銘匠光学「TTArtisan AF 27mm f/2.8 C」のレビュー第三弾を公開。今回は前後のボケ質差や玉ボケの形状と絞り羽根の影響、撮影距離を変化した場合のボケ質などをチェックしています。
TTArtisan AF 27mm f/2.8 Cのレビュー一覧
- 銘匠光学 TTArtisan AF 27mm f/2.8 C レンズレビュー 完全版
- 銘匠光学 TTArtisan AF 27mm f/2.8 C レンズレビューVol.6 解像チャート編
- 銘匠光学 TTArtisan AF 27mm f/2.8 C レンズレビューVol.5 周辺減光・逆光編
- 銘匠光学 TTArtisan AF 27mm f/2.8 C レンズレビューVol.4 諸収差編
- 銘匠光学 TTArtisan AF 27mm f/2.8 C レンズレビューVol.3 ボケ編
- 銘匠光学 TTArtisan AF 27mm f/2.8 C レンズレビューVol.2 遠景解像編
- 銘匠光学 TTArtisan AF 27mm f/2.8 C レンズレビューVol.1 外観・操作・AF編
Index
前後ボケ
綺麗なボケ・騒がしいボケとは?
ボケの評価は主観的となりがち。個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくないと感じる。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人がいてもおかしくない。
参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルを以下に示す。
描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によって変化し、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向がある。
特殊な方法として「アポダイゼーション光学素子」などを使って強制的に滑らかなボケ描写を実現しているレンズも存在する。
実写で確認
球面収差の補正が完璧な状態ではなく、前後のボケ質にはかなり偏りが見られます。後ボケは滲むようにしてアウトフォーカスへと推移する柔らかい描写。一方で前ボケはアウトラインが硬調で2線ボケの兆候が見られます。27mm F2.8で前ボケを入れる機会は少ないと思われ、ボケ質の傾きは肯定的に見ることができます。
玉ボケ
口径食・球面収差の影響
ここで言う「口径食」とはレンズ口径がボケへ影響していることを指す。
口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまったりする。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法が無い。しかし、絞ると羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じてF値を変化させる必要あり。
逆に口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが出来る。これは玉ボケに限った話ではなく、一般的な四隅のボケ描写の質感にも繋がる。口径食が強いと、ボケが小さく感じたり、場合によってはボケが荒れてしまう場合もある。
できれば口径食の小さいレンズが好ましいが、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要がある。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。
球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生する(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまう。
実写で確認
非球面レンズを使っていないので、玉ボケの表面は滑らかで綺麗な描写。少なくとも後ボケはアウトラインが目立たない綺麗なボケと言えるでしょう。ただし、口径食が強く、隅に向かってボケの変形が目立ちます。絞ることで口径食は改善しますが、改善するころにはボケがかなり小さくなってしまうのが残念。
ボケ実写
接写
口径食は強いものの、滑らかで綺麗な描写の心地よいボケが得られます。口径食が騒がしく見える場合はF4からF5.6まで絞って撮影すると改善します。
近距離
撮影距離が長くなると、必然的にボケが小さくなります。「27mm F2.8」で大きなボケを期待することは出来ないものの、小型軽量で低価格な27mm F2.8としては良質な描写を維持しています。この微ボケで綺麗な描写を維持しているのは高く評価できるポイント。
撮影距離
全高170cmの三脚を人物に見立てて、F2.8を使って様々な距離から撮影した結果が以下の通り。
全身をフレームに入れても若干の後ボケを得ることができます。とはいえ、被写体を背景から分離するには力不足で、後ボケは全体的に少し騒がしい描写。極端に悪くはありませんが、強みとは言えません。膝上くらいまで近寄ると、そこそこ大きなボケを得ることが可能。ボケ質は完璧からほど遠いものの、軸上色収差の影響が少なく、過度に悪目立ちすることはありません。上半身から顔のクローズアップでさらに良好なボケを得ることができます。ただし、全体的に口径食の影響が強く、隅に向かってボケが変形します。気になる場合は絞って対応するしかありません。
まとめ
手ごろな価格で小型軽量なパンケーキレンズとしては満足のいく結果が得られます。非球面レンズを使用していないので玉ねぎボケの兆候はありません。また、残存する球面収差は後ボケの描写を柔らかくするのに一役買っています。軸上色収差もよく抑えられており、ボケが硬調となる場合でも過度に騒がしくないのがGood。
特に接写時は2万円ちょっと27mm F2.8としては心地よい良い描写が得られます。口径食が強いと感じるシーンもあるので、状況に応じて絞りで対応したいところ。
購入早見表
作例
関連レンズ
- XF27mmF2.8 R WR
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- 7Artisans 25mm F0.95
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