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TTArtisan AF 17mm F1.8 C レンズレビュー完全版

このページでは「TTArtisan AF 17mm F1.8 C」のレビューを掲載しています。

おことわり

PERGEARより無償貸与の製品を使用しています。
レビューにあたり金銭の授受や内容への指示は全くないことを冒頭に明記させていただきます。

上記リンクはアフィリエイト広告による収入が発生します。運営の助けとなるのは確かですが、記事作成の原動力は本レンズへの興味である点をまず言及しておきます。

TTArtisan AF 17mm F1.8 Cのレビュー一覧

レンズの評価

ポイント 評価 コメント
価格 手ごろな価格の貴重な17mm
サイズ インナーフォーカスでコンパクト
重量 軽いほう
操作性 必要最低限・リング操作粗め
AF性能 必要十分
解像性能 近距離で大幅低下
ボケ 収差が強い個性的な描写
色収差 良好な補正状態
歪曲収差 穏やかで無視できる程度
コマ収差・非点収差 非常に目立つ
周辺減光 絞り開放付近で目立つ
逆光耐性 フレアの影響が強い場合がある
満足度 癖の強い貴重な17mmレンズ

評価:

ポイント

癖の強い貴重な17mmレンズ

癖の強い描写に遭遇することはあるものの、小型軽量で手頃な価格の(貴重な)17mm F1.8レンズ。
絞りを適切に調整することで、表情豊かな描写を得ることができます。癖の強さは価格を考慮すると妥協できる(ギリギリ)範囲内。

Although it does have some distinctive quirks, this is a compact, lightweight, and affordable (and rare) 17mm f/1.8 lens.
By adjusting the aperture appropriately, you can achieve rich, expressive images. Considering the price, its quirks are within an acceptable (if barely) range.

まえがき

銘匠光学 TTArtisanブランドのAPS-C用AFレンズとしては7本目となるレンズ。不足していた広角レンズラインアップの穴を埋めるもので、フルサイズ換算で25.5mm相当の広い画角をカバーしています。

画角は16mmと比べると少し狭く、18mmよりも少し広い。ありそうでなかった珍しい焦点距離のレンズです。参考までにこれまでのAPS-C TTArtisan AFレンズを以下に掲載。

主な仕様

競合製品が存在しないため、サイズや重量が適切かどうか判断難しいところ。「XF18mmF2 R」がさらに小さく軽いことを考慮すると、とりわけ小型軽量なレンズと言うわけではありません。

絞り羽根は6枚偶数絞りを採用しており、絞った際に特徴的な6本の光条が発生するのは本レンズの特徴。防塵防滴や絞りリングなどは非対応。しかし、そのぶん手頃な価格を実現しています。

レンズ構成枚数は10群14枚。そのうちEDレンズを2枚使用しており、価格とサイズを考慮すると充実しています。

発売日 2026.4.10
初値 829元
148ドル
レンズマウント E/X
対応センサー APS-C
焦点距離 17mm
レンズ構成 10群14枚
開放絞り F1.8
最小絞り F16
絞り羽根 6枚
最短撮影距離 0.18m
最大撮影倍率 情報なし
フィルター径 52mm
手振れ補正 -
テレコン -
コーティング 情報なし
サイズ φ60×47mm
重量 161-178g
防塵防滴 -
AF STM
絞りリング -
その他のコントロール -

 

価格のチェック

販売価格は3.2万円。明るい広角レンズとしては手頃な価格。ただし、もう少し足すと高性能な「VILTROX AF 15mm F1.7」を入手可能。

TTArtisan AF 17mm F1.8 C
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PERGEAR      

レンズレビュー

外観・操作性

箱・付属品

TTArtisanではお馴染み、ファブリック調のカバーを張り付けた独特なデザイン。MFレンズはグレーのカバーでしたが、AFレンズはブラックを採用しています。張り付け後が残る封印テープあり。

