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タムロン 28-75mm F/2.8 Di III VXD G2レビュー ボケ編

タムロン「28-75mm F/2.8 Di III VXD G2」のレビュー第五弾を公開。今回は前後のボケや玉ボケの質感、撮影距離でのボケ量をチェックしています。

管理人
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前モデルからボケ質が大きく改善。シグマほど滑らかではないものの、特にこれと言った欠点が無く、とても扱いやすい。

前後ボケ

綺麗なボケ・騒がしいボケとは?

ボケの評価は主観的となりがち。個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくないと感じる。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人がいてもおかしくない。
参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルを以下に示す。

描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によって変化し、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向がある。
特殊な方法として「アポダイゼーション光学素子」などを使って強制的に滲むボケ描写を実現しているレンズも存在する。

実写で確認

大きなボケはほとんど違いが無いものの、微ボケの領域は後ボケのほうが少し滑らか。比較して前ボケは少し硬調だが、全体的に見て悪い印象は無い。シグマの競合レンズと比べて、後ボケの柔らかさで劣るが、色収差は良く抑えられ、前後のボケ質はバランスが良い。

玉ボケ

口径食・球面収差の影響

ここで言う「口径食」とはレンズ口径がボケへ影響していることを指す。
口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまったりする。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法が無い。しかし、絞ると羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じてF値を変化させる必要あり。

逆に口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが出来る。これは玉ボケに限った話ではなく、一般的な四隅のボケ描写の質感にも繋がる。口径食が強いと、ボケが小さく感じたり、場合によってはボケが荒れてしまう場合もある。
できれば口径食の小さいレンズが好ましいが、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要がある。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。

球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生する(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまう。

実写で確認28mm

口径食はシグマよりも多少良好に見えるが、ほぼ同じ。2段絞ると口径食は解消するが、全体的にボケが角ばり始める。バランスを考慮するとF4前後が最適か?玉ねぎボケの兆候は見られず、この点で前モデル「A036」よりも優れた描写。

実写で確認35mm

28mmよりも口径食は小さくなり、絞り開放からほとんど文句ナシ。ボケは綺麗で色収差の影響も少なめ。見事。

実写で確認50mm

全体的な傾向は35mmと同じ。手ごろな価格の標準ズームレンズとしては肯定的に評価できる描写。

実写で確認75mm

ズーム中間域と比べると口径食は強くなるが、影響を受けるのは隅の領域のみ。広い範囲で円形を維持しているように見える。一般的な後ボケでも周辺部で見栄えの良いボケが期待できる。

ボケ実写

28mm

フレームの広い範囲は滑らかな描写で、ズームレンズの「28mm F2.8」としては綺麗。やはり絞り開放は口径食の影響が強く、隅のボケがいびつな形状になっている。ただし、見苦しい描写ではないので、ボケの形にこだわらなければ絞り開放から実用的に見える。隅の描写を改善したい場合はF5.6まで絞る。

撮影距離が長い場合でもボケ質は悪くない。単焦点ほど滑らかでは無いかもしれないが、悪目立ちしないだけでも評価したい。隅の玉ボケは口径食の影響で大きくゆがむ。ボケの量を犠牲にしてでもF5.6まで絞ると安定した結果を期待できる。

75mm

中央付近はとても良好な描写で、隅に向かって口径食と色収差の影響が強くなる。口径食の影響は強いが、接写時は全体的にボケが大きく気にならない。滑らかさはシグマに劣るが、軸上色収差が少なく、非常に使いやすいボケだと思う。

撮影距離が長くなっても全体的にボケは綺麗で使いやすい。ただし、口径食が強くなるので、周辺部は場合によって騒がしい可能性あり。そのような場合はF4?F5.6に絞って対応したいところ。

焦点距離ごとの絞り開放

ズーム両端で口径食の影響が強くなるものの、ボケ質は全体的に良好で使いやすい。被写界深度に問題が無ければ、50mm付近が絞り開放から口径食少なめでGood。

撮影距離ごとの作例

全高170cmの三脚でポートレートに見立て、28mmと75mmで撮影したのが以下の作例。

28mm

F2.8の明るいズームレンズと言えども、「28mm F2.8」で全身をフレームに入れつつ後ボケを両立するのは難しい。せめて膝上、上半身くらいまで近寄らないと後ボケを得るのは難しい。顔のアップで十分なボケを得られるように見える。

75mm

全身ポートレートでもなんとか背景をぼかすことは可能。ただし、被写体を浮かび上がらせるほどでは無いように見える。上半身で十分なボケ量を得ることができ、バストアップ・顔のクローズアップでさらに良好なボケ量を得ることが可能。

今回のまとめ

前モデルのような見苦しい玉ねぎボケは一切なく、前後のボケに顕著な差は見られず、色収差による色づきも少ない。ボケを表現するうえでとても扱いやすいレンズ。シグマほどではないものの、全体的に綺麗で滑らかなボケに見える。

広角端・望遠端で口径食の影響が強く、場合によって隅の描写が少し騒がしく見えるかもしれない。それでも、色収差は良く抑えられており、悪目立ちは最小限に抑えられている。このズームレンズでボケについて弱点と感じる部分は特にない。

シグマの2本は望遠側で軸上色収差が目立つので、シチュエーションによってはタムロンよりも騒がしく見える場合がある。比較してタムロンは様々な状況で安定感のある描写が強みとなるはず。多少の個性が欲しければシグマを、仕事などで安定した結果が必要であればタムロンのほうがおススメしやすい。

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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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