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タムロン 28-75mm F/2.8 Di III VXD G2 徹底レビュー 完全版

このページではタムロン「28-75mm F/2.8 Di III VXD G2」のレビューを掲載しています。

管理人の評価

評価

ポイント 評価 コメント
価格 比較的手ごろ
サイズ まずまず小型
重量 まずまず軽量
操作性 非常に機能的
AF性能 AF-Cが超高速
解像性能 接写以外は良好
ボケ とても良好
色収差 望遠側や端で目に付く
歪曲収差 デジタル補正必須
コマ収差・非点収差 非常に良好
周辺減光 ズーム両端で目立つ
逆光耐性 まずまず良好
満足度 バランスの良い優等生

ポイント

デジタル補正に依存している部分を除くと弱点はほとんどない。良好な光学性能に加え、様々なカスタマイズに対応したボタンやリングを搭載し、24-70mm F2.8クラスよりも小型軽量で、それなりに手ごろな価格設定を実現。シグマほどコンパクトなレンズでは無いが、全体的にバランスが良く、優等生的な描写が好みであればタムロンがおススメ。

28-75mm F/2.8 Di III VXD G2のレビュー一覧

まえがき

2021年9月30日に正式発表されたソニーEマウント用の大口径ズームレンズ。2018年に驚異的な価格設定で登場した「28-75mm F/2.8 Di III RXD」の後継モデルであり、焦点距離やレンズサイズを維持しながら最新の光学設計、AF駆動、ビルドクオリティにフルモデルチェンジ。価格は少し高くなってしまったものの、それでも10万円未満を維持しているのは凄い。

概要
レンズの仕様
マウント E 最短撮影距離 0.18-0.38m
フォーマット 35mm 最大撮影倍率 1:2.7-1:4.1
焦点距離 28-75mm フィルター径 φ67mm
レンズ構成 15群17枚 手ぶれ補正 -
開放絞り F2.8 テレコン -
最小絞り F22 コーティング BBAR-G2・F
絞り羽根 9枚
サイズ・重量など
サイズ φ75.8×117.6mm 防塵防滴 対応
重量 540g AF VXD
その他
付属品
レンズフード・キャップ

レンズサイズは前モデルとほぼ同じ。最新設計の光学系はレンズ構成枚数が増えているにも関わらず、レンズ重量が軽くなっている不思議。その結果、24-70mm系の大口径ズームより明らかに小さく軽く、シグマ「28-70mm F2.8 DG DN」と比べて驚くほどの差は無い。

前モデルと比べて最短撮影距離や最大撮影倍率は同程度。ただし、オートフォーカスの駆動はステッピングモーター(RXD)からリニアモーター(VXD)に切り替わっており、従来と比べて高速AFを期待できる。

レンズ構成は従来よりも2枚多い15群17枚構成。ただし特殊レンズの使用数は前モデルよりも少なくなっている。それにも関わらずMTF曲線は前モデルよりも良好となっており、広角端・望遠端どちらも周辺部の解像性能が大幅に改善している。
さらにコーティングにはBBAR-G2を使用し、前面はフッ素コーティングでメンテナンス性を高めている。レンズ構成が増えているので(反射面が増える)逆光耐性は低下しているかもしれないが、新コーティングに期待。

価格のチェック

売り出し価格は9万円半。前モデルが8万円半でスタートしたことを考えると少し高くなったが、それでも10万円未満であり、VXD駆動や最新の光学設計を考慮すると手ごろな価格と言える。差額分以上の価値を持つかどうか、これからじっくりと確認していきたい。

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レンズレビュー

外観・操作性

箱・付属品

従来通り白を基調としたDi IIIシリーズらしいデザインの箱。装飾は底部にブランドカラーのルミナスゴールドを配色してあるくらい。今のところソニーEマウントのみだが、将来的に対応マウントが増えた際は箱の右下に記載されているマウントをよく確認したい。上部には封印用のシールが一か所張り付けられている。

レンズの緩衝材は入っておらず、段ボールによる間仕切りのみ。レンズケースなどは同梱していない。

付属品は花形レンズフードに前後のキャップ、説明書・保証書・シリアルナンバーのシールなどが付属している。

外観

外装はプラスチック製ながらしっかりとした作り。サムヤンのような薄っぺらいプラスチック感は無く、頑丈な作りと感じる。ただし、外装につなぎ目が見えているのは少し残念。塗装は初期モデルと比べて黒が強くなっており、一眼レフ用レンズ「SP」シリーズを彷彿とさせるカラーリングとなっている。もちろん、金属外装だったSPシリーズと比べると質感は劣る。

全体的に過度な装飾は施されておらず、マウント付近のルミナスゴールドのリングのみ。相変わらず「日本設計」を大きく表示しており、製造国は非常に分かりづらく記載されている。ただし、「MADE IN CHINA」かと思いきやまさかの日本製。まぁ、ここに来て「日本製」の時だけ大きく印字は出来ませんよね…。
ズームリングとフォーカスリングはゴム製で、グリップは良好だが塵や小ゴミを吸着しやすい点がマイナス。側面にはUSBポートを搭載しており、パソコンと接続してカスタマイズが可能となっている。ただし、USBポート用のカバーは付属していないので、必要と感じたら用意しておく必要がある。

