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キヤノン EOS R10 徹底レビュー 完全版

このページではキヤノン「EOS R10」のレビューを掲載しています。

EOS R10のレビュー一覧

管理人の評価

ポイント 評価 コメント
価格 適切な価格
サイズ Rシリーズとしては小型
重量 Rシリーズとしては軽量
グリップ この価格帯では非常に良好
操作性 この価格帯では非常に良好
応答性 文句なし
AF性能 優れたAFシステム
画質 必要十分
カスタマイズ 従来機比で大きく改善
メニュー 従来機比で大きく改善
レンズ 早期の拡充が必要
ファインダー 必要十分
モニター タッチ操作は快適
バッテリー 悪くはない・USB充電/給電に対応
満足度 使い勝手の良い小型軽量EOS R

評価:

価格不相応な高性能AF

センサー画質は平凡だが、この価格帯としては非常に珍しい「像面位相差AF × 被写体検出」の組み合わせを搭載したカメラ。被写体に素早くピントを合わせることができ、位相差検出の精度も高い。さらに連続撮影性能も悪くなく、SD UHS-IIカードを利用することでテンポの良い撮影が期待できる。操作性もこの価格帯のEOSとしては非常に充実しており、初心者から愛好家まで幅広い層に受け入れられるカメラに仕上がっている。ただし、レンズラインアップが確実に不足しているので、早期の拡充が必須。

被写体の適正

被写体 適正 備考
人物 ぼかせるレンズがない
子供・動物 高性能AFと高速連写が役に立つ
風景 画質・手振れ補正・防塵防滴の点から優先順序は低い
星景・夜景 高ISO感度が良好とはいえない・レンズがない
旅行 携帯性が非常に良好
マクロ マクロレンズがない・EFレンズもディスコン済
建築物 広角レンズがない

まえがき

カメラのおさらい

カメラの特徴

  • 商品ページ/仕様表
  • データベース
  • 管理人のFlickrアルバム
  • 発売日:2022年7月28日
  • 売り出し価格:115,632円
  • イメージセンサー:
    ー有効画素数:2420万画素
    ーローパスフィルタ:あり
    ー裏面照射型:-
    ー手ぶれ補正:-
  • プロセッサ:DIGIC X
  • AF:
    ーAF方式:DP CMOS AF II
    ー測距点:最大651分割 最大4503ジション
    ーカバーエリア:100%×100%
    ー検出機能:人物・動物・車両
  • ドライブ
    ・30-1/4000秒:メカニカル
    ・30-1/16000秒:電子
    ・15コマ/秒 連続撮影:メカニカル
    ・23コマ/秒 連続撮影:電子
    ・連続撮影枚数:RAW 29枚
  • 動画:
    ー4K:~60p?IPB
    ーFull HD:~120p
  • ファインダー:0.39型 OLED 236万 60/120fps
  • モニター:3.0型 104万 バリアングル式
  • 通信機能:
    ・Wi-Fi:802.11b/g/n
    ・Bluetooth:Ver.4.2 LE
    ・USB-C?2.0
    ・マルチインターフェースシュー
    ・HDMI D
  • 対応メディア:SDXC UHS-II
  • バッテリー:LP-E17
  • サイズ:122.5×87.8×83.4mm
  • 重量:429g
  • 防塵防滴:非対応

キヤノンAPS-C EOS Rシリーズ初となるカメラだ。同時に登場した「EOS R7」よりも低価格で小型軽量なカメラに仕上がっている。比較してイメージセンサーが低解像でボディ内手ぶれ補正に対応しておらず、防塵防滴やドライブ性能、諸機能などで差別化されている。そのぶん低価格となっているが、オートフォーカスの基本的なシステムはEOS R3やEOS R7と同じだ。この価格帯のEOSカメラとしては異例と言えるほど高性能なAF性能となっている。特筆すべきは被写体検出に対応していること。10万円前後で購入できるミラーレスで被写体検出に対応しているカメラは非常に少なく、特にフルサイズ・APS-Cなど大きなセンサーを搭載したモデルとしては最安だ。

小型軽量・手ごろな価格のAPS-Cミラーレスだが、操作性に妥協は見られない。前後のメインダイヤル・サブダイヤルを搭載し、親指で操作できるジョイスティックを搭載。目新しいAF/MFスイッチを含めて初心者から愛好家まで十分に満足のいくコントロールレイアウトとなっている。

価格をチェック

売り出し価格の最安値はカメラ専門店で「115,632円」だ。EOS Kiss M2や競合他社のエントリーモデルと比べると少し高価だが、「α6400」「X-S10」「Z 50」など同クラスの他社製カメラと同程度の価格設定である。比較して防塵防滴や手ぶれ補正など欠けている部分もあるが、ジョイスティックを含めて扱いやすいコントロールや優れたAF性能などは強みと言えるだろう。

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カメラレビュー

外観・箱

箱・付属品

光沢のある黒を基調としたデザインのEOS Rシリーズらしい箱だ。これと言って特筆すべき項目も無いので早速開封する。

最近のキヤノンらしく、間仕切りはプラスチック製だ。ストラップやバッテリー、充電器などのサイズに合わせた形状となっている。衝撃吸収の効果があるのかよく分からないが、レンズやカメラ本体はさらに緩衝材に包まれている。

付属品

カメラ本体の他にバッテリー・充電器・ストラップ・レンズ・説明書・保証書が付属する。最近はボディ内でUSB充電に対応しているカメラが多く、外部充電器を省略する傾向があるものの、キヤノンは充電器の付属をやめていない。確かに、キヤノンのUSB充電は対応機器が限られているので(USB-PD)、外部充電器の必要性は高いと思われる。

