ニコン「Z 8」のレビュー第二弾を公開。今回は各RAWのファイルサイズやISO感度ごとのノイズをチェックし、Z 7の4500万画素センサーと比べて有意な差があるのか確認しています。
Z 8のレビュー一覧
- ニコンZ 8 Ver 2.00 の新機能を確認する
- ニコン Z 8 徹底レビュー Vol.7 解像性能編
- ニコン Z 8 徹底レビュー Vol.6 メニュー・カスタマイズ編
- ニコン Z 8 徹底レビュー Vol.5 ドライブ・連写編
- ニコン Z 8 徹底レビュー Vol.4 ピクチャーコントロール編
- ニコン Z 8 徹底レビュー Vol.3 ダイナミックレンジ編
- ニコン Z 8 徹底レビュー Vol.2 ISO感度・RAW編
- ニコン Z 8 徹底レビュー Vol.1 外観・操作性編
- ニコン Z 8 ハンズオン 外観と起動時間やシャッター音の確認
RAWとISO感度
RAW
Z 8は従来の「ロスレス圧縮」「圧縮」「非圧縮」の3択ではなく、「ロスレス圧縮」「高効率★」「高効率」の3種類に変化しています。「非圧縮」の選択肢はなくなってしまいましたが、効果的にファイルサイズを圧縮することができる高効率RAWが特徴と言えるでしょう。同じシチュエーションでファイルサイズを見比べた結果が以下の通り。
- ロスレス圧縮RAW:81.2MB
- 高効率★ RAW:30.8MB
- 高効率 RAW:19.9MB
- 非圧縮RAW(Z 7):84.2MB
- 圧縮RAW(Z 7):46.5MB
ロスレス圧縮RAWはZ 7の非圧縮RAWと同程度、一方で高効率RAW2種類はZ 7の圧縮RAWよりもファイルサイズが小さく、特に★なし高効率RAWはZ 7の半分までサイズを抑えています。ストレージを圧迫しないという点において、高効率RAWの有用性は高いように見えます。
高効率★RAWは高効率RAWよりもファイルサイズが大きくなりますが、ニコン曰く、高効率RAWよりも高画質であるとのこと。具体的にどのような点で優れているのかは不明。
ISO感度メニュー
ISO感度のシステムは従来通り。使用ISO感度や上限のISO感度を設定したり、絞り優先モードなどでシャッタースピードの下限を設定する「低速限界設定」機能などが存在します。
低速限界設定
ISO AUTO時に自動で調整されるシャッタースピードが設定値を下回ることでISOを上昇させる「低速限界設定」に対応。例えば被写体がぶれないように1/500秒に設定しておくと、絞り優先モードでも1/500秒以下にシャッタースピードを落とさないようにISO感度が自動調整されます。絞りの設定値を維持しつつ、光環境が不安定な状況で有効な手段と言えるでしょう。
オート設定の場合は「1/レンズの焦点距離」に自動設定されます。さらに、オート時は1段刻みで前後2段分のシャッタースピード調整が可能。
個人的には重宝している機能ですが、この機能に素早くアクセスできるボタンが無いのは残念。メニュー画面を開いてISO感度ページまでアクセスする必要があります。(ソニーやパナソニックはショートカット機能あり)
代替手段として、マイメニューのトップに「ISO感度設定」を配置し、ボタンカスタマイズで「マイメニューのトップへ」を任意のボタンに割り当てることで素早くアクセスすることが出来るようになります。
ISO感度の操作
メニュー画面から操作するほか、タッチパネルや「ISO」機能を割り当てたボタンを押すことで操作することが出来ます。「i」メニューにも割り当て可能ですが、ボタンとダイヤル操作に比べると少し手間がかかります。
ISO感度ごとのノイズ
ほぼノイズレスで完璧な画質を維持しているのはISO 800まで。ISO 1600からノイズが混じりはじめますが、ISO 6400くらいまではディテールを良好な状態に維持しているように見えます。ISO 12800からノイズによる画質低下が細部に見られ、ISO 25600でさらに影響が強くなります。拡張ISO感度「Hi1・Hi2」はさらにノイズが強くなるため、緊急時以外は避けたい設定。
各RAWの比較
同じ設定値で各RAWを撮り比べてみましたが、ノイズの影響に大きな変化は見られません。少なくともシャドウやハイライトをいじらない限り、高ISO感度ノイズに違いはありません。ファイルサイズが1/4の高効率RAWで効果的にストレージを節約することが出来ます。
おそらく、RAWの違いはダイナミックレンジで顕著になると思われます。(今後テスト予定)
Z 7との比較
Z 8のロスレス圧縮RAWとZ 7の非圧縮RAWを比較。設定値はホワイトバランスまで統一していますが、Z 8のほうが少しマゼンダに傾いているように見えます。センサーが異なるので色被り設定まで統一したのは間違いだったかもしれません。
(追記:WBの差というよりも露出差のようにも見えます。センサー上マイクロレンズの集光率の差なのか、実効ISO感度の差なのか不明)
テスト結果を見比べてみると、Z 7と比べてZ 8のほうが僅かにカラーノイズが多く見えます。じっくり見比べて「少し違うかな?」と感じる程度であり、実写で顕著な差とはならないでしょう。
追記
上の二つの画像はISO 6400のZ 8とZ 7のテストショットを切り抜いたもの。高ISO感度のノイズはほとんど変わりませんが、敢えて言えばハイライトにおけるノイズが少し目立つように見えます。
まとめ
高解像センサーモデルらしく、高ISO感度のノイズ耐性は低解像センサーほど良好ではないようです。と言っても同じ解像度の4500万画素 裏面照射型 CMOSセンサーと見比べても遜色なく、積層型CMOSセンサーの高速性による妥協はありません。Z 9のノイズを指摘する声をチラホラと見ますが、少なくともZ 7IIやZ 7と比べて顕著な画質差は無いように見えます。ただし、今回はあくまでもISO感度ノイズの話であって、ダイナミックレンジで同等の結果が得られるかどうかは不明。
圧縮率が極めて高い「高効率RAW」を使用した場合でも、少なくとも高ISOノイズによる影響は目立ちません。ストレージの圧迫を抑え、連写時のバッファも詰まりにくく、メリットが大きいように見えます。今後テスト予定のダイナミックレンジ性能次第では、ロスレス圧縮RAWを使うメリットは少ないと言い切れるかもしれません。
ISO性能で不満を感じる点があるとすれば、低速限界設定をダイレクトに呼び出す機能が無いこと。重宝する機能だと思うのですけども…。
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