ハンズオン

全長117.6mm、重量540gの大口径標準ズームレンズ。このクラスとしては非常に軽いが、シグマ「28-70mm F2.8 DG DN」が登場した今では最軽量・最小では無くなっている。見た目はタムロンのほうがしっかりとしているが、実際に手に取ってみるとどちらも良好。

レンズサイズだけで言えばシグマのほうがおススメだが、ズームリングの回転方向についてソニー純正レンズと親和性が高いのはタムロン。また、ズームリングやフォーカスリングの位置が異なるので、好みは分かれると思う。

内筒は焦点距離を75mmに設定すると最も伸びる。素材はプラスチック製だが、しっかりとした作りで、特にがたつきは無い。

前玉・後玉

前面には撥水・撥油性のある防汚コートを採用。水滴や油汚れに強く、現地でのメンテナンス性が高まっている。とは言え衝撃や傷が想定される撮影であれば、フィルターを装着しておいたほうが良さそう。フィルター径は大部分のDi IIIシリーズと同じく67mmで統一されている。他にもタムロンレンズを使用しているのであれば、NDやC-PLなどを、67mmで揃えてしまうのはアリ。

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レンズマウントは金属製。従来のシルバーと比べて、ルミナスゴールドのような色味となっている。マウントは4本のビスで固定され、周囲は防塵防滴用のシーリングが施されている。後玉は球状となっており、周囲はフレアカッターで保護されている。

後玉は固定されておらず、ズーム操作によって前方へ移動する。移動量はわずかだが、空気の出入りは避けられないように見える。内部は反射防止用に黒塗りされ、特に目立つ反射素材は見当たらない。

フォーカスリング

幅15mm程度のゴム製フォーカスリングは滑らかに回転する。リングの回転速度に応じてピント移動量は変化し、ゆっくり回転させた場合はピント全域を移動する際に2.5回転ほどの操作が必要となる。逆に素早く回転した場合は180度弱でピント全域を操作可能。リングのトルクは程よく、操作しやすいと思う。

ズームリング

35mm幅のゴム製フォーカスリングを搭載。ズーム全域で滑らかに回転し、ほぼ均質的なトルクがかかっている。静止画で細やかな画角の調整ができるほか、動画撮影でも滑らかなズーム操作が可能。リングは28mmの広角端から75mmの望遠端まで、ストロークは90度弱と短く、一度の操作で素早くズームすることができる。

レンズフード

プラスチック製の花形レンズフードが付属。ロック機構が無ければフィルター操作窓もないシンプルなフードで、シグマの競合製品と比べると少し安っぽさを感じる。惜しい、ここはもう少しこだわって欲しかったような気がする。とは言え、フードとしての役割は果たしており、特に問題は無い。

Fnボタン

従来モデルはFnボタンを搭載していなかったが、今回のモデルは側面に一つのFnボタンを搭載。初期設定はカメラ側の「レンズFn」で割り当てた機能に依存するが、「TAMRON Lens Utility™」を使ったカスタマイズで「AF/MF切替」「A-Bフォーカス」「フォーカスプリセット」などに使用可能となている。

USBポート

ソニーEマウントはライセンスの都合上、レンズDockを作ることが出来ない。このため、タムロンはレンズにUSBポートを搭載することで、アクセサリ無しでファームウェアアップデートやカスタマイズに対応している。前述した通り、Fnボタンの機能を変更したり、フォーカスリングを絞りリングとして使う機能を割り当てることが出来る。カスタマイズに必要な「TAMRON Lens Utility™」は2021年10月に公開予定と言われている。

装着例

α7R IVに装着。大きいレンズに違いはないが、バランスは良好で快適に手持ち撮影が可能。24-105mm F4ズームレンズを使っている感覚とそう変わらない。むしろ少し軽いくらい。
グリップとレンズの間の空間に問題は無いが、快適というほど空間に余裕があるわけでも無い。特に厚手の手袋を装着すると窮屈に感じる可能性あり。

AF・MF

フォーカススピード

前モデルはステッピングモーター駆動で、正直に言うとAF速度はソコソコだった。今回のレンズはリニアモーター駆動にアップグレードされ、AFスピードが格段に向上している。
AF-S時はコントラスト検出が混じるのか、それともAFアルゴリズムが影響しているのか、合焦までの速度が低下する。しかし、AF-C時は迷いが無く、ほぼ一瞬で被写体に合焦する。まさに電光石火であり、タムロンVXD駆動に期待するもの。

ブリージング

ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指す。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となる。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。
今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離と無限遠で撮影した結果が以下の通り。

画角の変化はゼロと言えないものの、広角端・望遠端どちらも良く抑えられている。少なくとも最短撮影距離と無限遠を行き来するような使い方以外でブリージングが問題となる可能性はあまりないと思われる。