外観

デザイン

全体的にキヤノンEOS Rシリーズらしいカメラだが、(Rシリーズで)初めて内蔵ストロボを搭載した機種と言うこともあってファインダー部が少し膨らんでいるようにも見える。さらにホットシューはEOS R3と同じくデジタル接続に対応しているため、EOS R5やR6よりもパーツが大きくなっている。

RFマウントのカメラとしては最小・最軽量のカメラであり、ボディに対してレンズマウントがかなり大きく見える。この辺りはAPS-C専用システムであるEOS Mシリーズのほうがバランスが良好だ。

カメラ底面には三脚ネジ穴やシリアルの記載がある。バッテリーグリップには対応しておらず、当然ながら追加の電子接点もない。

質感

全体的に外装はプラスチック製だと思われるが、安っぽさは全くない。例えばEOS Mシリーズはグリップした際に軋みを伴う少しプラスチッキーな印象があったのだが、EOS R10はグリップしても軋みやガタツキが全くなく、しっかりとした作りと感じる。

インターフェース

左側面にはマイク入力・リモートレリーズ・USB-C・HDMI Dに対応したポートを搭載している。多用すると思われるリモートレリーズとマイク入力がバリアングルモニタと干渉し辛くなっているが、完全に物理干渉しないわけでは無いので注意したい。

バッテリー

EOS R7やR5・R6で使用している最新の大容量バッテリー「LP-E6NH」ではなく、EOS RPやEOS Mシリーズで使用している「LP-E17」を使用する。大容量ではないが、LP-E6NHよりも遥かに安いので予備バッテリーを用意しやすい。さらに一部のUSB-PD対応製品を電源としてUSB充電・給電にも対応している。電源について特に心配する必要は無い。

ハンズオン

サイズ

サイズは122.5×87.8×83.4mm。前述したがEOS Rシリーズでは最小クラスのカメラである。Rシリーズでは最小だが、APS-Cミラーレスとして特にコンパクトと言うわけでは無い。例えば、EOS Kiss M2と同程度の横幅・全高だが、グリップやカメラの厚みの点でKiss M2よりR10のほうが大きい。ボディ内手ぶれ補正を搭載した富士フイルム「X-S10」よりも大きいくらいだ。

決して超コンパクトなカメラではないが、操作性やグリップを考慮するとバランスの良いサイズに仕上がっていると思う。(後述)

重量

カメラの重量はバッテリーなどを含めて429gだ。ミラーレスのEOS Kiss M2(387g)よりも重く、一眼レフのEOS Kiss X9(453g)よりも少し軽い。驚くほど軽いカメラではないが、やはり操作性やグリップなども考慮するとバランスは良いと感じる、

カメラグリップ

この価格帯のAPS-Cミラーレスとしては本格的なグリップだ。全高が低いので小指は余ってしまうが、中指と薬指でしっかりとグリップを握ることが出来る。中指で握る部分は少し窪んでいるので、指がかかりやすく、滑りにくい構造となっている。

サムレスト(親指を置く部分)は小型ボディとしては幅広く、余裕をもってカメラを握ることが出来る。普通にグリップした状態で前面のAF/MFスイッチやプレビューボタンを薬指で操作可能だ。AF/MFスイッチを操作する場合は左手でカメラを支えたほうが安定する。背面のジョイスティックやAF-ONボタンは片手でカメラを保持している状態でも操作可能である。(方向ボタンあたりは難しい)

コントロールレイアウト

正面

正面には目新しいAF/MFスイッチと軸上にあるプレビューボタン(カスタマイズ可能)がある。プレビューボタンはキヤノンでお馴染みのボタンだが、AF/MFスイッチはキヤノンでは珍しいデザインだ。カメラをグリップした状態でスイッチの方向(どちらがAFでMFなのか)を確認することは出来ないが、使っているうちに体が覚えると思う。

プレビューボタンはカメラをグリップした状態で自然に押せる配置となっており、さらに登録できる機能の幅が広い。使用頻度が高い機能をカスタマイズで登録しておくと便利と感じるはずだ。AF/MFスイッチは前述したとおり、使用時にスイッチの位置を目視で確認することは出来ない。しかし、スイッチのポジションは「AF」か「MF」なので、迷っても判断は一瞬で済む。

背面

背面のボタンレイアウトは極めてキヤノン的なデザインだ。サムレストの右側にAEL(*)とAFフレーム選択ボタンがあり、方向ボタンは初期設定でISO・フラッシュ・ゴミ箱・ドライブモードに対応している。多少の違いはあるものの、ボタン配置はすぐに慣れる。背面のボタンは「再生」「INFO」「MENU」ボタン以外はカスタマイズ可能となっているので、好みの操作性に作り替えることも可能だ。

EOS R10はファインダー右横にジョイスティック(マルチコントローラー)を搭載。このクラスのEOSカメラにジョイスティックを搭載するのは珍しい。競合他社のAPS-Cミラーレスでジョイスティックを搭載しているモデルは少なく、富士フイルムXシリーズのような極小サイズで使い辛いデザインでもない(それに方向ボタンも省略されていない)。ジョイスティックの使い勝手は上位機種と全く変わらないが、(問題ない程度で)若干クリッキーな印象を受ける。ちなみに、EOS R3と同じく、ジョイスティック押し込み時の機能をカスタマイズ可能となっている。

