キヤノン「RF24-105mm F4L IS USM」、ニコン「NIKKOR Z 24-120mm f/4 S」、ソニー「FE 24-105mm F4 G OSS」の比較テスト第六弾。今回は外観・AF・手ぶれ補正を見比べています。
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外観
質感
鏡筒の大部分はプラスチック製で、なぜかレンズ先端のみ金属パーツを使用している。ソニーGシリーズレンズらしい質感だ。表面はシボ加工が施されており、プラスチック製鏡筒の継ぎ目が目立たなくなっている。操作リングはどちらもゴム製で触感に大きな違いは無い。
鏡筒の大部分はプラスチック製で、レンズマウント付近のみ金属外装を採用している。レンズマウントへの負荷を考えると、先端に金属パーツを使用しているソニーよりもニコンのほうが正解に近いような気がするが、本当のところは分からない。プラスチック製外装の表面はシボ加工がほどこされ、スレなど小傷への耐性が強い。また、プラスチック製パーツの継ぎ目は目立ちにくく、存在感を上手く消している。操作リングはコントロールリングのみプラスチック製、他2つはゴム製のカバーを装着。
他2本と同じく、外装の大部分はプラスチック製だ。ただし、ニコンのようにマウント付近のみ金属パーツを使用(シルバーの部分)。やはり強度を維持するにはマウント側の外装に金属パーツを使用するのが最適解なのかもしれない。外装のシボ加工はキヤノンが最もきめ細かいが、スレや小傷が付く傾向は見られない。操作リングはニコンと同じくコントロールリングのみプラスチック製で、他2つはゴム製カバーを装着している。
内筒
キヤノンとソニーは一つの内筒が伸びるのに対し、ニコンは多段式の内筒を採用している。個人的に好みの見た目はキヤノンやソニーだ。ソニーとニコンの内筒にがたつきは無いが、キヤノンは少しがたつきが見られる。ただし、キヤノンのみ購入から3年ほど経過しているのでソニーやニコンもキヤノンと同様となる可能性はある。内容の材質はキヤノンとニコンがプラスチック製で、ソニーは意外にも金属製だ。内筒の質感だけで言えばソニー>ニコン>キヤノンである。
前玉
3本とも77mm径のねじ込み式フィルターに対応している。フィルターソケットの材質はソニーのみ金属で、他2本はプラスチックだ。どのレンズも最前面にはフッ素コーティングが施されているので水や油汚れが付着した際のメンテナンスが簡単である。
後玉・レンズマウント
3本とも金属製レンズマウントを採用し、4本のビスで本体に固定されている。マウント周囲には防塵防滴用のゴムシーリングあり。キヤノンとソニーはマウント面から少し引っ込んだ位置に後玉があり、ニコンはショートバックフォーカスを極限まで活かしたような配置となっている。3本ともズーム操作でレンズ後群が前方へ移動する。
携帯性
CANON | SONY | NIKON | |
全長 | 107.3mm | 113.3mm | 118mm |
直径 | 83.5mm | 83.4mm | 84mm |
重量 | 700g | 663g | 630g |
3本のレンズは24mm時にほぼ同じ全長となるが、ニコンが僅かに長い。レンズ直径は手ぶれ補正を搭載するキヤノンとソニーがやや太く、比較してニコンは少しスリムだ。ただし、ニコンは先端に向かって直径が大きくなり、最大径はキヤノンやソニーよりも大きい。
望遠端まで内筒を伸ばした場合、キヤノンとソニーは同程度だが、120mmと焦点距離が長いニコンは内筒が長く伸びる。とは言ったものの、驚くような差では無く、使い勝手に大きな差は無い。
重量はキヤノンが最も重く、次いでソニー、ニコンと続く。顕著な差ではないが、キヤノンとニコンを持ち比べるとニコンのレンズが軽く感じる。手ぶれ補正の有無やフォーカスレンズのアクチュエーターの違いかもしれない。
レンズフード
3本ともプラスチック製の花形レンズフードが付属する。レンズ直径が最も大きいニコンのフードが最も大きく、キヤノンとソニーは同程度だ。フードの内側はキヤノンとニコンがギザギザの鋸歯状構造を採用、ソニーの内側はフラットな構造だが反射防止用の塗料が施されている。
