の円形フィルターに対応。サイズはEVOシリーズで統一されているため、フィルター共有可能でお財布に優しい。
前玉周辺にはレンズ銘や撮影距離などを白字で記載。個人的に、白字はフィルター装着時に反射で写りこむ可能性があるので好きではありません。

金属製レンズマウントが4本のネジで本体に固定。周囲には耐候性を確保するシーリングあり。ファームウェアアップデート用のUSB-Cポートも備えています。
フォーカスリング

適度な幅の金属製フォーカスリングを搭載。リングのトルク感はニコンよりも少し軽め。レスポンスはカメラ側で調整可能。ノンリニアの場合は90-180度ほど。リニアは設定角度よりもやや小さめですが、再現性はまずまず良好。
絞りリング

クリック切替に対応。感触はシグマのI Seriesとよく似ており、心地よい操作性。抵抗感はソニー純正ほど強くないものの、フォーカスリングと比べると強い。
右側面にクリックを解除するスイッチを搭載しています。
スイッチ

適度なクリック感のあるFnボタン。さらに、しっかりと固定されるクリック切替スイッチとAF/MFスイッチ。反対側には絞リングのクリックを解除するスイッチを搭載しています。

レンズフード
花型のプラスチック製レンズフードが付属。反射防止用の植毛やゴムカバーはありませんが、本体にしっかりと固定可能。
やや深めのレンズフードなので、逆さ付けの時はフォーカスリングが覆い隠されます。
装着例

Z8に装着。
Airシリーズほど携帯性が良いわけではないものの、大きく重いProシリーズと比べると日常的に使いやすい。鏡筒の直径はレンズマウントと同程度。グリップとレンズの間には十分な余裕があります。
ファームウェアによる動作不良
「Z8 Ver3.00」にレンズを装着したところ、カメラがレンズを認識しませんでした。さっそく非ライセンス品の洗礼を受けることに。
「これは終わったな」と思いましたが、だめもとでカメラ側を最新ファームウェア(3.14)に更新。レンズ側もVILTROXが配布している更新ツールでファームウェアを最新に書き換え。
カメラとレンズのファームウェアを最新状態にしたところ、AF・絞り・カメラ側の認識に問題はなくなりました。
AF・MF
フォーカススピード
インナーフォーカス方式のステッピングモーター駆動。
VCMレンズのAF速度と比べると遅いですが、日常的な使用で十分なAF速度です。フレーム隅を使ったピント合わせも問題ありません。
ブリージング
ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指します。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となります。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離・無限遠で撮影した結果が以下の通り。


精度
α7R V・α7 Vとの組み合わせで問題ありません。拡大AF時のみ動作が少し不安定となります。(以前と比べると改善傾向ですが)
クローズアップ

| 最短撮影距離 | 最大撮影倍率 | |
| VILTROX | 0.34m | 0.15倍 |
| NIKKOR Z | 0.25m | 0.19倍 |
| SONY FE | 0.22m | 0.24倍 |
| SAMYANG P | 0.27m | 0.19倍 |
| 7Artisans | 0.4m | 情報なし |
クローズアップが得意なレンズではありませんが、競合製品も同程度です。近距離時に画質低下が目立ちませんん。NIKKOR Z S-Lineに近い特性のレンズ。
解像力チャート
撮影環境

テスト環境
- カメラボディ:Z8
- 交換レンズ:VILTROX AF 35mm F1.8 II EVO
- パール光学工業株式会社
「【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)」
- オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
- 屋内で照明環境が一定
- 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
- RAW出力
- ISO 64 固定
- Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
・シャープネス オフ
・ノイズリダクション オフ
・色収差補正オフ
・格納されたレンズプロファイル(外せない) - 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
(像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェック) - 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)
補足
今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性あり。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。
テスト結果

絞り開放付近は僅かにソフトですが、細部以外はシャープでコントラストも高い。F2.8まで絞ると大幅に改善し、周辺や隅もF5.6のピークに向かって徐々に改善します。定型チャートと相性の悪い広角レンズとしては良好な結果。絞り開放から隅まで安定した結果が得られる35mm F1.8レンズは多くありません。
中央
F1.8の絞り開放で細部が僅かにソフト。F2.8まで絞ると非常にシャープな結果が得られます。色収差や球面収差の影響は穏やかで目立ちません。