精度

α7R IVと組み合わせた限りでは大きな問題は無し。特に中央は解像性能が高いので厳しい状況でも良好なパフォーマンスを期待できると思う。その一方で、接写時は周辺から隅が甘くなるので、合焦の精度や速度が低下する可能性あり。ピントが迷い気味であれば、少し絞ってAFしたほうが良いかもしれない。

MF

Tamron Lens Utility

TAMRON Lens Utility

タムロン「28-75mm F/2.8 Di III VXD G2」「35-150mm F/2-2.8 Di III VXD」はレンズ側面にUSB-Cポートを搭載。パソコンとケーブル接続して、専用ソフト「Tamron Lens Utility」を使ったレンズのカスタマイズやファームウェアアップデートに対応している。専用のレンズドックなどが必要無く、気軽に調整・更新できるのが強み。既に中国レンズメーカーなどで採用している手法だが、日本レンズメーカーとしては初めての試み。

「Tamron Lens Utility」をダウンロード・インストールしてソフトウェアを起動すると、上のような画面が表示される。カメラに装着して通電状態でもカスタマイズが可能となっているのは面白い。実際の動作を確認しながらカスタマイズできるので、とても使い勝手が良かった。パソコンさえあれば、撮影現場で柔軟に、素早く機能を切り替えることが可能。

カスタマイズモードでは、視覚的にカスタマイズ箇所を判断することが可能。このレンズではフォーカスセットボタンとフォーカスリングの二カ所をカスタマイズすることが出来る。ソフトウェアのレスポンスは良好で、特に不満はない。

フォーカスセットボタンはボディ側のカスタマイズに従うモード以外に4種類の独自機能を使用することが可能。

  • AF/MF切替:クリックもしくは長押しでAF/MF切替が可能。
  • フォーカスプリセット:1秒以上の長押しでピント位置の記憶が可能。以降はボタンを押すことで記憶したピンチ位置へ移動ができる。動画撮影時はフォーカス速度の調整も可能
  • A-Bフォーカス:特定のピント位置から特定のピント位置へ自動でピント移動が可能。1秒以上のボタン長押しでピント位置を記憶する。
  • 絞りリング切替:フォーカスリングを絞りリングに切り替える機能。MFを利用したい場合は再度ボタンを押す必要あり。

絞りリング時のストロークは少し長めで、後述するMFの「リニア」「ノンリニア」設定の影響は受けない。おそらく常時リニアの設定。F2.8からF22まで操作する場合は操作量が多く、静止画には不向き。AF/MF切替機能はレスポンスが良いので、AFLボタンとして使わない場合はAF/MFスイッチとして使うのは実用的だと思う。

フォーカスリングは回転方向と、操作量のリニア・ノンリニアを切り替えることが可能。ノンリニア時は360度でピント全域を操作することが可能。このストロークを調整する機能は今のところ無い。

解像力チャート

撮影環境

テスト環境

  • カメラボディ:ILCE-7RM4
  • 交換レンズ:28-75mm F/2.8 Di III VXD G2
  • パール光学工業株式会社「【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)
  • オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
  • 屋内で照明環境が一定
  • 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
  • RAW出力
  • ISO 64 固定
  • Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
    ・シャープネス オフ
    ・ノイズリダクション オフ
    ・色収差補正オフ
    ・格納されたレンズプロファイル(外せない)
  • 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
    (像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェック)
  • 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)

補足

今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性あり。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。

28mm

中央

絞り開放から非常に高い解像性能を発揮。少なくとも、この解像力チャートでは絞りによる改善効果は見られず、開放からピークの状態。実際、6100万画素の遠景解像テストでも絞りによる改善効果は見られなかった。
パフォーマンスはF8まで維持し、F11で回折の影響により少し低下。F16~F22は急速に性能が低下するので、必要なければ避けて通りたい絞り値。

周辺

中央と比べると雲泥の差で、絞り開放はかなり甘い。これを改善するには2段絞る必要あり。もちろん、広角レンズで定型解像力チャートは相性が悪い(かなり接写する必要がある)点には注意する必要がある。
同じテスト環境で、シグマの2本はさらに悪い結果。ただし、28-70mm F2.8 DG DNはF8付近まで絞るとタムロンよりも良好となる。

四隅

周辺よりもさらに悪化し、F2.8では測定不能。さらに絞っても大きく改善しない。

数値確認
中央 周辺部 四隅
F2.8 4592 2908
F4.0 4610 3115 2566
F5.6 4530 3786 2930
F8.0 4642 3924 3186
F11 4387 3937 3229
F16 3828 3339 2982
F22 3167 2722 2586