書類を除くと、レンズの付属品はフードとキャップのみ。リアキャップはレンズ更新用のUSBドックとなっているので、紛失しないように気を付けたいところ。

外観

筐体は全体的に金属製のしっかりとした作り。質感が良く、金属製ボディと相性の良い外観。レンズは全体的に黒色の塗装が施され、装飾は一切ありません。

他のTTArtisan AFレンズと同じく、レンズリアキャップに電子接点を搭載。ファームウェアアップデートはレンズにこのキャップを装着して実施します。紛失しないように注意。

ハンズオン

APS-C用の広角単焦点レンズとしてはややコンパクトで携帯性良好。小型ボディと組み合わせてもアンバランスとなりません。

市場で競合する製品はほとんど存在しません。富士フイルムの「XF18mmF2 R」くらいでしょうか。より小型軽量なレンズですが、フォーカス時に鏡筒が繰り出す方式です(TTArtisanは鏡筒内部で完結)。

  サイズ 重量
TTArtisan φ60×47mm 161-178g
XF18mm WR ø64.5mm×33.7mm 116g

前玉・後玉

前面は52mmフィルター対応のソケットを搭載。レンズ最前面にフッ素コーティング処理されている記述がないので、ダメージが予想されるシーンでは保護フィルターを装着しておいたほうが良いでしょう。

金属製のレンズマウントは4本のネジで固定。防塵防滴用のシーリングはありません。内部は反射を抑えるためのマットブラックな塗装が施されています。

フォーカスリング

金属製のフォーカスリングを搭載。適度な抵抗感で滑らかに回転。リニアレスポンスで、フォーカス移動量は回転速度に依存しません。ストロークは90度前後。左回しと右回しでストロークが少し異なるのが悩ましいところ。

微調整時でもステッピングモーターは滑らかに動作します。

レンズフード

金属製の浅い花形フードが付属。逆さ付けにも対応していますが、コンパクトなフードであるため普段から装着したまま収納可能。

装着例

X-M5に装着。
コンパクトなミラーレスカメラボディと組み合わせてもバランス良好。携帯性の高い広角レンズシステムとなります。

AF・MF

フォーカススピード

フォーカスレンズはステッピングモーター駆動で動作します。
X-E5との組み合わせでAF速度は良好。至近距離から遠距離まで快適な速度で移動します。AF-Cは至近距離の素早い動体に追い付けないように見えますが、これはカメラ側の応答性も関係しているように見えます。ソニーαなどでどのように動作するのかは不明。

注意点として、フレーム端のAFエリアを利用すると動作が不安定となります。中央から周辺を使ってピント合わせをすると良いでしょう。また、像面湾曲の影響も目立つため、パンフォーカスを得たい場合は絞るかピントの微調整が必要となります。

ブリージング

ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指します。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となります。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離・無限遠で撮影した結果が以下の通り。

Before imageAfter image

精度

フレーム中央を使ったAFの場合はまずまず良好な精度でAFが動作します。ただし、像面湾曲の影響でフレーム周辺・隅にはピントが合いません。光学的な原因となるので、改善するためには絞るしかありません。

像面湾曲の影響を抜きにしても、フレーム周辺・隅に向かって画質が低下します。特に絞り開放付近ではAF精度が低下する可能性あり。

MF

低価格のAFレンズですが、MFは滑らかに動作します。MFリングの抵抗感も適度で、操作しやすい。

解像力チャート

撮影環境

テスト環境

  • カメラボディ:FUJIFILM X-E5
  • 交換レンズ:TTArtisan AF 17mm F1.8 Air
  • パール光学工業株式会社
    【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)
  • オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
  • 屋内で照明環境が一定
  • 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
  • RAW出力
  • ISO 160 固定
  • Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
    ・シャープネス オフ
    ・ノイズリダクション オフ
    ・色収差補正オフ
    ・格納されたレンズプロファイル(外せない)
  • 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
    (像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェック)
  • 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)

補足

今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性あり。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。

テスト結果

定型チャートテストと広角レンズの相性はもともと悪いですが、本レンズは特に収差変動が大きいようです。近距離では球面収差が非常に強く、フレーム中央でもかなりソフトな結果。