周辺
中央と比べると細部が少しソフトですが、像の極端な乱れはありません。絞ると徐々に改善し、F5.6付近でピークの性能。

四隅
周辺と同じ傾向ですが、倍率色収差の影響が少し強くなります。

数値確認
| Center | Mid | Corner | |
| F1.8 | 3578 | 2831 | 2995 |
| F2.0 | 3811 | 2802 | 3104 |
| F2.8 | 4757 | 3504 | 3507 |
| F4.0 | 4780 | 4268 | 3697 |
| F5.6 | 4800 | 4459 | 4125 |
| F8.0 | 4800 | 4459 | 4124 |
| F11 | 4222 | 4015 | 3828 |
| F16 | 3733 | 3379 | 3215 |
競合製品と比較
テスト機が異なる場合があるので参考までに。
「NIKKOR Z 35mm f/1.8 S」に近い性能ですが、中央は絞るとVILTROXがより良好。周辺や隅はNIKKORが有利となっています。
他の35mm F1.8 / F2 クラスのレンズは定型チャートで周辺部や隅のパフォーマンスが低下しがち。比較してVILTROXやNIKKORは良好な結果を維持しています。
遠景解像力
テスト環境

- 撮影日:2026.8.4 くもり 微風
- カメラ:Nikon Z8
- 三脚:SIRUI AM324
- 雲台:アルカスイスZ1+
- 露出:ISO 100 絞り優先AE
- RAW:Adobe Camera RAW
- シャープネスオフ
- ノイズリダクションオフ
- レンズ補正オフ
テスト結果
中央

F1.8から良好な解像性能を発揮。チャートテストと同じく細部の描写が僅かに甘いため、ベストを尽くす場合はF2.8くらいまで絞ると良いでしょう。それ以降に大きな変化はありません。
周辺

傾向は中央と同じ。F1.8から良像ですが、6100万画素の高解像センサーを活かす場合はF2.8まで絞って使うのがおススメです。
四隅

大部分は35mm F1.8/F2.0クラスはフレーム隅が荒れることを多いものの、本レンズはF1.8から良好な結果が得られています。F2.8まで絞ることで、さらに細部までシャープな描写に改善。文句のつけようがありません。
遠景に関してはNIKKORよりも絞り開放付近の描写が優れています。像面湾曲の影響がほとんどないため、中央でピントを合わせても、隅まで被写界深度内に収まります。(NIKKORはフレーム隅に若干の影響あり)
像面湾曲
像面湾曲とは?
像面湾曲とは、本来は平らなはずのピント面が、レンズの特性によって曲面になってしまう収差。
理想的なレンズでは、平らな被写体を撮影した際に画面全体へ同じようにピントが合う。しかし、像面湾曲があると、中央にピントを合わせたときに周辺がぼやけたり、逆に周辺へピントを合わせると中央がぼやけたり。
例えば、壁や新聞、建物の正面など平面的な被写体を撮影すると、中央はシャープなのに四隅だけ甘く見えることがあります。この場合、レンズの解像性能が低いのではなく、ピント面が湾曲していることが原因の可能性あり。また、像面湾曲には内側へ曲がるものと外側へ曲がるものがあり、レンズによって傾向が異なる。
像面湾曲は画面の隅に向かうほど影響が大きくなるため、風景や建築写真では重要な性能項目の一つ。一方、ポートレートや近接撮影では必ずしも欠点とは限らず、被写体の立体感や独特の描写に寄与することも。
なお、像面湾曲はピント位置の問題であり、色収差や歪曲収差とは異なります。また、レンズを絞ると被写界深度が深くなるため影響が目立ちにくくなる。レンズレビューで「像面湾曲が少ない」と評価される場合、画面中央から周辺まで均一なピント面を維持しやすく、風景や建築物をシャープに撮影しやすいことを意味する。