35mm

中央

中央は28mmと同じく、絞り開放から非常にシャープな結果を期待できる。F11くらいまでハイパフォーマンスを維持し、それ以降で大きく低下する傾向も同じ。

周辺

28mmと同じく、絞り開放が甘い。ただし改善速度が速く、F4まで絞ると3500を超え、F8まで絞ると4000に到達する。

四隅

周辺部と同じく、隅も絞った際の改善速度は28mmよりも良好。

数値確認
中央 周辺部 四隅
F2.8 4801 2709
F4.0 4801 3604 3013
F5.6 4781 3838 3450
F8.0 4744 4093 3594
F11 4611 3958 3662
F16 4017 3604 3265
F22 3374 2904 2644

50mm

中央

広角側と同じく、非常に良好な性能を維持。パフォーマンスの低下が全く見られないのは正直に言って凄い。回折による影響を受けるが、F11までは4500を超える非常に良好な結果を期待できるので、積極的に絞ってもOK。ただし、以降は急速にパフォーマンスが低下する。

周辺

広角側と比べると絞り開放の描写に安定感がある。ただし、解像性能で言えば1~2グレード低下するうえ、絞りによる改善効果がほとんど無い。

四隅

絞り開放からなんとか測定可能で、広角側と比べると安定感がある。倍率色収差がかなり残っており、これを自動補正するAdobe LightroomのJPEG出力と測定ソフトの相性が悪いのかもしれない。

数値確認
中央 周辺部 四隅
F2.8 4779 3321 2850
F4.0 4810 3641 3069
F5.6 4866 3589 3424
F8.0 4599 3503 3614
F11 4563 3589 3227
F16 3886 3346 2788
F22 3274 2826 2572

75mm

中央

望遠端でも4500を超えるとても良好な結果。シグマ28-70mmは絞り開放のパフォーマンスが低下するポイントであり、タムロンに圧倒的な優位性がある。

周辺

絞り開放付近の性能はシグマ28-70mmよりも良好だが、絞っても非点収差の影響が改善しないように見える。シグマのようにF5.6~F8まで絞った際、性能が大きく向上することは無い。

四隅

やはり絞り開放の画質は安定しているが、倍率色収差の影響が強く、細部のコントラストがつぶれてしまっている可能性あり。絞った際の画質向上が見られない。

数値確認
中央 周辺部 四隅
F2.8 4781 2895
F4.0 4908 3167 2129
F5.6 4869 3416 3106
F8.0 4746 3242 3052
F11 4473 3098 2274
F16 4020 2754 2328
F22 3095 2667 2131

SIGMA 28-70mm F2.8 DG DNとの比較

28mm

絞り開放のパフォーマンスはよく似ているが、絞った際の周辺部・隅の性能向上はシグマのほうが良好。これは絞っても残存している倍率色収差が影響しているのかもしれない。

35mm

中央はタムロンのほうが良好で、周辺部も絞り開放付近はタムロン有利。シグマはF8?F11まで、しっかり絞ることでタムロンよりも優れた結果を期待できる。

50mm

シグマは絞り開放付近で全体的にパフォーマンスが低下する。おそらく、これは軸上色収差の影響でコントラストが低下しているためだと思われる。このため、絞ると全体的に改善する。
その一方でタムロンは軸上色収差が良く抑えられ、絞り開放から極めて良好な中央解像性能を発揮。周辺部や隅の結果も安定している。ただし、絞っても画質の改善は見られず、F8付近でシグマが追い越す。

70・75mm

50mmの傾向がさらに強くなる。シグマの絞り開放は芯は出ているが少しソフトな描写で、絞ると大きく改善する。その一方でタムロンは絞り開放から良好で安定感のある結果を期待できるが、絞ってもこれと言った改善は見られない。

遠景解像力

テスト環境

  • 撮影日:2021-10-29:晴れ
  • カメラ:α7R IV
  • 三脚:Leofoto LS-365C
  • 雲台:Leofoto G4
  • 露出:絞り優先 ISO 100
  • RAW:Adobe Lightroom Classic CC
    ・シャープネスオフ

28mm

単焦点ほどの解像性能は期待できないものの、設計が難しいと言われる大口径標準ズームとしては満足のいく性能に見える。競合レンズと比べて大きく優れた性能でもないが、見劣りする性能にも見えない。競争力のある画質。

中央

絞り開放から良好なシャープネスとコントラスト。絞ると極僅かにコントラストが改善しているようにみも見えるが、基本的に大きな改善は見られない。パフォーマンスはF8まで一貫しており、F8以降は回折の影響により徐々にソフトな画質となる。6100万画素の高解像を活かしたいのであれば絞ってもF11くらいまでに抑えたほうが良い。

周辺

中央と比べると少し甘い。非点収差のような像の流れが僅かにあり、コントラストも少し見通りする。絞ると徐々に改善し、F5.6?F8でピークの解像性能を得ることができる。F8以降は回折の影響により徐々にソフトな画質となる。6100万画素の高解像を活かしたいのであれば絞ってもF11くらいまでに抑えたほうが良い。

四隅

極端な描写の乱れは見られないが、絞り開放の描写は微妙に甘さが残る。Adobe LightroomではRAW現像時にレンズプロファイルが自動的に適用され、色収差が補正されている。カメラ出力でオフにした場合はもう少し目立つ倍率色収差が発生する。
絞ると周辺減光は改善するものの、解像性能に劇的な変化は見られない。