さらに像面湾曲や非点収差・コマ収差の影響もかなり目立ちます。周辺はしっかり絞ることで良好な結果が得られますが、フレーム隅は絞り全域でソフトな結果。

周辺部の結果はあくまでも「周辺部でピントを合わせた場合」であり、中央ピント合わせの場合は像面湾曲の影響で周辺部にピントが合いません。
(像面湾曲について解説しませんが、このあたりを参考にしてください)

中央

周辺

四隅

数値確認

Center Mid Corner
F1.8 2358
F2.0 2056
F2.8 3001
F4.0 3274 1958
F5.6 3154 2604
F8.0 3496 2973
F11 3507 3300 1817
F16 2988 2581 2070

遠景解像力

テスト環境

  • 撮影日:2026.05.25 晴れ 無風
  • カメラ:FUJIFILM X-E5
  • 雲台:SIRUI AM324
  • 三脚:アルカスイス Z1+
  • 露出:ISO 160 絞り優先AE
  • RAW:Adobe Camera RAW
  • シャープネスオフ
  • ノイズリダクションオフ
  • レンズ補正オフ

中央

F1.8の細部は少しソフトですが、近距離テストほど球面収差は強くありません。F2.8-4.0で徐々に改善し、F5.6付近でピークの結果。この際は4000万画素のX-E5を使用してもシャープな結果が得られています。(高級レンズほどではありませんが)

周辺

基本的に中央と同じ傾向が続きます。F4.0くらいまで絞ると、細部まで良好な結果。

四隅

部分的に非点収差がかなり強い領域があります。中程度(F4-5.6)の絞りでは改善しないため、F8くらいまで絞ってしまうのがおススメです。

像面湾曲

像面湾曲とは?

像面湾曲とは、本来は平らなはずのピント面が、レンズの特性によって曲面になってしまう収差。

理想的なレンズでは、平らな被写体を撮影した際に画面全体へ同じようにピントが合う。しかし、像面湾曲があると、中央にピントを合わせたときに周辺がぼやけたり、逆に周辺へピントを合わせると中央がぼやけたり。

例えば、壁や新聞、建物の正面など平面的な被写体を撮影すると、中央はシャープなのに四隅だけ甘く見えることがあります。この場合、レンズの解像性能が低いのではなく、ピント面が湾曲していることが原因の可能性あり。また、像面湾曲には内側へ曲がるものと外側へ曲がるものがあり、レンズによって傾向が異なる。

像面湾曲は画面の隅に向かうほど影響が大きくなるため、風景や建築写真では重要な性能項目の一つ。一方、ポートレートや近接撮影では必ずしも欠点とは限らず、被写体の立体感や独特の描写に寄与することも。

なお、像面湾曲はピント位置の問題であり、色収差や歪曲収差とは異なります。また、レンズを絞ると被写界深度が深くなるため影響が目立ちにくくなる。レンズレビューで「像面湾曲が少ない」と評価される場合、画面中央から周辺まで均一なピント面を維持しやすく、風景や建築物をシャープに撮影しやすいことを意味する。

参考:ニコン 収差とは

ピント面が分かりやすいように加工しています。

実写で確認

部分的に非点収差の影響は強いものの、遠景における像面湾曲は目立ちません。ただし、近距離では強めの像面湾曲が発生するので注意が必要です。

倍率色収差

倍率色収差とは?

倍率色収差とは、レンズが光の色によって異なる倍率で像を結んでしまう現象。その結果、画像の色ごとの大きさがわずかに異なり、被写体の輪郭部分に色のずれが発生。

軸上色収差がピント位置の前後で起こるのに対し、倍率色収差は主に画面周辺で目立つ。例えば、建物の輪郭や電線、木の枝などの境界部分に、赤や紫、青、緑などの色の縁取りなど。画面中央ではほとんど見えないものの、周辺へ行くほど目立ちやすくなるのが特徴。

