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銘匠光学 TTArtisan Tilt 50mm F1.4 レンズレビューVol.1 外観・操作編

銘匠光学「TTArtisan Tilt 50mm F1.4」のレビュー第一弾を公開。今回はレンズの外観や操作性、カメラに装着してMFの使いやすさなどを確認しています。

はじめに

今回は焦点工房から期間限定で無償提供していただいた製品を評価しています。レビューにあたり、金銭の受け取りやテスト結果・評価への指示は一切ありません。無意識のバイアスがかかっている可能性を否定できませんが、これまでに様々な製品をレビューしてきた経験をもとに、出来る限り客観的な評価を心がけています。

TTArtisan Tilt 50mm F1.4のレビュー一覧

まえがき

2022年に登場したTTArtisan初のティルトレンズ。このカテゴリのレンズとしては珍しくF1.4の大口径レンズとなっているので、絞り開放で一般的な大口径レンズとして楽しむことができ、場合によってはティルト機能でピント面を傾けて使うことができます。

概要
レンズの仕様
発売日 2022年10月14日 初値 ¥35,100
マウント E/L 最短撮影距離 0.5m
フォーマット 35mm判 最大撮影倍率 不明
焦点距離 50mm フィルター径 62mm
レンズ構成 6群7枚 手ぶれ補正 -
開放絞り F1.4 テレコン -
最小絞り F16 コーティング 不明
絞り羽根 12枚
サイズ・重量など
サイズ φ70×68mm 防塵防滴 -
重量 452g AF MF
その他 電子接点なし・8度ティルト・90度回転
付属品
-

レンズ構成はダブルガウスタイプのシンプルな設計で、±8度のティルトに対応しています。最大撮影倍率が低く、マクロ撮影には対応していないものの、F1.4を活かした被写界深度の浅い撮影が可能となっています。競合するレンズは「AstrHori 50mm F1.4」くらいでしょうか。

価格のチェック

国内の正式代理店経由で約3.5万円で購入できます。しっかりとした作りの大口径ティルトレンズと考えると手ごろな価格であり、ティルト撮影を体験してみたい人にとって面白い選択肢となるはず。

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外観・操作性

箱・付属品

グレーを基調としたシンプルながら個性的なデザインの箱。表面にはファブリック調のカバーが張り付けられており、高級感が有るわけでは無いけど、雰囲気作りには成功しているのかなと思います。

箱を開けてみると、レンズは分厚い緩衝材に囲まれて梱包されています。同梱品は説明書のみとシンプルながら、低価格なレンズとしてはしっかりとした内装。

外観

TTArtisanらしく鏡筒は総金属製のしっかりとした作り。多くのMFレンズメーカーが総金属製の鏡筒であることを考えると、TTArtisanのビルドクオリティが強みになると一概には言えませんが、少なくとも欠点とは感じません。鏡筒表面のピント距離や絞り値の表示は全てプリントで、エッチングなどの加工は施されていません。

外装はややマットなブラックの塗装で、マウント付近は無塗装のアルミニウム合金に見えます。

専用のかぶせ式レンズキャップが付属。金属製のしっかりとした作りで、内側には滑り止め用のフェルト生地が張り付けられています。

ハンズオン

シンプルな光学設計の50mm F1.4としては大きく重いレンズですが、ティルト機能付きと考えるとコンパクトサイズ。総金属鏡筒と言うこともあり、ガラスと金属の塊感のあるレンズに仕上がっています。

前玉・後玉

凸型の前玉周辺も金属パーツで構成され、62mmフィルター対応のソケットも金属製です。レンズにフッ素コーティング処理が施されている記述は無いので、水滴や汚れの付着が予想できるのであればプロテクトフィルターの装着がおススメです。

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金属製のマウントは3本のビスで固定されています。マウント付近にはリボルビング機構とティルト機構が備わっており、周辺は反射防止用のマットブラック塗装で適切に処理されています。

フォーカスリング

0.5mから無限遠まで対応する金属製のフォーカスリングは滑らか、そして適切な抵抗感で回転します。フォローフォーカスに対応しているので動画撮影にも幅広く利用できそうです。ストロークはピント全域で90度を超えています。ピント範囲を考慮すると長めのストロークで、大口径レンズの薄いピント面でも微調整しやすい。

絞りリング

F1.4からF16まで1/2段刻みで位置表示のある金属製の絞りリングを搭載。適度な抵抗感で滑らかに回転しますが、クリック感はないので静止画には不向き。動画撮影を意識しているので、F1.4からF16までのストロークは均一の無段階絞り、そしてフォーカスリングと同じくフォローフォーカスデバイスに対応しています。

ティルトノブ

±8度のティルトに対応。中央のノブで固定を緩めることで無段階で調整することが出来ます。角度によっては重量で自重落下するので、固定を解除する際は注意が必要です。

リボルビングノブ

マウント付近にはリボルビング軸を固定するノブがあります。これを緩めることで、レンズを回転することができ、ティルトで傾ける方向の調整が可能。

リボルビングで回転できるのは0度から90度まで、15度ごとにクリック感のある動作ですが、途中で固定することも可能です。

装着例

α7R IVに装着。50mm F1.4のMFレンズとしては少し大きめですが、バランスが崩れるほどのサイズではありません。フォーカスリングや絞りリング、各ノブの配置も適切で、操作性で特に不満と感じるポイントはなし。ただし、前述したようにティルトノブを緩めると、自重落下でレンズが急に傾く場合があるので注意が必要です。

スライドショーには JavaScript が必要です。

MF

フォーカススピード

0.5mから無限遠のフォーカスリングとしてはストロークが長く、素早いフォーカス操作には不向きです。ただし、無限遠側のストロークはほとんどないので、絞って使う分には不満ありません。

ブリージング

ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指す。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となる。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。
今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離と無限遠で撮影した結果が以下の通り。

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極端ではありませんが、それなりに画角の変化が発生しています。

精度

接写時は十分なストロークが確保されていますが、遠景や風景で利用できるストロークはごくわずかです。

今回のまとめ

3.5万円で「50mm F1.4」「50mm ティルト」が同時に手に入ると考えるとフルマニュアル(電子接点なし)としてもお買い得なレンズだと思います。この価格帯では珍しいティルト構造を搭載しつつ、鏡筒の作りに妥協は感じられません。フォーカスリングや絞りリングの操作性もTTArtisanらしく良好。注意点があるとすればロック解除時に自重落下の可能性があるティルト機構くらいでしょうか。

既に何度か試し撮りしていますが、光学性能としてはダブルガウスらしい特性を備えています。絞り開放の性能に過度な期待は禁物ですが、絞ることでフレームの大部分は良好なパフォーマンスを発揮。ボケは極上の描写からほど遠いものの、接写時は悪くなく、50mm F1.4らしい大きなボケを得ることができます。そのあたりは今後のレビューでじっくりと紹介していく予定です。

肝心のティルト撮影も問題なく利用可能。手持ち撮影でカジュアルに使うこともできますが、正確にピント面の傾きを合わせたいならば、三脚に固定してじっくり調整するのがおススメ。

購入早見表

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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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