ジョイスティックの隣には押しやすい形状のAF-ONボタンを搭載。ボタンカスタマイズの自由度も高い。ただし、EOS R7のような「撮影設定」「AF設定」の一時呼び出し機能には対応していない。

方向ボタンは初期設定で呼び出す機能がプリントされているが、前述したようにSETボタンを含めて自由にカスタマイズが可能だ。プレビューボタンやAF-ONボタンよりも割り当て可能な機能は少ないが、十分な選択肢が用意されている。

左手で操作が必要な唯一のボタンが「MENU」だ。メニュー画面を呼び出す際に押すほか、操作のキャンセルや前のページに戻る際にも使用する。多用するボタンだけに、左手を使わざるを得ないのが残念だ。出来ればEOS Kiss Mのように右手で操作できる配置が良かった。ボタンカスタマイズで「MENU」を他のボタンに割り当てることも可能だが、「ソニーのような)操作キャンセルや前ページに戻る際に使うことは出来ない。あくまでもメニューの呼び出し機能のみだ。

上面

カメラ上部にはシャッターボタンの他にM-FnボタンやRECボタン、LOCKボタンを搭載。さらにメイン・サブ電子ダイヤルとモードダイヤル、そして電源スイッチを搭載している。カスタマイズ可能なボタンはM-FnとRECのみで、LOCKボタンはカスタマイズ非対応となっている。

出来ればLOCKボタンもカスタマイズに対応していると良かったが、LOCKボタンはカメラをグリップした状態だと非常に押し辛い配置となっている。個人的にはカスタマイズ不可でも特に困らない。その他のボタン・ダイヤルはどれも操作しやすく、不満はない。

電源スイッチはEOS Rシリーズでは珍しい右上部に搭載(普通は左上部)。EOS R7のように動画モードへの切替には対応しておらず、モードダイヤルで切り替える必要がある。動画撮影時の露出モードを切り替える際に不便と感じるかもしれないが、そもそも論としてEOS R10の動画モードは「P」か「M」しかない(それとHDRモード)。

同時に登場したEOS R7はサブダイヤルとジョイスティックを統合した斬新なデザインだったが、EOS R10は一般的なジョイスティックとサブダイヤルだ。個人的にはEOS R10のほうが馴染みがあって使いやすく感じる。

ファインダー

解像度・発色

236万ドットの0.39型OLEDパネルを使用。このクラスとしては一般的なファインダー用のパネルであり、過不足は無い。OLEDパネルらしく発色は良好だが、液晶ファインダーや光学ファインダーに慣れていると少しきつく感じるかもしれない。

光学系

約0.95倍でアイポイント22mmの光学系を採用。EOS R7と比べてファインダー倍率が低く、競合他社のカメラ(Z 50やX-S10)と比べて見劣りするポイントだ。ただし、眼鏡を装着した状態で周囲をけられ難いのは低いファインダー倍率の利点と言える。

モニター

解像度・発色

3.0型104万ドットのカラー液晶モニタを搭載。基本的に従来通りで、競合他社と比べても同スペックだ。基本的に強みとなるスペックではないが、ボタンカスタマイズやクイックメニューなどでモニターの輝度を調整する機能が揃っている。そういう意味では視認性が良いモニターと言える。

可動方式

左側方へ展開する、いわゆるバリアングル構造を採用している。一般的な上下チルト方式と比べて自由度が高く、動画撮影や自撮り、縦フレーム時のローアングルやハイアングルに対応している点で優れている。その一方で、左側面のケーブル類と干渉したり、素早く上下に画面を傾けることが出来ない点でチルトに見劣りする。

タッチパネル

キヤノンらしい応答性の良いタッチ操作に対応している。タッチAFやタッチシャッターをはじめ、メニューの操作やライビュー時の設定操作にも対応している。

起動速度の確認

DIGIC Xプロセッサの処理が早いのか起動時間は非常に高速だ。起動してすぐにAF・レリーズが可能となっている。特に起動時間が長めのソニー(BIONZ X世代)と比べると起動時間が高速で、スナップ撮影に適している。

シャッター音の確認

EOS Mシリーズと異なり、前後メカニカルシャッターを搭載(MシリーズはM6 IIを除いて先幕が電子シャッターのみ)。シャッター音の音量を数値的に測定するテストは未実施ながら、(個人的な見解として)シャッター音は大きめ。そして安っぽく、富士フイルムのようなキレ味のあるシャッター音ではない。シャッター音に関してこだわりがある方では無いが、音に関しては少し大きすぎる気がする。少なくともフルサイズのEOS R5のほうが遥かに控えめで上品なシャッター音だ。もしも静音性を求められる環境ならば、迷わず電子シャッターにすることをおススメする。

キットレンズ

EOS R10のキットレンズとなる標準ズーム「RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM」だ。EOS Mシリーズにも似たような沈胴構造のズームレンズ「EF-M15-45mm F3.5-6,3 IS STM」があるが、このレンズは広角端が18mmと狭く、F値が高く、サイズと重量は同程度だ。かなり割り切った仕様のレンズである。他社のカメラで18mmならともかく、少し小さなセンサーサイズのキヤノンAPS-Cで18mm始まりは風景や近距離の被写体を撮る際に狭く感じる。なぜEF-Mのように15mm始まりに出来なかったのか謎。

18mm始まりは残念だが、間違いなく小型軽量な標準ズームレンズだ。携帯性・収納性がとても良好で、小さなカメラバッグなどに簡単に収めることが出来る。

外装は全体的にプラスチックパーツを使用している。レンズマウントもプラスチック製だ。単品で購入する場合は4万円近く、正直にいうと価格に質感が伴っていない。ただし、EOS R10のキットレンズとして購入する場合は1.5万円程度で入手可能だ。この場合は許容範囲内だ。どちらにせよフードは付属していないので、必要であれば別途用意しなければならない。