倍率色収差は絞りを変えてもほとんど改善しないため、レンズ設計による補正が重要。一方で、軸上色収差と異なり、デジタル補正との相性が良く、多くのミラーレスカメラや現像ソフトでは自動補正容易。そのため実際の撮影では大きな問題になりにくい場合も多い。

ただし、高解像モデルで風景や建築物を撮影する際には解像感の低下につながる可能性あり。レンズレビューで「倍率色収差が良好に補正されている」と評価される場合、画面周辺でも色の縁取りが少なく、被写体の輪郭をより正確かつシャープに描写できることを意味しています。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

絞り開放付近は色ずれが諸収差に埋もれてしまっていますが、絞ると倍率色収差が少し残存していることが分かります。軽微な問題であり、気になる場合は現像ソフトで修正可能。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とは、レンズが光の色ごとに異なる位置へピントを結んでしまう現象。光には赤や緑、青などさまざまな色が含まれており、レンズを通ると色によって曲がり方がわずかに異なる。そのため、ある色にピントが合っていても別の色は前後にずれ、画像に色のにじみが発生。

軸上色収差は主にピント面の前後に現れ、ピントより手前では紫色やマゼンタ色、奥側では緑色のにじみとして見えることが多い。特に開放F値の明るいレンズや望遠レンズで目立ちやすく、金属の反射部分や白い文字、逆光の被写体など高コントラストな場面で確認しやすい。

また、画面中央でも周辺でも発生するため、絞りを開けた状態では画面全体の解像感やコントラストを低下させる原因となる。一般的にはレンズを1~2段ほど絞ると大幅に改善。近年の高性能レンズでは特殊低分散ガラスなどを使用して補正されているものの、完全にゼロにすることは難しい。レンズレビューで「軸上色収差が少ない」と評価される場合は、ピント面前後の色にじみが少なく、よりシャープな描写が期待できるという意味。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

色収差がゼロではないものの、極端に目立つわけではありません。F2.8まで絞るとほぼ解消します。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、被写体の形そのものが変形して写る現象。レンズの解像力やピントとは別の問題で、直線であるはずのものが曲がって記録されるのが特徴。

代表的なものは「樽型歪曲」と「糸巻き型歪曲」。樽型歪曲では画面中央から外側へ向かって線が膨らみ、建物の壁や地平線が外側へふくらんで見える。一方、糸巻き型歪曲では線が内側へ引っ張られたように曲がる。また、ズームレンズでは広角側で樽型、望遠側で糸巻き型になることも多い。

歪曲収差は特に建築物や室内、風景写真など、直線が多い被写体で目立ちやすい。人物撮影では気付きにくい場合もありますが、画面周辺に人物を配置すると体形や顔の形がわずかに変形して見える可能性あり。

他の収差と異なり、歪曲収差は画面のシャープネスや色にじみにはほとんど影響しません。そのため、近年のミラーレスカメラや現像ソフトではデジタル補正が広く利用されており、多くのレンズで自動的に補正されています。

レンズレビューで「歪曲収差が少ない」と評価される場合は、建物や水平線などの直線を自然な形で再現できることを意味しています。一方、歪曲収差をソフトウェア補正する前提で設計されたレンズも多く、実写では大きな問題にならない場合も少なくない。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

穏やかな樽型歪曲。(Adobeの)レンズプロファイルに歪曲収差の補正が入っていないため、手動で修正しました。少し複雑な歪み方であり、変形を完璧に修正することはできません。

Before imageAfter image

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差とは、画面周辺の点光源が彗星(Comet)のように尾を引いた形に変形して写る現象。名称の「コマ」は英語の Coma(彗星)に由来。

本来、星や街灯のような点光源は丸い点として写るべきところ、コマ収差が大きいレンズでは画面周辺で三角形や鳥が羽を広げたような形に崩れる。特に画面の隅に近づくほど目立ちやすい。

コマ収差は星景写真や夜景撮影で重要な性能項目。例えば、画面中央の星はきれいな点に写っていても、四隅の星が流れたような形に。昼間の撮影では気付きにくいものの、夜間の点光源では容易に確認可能。

一般的にはレンズを少し絞ることで改善。レンズレビューで「コマ収差が良好に補正されている」と評価される場合、画面周辺の星や街灯も点に近い形で再現できることを意味しています。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

絞り開放付近で非常に目立ちますが、F4.0付近まで絞るとほぼ収束します。

球面収差

球面収差とは?

