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ニコン Z fc 徹底レビュー Vol.4 フォーカス編

ニコン「Z fc」のレビュー第四弾を公開。今回はカメラのフォーカスシステムやAF・MFについてチェックしています。

Z fcレビュー一覧

オートフォーカス

カバーエリア

全10種類のAFエリアモードに対応。ただしピンポイントAFはAF-S専用、ダイナミックAFはAF-C専用モードとなる。
ワイドエリアAF LとオートエリアAFでは人物・動物の検出に対応しており、AFエリアを切り替えるだけでオンオフを操作することが可能。別のメニューを呼び出す必要が無いので、ショートカットメニューやボタンカスタマイズの枠を節約することができる。AFエリアモードの並び順を変えることは出来ないので、素早く切り替えたい場合は不必要なエリアモードを消しておく必要がある(後述)。

大まかにAFエリアのサイズを分けると5種類。非常に小さなポイントにフォーカスを合わせるピンポイントAFから、広い範囲をカバーするオートエリアまで対応。ただし、他社でいうところの「ゾーンAF」に相当するAFエリアモードに対応していない。ワイドエリア以上、オートエリア以下の広域エリアに対応するモードがあるとさらに良かった。

ターゲット追尾AF

ターゲット追尾AFは指定した対象を自動的に追従するAFモード。一眼レフカメラの3Dトラッキングと似たシステムだが、実際には一眼レフのライブビューAFで使用していたシステムを踏襲・改修したものとなっている。ターゲット追尾AFを使用できるのはオートエリアAFのみで、ワイドエリアやシンプルポイントでは使用できない。また、ロックオンAFを利用するには「OK」ボタンを押してから追従を開始する必要があり、瞬間的なシャッターチャンスを追いかけるには少し手間と感じる。

追従開始はシャッターボタン半押し、または「OK」ボタンを使用する。シャッターボタン半押し時はシャッターボタンから指を離すと追従が解除されるが、「OK」ボタン使用時は自動的に追従し続ける。使用方法が少し異なるので気を付けたい。なお、追従中は指定したフレームの色が黄色になる。

使い勝手はまずまず良好だが、追従精度の信頼性は微妙。悪くはないものの、キヤノンやソニーの似たようなシステムと比べるとAFエリアが乗り移りやすく、長時間の追従には不向き。被写体が顔検出や瞳検出に対応しているのであれば、積極的に検出AFを使っていきたいと感じる。

AF-S・AF-C

純正レンズと組み合わせた限りではとても良好に動作する。合焦速度はレンズの駆動方式にも依存しているが、概ねキヤノンやソニーと張り合うことができる性能だと思う。日中であればAF-Sでもウォブリングが少なく快適なフォーカシングが可能。低照度時の速度低下がソニーやキヤノンよりも少し目立つように感じるが、ローライトAFを使用することで極端な低照度のAFにも対応できるのは便利(ただしフォーカス速度が極めて遅い)。
AF-Cのレスポンスも良好で、一部のハイスピードなアクション撮影以外では快適に使える性能だと思う。

優先設定

AF-S・AF-Cでレリーズ優先・フォーカス優先を切り替えることが可能。特にこだわりがなければ初期設定(上の写真)のままでいいと思う。

ロックオン

フォーカスモードがAF-Cの場合またはAF-AのときにAF-Cで撮影している場合に、カメラと被写体の間を障害物や別の被写体が横切った場合のピント動作を設定できます。

  • 5(鈍感)]に設定すると、元の被写体からピントが外れにくくなります。
  • 1(敏感)]に設定すると、横切った被写体にピントが合いやすくなります。
  • AFエリアモードが[オートエリアAF]、[オートエリアAF(人物)]、[オートエリアAF(動物)]の場合は、[2]、[1(敏感)]に設定していても、[3]を選んだときと同じ動作になります。

Via Z fc活用ガイド

活用ガイドにもあるように「ターゲット追尾AF」の調整機能ではない点に注意したい。ただし、「ターゲット追尾AF=オートエリアAF」であり、調整値3?5の間で効果が変化するのかは未検証。

AF点数

Z fcはAFジョイスティック(サブセレクター)を搭載していないので、AFエリアの移動は方向ボタン(マルチセレクター)を使う必要がある。ワイドエリアなら問題ないものの、シングルポイントなどはフレーム端から端までの移動が非常に手間となる。そこでAF点数を「スキップ」にすることで移動時の手間を半減することが可能。

縦位置横位置切替

カメラを水平・垂直に撮影した場合にそれぞれ別のフォーカス位置を記憶することが出来る。フォーカスモードやフォーカスエリアを変更することは出来ず、単純に位置を別々にするだけの機能。例えば、水平ピンポイントから垂直オートエリアへの変更はできない。プリセット登録も出来ないので、直前で使用していたピント位置を記憶した状態となる。

