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VILTROX AF 50mm F2 レンズレビューVol.4 諸収差編

「VILTROX AF 50mm F2」のレビュー第四弾 諸収差編を公開。低価格のレンズとしては全体的に良好な補正状態で、欠点と言えるほどの残存収差はありませんでした。

製品提供について

このレビューは映像嵐株式会社より無償提供された製品を使用しています。
金銭の授受やレビュー内容の指示は一切ないことを最初に明言しておきます。購入した製品ではないことに対する無意識のバイアスは否定できませんが、できるだけ客観的な評価を心がけています。

簡易的なまとめ

大口径レンズでしばしば欠点となる色収差は良好に補正されています。「低価格の」という枕詞なしで良好と評価できる性能。色収差に関してはFE 55mm F1.8 ZA のほうが目立つくらい。

他の収差も全体的に良く補正されています。歪曲収差は若干残っているものの、実写で目立つシーンはほとんどありません。補正無しでも心配する必要はないでしょう。コマ収差は点光源が重要となるシーンで若干の問題があるものの、一般的な撮影で悪目立ちするほどの量でもありません。

Chromatic aberration, which is often a drawback with large-aperture lenses, is well corrected. The performance can be rated as good without the qualifier “low-priced.” In terms of chromatic aberration, the FE 55mm F1.8 ZA is more noticeable.
Other aberrations are also well corrected overall. Distortion is present to a slight extent, but it is hardly noticeable in real-world scenes. There is no need for concern even without correction. Coma aberration is present to a slight extent in scenes where point light sources are important, but it is not significant enough to be noticeable in general photography.

VILTROX AF 50mm F2のレビュー一覧

像面湾曲

像面湾曲とは?

ピント面が分かりやすいように加工しています。

中央から四隅かけて、ピントが合う撮影距離が異なることを指しています。例えば、1mの撮影距離において、中央にピントが合っていたとしてもフレームの端では1mの前後に移動している場合に像面湾曲の可能性あり。

最近のレンズで目立つ像面湾曲を残したレンズは少ないものの、近距離では収差が増大して目立つ場合があります。と言っても、近距離でフラット平面の被写体を撮影する機会は少ないと思われ、像面湾曲が残っていたとしても心配する必要はありません。

ただし、無限遠でも影響がある場合は注意が必要。風景など、パンフォーカスを狙いたい場合に、意図せずピンボケが発生してしまう可能性あり。この収差は改善する方法が無いため、F値を大きくして被写界深度を広げるしか問題の回避手段がありません。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

中央・隅どちらにピントを合わせても同程度の結果が得られました。遠景において像面湾曲の問題はありません。

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレームの周辺部から隅に現れる色ずれ。軸上色収差と異なり、絞りによる改善効果が小さいので、光学設計の段階で補正する必要があります。ただし、カメラ本体に内蔵された画像処理エンジンを使用して、色収差をデジタル補正することが可能。これにより、光学的な補正だけでは難しい色収差の補正が可能で、最近では色収差補正の優先度を下げ、他の収差を重点的に補正するレンズも登場しています。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向あり。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

絞り値に関わらず良好な補正状態です。目立たないどころか、大きく拡大しても分からないほど良く補正されています。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれ。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられます。F1.4やF1.8のような大口径レンズで発生しやすく、そのような場合は絞りを閉じて改善する必要があります。現像ソフトによる補正は可能ですが、倍率色収差と比べると処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えておきたいところ。ただし、大口径レンズで軸上色収差を抑える場合は製品価格が高くなる傾向があります。軸上色収差を完璧に補正しているレンズは絞り開放からピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できます。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

色収差がゼロとは言えないものの、手頃な価格の50mm F2としては非常に良好な補正状態です。拍手喝采。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうこと。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすく、魚眼効果のような「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。

参考:ニコン 収差とは

比較的補正が簡単な収差ですが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となります。

実写で確認

直線的な被写体をフレーム端に配置すると、わずかな糸巻き型歪曲に気が付きます。大部分の撮影では無視できる程度ですが、人工物などを撮影する場合はレンズプロファイルによる修正が必要かもしれません。

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないこと。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要あり。

参考:ニコン 収差とは

絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる場合もあります。

実写で確認

F2の絞り開放でフレーム隅に点光源を配置すると変形します。全体像からすると目立たない程度ですが、細部まで良好な結果を期待する場合は少なくとも1段は絞るのがおススメ。2段絞るとほぼ完璧。

球面収差

F2.0

完璧とは言えないものの、極端な残存収差はありません。撮影距離によってはボケの縁取りが気になる可能性あり。

F2.8

まとめ

大口径レンズでしばしば欠点となる色収差は良好に補正されています。「低価格の」という枕詞なしで良好と評価できる性能。色収差に関してはFE 55mm F1.8 ZA のほうが目立つくらい。

このレンズは実写で色収差が目立つシーンはほとんど無く、F2の絞り開放を快適に使うことができます。

他の収差も全体的に良く補正されています。歪曲収差は若干残っているものの、実写で目立つシーンはほとんどありません。補正無しでも心配する必要はないでしょう。コマ収差は点光源が重要となるシーンで若干の問題があるものの、一般的な撮影で悪目立ちするほどの量でもありません。

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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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