球面収差とは、レンズの中心を通る光と周辺を通る光が異なる位置でピントを結んでしまう収差。その結果、ピントが合っているはずの部分でも像がわずかににじみ、シャープさやコントラストが低下。

理想的なレンズでは、すべての光が同じ位置に収束。しかし実際のレンズは、中心付近を通る光と周辺部を通る光の集まり方が異なるため、一点に完全には集まりません。

球面収差が大きいレンズでは、開放F値で撮影した際に全体が少し柔らかく見えたり、光がにじんだような描写。特にポートレート用レンズでは、この特性を活かして肌をなめらかに見せる場合もあります。一方、風景や建築写真では解像感の低下につながるため、できるだけ少ないことが望ましい。

球面収差は前ボケと後ボケの見え方にも大きく影響。球面収差の補正状態によってボケの柔らかさや輪郭の強さが変化するため、レンズごとの描写の個性を生む要素の一つ。

一般的にはレンズを絞ることで周辺光線が制限され、球面収差は大幅に改善。レンズレビューで「球面収差がよく補正されている」と評価される場合は、開放F値から高い解像感とコントラストを得やすいことを意味します。一方で、あえて球面収差を少し残すことで、柔らかく自然なボケ描写を実現しているレンズも存在。

実写で確認

少なくとも近距離では前後のボケ質に大きな差があります。軸上色収差のテスト結果から分かるように、絞るとピント位置が遠側に移動します。

前後ボケ

綺麗なボケ・騒がしいボケとは?

綺麗なボケとは、輪郭が目立たず、背景がなめらかに溶けるような描写。被写体が背景から自然に浮かび上がり、見る人の視線を主題へ導きやすい。ポートレートや花の撮影で好まれることが多く、「柔らかいボケ」「なめらかなボケ」と表現される場合もある。

騒がしいボケとは、背景の輪郭や模様が強調されて見えるボケ。木の枝や葉、フェンスなど細かな模様が二重線になったり、ざわついた印象になったりする。背景が目立ちすぎるため、主題への視線が分散することがあります。

ボケの良し悪しは単純に明るいレンズほど優れるわけではなく、球面収差の補正状態やレンズ構成、絞り羽根の形状などによって変化します。また、撮影距離や背景との距離によっても印象は大きく変わります。

ボケの評価には好みも大きく関係。一般的にはなめらかなボケが高く評価されることが多いものの、被写体や作品の雰囲気によっては、少し騒がしいボケが独特の立体感や個性を生む場合もあります。そのため、ボケの質はレンズの性能だけでなく、写真表現の一部として捉えることが重要。

後ボケ

近接時は球面収差の影響でとても柔らかい後ボケ。ただし、隅に向かって諸収差の影響が強いので、柔らかい描写となるのは中央とその周辺のみ。

前ボケ

後ボケとは反対に、縁どりが非常に強い描写。見苦しいボケですが、17mm F1.8で前ボケをフレームに入れる機会は少ないはず。心配する必要はありません。

玉ボケ

口径食・球面収差の影響

玉ボケとは、背景や前景にある小さな光源が、丸い光の円として写るボケ表現のこと。夜景のイルミネーションや木漏れ日、水面の反射などでよく見られる。一般的に、明るいレンズほど大きな玉ボケを作りやすく、背景を印象的に演出できるため、ポートレートやスナップ撮影で人気がある。

理想的な玉ボケは、円形で輪郭が目立たず、内部の明るさが均一な状態で。しかし実際にはレンズ設計の影響により、さまざまな特徴が現れることがある。例えば、輪郭が明るく縁取られた玉ボケは背景が騒がしく見えやすく、内部に同心円状の模様が現れるものは「玉ねぎボケ」と呼ばれる。