ピント面が分かりやすいように加工しています。
実写で確認
絞り開放からフレーム全体にピントが合っています。像面湾曲の影響は無視できる程度に抑えられています。近距離の解像チャートでも顕著な影響はありませんでした。
倍率色収差
倍率色収差とは?
倍率色収差とは、レンズが光の色によって異なる倍率で像を結んでしまう現象。その結果、画像の色ごとの大きさがわずかに異なり、被写体の輪郭部分に色のずれが発生。
軸上色収差がピント位置の前後で起こるのに対し、倍率色収差は主に画面周辺で目立つ。例えば、建物の輪郭や電線、木の枝などの境界部分に、赤や紫、青、緑などの色の縁取りなど。画面中央ではほとんど見えないものの、周辺へ行くほど目立ちやすくなるのが特徴。
倍率色収差は絞りを変えてもほとんど改善しないため、レンズ設計による補正が重要。一方で、軸上色収差と異なり、デジタル補正との相性が良く、多くのミラーレスカメラや現像ソフトでは自動補正容易。そのため実際の撮影では大きな問題になりにくい場合も多い。
ただし、高解像モデルで風景や建築物を撮影する際には解像感の低下につながる可能性あり。レンズレビューで「倍率色収差が良好に補正されている」と評価される場合、画面周辺でも色の縁取りが少なく、被写体の輪郭をより正確かつシャープに描写できることを意味しています。
- 良好な補正
- 倍率色収差あり
実写で確認
絞り値に関わらず、倍率色収差は良好に補正されています。
軸上色収差
軸上色収差とは?
軸上色収差とは、レンズが光の色ごとに異なる位置へピントを結んでしまう現象。光には赤や緑、青などさまざまな色が含まれており、レンズを通ると色によって曲がり方がわずかに異なる。そのため、ある色にピントが合っていても別の色は前後にずれ、画像に色のにじみが発生。
軸上色収差は主にピント面の前後に現れ、ピントより手前では紫色やマゼンタ色、奥側では緑色のにじみとして見えることが多い。特に開放F値の明るいレンズや望遠レンズで目立ちやすく、金属の反射部分や白い文字、逆光の被写体など高コントラストな場面で確認しやすい。
また、画面中央でも周辺でも発生するため、絞りを開けた状態では画面全体の解像感やコントラストを低下させる原因となる。一般的にはレンズを1~2段ほど絞ると大幅に改善。近年の高性能レンズでは特殊低分散ガラスなどを使用して補正されているものの、完全にゼロにすることは難しい。レンズレビューで「軸上色収差が少ない」と評価される場合は、ピント面前後の色にじみが少なく、よりシャープな描写が期待できるという意味。

実写で確認
「APO」を冠するレンズとしては収差の残存が気になりますが、良好な補正状態に違いありません。
歪曲収差
歪曲収差とは?
歪曲収差とは、被写体の形そのものが変形して写る現象。レンズの解像力やピントとは別の問題で、直線であるはずのものが曲がって記録されるのが特徴。
- 糸巻き型歪曲
- 適切な補正
- 樽型歪曲
代表的なものは「樽型歪曲」と「糸巻き型歪曲」。樽型歪曲では画面中央から外側へ向かって線が膨らみ、建物の壁や地平線が外側へふくらんで見える。一方、糸巻き型歪曲では線が内側へ引っ張られたように曲がる。また、ズームレンズでは広角側で樽型、望遠側で糸巻き型になることも多い。
歪曲収差は特に建築物や室内、風景写真など、直線が多い被写体で目立ちやすい。人物撮影では気付きにくい場合もありますが、画面周辺に人物を配置すると体形や顔の形がわずかに変形して見える可能性あり。
他の収差と異なり、歪曲収差は画面のシャープネスや色にじみにはほとんど影響しません。そのため、近年のミラーレスカメラや現像ソフトではデジタル補正が広く利用されており、多くのレンズで自動的に補正されています。
レンズレビューで「歪曲収差が少ない」と評価される場合は、建物や水平線などの直線を自然な形で再現できることを意味しています。一方、歪曲収差をソフトウェア補正する前提で設計されたレンズも多く、実写では大きな問題にならない場合も少なくない。
実写で確認
穏やかながら少し複雑な歪みの樽型歪曲です。未補正でも無視できる程度ですが、完璧に補正する場合はレンズプロファイルを利用したほうが良いでしょう。