35mm

フレームの大部分は良好に見えるが、周辺部から隅にかけて画質が低下している。やはり競合レンズと比べて大差は見られない。

中央

28mmと同じく絞り開放からシャープでコントラストも良好。絞ると極僅かにコントラストが改善したようにも見えるが、基本的には同じ画質。

周辺

中央と比べると描写がわずかに甘く、コントラストも少し低下している。F5.6~F8まで絞ると細部のコントラストが改善しているので、もしも風景撮影でこのレンズを使うのであればF8まで絞るのがおススメ。

四隅

28mmと同じく、極端な描写の乱れはないが、決して抜群のシャープネスとも言えない。絞ってもあまり改善しない。

50mm

広角側と比べると描写の甘さが無くなり、全体的に使いやすい画質となっている。

中央

広角側と同じくシャープでコントラストの豊富な画質。絞っても改善することは無く、F8までそのパフォーマンスを維持している。

周辺

28mmや35mmと比べると描写が安定しており、コントラストが少し強くなっているように見える。F4まで絞るとシャープな描写えることができ、ピークはF8まで続く。

四隅

28mmや35mmと比べるとずっと良好で、絞り開放から安定感のある画質に見える。絞ると周辺減光と共に画質が少し改善する。やはりベストを尽くすのであればF5.6?F8がおススメ。

75mm

安定感のある望遠端の画質。倍率色収差は残念するものの。細部のコントラストは良く維持しているように見える。

中央

他のズームレンジと同じく良好な画質。絞ると僅かにコントラストが改善する。

周辺

倍率色収差の痕が見えるものの、シャープネスとコントラストは十分良好。F4まで絞ると画質がワンランク向上するので、風景撮影の場合はF4以上の絞り値が良いかもしれない。

四隅

大口径ズームの望遠端としては安定感があるように見える。中央や周辺と比べると倍率色収差が目立つ。絞っても画質に大きな改善は見られないが、周辺減光が弱くなることで、後処理の必要性が低くなった。

撮影倍率

 

像面湾曲

像面湾曲とは?

ピント面が分かりやすいように加工しています。

中央から四隅かけて、ピントが合う撮影距離が異なることを指す。例えば、1mの撮影距離において、中央にピントが合っていたとしてもフレームの端では1mの前後に移動している場合に像面湾曲の影響が考えられる。

最近のレンズで目立つ像面湾曲を残したレンズは少ないものの、近距離では収差が増大して目立つ場合もある。ただし、近距離でフラットな被写体を撮影する機会は少ないと思われ、像面湾曲が残っていたとしても心配する必要は無い。

無限遠でも影響が見られる場合は注意が必要。風景など、パンフォーカスを狙いたい場合に、意図せずピンボケが発生してしまう可能性あり。この収差は改善する方法が無いため、F値を大きくして被写界深度を広げるしか問題の回避手段がない。

参考:Wikipedia 像面湾曲

実写で確認

全体的に極端な影響は発生しないものの、周辺部に向かって僅かに近側へピントが移動しているようにも見える。実際、フラットな解像力チャートを撮影すると影響がハッキリと現れる。つまり、周辺部にピントを合わせると、四隅でピントが合う一方、中央でピントが合わない事態が発生する。
この現象は最短撮影距離付近だけでなく、無限遠側でもわずかに影響が見られる。もしも遠景でパンフォーカスを狙いたいのであれば像高5割付近にピントを合わせて、しっかり絞って撮影するのがおススメ。

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレーム四隅に現れる色ずれを指す。絞り値による改善効果が小さいため、この問題を解決するにはカメラボディでのソフトウェア補正が必要。ただしボディ側の補正機能で比較的簡単に修正できるので、残存していたとして大問題となる可能性は低い。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向がある。

参考:Wikipedia 色収差

色収差補正オフのJPEG出力

Adobe Lightroomで現像すると、例え色収差補正をオフにしても倍率色収差が自動的に補正されている。しかし、カメラ出力のJPEGで色収差を補正をオフにすると、実際の倍率色収差が確認可能。従来はLightroomでRAW現像した作例を掲載しているので、今回はカメラ出力で撮影した作例を以下に公開する。

ご覧のように、ズーム全域で目に付く倍率色収差が発生している。比較的簡単に補正できる収差だが、状況によっては細部の画質低下の一因となる。また、強制適用される自動補正だけでは望遠側の収差を修正しきれないので、追加の補正が必要。この場合も簡単に修正できるので、特に大きな問題は無い。

28mm

35mm

50mm

75mm

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれを指す。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられる。簡単な後処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えて欲しいところだが、大口径レンズでは完璧に補正できていないことが多い。

