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銘匠光学 TTArtisan AF 27mm f/2.8 C レンズレビューVol.1 外観・操作・AF編

銘匠光学「TTArtisan AF 27mm f/2.8 C」のレビュー第一弾を公開。今回はレンズの外観や操作性、カメラに装着してAF/MFの使いやすさなどを確認しています。

TTArtisan AF 27mm f/2.8 Cのレビュー一覧

レンズのおさらい

銘匠光学がリリースする2本目のAFレンズ(1本目は「AF 32mm F2.8 Z」)にして、富士フイルムXマウント初となるTTArtisan製のAFレンズ。以前に開発発表されていた32mm F2.8ではなく、なんの前触れもなく発表した27mm F2.8に驚いた人も多いはず。すでに国内でも焦点工房などが代理店となって販売を開始しています。

概要
レンズの仕様
発売日 2022年10月28日 初値 ¥27,340
マウント X 最短撮影距離 0.35m
フォーマット APS-C 最大撮影倍率 不明
焦点距離 27mm フィルター径 39mm
レンズ構成 5群6枚 手ぶれ補正 -
開放絞り F2.8 テレコン -
最小絞り F16 コーティング 不明
絞り羽根 7枚
サイズ・重量など
サイズ φ61×29mm 防塵防滴 -
重量 93g AF STM
その他 絞りリング
付属品
キャップ・フード

競合するレンズはもちろん「XF27mmF2.8 R WR」であり、焦点距離や開放F値が同等で、最短撮影距離やレンズサイズ・重量なども良く似ています。どちらも繰り出し式のフォーカス構造ですが、駆動方式はXF27mmがDCコアレスモーターで、TTArtisanがステッピングモーター。ステッピングモーターのほうが静かに動作するかもしれませんが、DCモーターのほうが力強くフォーカス群を動かすことができそう。ちなみにレンズ構成は全くの別設計であり、富士フイルムのコピー製品ではありません。

公開されているMTFを信用すると、中央から隅まで非常に一貫性のある解像性能が得られるようです。これが本当なのかどうか、今後のテストで実際にチェックしてみましょう。

価格のチェック

初動の販売価格は¥27,340。「XF27mmF2.8 R WR」よりも2万円安く、「XF27mmF2.8」の売り出し価格よりも1万円安く、中古相場と比べても少し安くなっています。手ごろな価格で27mm F2.8を楽しみたいのであれば面白い選択肢と言えるでしょう。

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外観・操作性

箱・付属品

ブラックを基調としたシンプルながら個性的なデザインの箱。MFのTTArtisanレンズと比べて外装がブラック寄りとなっているのが「AF」を表しているのでしょうか?表面にはファブリック調のカバーが張り付けられており、高級感があふれ出ているわけではないものの、2万円台の手ごろな価格設定を考えると立派な作りに見えます。高級感が有るわけでは無いけど、雰囲気作りには成功しているのかなと。

箱を開けてみると、レンズは分厚い緩衝材に囲まれて梱包されています。同梱品は説明書のみとシンプルながら、低価格なレンズとしてはしっかりとした内装。

同梱品はレンズキャップとフード、説明書が付属。中国レンズメーカーとしては珍しいつまみ式のレンズキャップが付属します。

外観

TTArtisanらしく鏡筒は総金属製のしっかりとした作り。多くの中国レンズメーカーが総金属製の鏡筒であることを考えると、TTArtisanのビルドクオリティが強みになると一概には言えませんが、少なくとも欠点とは感じません。鏡筒表面の絞り値はエッチング加工が施されており、安価なMFレンズと比べて細部の意匠に力が入っています。レンズリアキャップはファームウェアアップデート用のUSB-Cポートを搭載しているのが特徴的。

ハンズオン

金属製のしっかりとした作りですが、重量は93gと非常に軽量。X-E4のようなコンパクトボディのカメラと組み合わせてもバランスは良好と思われます。軽すぎて金属外装とは思えないほどですが、実際に触ってみると、しっかりとした質感であることが分かります。

前玉・後玉

5群7枚構成の光学系は小さな前玉から始まっています。レンズは鏡筒内部に隠れており、レンズフード無しでもある程度の遮光性が期待できそうに見えます。レンズ銘は従来の白文字と比べると控え目なグレー色を採用。

レンズは繰り出し式フォーカスを採用していますが、39mmフィルタースレッド内部で完結します。このため、プロテクトフィルターを装着すると、実質的にインナーフォーカスとして利用することが可能。このあたりの仕様はXF27mmF2.8と同じと言えるかもしれません。

