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銘匠光学 TTArtisan AF 35mm F1.8 レンズレビュVol.1 外観・操作・AF編

銘匠光学「TTArtisan AF 35mm F1.8」のレビュー第一弾を公開。今回はカメラの外観や操作性、携帯性などをチェックしています。最短撮影距離は長いものの、総金属製の外装や使いやすいAF・MFが印象的。

おことわり

今回はPERGEARより無償提供の「TTArtisan AF 35mm F1.8」を使用してレビューしています。提供にあたりレビュー内容の指示や報酬の受け取りはありません。従来通りのレビューを心がけますが、無意識にバイアスがかかることは否定できません。そのあたりをご理解のうえで以下を読み進めてください。

TTArtisan AF 35mm F1.8のレビュー一覧

まえがき

TTArtisanにおいて3本目となるAFレンズ。他2本がF2.8と中口径だったのに対し、今回は開放F値が「F1.8」と明るいレンズとなっています。競合する中国レンズメーカーであるVILTROXが「33mm F1.4」を、SIRUIが「33mm F1.2」をリリースする中で、TTArtisanの「F1.8」は平凡と感じるかもしれません。しかし、売り出し価格は「890元」と手ごろな価格を実現、小型軽量で持ち出しやすい安価な大口径レンズを探している人にとって面白い選択肢となる可能性あり。

レンズの仕様
発売日 2023年10月6日 初値 890元
マウント E / X / Z 最短撮影距離 0.6m
フォーマット APS-C 最大撮影倍率 不明
焦点距離 35mm フィルター径 52mm
レンズ構成 8群10枚 手ぶれ補正 -
開放絞り F1.8 テレコン -
最小絞り F16 コーティング 不明
絞り羽根 9枚
サイズ・重量など
サイズ φ65×60mm 防塵防滴 -
重量 199-210g AF STM
その他 USB-Cポート
付属品
金属フード

レンズ構成は8群10枚で、2枚のEDレンズと1枚の高屈折率レンズを使用。比較的シンプルでクラシカルなレンズ構成を採用することが多いTTArtisanの中では複雑な標準レンズとなっています。MTFを確認してみると、周辺部や隅まで極端な落ち込みの無い、安定感のある結果が得られるように見えます。これが実写でどのように反映されるのか、これからテストや実写で確認していきたいと思います。

価格のチェック

外観・操作性

箱・付属品

TTArtisanではお馴染みのファブリック調でシンプルなデザインの箱。MFレンズと異なり、AFレンズは箱のカラーが少し暗め。最近のTTArtisanは未開封を示す封印用シールが張り付けられています。未開封か否かを判断しやすい。レンズ本体はスポンジ状の緩衝材で間仕切りされた中に収納。低価格ながら立派に見えます。国内メーカーは環境に配慮したデザインを採用しつつありますが、箱ごと保管する人も多いであろう撮影機材はTTArtisanのようなデザインでも良いのかなと。レンズ本体のほか、角形フードやレンズキャップ、説明書が付属。

外観

本体は全体的に金属パーツを使用した頑丈な作り。レンズマウントやフォーカスリングを含めて金属製で、後述するレンズフードも金属を使用しています。2万円ちょっとで手に入るレンズとしては高品質と言えるでしょう。

外装のデザイン・コントロールはどちらもシンプル。表示はエッチングされた製品名とシリアルナンバー類のみ。

リアレンズキャップは電子接点を備え、レンズのファームウェアアップデートに対応しています。ただし、USBケーブルは付属していませんが、一般的なUSB-Cポートを使用するので困ることは無いはず。

ハンズオン

小型軽量ですが、APS-C用「35mm F1.8」としては少し大きく重いほう。とは言え、バランスを崩すほどのサイズ・重量とは感じません。

前玉・後玉

前面は52mmフィルターに対応。前玉にフッ素コーティング処理は施されていないため、水滴や汚れの付着が想定されるシーンでは保護フィルターを装着しておくと良いでしょう。前玉周辺には白色でブランド名や最短撮影距離などがプリントされています。

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金属製レンズマウントは4本のビスで固定。防塵防滴仕様ではなく、マウント周囲にゴムシーリングは無し。前玉付近は不要な光の反射を抑えるマットブラックの塗装が施されていますが、フレアカッターは無し。

フォーカスリング

幅の広い金属製フォーカスリングを搭載。この価格帯のレンズとしては、思いのほか滑らかで適度な抵抗の快適な操作性を実現。リニアレスポンスで再現性の高い操作が可能です。ストロークはピント全域で約180度、オーバーインフもあるので無限遠にピントを合わせやすい。

レンズフード

角形ドームフードが付属。この価格帯のAFレンズとしては立派な作りですが、内側に反射防止の処理は施されていません。フードの形状から、フィルターの装着には制限があります。一般的な厚みの保護フィルターであれば装着したままフードの着脱が可能。可変NDなどサイズが大きなフィルターを装着した場合は干渉する可能性が高い。

ケラレ耐性

作例は掲載しませんが、52mmフィルターを複数枚重ねて装着しても干渉なし。フード程度の厚みまで重ねて装着することができます。

装着例

APS-Cクロップでも2600万画素で利用可能なα7R Vに装着。ボディサイズが大きめのため参考にならないかもしれませんが、APS-Cに装着してもバランスは崩さない程度かなと思います。とは言え、XF35mmF2などと比べると少し大きなサイズであることは否めません。

AF・MF

フォーカススピード

インナーフォーカス仕様のステッピングモーター駆動による動作。リニアモーター駆動を使ったレンズほど高速ではありませんが、一般的な撮影で不満を感じない程度に高速です。動作音は他の(リードスクリュー型)ステッピングモーター搭載レンズと同じくらい静か。

ブリージング

ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指します。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となります。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離・無限遠で撮影した結果が以下の通り。

スライドショーには JavaScript が必要です。

最短撮影距離が長いわりにはピント位置による画角変化が大きく、目立ちます。特に四隅にピントを合わせたい場合は画角変化が目障りと感じるかもしれません。

精度

α7R Vとの組み合わせで大きな問題はなし。中央でも隅でも問題なくピント合わせが可能です。

MF

前述したとおり、使い勝手の良いフォーカスリングと、滑らかで応答性の良い動作で正確に操作することが出来ます。

まとめ

2万円ちょっとで手に入る35mm F1.8としては良くできたレンズです。絞りリングやスイッチなどのコントロールが無く、防塵防滴仕様でもありませんが、総金属製で頑丈・高級感のある作り。フォーカスリングの操作性やAF性能も特に問題なく、外装だけで言えば特にこれと言った欠点はありません。ざっと使ってみた限りでは光学性能も非常に良好。逆光耐性は相変わらずのTTArtisanですが、解像性能や諸収差の補正状態はかなりうまくまとまっているように見えます。競合製品の多いセグメントですが、その中でもコストパフォーマンスの良いレンズと言えるのかなと。注意点を一つ挙げるならば「最短撮影距離が0.6m」であること。APS-C用の標準単焦点レンズとしてはぶっちぎりで最短撮影距離が長いため、小さな被写体の撮影が多い場合は不向き。
(競合製品は0.3~0.4mくらいであることが多いです)

購入早見表

作例

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