対応するレンズフード「EW-53」は供給が安定していない時があるので、すぐに必要であれば社外製の互換フードがいくつか存在する。安定して供給しているのはJJC製の互換フードで、私も一つ所有している。外装の光沢が少し気になるものの、フードの形状はほぼ同じだ。

コンパクトサイズだが、沈胴構造のため使用時はレンズを伸ばす必要がある。この際の全長は格納時の約2倍となる。収納性は魅力的だが、使用時に伸ばす手間を考えると沈胴構造も考え物だ。個人的に沈胴構造を採用するのであれば、(電源投入で自動的に内筒が伸びる)パワーズームまで実装して欲しい。

ISO感度ノイズ

チャートテスト

レンズの解像性能テストで使用するチャートをF5.6固定でISO感度を変えつつ撮影した結果が上の通りだ。レンズは全て一眼レフ用「70mm F2.8 DG HSM(EF mount)」を使用している。ベースISOの結果は同じような解像性能のセンサーと同等で、3250万画素のEOS R7と比べると解像性能に少し差がある。性能差はISO 1600まで続くが、ISO 3200になるとEOS R7のノイズが強くなり立場が逆転する。ただし、EOS R10もISO 6400となったところでノイズが強く数値が急速に低下する。同じAPS-CセンサーのX-S10は比較的良好な結果が得られているが、これはRAW現像の段階でカラーノイズが抑えられているためと思われる。(キヤノンのRAWはカラーノイズが処理されていない)カラーノイズ処理の有無を分けて現像した結果が以下の通りだ。

カラーノイズが出始めるのはISO 800で、ISO 1600~3200で強くなり、ISO 6400で顕著に強くなっていることが分かる。ISO 12800以降はノイズの影響でディテールを再現しにくくなっているので注意が必要だ。カラーノイズを適切に処理するとISO 6400は許容範囲内と感じるが、ISO 12800以降は好みが分かれるように見える。

モノクロ

ハイライトからシャドウまでカラーノイズの浮きが抑えられているのはISO 1600まで。ISO 3200で徐々にノイズでコントラストが低下しているように見え、ISO 12800で画質に顕著な影響が発生していることが分かる。ISO 25600以降は極力避けたい感度だ。

カラー

ベースISO感度から最高感度まで極端な色の変化は見られない。カラーノイズの処理次第ではISO 32000でも使えないことは無さそうだ。

競合カメラ

X-S10のみ照明環境が異なるので注意して欲しい(適正露出だが照明が明るい)。やや見づらくなっているので、ホワイトバランスなどの統一は今後の課題としたい。

ISO 3200

ISO 6400

ISO 12800

ISO 3200はZ fcとX-S10がやや有利で、EOS R10やR7、そして4/3センサーのOM-1でカラーノイズが目立ち始める。R10はR7と比べるとノイズが少し強めだ。ISO 6400まで感度を上げると、Z fcやX-S10もシャドウ側でノイズが浮き始める。最も悪化しているのはOM-1で、次にR10、R7と続く。面白いことにISO 12800まで感度を上げるとEOS R7が急速に悪化する。X-S10は特にハイライト側でノイズが良く抑えらているが、撮影環境の違いである可能性は否定できない。全体的に見て、EOS R10はR7よりも低画素だが、高ISO感度ノイズで有利とは言えないように見える。

ダイナミックレンジ

撮影環境

  • 照明:以前から一貫して使用しているLED照明
  • 露出:ISO 100 F8 1/5秒を適正露出として±5EV
  • RAW:C-RAW/RAWをそれぞれ電子先幕と電子シャッターで出力
  • 現像:
    ・Adobe Lightroom Classic CC
    ・露出アンダー/オーバーを適正露出に復元して現像
    ・ノイズリダクションは全てオフ
    ・シャープネスオフ
    ・その他は初期設定
  • 合成:現像したJPEGをPhotoshop CCにて合成

メカニカルシャッター

RAW

このカメラで最もダイナミックレンジが広くなる設定が「メカニカルシャッター+RAW」だ。僅差ではあるが、シャドウの最も深い部分を復元しようとするとノイズが最も抑えらた結果を得ることができる。正直に言うと、他のRAW・C-RAWと見比べて顕著な差では無いので、あえてファイルサイズが大きく、連写が遅くなるメカニカルシャッターを無理して使う必要は無い。ちなみにハイライトは他のRAW・C-RAWと全く同じだ。

競合カメラと見比べてみると、(カメラの適正露出で揃えた状態で)富士フイルムX-S10などX-Trans CMOCS 4と比べてシャドウのノイズが良く抑えられているが、ハイライトが白飛びしやすい。ニコンの2000万画素センサーと比べると同程度だ。

シャドウを強めに復元しても発色に大きな傾きは見られない。ハイライトは+4EVから明るい部分で白飛びや色の情報がおかしくなり、+5EVは影響が強く出ていることが分かる。白飛び耐性はニコン2000万画素センサーよりも良好だが、富士フイルムX-Trans CMOS 4ほどではない。

C-RAW

基本的にハイライトはRAWと同程度だが、シャドウに強めの復元を加えるとノイズが僅かに増加する。個人的には気にならない程度で、ファイルサイズを大幅に圧縮できるC-RAWを積極的に活用していきたい。