コマ収差
コマ収差・非点収差とは?
コマ収差とは、画面周辺の点光源が彗星(Comet)のように尾を引いた形に変形して写る現象。名称の「コマ」は英語の Coma(彗星)に由来。
本来、星や街灯のような点光源は丸い点として写るべきところ、コマ収差が大きいレンズでは画面周辺で三角形や鳥が羽を広げたような形に崩れる。特に画面の隅に近づくほど目立ちやすい。
コマ収差は星景写真や夜景撮影で重要な性能項目。例えば、画面中央の星はきれいな点に写っていても、四隅の星が流れたような形に。昼間の撮影では気付きにくいものの、夜間の点光源では容易に確認可能。
一般的にはレンズを少し絞ることで改善。レンズレビューで「コマ収差が良好に補正されている」と評価される場合、画面周辺の星や街灯も点に近い形で再現できることを意味しています。
- 良好な補正状態
- 悪い補正状態
実写で確認
絞り開放から点像の変形は最小限に抑えられています(ゼロではない)。ほぼ解消するのはF4付近ですが、F1.8からほとんど目立ちません。
球面収差
球面収差とは
球面収差とは、レンズの中心を通る光と周辺を通る光が異なる位置でピントを結んでしまう収差。その結果、ピントが合っているはずの部分でも像がわずかににじみ、シャープさやコントラストが低下。
理想的なレンズでは、すべての光が同じ位置に収束。しかし実際のレンズは、中心付近を通る光と周辺部を通る光の集まり方が異なるため、一点に完全には集まりません。
球面収差が大きいレンズでは、開放F値で撮影した際に全体が少し柔らかく見えたり、光がにじんだような描写。特にポートレート用レンズでは、この特性を活かして肌をなめらかに見せる場合もあります。一方、風景や建築写真では解像感の低下につながるため、できるだけ少ないことが望ましい。
球面収差は前ボケと後ボケの見え方にも大きく影響。球面収差の補正状態によってボケの柔らかさや輪郭の強さが変化するため、レンズごとの描写の個性を生む要素の一つ。
一般的にはレンズを絞ることで周辺光線が制限され、球面収差は大幅に改善。レンズレビューで「球面収差がよく補正されている」と評価される場合は、開放F値から高い解像感とコントラストを得やすいことを意味します。一方で、あえて球面収差を少し残すことで、柔らかく自然なボケ描写を実現しているレンズも存在。
実写で確認
前後に質感の変化がなく、球面収差が良好に補正されています。
前後ボケ
綺麗なボケ・騒がしいボケとは?
綺麗なボケとは、輪郭が目立たず、背景がなめらかに溶けるような描写。被写体が背景から自然に浮かび上がり、見る人の視線を主題へ導きやすい。ポートレートや花の撮影で好まれることが多く、「柔らかいボケ」「なめらかなボケ」と表現される場合もある。
騒がしいボケとは、背景の輪郭や模様が強調されて見えるボケ。木の枝や葉、フェンスなど細かな模様が二重線になったり、ざわついた印象になったりする。背景が目立ちすぎるため、主題への視線が分散することがあります。
ボケの良し悪しは単純に明るいレンズほど優れるわけではなく、球面収差の補正状態やレンズ構成、絞り羽根の形状などによって変化します。また、撮影距離や背景との距離によっても印象は大きく変わります。
ボケの評価には好みも大きく関係。一般的にはなめらかなボケが高く評価されることが多いものの、被写体や作品の雰囲気によっては、少し騒がしいボケが独特の立体感や個性を生む場合もあります。そのため、ボケの質はレンズの性能だけでなく、写真表現の一部として捉えることが重要。

後ボケ
滲むような質感ではないものの、縁どりが弱く、滑らかな描写。色収差の影響も少なく、悪目立ちする部分のない使いやすいボケ質。
前ボケ
後ボケと質感に大差がない、ニュートラルな描写です。
玉ボケ
口径食・球面収差の影響
玉ボケとは、背景や前景にある小さな光源が、丸い光の円として写るボケ表現のこと。夜景のイルミネーションや木漏れ日、水面の反射などでよく見られる。一般的に、明るいレンズほど大きな玉ボケを作りやすく、背景を印象的に演出できるため、ポートレートやスナップ撮影で人気がある。
理想的な玉ボケは、円形で輪郭が目立たず、内部の明るさが均一な状態で。しかし実際にはレンズ設計の影響により、さまざまな特徴が現れることがある。例えば、輪郭が明るく縁取られた玉ボケは背景が騒がしく見えやすく、内部に同心円状の模様が現れるものは「玉ねぎボケ」と呼ばれる。
- 影響が強い
- 影響が弱い
また、画面周辺では玉ボケが円形を保てず、楕円形や猫の目のような形に変形することがある。これは周辺部で光が一部遮られるためで、「口径食」と呼ばれる現象によるもの。
- 前ボケ
- 後ボケ
実写で確認
滑らかで綺麗な玉ボケですが、フレーム隅に向かって口径食の影響を受けます。影響度合いは過度ではなく、NIKKOR Z S-Lineと同程度。F2.8まで絞るとほぼ解消します。