軸上色収差を完璧に補正しているレンズはピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できる。

参考:Wikipedia 色収差

28mm

絞り開放から大きな問題は見られない。極僅かに残存収差が見られるものの、これが厄介と感じるシーンはごく限られてくるはず。

35mm

28mmと同じ傾向。大きな問題は見られない。

50mm

広角側と比べると、ピント面前後に僅かな色付きが見られる。それでもシグマ28-70mm F2.8 DG DNと比べると遥かに良好な補正状態であり、問題となるシーンは少ないと思われる。

75mm

50mmよりもさらに色付きが強くなる。それでもシグマ24-70mm F2.8や28-70mm F2.8と比べると良好な補正状態である。

球面収差

28mm

前後のボケ質に大きな違いは見られない。敢えて言えば軸上色収差が僅かに発生しているものの、それも大きな問題ではない。ボケの縁取りはほとんど無く、これが綺麗なボケ味に繋がっていると思われる。また、輪線ボケ(玉ねぎボケ)の兆候は皆無で、良好な研磨状態。

35mm

基本的に28mmと同じ傾向。縁取りは最小限に見える。

50mm

広角側と比べると軸上色収差が少し強くなる。ボケ質は良好で、広角側と比べて大きな変動は見られない。

75mm

他の焦点距離と比べると軸上色収差が目立つ。ボケへの影響はゼロと言えず、場合によって気になる色付きとなるかもしれない。ただし、内側の描写はとても綺麗で、積極的に評価できるポイント。

前後ボケ

綺麗なボケ・騒がしいボケとは?

ボケの評価は主観的となりがち。個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくないと感じる。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人がいてもおかしくない。
参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルを以下に示す。

描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によって変化し、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向がある。
特殊な方法として「アポダイゼーション光学素子」などを使って強制的に滲むボケ描写を実現しているレンズも存在する。

実写で確認

大きなボケはほとんど違いが無いものの、微ボケの領域は後ボケのほうが少し滑らか。比較して前ボケは少し硬調だが、全体的に見て悪い印象は無い。シグマの競合レンズと比べて、後ボケの柔らかさで劣るが、色収差は良く抑えられ、前後のボケ質はバランスが良い。

玉ボケ

口径食・球面収差の影響

ここで言う「口径食」とはレンズ口径がボケへ影響していることを指す。
口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまったりする。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法が無い。しかし、絞ると羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じてF値を変化させる必要あり。

逆に口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが出来る。これは玉ボケに限った話ではなく、一般的な四隅のボケ描写の質感にも繋がる。口径食が強いと、ボケが小さく感じたり、場合によってはボケが荒れてしまう場合もある。
できれば口径食の小さいレンズが好ましいが、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要がある。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。

球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生する(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまう。

実写で確認28mm

口径食はシグマよりも多少良好に見えるが、ほぼ同じ。2段絞ると口径食は解消するが、全体的にボケが角ばり始める。バランスを考慮するとF4前後が最適か?玉ねぎボケの兆候は見られず、この点で前モデル「A036」よりも優れた描写。

実写で確認35mm

28mmよりも口径食は小さくなり、絞り開放からほとんど文句ナシ。ボケは綺麗で色収差の影響も少なめ。見事。

実写で確認50mm

全体的な傾向は35mmと同じ。手ごろな価格の標準ズームレンズとしては肯定的に評価できる描写。

実写で確認75mm

ズーム中間域と比べると口径食は強くなるが、影響を受けるのは隅の領域のみ。広い範囲で円形を維持しているように見える。一般的な後ボケでも周辺部で見栄えの良いボケが期待できる。

ボケ実写

28mm

フレームの広い範囲は滑らかな描写で、ズームレンズの「28mm F2.8」としては綺麗。やはり絞り開放は口径食の影響が強く、隅のボケがいびつな形状になっている。ただし、見苦しい描写ではないので、ボケの形にこだわらなければ絞り開放から実用的に見える。隅の描写を改善したい場合はF5.6まで絞る。

撮影距離が長い場合でもボケ質は悪くない。単焦点ほど滑らかでは無いかもしれないが、悪目立ちしないだけでも評価したい。隅の玉ボケは口径食の影響で大きくゆがむ。ボケの量を犠牲にしてでもF5.6まで絞ると安定した結果を期待できる。

75mm

中央付近はとても良好な描写で、隅に向かって口径食と色収差の影響が強くなる。口径食の影響は強いが、接写時は全体的にボケが大きく気にならない。滑らかさはシグマに劣るが、軸上色収差が少なく、非常に使いやすいボケだと思う。

撮影距離が長くなっても全体的にボケは綺麗で使いやすい。ただし、口径食が強くなるので、周辺部は場合によって騒がしい可能性あり。そのような場合はF4?F5.6に絞って対応したいところ。

焦点距離ごとの絞り開放

ズーム両端で口径食の影響が強くなるものの、ボケ質は全体的に良好で使いやすい。被写界深度に問題が無ければ、50mm付近が絞り開放から口径食少なめでGood。

撮影距離ごとの作例

全高170cmの三脚でポートレートに見立て、28mmと75mmで撮影したのが以下の作例。

28mm

F2.8の明るいズームレンズと言えども、「28mm F2.8」で全身をフレームに入れつつ後ボケを両立するのは難しい。せめて膝上、上半身くらいまで近寄らないと後ボケを得るのは難しい。顔のアップで十分なボケを得られるように見える。