前述したようにハイライトのダイナミックレンジに大きな変化は見られない。シャッターやRAWの種類に関わらず一貫しているので、ハイライトを意識してシャッター方式や連続撮影設定に合わせた露出調整は必要無い。

電子シャッター

RAW

電子シャッター時はシャドウ側のダイナミックレンジが狭くなる。メカニカルシャッターのC-RAWよりもシャドウ復元時のノイズが強く、-4EV時の復元でもシャドウのカラーノイズが少し目立つようになるので注意が必要だ。驚くようなパフォーマンス低下ではないが、風景撮影などでダイナミックレンジをフルに活用したいと考えているのであれば、電子先幕シャッターを使用した方が良いだろう。

シャドウのノイズはメカシャッターよりも強くなるが、ハイライトに変化は見られない。

C-RAW

メカニカルシャッターと電子シャッターの差は顕著だが、電子シャッター時のRAW/C-RAWに大きな変化は見られない。電子シャッターを使うのであれば、常時C-RAWで問題ないだろう。

モノクロテスト一覧

カラーテスト一覧

オートフォーカス

フォーカスモード

フォーカスモードは他社で言うところの「AF-S(ワンショットAF)」と「AF-C(サーボAF)」の二つだ。一眼レフカメラのようにAF-CとAF-Sを自動的に切り替える「AIフォーカス」モードは存在しない。二つのモードを切り替えるためにはメニューのAFカテゴリから設定を変更する必要があるが、クイックメニューやボタンカスタマイズを利用することで素早く切り替えることが可能だ。

フォーカスエリア

EOS R5・R6までのカメラとは少しことなるので詳しく解説しておきたい。EOS R10のAFは基本的にEOS R3を継承しており、R5やR6よりも新しい世代のシステムとなっている。

エリア種類
  • スポット1点
  • 1点
  • 領域拡大5点
  • 領域拡大9点
  • 全域
  • フレキシブルゾーン1?3

基本的には従来通りのシステムだが、ゾーンAFがカバーエリアを自由にカスタマイズできる「フレキシブルゾーンAF」に変化した。オートエリアに近いカバーエリアにしてもよし、横一文字・縦一文字の特殊なフォーカスエリアにカスタマイズすることもできる。

フレキシブルゾーンAFは「AFフレーム選択」モードで再度「AFフレーム選択」ボタンを押すことでカスタマイズモードへ移行することが出来る。通常のメニューシステムにはフレキシブルゾーンAFをカスタマイズする項目が見当たらないので注意が必要だ。

AFエリアの変更方法

AFエリアの変更方法は6種類。

  • コントロールリング
  • サブ電子ダイヤル
  • AFエリアダイレクト選択
  • AFフレーム選択
    →M-Fnボタン
  • ダイヤルファンクション
  • クイックメニュー

「コントロールリング」「サブ電子ダイヤル」「ダイレクト選択」は機能を割り当てて操作することでシームレスにAFエリア変更を実施することができる。AFエリアダイレクト選択はボタンを押すごとに次ぎのAFエリアに切り替わる仕組みで、コントロールリング・サブダイヤルと異なり、切り替わる順番(方向)が決まっているので少し使い辛い。最も操作しやすいのはダイヤルだが、EOS R5やR6のような「第3のダイヤル(ホイール)」が無いので、Fvモードで利用できなくなるのが難点だ。

AFフレーム選択は「モード呼び出し→選択→決定」の3アクションが必要となるので素早く操作することが出来ない。ただし、フレキシブルゾーンAFをカスタマイズしたり、トラッキングのオンオフを変更できるのはこのモードのみだ。ちなみに、EOS R3のような「登録AFフレームに切り換え」機能は無い。ダイアルファンクションからAFフレーム選択を操作してもトラッキングの切替は出来ない。

追記

クイックメニューのAFエリア選択でもINFOボタンでトラッキングのオンオフ切替が可能であることを確認

移動方法

AFエリアの移動は「ジョイスティック」「方向ボタン」「前後ダイヤル」「タッチパネル」の4系統があり、それぞれ以下のようなモードでAFエリアの移動が可能となっている。

  • ジョイスティック(マルチコントローラー)
    ・AFフレームダイレクト選択
    ・AFフレーム選択
  • 方向ボタン
    ・AFフレームダイレクト選択
    ・AFフレーム選択
  • 前後ダイヤル
    ・AFフレーム選択
  • タッチパネル
    ・タッチAF
    ・ドラッグAF

AFフレームダイレクト選択はフレーム選択モードへ移行することなく、通常のライブビュー画面でAFフレームを移動できる機能だ。EOS R10のジョイスティックは初期設定でこの機能がオンとなり、方向ボタンもこの機能を割り当てることが出来る。

ただし、方向ボタンは通常のボタンカスタマイズにも対応しているので、フレーム選択はジョイスティックに任せ、方向ボタンは別の機能を割り当てることで柔軟性が高まる。

AFフレーム移動時の速度は「AFフレーム選択の敏感度」で調整可能だ。と言っても前後に1目盛り調整できるだけであり、設定値の細かい変更は出来ない。

ジョイスティックを搭載するEOS R10はタッチ&ドラッグAFが初期設定でオフとなっている。この機能を使うことで、ファインダー使用時にタッチパネルを操作することでAFフレームを移動することが出来る。機能は従来通り、位置指定方法とタッチ領域を変更することが可能。ジョイスティックを搭載しているEOS R10で活用する人は少ないと思うが、ジョイスティックの無い従来機から移行した場合には一つの選択肢になると思う。

