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VILTROX AF 20mm F2.8 レンズレビューVol.5 ボケ編

「VILTROX AF 20mm F2.8」ニコンZマウントのレビュー第五弾を公開。収差の影響が少なく、滑らかで綺麗な後ボケですが、玉ボケが大量に写る機会では少し絞ったほうがいいかもしれません。

VILTROX AF 20mm F2.8のレビュー一覧

前後ボケ

綺麗なボケ・騒がしいボケとは?

ボケの評価は主観的となりがちですが、個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくない(もしくは個性的な描写)と定義しています。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人もいることでしょう。参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルが以下のとおり。描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によるもの、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向があります。

後ボケ

少なくとも近距離における後ボケは滑らかで綺麗。残存するわずかな球面収差で滑らかなボケを実現しているように見えます。広角レンズとしては評価できる描写。

前ボケ

後ボケとは打って変わって、ボケのアウトラインが強い硬めの描写。とはいえ、20mm F2.8で前ボケが大きく写りこむシーンはほとんどありません。特に心配する必要はありません。

玉ボケ

口径食・球面収差の影響

口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまいます。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法がありません。しかし、絞るとボケが小さくなったり、絞り羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じて口径食を妥協する必要あり。

口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが可能。できれば口径食の小さいレンズが好ましいものの、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要があります。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。

球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。

実写で確認

フレーム隅の玉ボケをクロップして確認すると、玉ボケが大きく変形していることがわかります。絞ると改善しますが、F5.6-8まで絞るとボケがかなり小さくなってしまいます。玉ボケの描写は「20mm F2.8」としてはとても良好で、アウトラインが目立たず、色収差による色づきも少なめ。非球面レンズの研磨ムラと思われる、いわゆる「玉ねぎボケ」の影響はありますが、中国レンズメーカーの広角レンズとしては健闘しているのかなと。

ボケ実写

至近距離

接写時でもシャープなピント面と悪目立ちしないボケ。極上のボケとは言えませんが、20mm F2.8の後ボケとしては良好。前述したように、アウトラインの強調がなく、色収差の補正状態が良好である点が功を奏しているようです。

あえて言えば、放射方向にボケが流れているように見え、これを抑える場合はF5.6くらいまで絞る必要があります。

近距離

基本的には接写時と同じ。手頃な価格の広角レンズとしては健闘しているように見えます。とはいえ、フレーム隅に向かって流れるようなボケの描写が騒がしく見えます。気になる場合はF4~F5.6まで絞って撮影したほうがいいでしょう。

ポートレート

全高170cmの三脚を人物に見立て、絞り開放(F2.8)で距離を変えながら撮影した結果が以下の通り。

全身をフレームに入れる場合、ボケはほとんど得られません。この際のボケはコマ収差などの影響が強く、フレーム周辺部の点光源が悪目立ちする可能性あり。顔のクローズアップ以外は同じ傾向が続くので、状況に応じて少し絞ったほうがよさそう(周辺部の描写を改善するため)。

まとめ

手頃な価格の20mm F2.8としては悪くありません。玉ボケが多いシーンでは少し騒がしくなるかもしれませんが、基本的に後ボケは滑らかで綺麗な描写です。色収差やアウトラインによる強調が弱く、使い勝手が良好。点光源が多いシーンでも極端に悪目立ちはしません。しかし、隅に向かって流れるような描写になったり、玉ねぎボケの影響があるので完璧からは程遠い。20mm F2.8でボケを得る機会は少ないと思いますが、玉ボケが入るシーンは気を付けたほうがいいでしょう。

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