ボケ実写
至近距離

最短撮影距離付近ではボケが大きく、滑らかで綺麗な後ボケ。色収差の影響は目立たず、口径食はボケのサイズから変形が目立たず許容範囲内。接写時も球面収差の変動が少ないため、コントラストが高く滲みの少ないボケ質となっています。
近距離

撮影距離が少し伸びても描写の傾向に変化はありません。口径食は少し目立つようになりますが、滑らかで綺麗なボケ質を維持しています。
中距離

さらに撮影距離が長くなると、隅の口径食が目立つようになります。それでも、全体的に滑らかで綺麗な描写に違いなし。四隅の問題は許容範囲内に収まっています。全体的にNIKKOR Z S-Lineと同程度。
ポートレート
全高170cmの三脚を人物に見立て、絞り開放(F1.8)で距離を変えながら撮影した結果が以下の通り。
フレームに全身を入れるような撮影距離の場合、フレーム端や隅の後ボケが少し騒がしく見えます。しかし、ボケが小さく悪目立ちする可能性は低い。
膝上くらいまで近寄ると、フレームの広い範囲で滑らかなボケが得られます。上半身やバストアップでほぼ完璧。
周辺減光
周辺減光とは?
周辺減光とは、画面の中央に比べて四隅や周辺部分が暗く写る現象。英語では「ビネッティング(Vignetting)」とも呼ばれる。
本来は画面全体が同じ明るさで写るのが理想ですが、レンズの構造上、周辺部へ届く光の量が中央より少なくなることがあります。その結果、写真の四隅がわずかに暗くなり、特に青空や白い壁など均一な被写体を撮影すると目立ちやすい。
周辺減光は広角レンズや大口径レンズで発生しやすく、開放F値付近で最も強く現れることが多い。レンズを1〜2段ほど絞ると改善する場合が多く、近年のミラーレスカメラではソフトウェア補正によって自動的に軽減。
一般的には欠点として扱われるものの、必ずしも悪い現象とは限りません。画面の四隅が暗くなることで視線が中央へ集まりやすくなり、ポートレートやスナップ写真では雰囲気作りに役立つ場合もあります。そのため、あえて補正せずに利用する写真家もいるくらい。
- 良好
- 周辺減光
ソフトウェアで簡単に補正できる現象ですが、露出不足を後処理の補正(増感)で補うため、センサー由来のノイズが発生する原因となる点には注意。特に夜景や星空の撮影などで高感度ISOを使う場合はノイズが強く現れる可能性あり。
最短撮影距離
最短撮影距離付近でもF1.8の絞り開放で目立つ周辺減光が発生します。光学的にこれを解消するためにはF4付近まで絞る必要あり。
無限遠
無限遠では最短撮影距離よりも強めの周辺減光が発生。補正オフで風景などを撮影するとかなり目立つ。F2.8-F4で大幅に改善するので、光量落ちが気になる場合はF2.8くらいまで絞ってカメラの自動補正を適用しておくのが良いでしょう。
逆光耐性
逆光耐性とは
逆光耐性とは、太陽や強い照明が画面内、または画面のすぐ外にある状況で、画質をどれだけ維持できるかを示す性能。
逆光下では、レンズ内で光が反射・散乱することで「フレア」や「ゴースト」が発生。フレアは写真全体が白っぽくなってコントラストが低下する現象で、ゴーストは光源の形をした模様や色付きの像が画面内に現れる現象。
逆光耐性が高いレンズは、強い光源が画面内にあってもコントラストや色の再現性を維持しやすく、フレアやゴーストの発生も少ない。近年のレンズでは特殊コーティングの採用により大幅改善。
ただし、逆光耐性が優れていても完全にフレアやゴーストをなくすことは難しい。特に超広角レンズやズームレンズでは光学設計上の制約から発生しやすい場合があります。
レンズレビューで「逆光耐性が優秀」と評価される場合、太陽を画面に入れた撮影でも画質の低下が少なく、安定した描写が期待できることを意味しています。
中央
強い光源を正面に受けると、やや目立つフレアが発生します。NIKKOR Z S-Lineと比べて明らかに見劣りする唯一のポイント。
隅
光源を隅に移動すると、フレアは弱くなりますが絞るとゴーストが目立ちやすい。
光条
光条とは
光条とは、太陽や街灯などの強い点光源から放射状に伸びる光の筋のこと。英語では「サンスター(Sunstar)」とも呼ばれる。
光条は主にレンズを絞ったときに発生しやすく、絞り羽根の枚数や形状によって見え方が変化。例えば、夜景の街灯が星のように見えるのは光条の効果によるもの。
光条がシャープで均一なレンズは、風景写真や夜景写真を好む撮影者から高く評価されます。一方、光条が太かったり不揃いだったりすると、見栄えがやや不自然。
一般的に開放F値では光条はほとんど目立たず、F8〜F16程度まで絞ると現れやすくなる。ただし、絞りすぎると回折の影響で解像感が低下するため、光条の強さと画質のバランスを考慮する必要があります。
レンズレビューで「美しい光条が得られる」と評価される場合、夜景やイルミネーション撮影で点光源を印象的に表現しやすいことを意味しています。逆に「光条が不規則」と評価される場合、光の筋の長さや形が揃わず、やや雑然とした印象になることを示しています。
実写で確認
F8付近から光条が発生。綺麗な光条ですが、力強さはありません。
まとめ