また、画面周辺では玉ボケが円形を保てず、楕円形や猫の目のような形に変形することがある。これは周辺部で光が一部遮られるためで、「口径食」と呼ばれる現象によるもの。

実写で確認

絞り開放でも少し歪な形状の玉ボケです。内側の描写は滑らかですが、縁どりに色収差の影響あり。絞ると改善するものの、急速に六角形に変化します。

ボケ実写

至近距離

至近距離では球面収差が強めに影響します。
後ボケは柔らかく滑らかですが、周辺・隅はコマ収差などが影響しているのか少し騒がしい。絞ると落ち着くものの、玉ボケは角ばります。

近距離

中央は滑らかですが、中央周辺から隅にかけて収差の影響で見苦しい描写。「悪いボケ」とは言いませんが、かなり個性的な描写に違いありません。気になる場合はF2.8前後まで絞ると改善します。

中距離

球面収差の変動で、全体的に騒がしめの描写。ただし、ボケが小さいのであまり目立ちません。気になる場合はF2.8くらいまで絞ると落ち着きます。

ポートレート

全高170cmの三脚を人物に見立て、絞り開放で距離を変えながら撮影した結果が以下の通り。

フレームに全身を入れる撮影距離の場合、背景から被写体を分離することは難しい。大きなボケが得られるのは上半身やバストアップまで近寄った時。顔のクローズアップ以外では癖の強いボケとなるので、少し絞って使ったほうが良いかもしれません。

周辺減光

周辺減光とは?

周辺減光とは、画面の中央に比べて四隅や周辺部分が暗く写る現象。英語では「ビネッティング(Vignetting)」とも呼ばれる。

本来は画面全体が同じ明るさで写るのが理想ですが、レンズの構造上、周辺部へ届く光の量が中央より少なくなることがあります。その結果、写真の四隅がわずかに暗くなり、特に青空や白い壁など均一な被写体を撮影すると目立ちやすい。

周辺減光は広角レンズや大口径レンズで発生しやすく、開放F値付近で最も強く現れることが多い。レンズを1〜2段ほど絞ると改善する場合が多く、近年のミラーレスカメラではソフトウェア補正によって自動的に軽減。

一般的には欠点として扱われるものの、必ずしも悪い現象とは限りません。画面の四隅が暗くなることで視線が中央へ集まりやすくなり、ポートレートやスナップ写真では雰囲気作りに役立つ場合もあります。そのため、あえて補正せずに利用する写真家もいるくらい。

ソフトウェアで簡単に補正できる現象ですが、露出不足を後処理の補正(増感)で補うため、センサー由来のノイズが発生する原因となる点には注意。特に夜景や星空の撮影などで高感度ISOを使う場合はノイズが強く現れる可能性あり。

最短撮影距離

F1.8で少し強めの減光効果が発生。F2.8まで絞ると少し改善しますが、完全に抑えたい場合はF4.0くらいまで絞る必要があります。カメラ側のプロファイルを利用可能でしたが、過補正でうまくいきません。補正オフ推奨。

無限遠

近距離よりも強めの減光が発生します。F2.8まではかなり目立ちますが、近距離と同じくF4.0まで絞ると解消します。

逆光耐性

逆光耐性とは

逆光耐性とは、太陽や強い照明が画面内、または画面のすぐ外にある状況で、画質をどれだけ維持できるかを示す性能。

逆光下では、レンズ内で光が反射・散乱することで「フレア」や「ゴースト」が発生。フレアは写真全体が白っぽくなってコントラストが低下する現象で、ゴーストは光源の形をした模様や色付きの像が画面内に現れる現象。

逆光耐性が高いレンズは、強い光源が画面内にあってもコントラストや色の再現性を維持しやすく、フレアやゴーストの発生も少ない。近年のレンズでは特殊コーティングの採用により大幅改善。