縦位置・横位置

カメラを水平・垂直に構えることで、AFエリアやフレームの自動切換えに対応している。この価格帯のキヤノンカメラに実装されるのは珍しい。プリセット位置を決めるモードは無く、実際に水平・垂直に傾けてモードを切り替えた際にエリアやフレームを変更する。斜めにカメラを構えた際に誤反応することもあるので個人的には使い辛い機能だ。

トラッキング・被写体検出

トラッキングの切替

従来機(EOS R3よりも前のカメラ)で追尾AFを利用するためには「顔優先・追尾AF」を使用必要があった。しかし、R3以降はシステムが変わり、どのAFフレームでも「トラッキング」が利用できるようになっている。被写体追尾(トラッキング)は従来で言うところの「顔優先・追尾」モードに近い。被写体検出を使わずに初動で指定した物体を認識してフレーム全域でトラッキングを開始する。トラッキングの有無を設定する手段は以下の通りだ。

  • メニュー
  • AFフレーム選択
    →M-Fnボタン
    →infoボタン
  • クイックメニュー
  • カスタムボタン
    (ただしトグル機能ではない)
  • ジョイスティック(マルチコントローラー)中央押し込み
    (ただしトグル機能ではない)

最も素早く操作できるのはボタンカスタマイズで「トラッキングの開始/停止」を使用することだ。割り当てボタンを押すことで設定に関わらずトラッキングを開始することが出来る。ただし、メニュー画面や再起動などでトラッキングはオフとなるので、必要であれば再度ボタンを押す必要がある。

トラッキングの開始/停止を使用する頻度が高いのであれば、いっそのことジョイスティック中央押し込みボタンに割り当てるのも一つの手だ。このボタンのカスタマイズは分かりづらくなっているが、ボタンカスタマイズ「マルチコントローラー」項目にてINFOボタンを押すことで機能を変更することが出来る。

次に簡単な操作方法はメニュー項目をお気に入りに登録しておくこと。AFフレーム選択からAFエリア選択を経由してトラッキングの有無を切り替えることが出来るが少々手間がかかりやすい。

ジョイスティックや方向ボタンを「AFエリアダイレクト選択」で使用している場合は対応していないが、「AFフレーム選択」をボタンカスタマイズに割り当てておくことで、「M-Fn」ボタンでAFエリア選択から「INFO」ボタンでトラッキングのオンオフを切り替えることが可能だ。

クイック設定のAFエリアでINFOボタンを押すことでもトラッキングの切替が可能だ。さらに、もう一つの方法として「瞳AF」の利用を挙げることができるが、それはAF実用編で解説する。

被写体検出の切替

EOS R5・R6から実装が始まった被写体認識機能にR7も対応している。対象は「人物」を基本として、「動物」「車両」を優先して検出することも可能だ。

検出する被写体を変更するには以下の方法がある。

  • クイックメニュー
  • メニュー

トラッキングと異なり「AFフレーム選択」や「ボタンカスタマイズ」でオンオフを切り替えることが出来ない。その代わりに、クイックメニューのカスタマイズで専用の項目を追加することが可能だ。

瞳検出

被写体検出とは別に瞳検出のオンオフを設定することが出来る。「顔検出」の設定項目は無い。あくまでも被写体検出に付随する設定項目であり、被写体検出をオフにした状態で「瞳検出」のみ動作することは無い。特に問題を感じなければ「瞳検出:する」で固定しておけばいいだろう。ただし、動物検出の場合は稀に瞳を誤検出することがあるので気を付けたい。

サーボAF特性

他のEOS Rシリーズと同じくサーボAF特性のカスタマイズとプリセットに対応している。比較的手ごろな価格帯のカメラでサーボAF特性のカスタマイズを利用可能となっているのは異例と言えるだろう。今後登場するエントリーモデルなどでも同様に実装するのか気になるところだ。

オートフォーカス 実用編

応答性

DIGIC Xプロセッサ搭載のフルサイズミラーレスと同じく、非常に応答性の高いAFだ。至近距離から無限遠までほとんど迷いが無く、電光石火のAFスピードで動作する。マクロや望遠レンズの大デフォーカス時はフォーカス速度の低下が見られるものの、それでもピントが前後に行き来するような迷いは見られなかった。サーボAFを使った至近距離での追従性も良好で、特に広角側であれば素早く動く被写体でも大きな問題を感じない。繰り返しとなるが、10万円前後のミラーレスカメラでこのように高性能のAFシステムが実装されたのは非常に魅力的と感じる。

被写体検出 人物

被写体検出「人物」は従来通り頭部と顔、瞳をそれぞれ認識。さらにR5/R6世代では認識しなかった「胴体」で検出可能となっている。顔が正面にある場合、瞳を優先的に検出し、手前側の瞳にピントを合わせる仕組みとなっている。二つの目が検出されているのなら、方向ボタンで左右の目どちらにピント合わせるか指定することが可能だ。動画から分かるように、追従開始後はAFフレームが全域となり、(ソニーやニコンのような)追従フレームの限定は出来ない。

帽子装着時の瞳検出も非常に良好だ。EOS R5の初期ファームウェアよりも良好で、良く改善されているのが分かる。(EOS R5も最新ファームウェアの場合は似たような検出結果が得られる)

被写体検出 動物

動物の検出性能も引き続き良好だ。実写でもフレーム上の小さな被写体をしっかりと認識して追従を開始することができる。

従来通り鳥を自動的に検出して、瞳まで認識する。たまに検出が外れることがあるものの、一瞬だけで直ぐに検出・追従を再開する。一般的な鳥類をカジュアルに撮影するぶんには全く問題が無いように感じる。連続撮影中はライブビューのフレームレートが低下するものの、高速連写で目立ちにくく、バッファが詰まった後は通常のライブビューに戻るので気にならなかった。

