TTArtisan カメラ 機材レビュー 管理人レビュー

銘匠光学 TTArtisan AF 27mm f/2.8 C レンズレビューVol.4 諸収差編

銘匠光学「TTArtisan AF 27mm f/2.8 C」のレビュー第四弾を公開。今回は色収差や歪曲収差など各収差を恒例のテスト環境でチェックしています。

TTArtisan AF 27mm f/2.8 Cのレビュー一覧

像面湾曲

像面湾曲とは?

ピント面が分かりやすいように加工しています。

中央から四隅かけて、ピントが合う撮影距離が異なることを指す。例えば、1mの撮影距離において、中央にピントが合っていたとしてもフレームの端では1mの前後に移動している場合に像面湾曲の影響が考えられる。

最近のレンズで目立つ像面湾曲を残したレンズは少ないものの、近距離では収差が増大して目立つ場合もある。ただし、近距離でフラットな被写体を撮影する機会は少ないと思われ、像面湾曲が残っていたとしても心配する必要は無い。

無限遠でも影響が見られる場合は注意が必要。風景など、パンフォーカスを狙いたい場合に、意図せずピンボケが発生してしまう可能性あり。この収差は改善する方法が無いため、F値を大きくして被写界深度を広げるしか問題の回避手段がない。

参考:Wikipedia 像面湾曲

実写で確認

絞り開放 F2.8でピントを中央・隅にそれぞれ合わせて撮影したところ、以下のような結果となりました。

ごらんのように、ピントを合わせる領域によって結果が異なっていることが分かります。像面湾曲は遠景の撮影に作用するほど残っています。F2.8を活かした低照度の撮影に使いたいところですが、パンフォーカスを得るには絞る必要あり。

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレーム四隅に現れる色ずれを指す。絞り値による改善効果が小さいため、この問題を解決するにはカメラボディでのソフトウェア補正が必要。ただしボディ側の補正機能で比較的簡単に修正できるので、残存していたとして大問題となる可能性は低い。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向がある。

参考:Wikipedia 色収差

実写で確認

レンズ補正をオフにしても、細部まで色収差は良好に補正されています。
のように見えますが、これはAdobe Lightroom Classic上での話。RAW現像時に補正は全てオフにしていますが、どうやら色収差が処理される仕組みとなっているようです。RAW Therapeeで現像してみると、細部に色収差が残っています。どちらにせよ、通常の現像で目立たないのは確かであり、心配する必要はありません。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれを指す。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられる。簡単な後処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えて欲しいところだが、大口径レンズでは完璧に補正できていないことが多い。

軸上色収差を完璧に補正しているレンズはピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できる。

参考:Wikipedia 色収差

実写で確認

倍率色収差と同じく、Adobe Lightroom Classic CCでは自動的に補正されています。この自動補正を外す手段は今のところなし。RAW Therapeeで残存する実際の色収差を確認することができます。とはいえ、大きな問題ではなく、自動補正された結果に違和感はありません。
軸上色収差とは関係ありませんが、F2.8からF4に絞った際にピント位置が遠側へ大きく移動していることが分かります(球面収差が影響しているフォーカスシフト)。

球面収差

球面収差の補正は完璧ではなく、前後でボケ質の違いあり。また、軸上色収差のテストで判明しているように、絞りによるピント位置の移動が大きいレンズです。F2.8でピントを合わせた後に絞るとピント位置が大きく変化するので注意が必要。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうことを指す。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすい。主に魚眼効果と似た形状の「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれる。

参考:Wikipedia 歪曲収差

比較的補正が簡単な収差だが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となる。

実写で確認

スライドショーには JavaScript が必要です。

穏やかな樽型歪曲が残っています。過度な影響ではないものの、直線的な被写体をフレームに入れるのであれば補正を適用しておいたほうが良いでしょう。幸いにもAdobe Camera RAWには対応するプロファイルが存在します(面白いことに富士フイルム27mm F2.8と認識されます)。

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないことを指す。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要がある。

参考:Wikipedia コマ収差

絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる。

実写で確認

手ごろな価格の準広角レンズとしては健闘しています。完璧な補正状態ではありませんが、隅まで目立つコマフレアは発生しておらず、点像再現性にこだわらなければF2.8から実用的な結果が得られています。

まとめ

倍率色収差の補正は100%完璧ではないものの、実写で問題を感じることはなく、普及している現像ソフトであれば自動的に補正されるます。過度に心配する必要がありません。軸上色収差も良好な補正状態であり、絞り開放からコントラストの高い結果を得ることが可能。

歪曲収差が状況によって目立つものの、無補正で問題ない場合も多く、さらに富士フイルム27mmのプロファイルで綺麗に補正可能。少なくともAdobe Camera RAWでは自動的に富士フイルムレンズとして認識され、レンズ補正を適用することができます。

シンプルな光学設計ですが、周辺部までコマ収差が良好に補正されているのも評価できるポイント。開放付近から周辺部まで良好なコントラストを実現しており、点光源や木洩れ日がフレームに入っても大きな問題となりません。夜景や星空にも使えそうなパフォーマンスですが…。

注意すべき点があるとすれば像面湾曲と球面収差。球面収差は通常問題とならない程度ですが、絞った際に目立つフォーカスシフトが発生します。絞り開放でピントを合わせ、固定した状態で絞るような撮影には不向きです。また、像面湾曲の影響により絞り開放付近は中央と隅でピントの位置が微妙に異なります。無限遠でも影響があるので、パンフォーカスを得たい場合には絞る必要があります。
コマ収差の補正は良好ですが、以上の2点を考慮すると夜景や星空の撮影でコストパフォーマンスの高いレンズとは言い難いです。

購入早見表

TTArtisan AF 27mm F2.8 Fuji X
楽天市場 Amazon キタムラ Yahoo
PERGEAR 焦点工房 Emgreat  
焦点工房(限定モデル)    
  キタムラで中古在庫を探す
TTArtisan AF 27mm F2.8 Nikon Z
楽天市場 Amazon キタムラ Yahoo
PERGEAR キタムラで中古在庫を探す
TTArtisan AF 27mm F2.8 Sony E
楽天市場 Amazon キタムラ Yahoo
PERGEAR キタムラで中古在庫を探す

作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

関連レンズ

関連記事

-TTArtisan, カメラ, 機材レビュー, 管理人レビュー
-, ,