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レンズマウントは金属製でビス4本で固定されています。後玉付近は反射防止のためにマットブラックの塗装が施されているものの、実際に使った印象では反射対策が不十分と感じました(コーティングの問題かもしれませんが…)。

フォーカスリング

10mm幅の金属製フォーカスリングは適度なトルクで滑らかに回転。古い富士フイルムXFレンズと比べると、ざらつきは無く、滑らかで良好な操作感が得られます。ストロークは0.35m~無限遠で約75°のリニアレスポンス。快適なMFが利用できるかと思いきや、無限遠側のストロークが非常に短く、接写時はステッピングモーターの動作が粗いので微調整には不向きです。

絞りリング

Aポジションを含む、F2.8からF16までを操作できる絞りリングを搭載。フォーカスリングと比べるとトルクが強く、指一つで操作するのは難しい。二つの指でリングを摘み回転したいところですが、グリップのあるカメラだと右手と干渉しやすいのが悩ましいところ。
リングは絞り全域で1/3段刻みで動作。クリック感を伴うしっかりとした作りで、静止画で良好な撮影体験が得られると思います。ただし、動画向きのクリックレス仕様とはならないので、動画撮影時はAポジションの使用がおススメ。

レンズフード

ドームタイプの金属製レンズフードが付属します。正直に言うと効果があるのかないのかわからない形状ですが、前玉保護の観点からも装着しておくといいでしょう(それに装着してもサイズはほとんど変わらない。)。

付属のレンズキャップは39mmフィルター用ですが、口径が小さいレンズフードにも対応した切り欠きがあるのでフードそのままでキャップを装着可能。ただし、この際はキャップが非常に脱落しやすいので注意が必要です。

装着例

FUJIFILM X-S10に装着。前述したようにグリップと絞りリングの操作が干渉しやすいものの、Aポジションでカメラ側のダイヤル操作に切り替えると特に問題はありません。小型軽量で携帯しやすく、カメラバッグへの収納性も良好。

AF・MF

フォーカススピード

ステッピングモーター駆動のAFは決して高速とは言えませんが、旅行や風景写真であればストレスフリーの撮影速度だと思います。精度も良好で、遠景撮影時のミスショットも少ない。追従AFもそこそこ良好に動作しますが、フォーカスの仕組みを考慮すると過度な期待は禁物と言ったところ。

ファームウェアに注意

古いXカメラとの互換性向上ファームウェアが公開されています。動作不良を感じたらファームウェアアップデートで改善する可能性あり。

ブリージング

ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指す。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となる。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。
今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離と無限遠で撮影した結果が以下の通り。

スライドショーには JavaScript が必要です。

特に接写性能の高いレンズではありませんが、目立つフォーカスブリージングが発生します。もともと動画向けのレンズとは感じませんが、静止画でもAF時に画角が広がったり狭くなったり、少し騒がしく感じる可能性あり。特に隅や周辺部にピント合わせたい場合は苦労するかもしれません。

精度

X-S10と組み合わせた限りではAF精度に大きな問題はありませんでした。近距離から無限遠まで安定感のあるAFを期待できます。

MF

前述のとおり、リニアレスポンスの滑らかなフォーカスリングで操作します。ただし、ステッピングモーター(もしくはリードスクリュー)の動作が粗く、近距離 F2.8時における細部の微調整には不向きです。また、無限遠側はストロークが短く操作が難しくなります。

まとめ

XF27mmF2.8 R WR」も手ごろな価格で買える中、このレンズを買う価値はあるのか?
個人的にはアリだと思います。購入先によっては僅か2万円ちょっと(例:2023-01-11現在、PERGEARにて21,199円)、富士フイルム純正レンズの半値以下で入手可能。このようなパンケーキレンズにかけるお金を極力減らしたい人にとって面白い選択肢となるはず。手ごろな価格ですが、金属鏡筒で絞りリング付き、AFや自動絞りにも対応しています。

妥協すべきポイントはどこか?
MF操作はレンズ側の微動が少し粗く、細かい微調整時に気になる粗さを感じます。また、絞りリングはグリップしにくく、グリップの大きなカメラとは相性が悪い可能性あり。そして、付属のレンズキャップは外れやすいです。

光学性能はテスト中ですが、価格を考慮すると良好です。フォーカスシフトや像面湾曲などに気を付ける必要があるものの、その他の収差はよく抑えられているように見えます。

購入早見表

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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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