トカゲの目も検出するが、目の位置を誤検出しやすく動作は不安定だ。

従来通り水槽越しの魚類も簡単にピントを合わせることができる。ただし、水泡が多いとピントが引っ張られる場合あり。

親指AF

親指AFとは一眼レフのころから存在するボタンカスタマイズの方法の一つだ。通常はシャッター半押しでAFが動作するが、これを無効にして別のボタンにAF開始を割り当てることを意味している。これにより、親指でAFを操作し、人差し指はダイヤル操作やレリーズに集中することが出来る。

ボタンカスタマイズで「シャッターボタン半押し」から「AF開始」を外す。これで他のボタンにAF開始を割り当てる下地が出来上がる。

割り当てることが出来るボタンは限定的だが、絞り込みボタンやAF-ONボタンに「AF開始」を登録することが可能だ。これによりシャッター半押しと同じ効果を得ることができる。AFが必要なければボタンを押さなければよいので、サーボAFをワンショットAFのようにも使うことができる。(フルタイムMFの設定無しで)シャッター半押し中にMF操作も可能だ。

瞳AF

ボタンカスタマイズで割り当てることができる機能の一つだ。瞳検出のオンオフを切り替える「瞳検出」とは異なり、ボタンを押すだけで検出機能を動作し、AFを利用できる。使い勝手はソニーの「瞳AF」に近いが、あくまでもトラッキングAFの動作であり、カメラの設定が「動物優先の被写体検出」となっている場合は動物を優先して検出してしまうので注意が必要だ。つまるところ「AF+トラッキング」機能なので、前述したトラッキングオンオフの不便さを解消する一つの選択肢となる。

マニュアルフォーカス

回転方向・応答性

最近は他社も対応するメーカーが増えてきたが、EOS Rシステムは初期の頃からフォーカスリングのレスポンスを変更可能だ。使い方に応じて回転速度・回転量でMF操作速度を調整することが出来る。ただし、リニアレスポンス(回転量)・ノンリニア(回転速度)どちらもストロークや感度を調整することは出来ないので、リニアレスポンスでもストロークが長すぎたり、短すぎる場合がある。

フォーカスリングは電子制御式のため、回転方向を切り替えることが可能だ。もちろん対応レンズのみだが、一眼レフ時代に社外製レンズなどで純正レンズの回転方向になじみが無ければ調整するのがおススメ。

フルタイムマニュアル

初期設定はワンショットAF後にシャッター半押しのままフォーカスリングを操作してもMFは不可能だ。ただし、電子式手動フォーカス設定でワンショット後のフォーカスを可能にすることで操作できるようになる。ソニーのDMFなどとよく似ているが、ニコンのようにワンショットAF前にMF操作することは出来ない。

「レンズの電子式手動フォーカス」と似ているが、こちらはワンショットAF前やサーボAF中でもMFへの移行が可能となる機能だ。ただし、この機能に対応しているレンズは限られており、2022年7月現在の対応レンズは以下の通り。

フォーカスガイド

CinemaEOSで導入され、2018年に登場したEOS Rでスチル向けのコンシューマー機にも採用した機能だ。他社のMFアシストは合焦時のみ点灯するので、被写体に対してピント位置が前後どちらにあるのか判断し辛かった。しかし、フォーカスガイドはある程度のデフォーカスならピント位置を判断できるアシスト機能である。

測距情報とレンズの距離情報を利用したデュアルピクセルフォーカスガイドを表示※。前ピン、後ピンがひと目で把握でき、スムーズで厳密なピント合わせが行えます。さらに、あらかじめ設定した位置へ瞬時にガイド表示を移動できるプリセット機能も備えました。

EOS C700 FF:デュアルピクセルフォーカスガイド

これが非常に便利。さらにMFでも瞳検出は有効となっているので、フレーム上で顔の位置が変化したとしても簡単にピント位置や合焦を確認することが出来る。

ピーキング

フォーカスガイドの他にも一般的なピーキングに対応している。レベルは2段階、色は3種類から選択可能だ。ボタンカスタマイズで呼び出すことができるほか、クイックメニューに登録することも出来る。

メニューシステム

動画で確認

まずはざっとメニュー一覧を動画を使ってみてみよう。

基本的にキヤノンではお馴染みのメニュー構成だ。前ダイヤルでタブの切替、後ダイヤルで上下カーソル移動が割り当てられているほか、ジョイスティック、マルチコントローラーを使った操作も可能である。APS-C一眼レフ「EOS 9000D」や「EOS 90D」と比べると項目が非常に多く、さらにAFが独立したカテゴリとなっている点は注目に値する。90Dのようなミドル機や下位モデルから乗り換えた場合は、その機能性に驚くことだろう。以下ではカテゴリごとにメニューシステムをチェックする。

撮影メニュー

撮影メニューは10ページ50項目だ。より高価な上位モデルとなるEOS R7とほぼ同じ構成だ。一昔前のメニューシステムと比べると随分と複雑になっている。1~6ページくらいまではお馴染みの項目となるが、7~10ページには目新しい機能が数多くある。従来のエントリー寄りモデルとしては驚くほど細かく設定することが出来る。R7との違いはボディ内手ぶれ補正を利用した「自動水平補正」の有無となる。