キヤノンとニコンの鋸歯状構造は似ているが、ニコンはソニーと同じく反射防止用の塗料が施され、徹底した反射防止対策が施されている。フードに光を当ててみるとご覧の通りだ。フラットだが反射防止塗料を使用しているソニーも良好である。
どのフードもバヨネットタイプの装着方法を採用しているが、キヤノンのみ物理的なロックが可能だ。ニコンとソニーも誤って脱落する心配はないが、キヤノンのような固定方法ではない。
操作性
リング操作
コントロールリング
キヤノンとニコンはカメラ側でカスタマイズ可能なコントロールリングを搭載。絞りや露出補正の操作が可能だ。キヤノンはさらにカラープリセットやホワイトバランス、フォーカスエリアの選択を割り当てることが出来る。ソニーには該当するリングが備わっていない。
CANON | SONY | NIKON | |
機能の数 | 17 | - | 4 |
ズームリング
回転方向はキヤノンのみ左回転で、ソニーとニコンは右回転だ。回転時の滑らかさはほとんど同じだが、トルクには違いが少し感じられる。キヤノンが最も軽く、ソニーが中程度、ニコンが最も重い。素早く操作するならキヤノン有利だが、動画撮影で滑らかな操作を意識するとニコンが最も使いやすい。
CANON | SONY | NIKON | |
ズーム方向 | 左 | 右 | 右 |
ロック | あり | なし | なし |
ズームリングのロック構造はキヤノンのみ搭載している。ロック構造が無い場合、カメラバッグから取り出す際にフードが引っかかってレンズが伸びてしまう可能性がある。この際に破損する可能性は低いと思うが、ズームロック構造があるに越したことは無い。
フォーカスリング
どのレンズもズームリングより前方にフォーカスリングを配置している。どのレンズも滑らかに回転し、トルクは同程度だ。キヤノンとニコンは回転方向の変更に対応(Z 7にはないがZ 7IIで対応)しているが、ソニーは最新機種(α7 IV)でもフォーカスリングの回転方向を変更する機能が見当たらない。
CANON | SONY | NIKON | |
回転方向 | 変更可 | 設定不可 | 変更可 |
移動量 | リニア/非リニア | リニア | 非リニア |
さらにキヤノンはカメラ側で回転量に応じた移動量(リニア)・回転速度に応じた移動量(非リニア)を切り替えることが出来る。ニコンはカメラ・レンズに依らず「非リニア」で固定され、ソニーは「リニア・非リニアが混在」しているが、このレンズに限って言えばリニアである。
スイッチ類
どのレンズもAF/MF切替スイッチは搭載している。前方にスライドするとAF、手前にスライドするとMFだ。操作性に大きな違いは見当たらない。面白いことに、キヤノンRFレンズは電源オフ時でもAF/MF切替操作を行うことで、レンズの絞りが一時的に開閉する。何故このとうなギミックを実装しているのかは不明。
CANON | SONY | NIKON | |
Fn | なし | あり | あり |
AF/MF | あり | あり | あり |
手ぶれ補正 | あり | あり | なし |
Fnボタンはソニーとニコンが対応しており、キヤノンは利用することが出来ない。登録できる機能はニコンも多いがソニーの自由度が圧倒的に高い。使い勝手はほとんど変わらないが、押し込み時のストロークはニコンのほうが浅く、ソニーのほうが深い。
手ぶれ補正スイッチは、光学手ぶれ補正を搭載しているキヤノンとソニーのみ搭載。ニコンがボディ内手ぶれ補正を固定したい場合、「i メニュー」などから手ぶれ補正をオフに設定する必要がある。
AF
SONY
このレンズは最新モデルで導入が進む「XDリニアモーター」ではなく、従来のDDSSM(ダイレクトドライブSSM)を使用している。比較的古いアクチュエーターだが、α7 IVとの組み合わせで非常に高速なAF速度で利用可能だ。特に広角~標準は最短撮影距離から無限遠まで電光石火でピントが移動する。望遠はさすがに瞬間的なピント移動が難しくなり、ナノUSMを搭載するキヤノンに及ばない。