良かったところ
ココがおすすめ
- 買い方によっては手頃な価格
- 豊富なコントロール
- 防塵防滴仕様
- 解像性能が優れている
- 色収差補正が優れている
- 像面湾曲の問題無し
- 歪曲収差が穏やか
- コマ収差が穏やか
- 球面収差の問題無し
- ボケ質がニュートラルで使いやすい
- 光条が綺麗
優れた光学性能であり、大部分はNIKKOR Zに匹敵。販売価格を考慮するとコストパフォーマンスは非常に高く、高性能な35mm F1.8を探している人にとって要検討。
ニコンZマウントには高性能な純正レンズがあるものの、買い方次第では半値以下となるVILTROXも魅力的。
悪かったところ
ココに注意
- フォーカスブリージングが目立つ
- 最短撮影距離が長い
- ファームウェアによって動作しない場合がある
- 口径食が少し強い
- 周辺減光が強い(競合製品も同程度)
- 逆光時にフレアが発生しやすい
非ライセンスのレンズであるため、純正・ライセンス品より互換性のリスクが高い。実際、Z8でレンズを認識しないことがありました。ファームウェア更新で対処できるものの、そのあたりを手間と感じる場合は手を出さないほうが良いでしょう。
光学性能はほぼNIKKOR Zですが、逆光時のフレア耐性が低め。夜景やフラッシュの使用で光源がフレームに入りやすい撮影では厄介な問題となるかもしれません。
結論

いくつか注意する欠点があるものの、大部分は高性能な35mm F1.8レンズ。入手方法によってはコストパフォーマンスが非常に高い。ポートレートや夜景、天体など、様々なシチュエーションに適したレンズです。
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購入を悩んでいる人
NIKKOR Z 35mm f/1.8 S

VILTROXと比べると高価な35mm F1.8ですが、純正品としての高い互換性は無視できません。失敗できない機会、業務用として35mm F1.8が必要であれば、差額を考慮してもNIKKOR Zがおススメです。
逆光時のフレアはVILTROXより耐性が高め。ただし、絞りリングやFnボタンなどが無いのは悩ましいところ。
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FE 35mm F1.8

VILTROXと同程度の価格で入手できるソニー純正品。
光学性能はVILTROXの圧勝。近接時の解像性能、色収差補正、コマ収差補正、周辺減光などの点で差が大きい。ただし、AF速度や互換性はソニー純正が有利。
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35mm F2 DG DN

VILTROXに近い性能を発揮するものの、近接時の性能低下がやや目立つレンズ。そのぶん、収差変動による描写の変化を楽しめるので、どちらかと言えばフォトグラファー向け。外装の造りも良好。
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旧モデル
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購入早見表
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作例
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