75mm

全身ポートレートでもなんとか背景をぼかすことは可能。ただし、被写体を浮かび上がらせるほどでは無いように見える。上半身で十分なボケ量を得ることができ、バストアップ・顔のクローズアップでさらに良好なボケ量を得ることが可能。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうことを指す。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすい。主に魚眼効果と似た形状の「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれる。

参考:Wikipedia 歪曲収差

比較的補正が簡単な収差だが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となる。

28mm

28mmとしては少し目に付く樽型歪曲だが、驚くほどの収差量では無いように見える。とは言え、直線的な被写体を撮影する場合は補正必須。

35mm

この段階で既に糸巻き型歪曲へと変化する。程度は穏やかだが、直線的な物体がフレームの端から端まで伸びている場合は補正したいと感じるかもしれない。

50mm

標準ズームの50mmとしては強めの糸巻き型歪曲が発生する。場合によっては不自然に見えるので補正が必要。

75mm

50mmと同じく強めの糸巻き型歪曲が発生する。かなり目立つので注意が必要。

周辺減光

周辺減光とは?

周辺減光とは読んで字のごとく。フレーム周辺部で発生する不自然な光量落ちを指す。中央領域と比べて光量が少なく、フレーム四隅で露出不足となる傾向。主に大口径レンズや広角レンズで強めの減光が発生する。

ソフトウェアで簡単に補正できる現象だが、露出不足を後処理の補正(増感)でカバーするため、ノイズ発生の原因となる点には注意が必要。特に夜景で高感度を使う場合はノイズが強く現れる可能性あり。

28mm(最短撮影距離:無限遠)

絞り開放で隅に強めの光量落ちが発生する。これは最短撮影距離、無限遠どちらでも発生しており、ピントに関わらず影響は強い。Adobe Lightroomの手動補正の場合、補正値を最大限まで使用しても完全に修正するのは難しい。影響も中央から隅まで直線的とは言えず、フラットな露出に仕上げるのは難しい。幸いにもレンズプロファイルが既に存在するので、適用することで綺麗に修正可能。

35mm(最短撮影距離:無限遠)

28mmと比べると光量落ちの影響は低下する。と言っても手動の補正値で「60~70」の修正が必要な光量落ちがある。さらに、手動補正ではムラが出来てしまうので、出来る限りレンズプロファイルで補正したいところ。1段絞ると大きく改善するが、完全に抑えたいのであればもう1段絞りたい。

50mm(最短撮影距離:無限遠)

35mmよりも周辺減光の影響が小さくなっている。補正値は「20~50」で対応可能。ただし、やはり無限遠の隅にしつこい光量落ちが残るので、出来る限りプロファイルで補正したい。

75mm(最短撮影距離:無限遠)

再び周辺減光が強くなり、特に無限遠の隅で強烈な光量落ちが発生する。近接側で「70」、無限遠側で「100」の補正値が必要となる。

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないことを指す。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要がある。

参考:Wikipedia コマ収差

絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる。

28mm

絞り開放から良好な補正状態で大きな問題は見られない。シグマ2本と比べると良好な補正状態である。

35mm

引き続きシグマと比べて良好で、絞り開放から顕著な非点収差は見られない。

50mm

僅かに点光源の変形が見られるものの、特に大きな問題は無い。

75mm

僅かに非点収差の影響があるようにもみえるが、それでも大きな問題は無し。

逆光耐性・光条

28mm 中央

BBAR-G2コーティングを採用。旧世代に使用しているBBARコーティングと比べてコーティング性能が大幅に向上しているとのこと。

TAMRON MAG

このBBAR-G2コーティングは、従来から定評のあるBBAR(Broad-Band Anti-Reflection)コーティングの性能を大幅に上回り、ゴーストやフレアの発生を極限まで抑えることはもちろん、これまでになく圧倒的にヌケがよくクリアな表現を可能としています。

実際に、いつものテスト環境でチェック。フレアやゴーストの抑制は完璧からは程遠いものの、光源から離れた領域はコントラスト低下を良く抑えているように見える。ゴーストはいくらか発生しているが、描写は自然であり、見栄えの悪いものではない。
絞ると隠れていたフレアがゴーストとして顕在化し、特にF8以降はかなり騒がしい描写へ変化する。

28mm 隅

絞り開放は光源付近にゴーストが発生しているものの、良好なコントラストを維持している。絞ると徐々に悪化し、F8前後から複数のゴーストが現れる。あまりパッとしない性能だが、それでも競合のシグマ製レンズと比べると良好に見える。

75mm 中央

競合レンズと比べると、良好な逆光耐性。レンズフレアは良く抑えられ、ゴーストは小絞り以外で過度な騒がしさはない。中程度の絞り値で光源を中心としてはフレアの影響が強くなる。