NIKON
マルチフォーカス方式のステッピングモーター駆動を採用。この駆動方式は静かで滑らかなフォーカス動作をコンパクトに実現できる。しかし、往々にしてトルク不足となり瞬発力に欠けるのが悩ましいところ。特にフォーカスレンズの移動距離が長い場合に合焦速度が遅いと感じる。ニコンはフォーカスレンズを2ユニットに分けてフォーカスレンズを小型化しているものの、ソニーのDDSSMやキヤノンのナノUSMと比べるとフォーカス速度が伸び悩んでいる。
もちろん、2018年に登場したZ 7、つまりカメラ側AFシステムの問題である可能性も否定できないが、それ以上にステッピングモーター駆動が足を引っ張ているように感じる。(Z 7でも速いレンズは速い)
CANON
RFレンズでお馴染みのナノUSM駆動を採用。広角から望遠まで驚くほどのAF速度はまさに電光石火。ソニーのDDSSM+α7 IVと僅差ではあるものの、フォーカス速度の違いは明らかで、ワンテンポ速い合焦を実現している。もしもピントが背景に抜けてしまったり、前景に引っ張られた場合でも素早くリカバリーが可能である。特にこの点でニコンとの差が大きい。
最短撮影距離・最大撮影倍率
CANON | SONY | NIKON | |
最短撮影距離 | 0.38m | 0.45m | 0.35m |
最大撮影倍率 | 0.31倍 | 0.24倍 | 0.39倍 |
最短撮影距離が最も短く、最大撮影倍率が最も高いのはニコンだ。フルサイズのF4ズームレンズで0.39倍の高い撮影倍率は驚きである。3本の中では唯一マルチフォーカス(フローティングフォーカス)を導入しており、近接撮影能力を向上させた結果なのかもしれない。
手ぶれ補正
広角
最も良好だったのはキヤノン。レンズとボディの協調補正で最大8段分というのは伊達じゃない。特にソニーやニコンと比べて1/2秒あたりからの成功率に違いが出始める。ソニーとニコンは同程度だが、1/2秒における成功率はソニーのほうが良好だ。ボディ内補正のみのニコンは少し不利となるのは自然な流れ。
望遠
1/4秒までの安定感は協調補正に対応するキヤノンがベスト。ただし、よりスローシャッター時は意外にもボディ内手ぶれ補正のみのニコンが良好、もしくはキヤノンとほぼ同等だ。ボディ内手ぶれ補正の効き目が良いのか、カメラグリップやレンズとのバランスが良いのか、直接の原因は不明。最も安定感が低かったのはソニーである。
今回のまとめ
ポイント
- マウント付近が金属外装
- 多段式の内筒
- ショートバックフォーカスを活かすような後玉
- 最も軽いが最も長い
- レンズフードがきちんとした反射防止
- コントロールリングあり
- Fnボタンあり
- フォーカスリングが非リニア
- 光学手ぶれ補正なし
- AFの瞬発力がイマイチ
- 良好な手ぶれ補正
- マウント付近が金属外装
- 一体型の内筒
- 最も重い
- レンズフードの反射防止が甘い
- レンズフードにロック構造あり
- コントロールリングあり
- フォーカスリングのリニア/非リニア切替可能
- 電光石火のAF
- 良好な手ぶれ補正
- 先端が金属外装
- 一体型の内筒で金属製
- レンズフードがきちんとした反射防止
- Fnボタンあり
- フォーカスリングがリニア
- 望遠側でAFがキヤノンに劣る
甲乙つけがたい結果となった。どのレンズも長所があり、短所もある。何を重視するのかにもよるが、AFや手ぶれ補正ならキヤノンが有利だ。ズームリングやフォーカスリング、スイッチ類のエルゴノミクスで言えばニコンが良好と感じる。比較してソニーは没個性的だが、手ぶれ補正の効果を除けば堅実的なレンズに仕上がっている。
個人的にはAF・手ぶれ補正を重視するのでキヤノンが有力な選択肢となるが、マクロや動画撮影時はニコンを使いたいと思う。ソニーはカメラありきの選択となるが、その際には十分なパフォーマンスで応えてくれるレンズだと思う。
購入早見表
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