「VILTROX AF 35mm F1.2 LAB」のレビュー第四弾 諸収差編を公開。大口径ながら良好な色収差補正を実現しており、コマ収差や歪曲収差なども目立たない程度に良く抑えられています。
製品提供について
このレビューは映像嵐株式会社より無償提供された製品を使用しています。
金銭の授受やレビュー内容の指示は一切ないことを最初に明言しておきます。購入した製品ではないことに対する無意識のバイアスは否定できませんが、できるだけ客観的な評価を心がけています。
簡易的なまとめ
同シリーズの「135mm F1.8」ほどではないものの、F1.2の大口径としては諸収差を良好に補正。弱点と指摘するほど目立つ収差は無く、全てが許容範囲内に収まっています。特に大口径レンズだ問題となりやすい色収差をF1.2から目立たない程度に抑えています。
敢えて言えば、複雑な歪曲収差の修正が難しいものの、全体としての影響は軽微で無視できる場合が多い。また、レンズプロファイルが公開されると自動的に修正が可能となります。
While not as impressive as the “135mm F1.8” in the same series, this lens effectively corrects various aberrations for its large F1.2 aperture. There are no noticeable aberrations that could be considered significant weaknesses, and all performance falls within acceptable limits. In particular, chromatic aberration—a common issue with large-aperture lenses—is kept to a minimum even at F1.2.
That said, while correcting complex distortion aberrations is challenging, their overall impact is minor and often negligible. Additionally, once lens profiles are made available, automatic correction becomes possible.
Index
VILTROX AF 35mm F1.2 LABのレビュー一覧
- VILTROX AF 35mm F1.2 LAB レンズレビューVol.4 諸収差編
- VILTROX AF 35mm F1.2 LAB レンズレビューVol.3 解像チャート編
- VILTROX AF 35mm F1.2 LAB レンズレビューVol.2 遠景解像編
- VILTROX AF 35mm F1.2 LAB レンズレビューVol.1 外観・操作・AF編
像面湾曲
像面湾曲とは?

ピント面が分かりやすいように加工しています。
中央から四隅かけて、ピントが合う撮影距離が異なることを指しています。例えば、1mの撮影距離において、中央にピントが合っていたとしてもフレームの端では1mの前後に移動している場合に像面湾曲の可能性あり。
最近のレンズで目立つ像面湾曲を残したレンズは少ないものの、近距離では収差が増大して目立つ場合があります。と言っても、近距離でフラット平面の被写体を撮影する機会は少ないと思われ、像面湾曲が残っていたとしても心配する必要はありません。
ただし、無限遠でも影響がある場合は注意が必要。風景など、パンフォーカスを狙いたい場合に、意図せずピンボケが発生してしまう可能性あり。この収差は改善する方法が無いため、F値を大きくして被写界深度を広げるしか問題の回避手段がありません。
実写で確認
フォーカスを合わせる位置に関わらず、フレーム全域でピントが合っているように見えます。像面は平坦で、特に大きな問題はありません。ただし、解像チャートのような至近距離では、若干の像面湾曲が発生します。
- ピント中央合わせ
- ピント隅合わせ
- ピント中央合わせ
- ピント隅合わせ
倍率色収差
倍率色収差とは?
主にフレームの周辺部から隅に現れる色ずれ。軸上色収差と異なり、絞りによる改善効果が小さいので、光学設計の段階で補正する必要があります。ただし、カメラ本体に内蔵された画像処理エンジンを使用して、色収差をデジタル補正することが可能。これにより、光学的な補正だけでは難しい色収差の補正が可能で、最近では色収差補正の優先度を下げ、他の収差を重点的に補正するレンズも登場しています。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向あり。
- 良好な補正
- 倍率色収差あり
実写で確認
隅を拡大することで、残存するごく僅かな色収差を確認可能。しかし、これが実写で問題となる可能性は低く、現像ソフトなどで簡単に補正することもできます。
軸上色収差
軸上色収差とは?
軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれ。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられます。F1.4やF1.8のような大口径レンズで発生しやすく、そのような場合は絞りを閉じて改善する必要があります。現像ソフトによる補正は可能ですが、倍率色収差と比べると処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えておきたいところ。ただし、大口径レンズで軸上色収差を抑える場合は製品価格が高くなる傾向があります。軸上色収差を完璧に補正しているレンズは絞り開放からピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できます。
実写で確認
絞り開放付近で僅かに残存する色収差を確認できます。F1.2の大口径を考慮すると非常に良好な補正状態であり、実写で問題となることは少ない。
歪曲収差
歪曲収差とは?
歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうこと。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすく、魚眼効果のような「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。
- 糸巻き型歪曲
- 適切な補正
- 樽型歪曲
比較的補正が簡単な収差ですが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となります。
実写で確認
陣笠状(口ひげ状)を伴う樽型の歪曲収差。影響は軽微ですが、複雑な歪み方のため、手動補正が難しい。完璧に補正したい人はVILTROXが公開するであろうレンズプロファイルを適用することになりそうです。
コマ収差
コマ収差・非点収差とは?
コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないこと。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要あり。
- 良好な補正状態
- 悪い補正状態
絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる場合もあります。
実写で確認
F1.2の大口径ながら、点像再現性はまずまず良好。点像が僅かに変形していますが、全体像からすると許容範囲内。F2-2.8まで絞るとほぼ抑えることが出来ます。
球面収差
前後にボケ質の偏りがなく、球面収差が良好に補正されていることが分かります。
まとめ
同シリーズの「135mm F1.8」ほどではないものの、F1.2の大口径としては諸収差を良好に補正。弱点と指摘するほど目立つ収差は無く、全てが許容範囲内に収まっています。特に大口径レンズだ問題となりやすい色収差をF1.2から目立たない程度に抑えています。
敢えて言えば、複雑な歪曲収差の修正が難しいものの、全体としての影響は軽微で無視できる場合が多い。また、レンズプロファイルが公開されると自動的に修正が可能となります。
良好な補正状態は様々なシーンで「F1.2」を使いやすいものにしています。絞り開放でもピント面のコントラスト・シャープネスが高く、ボケ質はフレーム隅まで悪目立ちしない良好な描写。優等生的で無個性ではあるものの、使い勝手の良いF1.2 レンズとして評価できるもの。高品質・高性能のLABシリーズらしい結果と言えるでしょう。
購入早見表
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作例
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