75mm 隅

コントラストは良好で小絞り以外はゴーストも良く抑えられている。

光条

絞り羽根は9枚で、絞ることにより18本の光条が発生する。F4から既に光の筋が発生しはじめ、F8~F11でシャープな描写となる。F16~F22でよりシャープで綺麗な描写となるが、回折の影響を考慮すると、F11~F16の絞り値で最もバランスが良い。

まとめ

良かったところ

ココがおすすめ

  • 従来通りの小型軽量レンズ
  • まだまだ手ごろな価格設定
  • 洗練されたレンズデザイン
  • 防塵防滴・防汚コート
  • 統一された67mmフィルター径
  • 使い勝手の良いズームリング・フォーカスリング
  • 追加アクセサリ無しでレンズのカスタマイズに対応
  • AF-C時の超高速AF
  • 良好なフォーカスブリージング耐性
  • ピント距離を選ばず良好な中央解像性能
  • 絞り開放から良好な遠景解像
  • 高い撮影倍率
  • 球面収差の問題はほとんど無し
  • 均質なボケ
  • 良好なコマ収差補正
  • シグマよりも逆光耐性が良好

前モデルを全体的にブラッシュアップした新モデル。全体的に「ずば抜けて優れている」とまでは言わないものの、高水準にまとまっているように見える。実用性重視で安定した光学性能が必要であれば面白い選択肢となるはず。
特にVXD駆動の超高速AFや綺麗なボケ質は前モデルから大きく改善しているポイント。この点で前モデルからアップグレードする価値があると思う。今から新しくレンズを導入する場合でも、安いA036よりも新しいA063が個人的にはおススメ。

悪かったところ

ココに注意

  • 28mm始まり
  • 高速連写機との組み合わせで制限あり。
  • プラスチックな外装
  • ズームリングのロック構造なし
  • レンズフードが少し安っぽい
  • AF-Sの合焦までの速度が少し遅い
  • RAWで歪曲収差が目立つ
  • RAWで倍率色収差が目立つ
  • 望遠側で軸上色収差が目立つ

もっとも気を付けたいのはソニー製カメラとの互換性。専門的な分野以外で特に不満を感じることは少ないと思うが、オートフォーカスや連写にいくらか制限がある。例えば、ソニーEマウントのサードパーティ製レンズらしく、AF-Sの合焦速度が多少もたつく可能性あり。特にAF-C時の合焦速度と比べるとハッキリと分かる性能差。また、α1やα9などの積層型CMOSセンサー機と組み合わせた場合、連写速度に制限がかかる。
光学的に注意したいのは歪曲収差・倍率色収差・周辺減光だが、これらは全てソフト的に補正が可能。特に心配する必要は無いはず。さらに重箱の隅を楊枝でほじくると、ズームリングのロック機構は欲しかった。

総合評価

満足度は90点。
24-70mm F2.8と比べて広角端の焦点距離「28mm」に妥協できるのであれば面白い選択肢となる。手ごろな価格で、良好な光学性能、限定的ながら電光石火のAF、機能的なビルドクオリティを実現している。個人的におススメは改善したボケ質と、レンズドック要らずのカスタマイズ機能だが、電光石火のAF-Cや、周辺まで安定した解像性能、コマ収差補正も評価できるポイントとなる。

初代「28-75mm F2.8 Di III RXD」が登場した時とは異なり、シグマやサムヤンなど同価格帯にはライバルが多い。昔みたいに「タムロン一択」ではないものの、G2の登場で「迷ったらコレ」と言える存在が出てきたように感じる。この調子で比較的古いDi IIIレンズのリニューアルが続くのか、ひとまずG2シリーズは2本のレンズで止めるのか気なることろ。

SIMGA 24-70mm F2.8 DG DNと比べて

タムロンG2よりも少し高いが、より良好なビルドクオリティで、24mmをカバーしている。光学性能はタムロンG2と同じく非常に良好で、ボケ質に関してはより滑らかで綺麗。その一方で望遠側の軸上色収差がタムロンよりも目立ち、ボケの色付きが気になる場合がある。また、撮影距離が短い場合に周辺部のパフォーマンス低下が目立つ。安定感を追求するならタムロンG2、24mmが必要だったり、より個性的なクリエイティブな描写が好みであればシグマと言ったところ。

SIGMA 28-70mm F2.8 DG DNと比べて

タムロンG2よりも小型軽量な大口径標準ズームレンズ。基本的な光学設計は24-70mm F2.8 DG DNと同じらしく、描写の傾向も確かに似ている。軸上色収差が望遠側で発生する傾向も同じ。ただし、24-70mmは望遠側が強いが、このレンズは広角側の解像性能が良好。やはり接近時に周辺部のパフォーマンスが低下しやすい。小型軽量を追求するならシグマ、安定感が必要ならタムロンがおススメ。

購入早見表

28-75mm F/2.8 Di III VXD G2 Sony E
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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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