半押しAFレンズ駆動

シャッターボタン半押しでAF動作の有無を切り替えることができる。いわゆる「親指AF」を利用したいのであれば、これを「しない」に設定しておく必要がある。

AFエリアの限定

多数の選択肢があるAFエリアモードで、使わない項目を非表示にできる。これにより素早いモード変更が可能となるので積極的に活用するのがおススメ。

フォーカスポイント循環

この循環設定をオンにすることで、フォーカスエリア上下左右のフレーム端でさらにボタンを押すことで、反対方向に瞬間的に移動することが可能となる。ボタン操作にしか対応していないZ fcで素早いフォーカス操作を可能にしたい場合はオン推奨。ただし、間違えて反対側へ循環してしまうこともあるので注意。

ローライトAF

極端な低照度でコントラストAFをゆっくりと動作させてピントを合わせる機能。非常に暗い環境でもピントを合わせることが出来るが、想像を絶するほど遅くなる可能性があるので要注意。このモードがオンの場合、通常のAFが動作しない光環境で自動的にローライトAFを使用するようになる。

検出機能

このカメラは人間・動物の顔と瞳を検出可能。前述したように、オートエリアAFとワイドエリアL AFが検出機能に対応している。検出後はフォーカスエリア内に被写体がいる限り自動的に追従する。もしも検出が途切れてしまったとしても、通常のAF-Cが途切れたエリアから再開する。頭部検出や人体検出には対応していないため、検出が途切れてしまうと基本的に無力。早めに再検出して復帰させる必要がある。

瞳の検出精度はとても良好で、特に帽子着用時の検出精度はソニー(α7R IV比)やキヤノン(EOS R5比)よりも良好。検出精度に関しては抜きんでいている印象を受ける。

他社も同様だが、眼鏡装着時は瞳の検出精度がグッと低下する。検出が外れる場合も多く、撮影のタイミングで検出が外れると、眼鏡フレームにピントが合ってしまう場合も多い。

顔・瞳検出は、フレーム上に被写体が小さな状態でも対応可能。光環境は顔の状況にもよると思うが、自身のテスト環境では上のような被写体サイズでも顔・瞳を検出している。

動物瞳検出にも対応。人間と比べると検出精度は甘めだが、素早く動き回る動物でもない限りは十分な検出能力を備えている。とは言え、瞳検出が途切れやすいので、動物に対する身体の検出機能が欲しいところ。

マニュアルフォーカス

フォーカスピーキング

フォーカスアシスト機能として、3段階の感度と4種類の色からフォーカスピーキングを利用可能。使い勝手は他社と同程度で、特にこれと言った問題点は見当たらない。

フォーカスエイド

フォーカスエイドとは一眼レフ時代から存在するMFアシスト機能。ライブビュー左下に三角と丸で現在のピント位置を表している。拡大中もこの機能を利用することが出来る。

  • 丸の場合:合焦
  • 三角左側の場合:合焦よりピント位置が近側にある
  • 三角右側の場合:合焦よりピント位置が遠側にある
  • 三角両側の場合:デフォーカスが大きすぎて判断不可

正直に言うと使い辛い。そもそも論として、目線を被写体から外せない場合はフォーカスエイドをフレーム左下に表示されても見ることが出来ない。キヤノンのようにフォーカスフレーム上に表示できたらいいのにと感じる。(Z fcも合焦時にフレームが緑色になるので判断は可能)
一眼レフの時代は光学ファインダーの制約上、フレーム左下に表示するしかなかったと思う。しかし、制約が無いミラーレスのライブビューで、あえて見にくいフレーム左下に表示する必要は無い。

ライブビュー拡大

カメラの拡大ボタンを押すことで、全体→低倍率→等倍→高倍率の3段階で拡大可能。拡大倍率は富士フイルムよりも良好で、細部のピント位置を確認しやすくなっている。拡大したままAFも可能だが、シャッター半押しで全体像に戻ることは出来ない。

ボタンカスタマイズでも拡大機能を利用することが可能。この場合は直接等倍や高倍率で素早く拡大することが可能。拡大倍率は通常時と同じ。

今回のおさらい

2018年に登場した初代Zカメラの初期ファームウェアと比べると、だいぶ使いやすくなったように感じる。顔や瞳検出の精度や検出距離が向上し、レスポンスは良くなっている。基本的にAF-Cもまずまず良好で、要改善と感じるのはターゲット追尾AFのみ。今のところターゲット追尾は信頼性が低く、長時間運用すると被写体以外の物体に乗り移る可能性が高い。これは「Z 9」で復活した3D-トラッキングで改善していると期待したい。

動物瞳AFもまずまず良好だが、キヤノンやパナソニックの異次元すぎる被写体検出能力と比べると、まだまだ改善する余地はいくらでも残っているように感じる。特に瞳検出が切れやすい環境で、身体を検出して追従し続けるための能力は必要だと思う。追尾AFもソニーのリアルタイムトラッキングでようやく実用的になった印象あり。

あと地味に不便なのが、ライブビュー上にピント距離表示が出来ないこと。近側・遠側のインジケータ表示はあるものの、細かい数値の表示が無く、使い勝手は限定される。さらに、前述した通りフォーカスエイドの表示場所にはもう少しこだわって欲しかった。

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作例

オリジナルデータはFlickrにて

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