ただし、逆光耐性が優れていても完全にフレアやゴーストをなくすことは難しい。特に超広角レンズやズームレンズでは光学設計上の制約から発生しやすい場合があります。

レンズレビューで「逆光耐性が優秀」と評価される場合、太陽を画面に入れた撮影でも画質の低下が少なく、安定した描写が期待できることを意味しています。

中央

TTArtisanらしく、完璧な逆光耐性からは程遠い。絞り開放付近ではフレアやゴーストの影響が強く、絞るとゴーストが増加します。初期のAFレンズと比べると改善していますが、他の中国レンズメーカーよりもやや悪い。

光源を隅に移動するとフレアの影響は緩和します。絞ってもゴーストの発生は抑えられていますが、主張の強い光条が発生。

光条

光条とは

光条とは、太陽や街灯などの強い点光源から放射状に伸びる光の筋のこと。英語では「サンスター(Sunstar)」とも呼ばれる。

光条は主にレンズを絞ったときに発生しやすく、絞り羽根の枚数や形状によって見え方が変化。例えば、夜景の街灯が星のように見えるのは光条の効果によるもの。

光条がシャープで均一なレンズは、風景写真や夜景写真を好む撮影者から高く評価されます。一方、光条が太かったり不揃いだったりすると、見栄えがやや不自然。

一般的に開放F値では光条はほとんど目立たず、F8〜F16程度まで絞ると現れやすくなる。ただし、絞りすぎると回折の影響で解像感が低下するため、光条の強さと画質のバランスを考慮する必要があります。

レンズレビューで「美しい光条が得られる」と評価される場合、夜景やイルミネーション撮影で点光源を印象的に表現しやすいことを意味しています。逆に「光条が不規則」と評価される場合、光の筋の長さや形が揃わず、やや雑然とした印象になることを示しています。

実写で確認

6枚偶数羽根の絞りを採用しており、絞ると6本の光条が発生します。F5.6付近から明瞭な光条ですが、先端は分散。絞っても分散傾向が続き、先細りするのはF16の最小絞りのみ。

まとめ

良かったところ

ココがおすすめ

  • 小型軽量
  • 金属鏡筒
  • 手ごろな価格
  • 遠景でフレームの広い範囲が良好な画質
  • 色収差は軽微
  • 歪曲収差が穏やか
  • 近距離で柔らかい後ボケ
  • 6本の光条

ありそうでなかったAPS-C用の17mm F1.8 AFレンズ。
16mmほど広い画角が苦手という人にとって面白い選択肢。適切に絞りを調整することで、柔らかいボケや広い範囲でシャープな風景を撮影することができます。手頃な価格と携帯性を考慮すると、APS-C用として丁度いいレンズ。

良くなかったところ

ココに注意

  • 絞りリングなし
  • 操作が難しいフォーカスリング
  • 近距離で球面収差の影響大
  • コマ収差が目立つ
  • フォーカスシフトが目立つ
  • 玉ボケが角ばりやすい
  • 周辺減光が目立つ
  • フレア・ゴーストが目立つ場合がある

状況によっては、かなり癖の強いレンズとなります。近距離の滲みやボケ(周辺)、点光源の変形、フォーカスシフト、逆光時のフレアなど。

多くは絞りを調整することで対処可能ですが、絞りリングが無いのでカメラ側のコマンドダイヤルで操作が必要。快適なダイヤル操作ができない機種では不快な撮影体験となるかもしれません。(個人的には、X-E5の押し込み機能付きダイヤルでの操作にイラっとしました)

結論

癖の強い描写に遭遇することはあるものの、小型軽量で手頃な価格の(貴重な)17mm F1.8レンズ。
絞りを適切に調整することで、表情豊かな描写を得ることができます。癖の強さは価格を考慮すると妥協できる(ギリギリ)範囲内。

TTArtisan AF 17mm F1.8 C
楽天市場 Amazon キタムラ Yahoo
PERGEAR      

購入を悩んでいる人

購入早見表

このような記事を書くのは時間がかかるし、お金もかかります。もしこの記事が役に立ち、レンズの購入を決めたのであれば、アフィリエイトリンクの使用をご検討ください。これは今後のコンテンツ制作の助けになります。

TTArtisan AF 17mm F1.8 C
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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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