特徴的な機能として「RAWバーストモード」がある。このモード中は連続撮影中のRAWが一つの画像データに格納されるので管理が非常に簡単となる。撮影後は再生モードで結果を確認しながらRAWやHEIFなどを切り出すことが可能だ。注意点として、RAWバーストモードのファイルはひとまとまりの「.CR3」として出力されているので、そのままLightroomなどで読み取ることができない。カメラやDPPでRAWバーストモードから単一のRAWを出力する必要がある。少し面倒くさい。ちなみに、RAWバーストモード中はプリ撮影に対応している。プリ撮影をオンにすることで、シャッター全押し前の最大0.5秒から記録することが可能だ。決定的瞬間をとらえやすくなっている。

以前は「ソフトシャッター」や「静音撮影モード」だったシャッター方式が他社と同じ具体的なネーミングに変更されている。初期設定は「電子先幕」だが、このモードのまま大口径レンズで高速シャッター(1/2000秒くらいと言われている)を使用すると露出ムラが発生してしまうので気を付けたい。そのような場合はメカニカルシャッターや電子シャッターに切り替えよう。電子シャッターは「サイレントシャッター機能」でも切り替わるが、電子音や電源オフ時のシャッター閉幕機能などがオフとなってしまう。あくまでも電子シャッターを使いたいだけなら「シャッター方式」ぁら電子シャッターを選ぶのがおススメだ。

詳しくはカスタマイズ編で解説するが、EOS R10はクイック設定メニューをカスタマイズ可能だ。これはEOS R3から導入した機能であり、EOS R5やEOS R6では利用できない。従来までクイック設定メニューの項目は固定され使い辛かったが、他社のFnメニューのようにカスタマイズ可能となり、多用する機能を割り当てて使うことが出来る。

登録できる機能は11枠あり、計28の機能がある。ただし、「画質」機能のみ2枠使う必要があり。素早く設定変更できる機能が多いが、中には設定メニューへのショートカットでしかない項目もあるので要確認だ。被写体検出や背面モニターの輝度調整などこれまで使いそうで割り当てスペースが無かった機能を複数登録できるのは便利と感じる。

従来の「露出シミュレーション」が「表示シミュレーション」へと進化している。従来はライブビュー中に露出をシミュレーションするかどうかシンプルな機能だったが、EOS R10ではライブビュー中に絞りが設定値まで動作する、いわゆる「実絞り」動作に対応している。これまでは「絞りプレビュー」機能を使用して確認する必要があり、その際にMF操作が利用不可となるのが不便だったが、これで解決した。是非ともEOS R5やEOS R6にもファームウェアアップデートで導入して欲しいものである。

EOS R3で初登場した機能だ。ミラーレスのファインダーは露出や仕上がり設定をシミュレーションしながらライブビュー像を確認することが出来る。「OVFビューアシスト」は敢えてミラーレスの利便性を排除して、光学ファインダーのような見栄えを得ることが出来る機能だ。あくまでもOVFに似せたファインダー像であり、光学ファインダーを期待しているとがっかりするかもしれない。クイック設定メニューに登録することが出来ないので、活用したいのであればボタンカスタマイズでショートカットを配置するのがおススメだ。

AF

AFメニューは6ページ23項目だ。この価格帯のEOSでAFメニューを実装していること自体が珍しく、さらにEOS R7と比べて遜色のない機能性を備えている。非常に充実したメニューシステムだ。

AFエリアのシステムは基本的に従来通りだが、EOS R3と同じようにゾーンAFがカスタマイズに対応している。縦幅と横幅を自由に変更可能で、3枠まで利用することが出来る。使用しないAFエリアは表示から外すこともできるので、3枠あっても邪魔とは感じないはずだ。

 

 

フレキシブルゾーンで少し残念なのはカスタマイズへ移行できる手段が限られていることだ。フレキシブルゾーンAFは以下の手段でカスタマイズモードへ移行できる

  • AFフレーム選択ボタンを押す
    1:M-Fnボタンを押す
    2:カスタマイズするフレキシブルゾーンAFを選ぶ
    3:AFフレーム選択ボタンを押す
  • クイック設定メニュー
    1:クイック設定メニューにAFエリアを登録する
    2:QメニューからAFエリアを選ぶ
    3:フレキシブルゾーンのカスタマイズ

追尾AFはシステムが一新されているので注意が必要だ。以前のカメラはライブビューのトラッキング(追尾)AFはオートエリアのみの機能だったが、EOS R10ではすべてのAFエリアでトラッキングが可能となっている。トラッキングのオン・オフは専用の設定項目があり、ボタンカスタマイズでも割り当てることが出来る。

EOS R10はフルサイズ機と同じように被写体検出に対応。売り出し価格が10万円前後のカメラで被写体検出に対応しているのは非常に珍しい。様々な被写体に対応しているが、大別して「人物」「動物」「乗り物」の3種類に分けられている。詳しくは「AF編」で解説するが、カジュアルに撮影する際は非常に便利な機能である。

従来通り「被写体追従特性」「速度変化に対する追従性」をカスタマイズすることができ、被写体に合わせたプリセットが4種類用意されている。

AFフレーム選択の敏感度を調整することで、ジョイスティック操作時の移動速度を調節可能だ。個人的に初期設定がバランス良いと感じるが、気に入らなければ前後に調整することができる。と言っても細かい設定は出来ず、標準と比べて前後に1目盛り動かすことが出来るだけだ。

EOS Rより実装しているフォーカスガイドをEOS R10でも利用可能だ。詳しくはEOS Rで紹介した記事を参考にして欲しい。フォーカスガイド中も検出機能は有効であり、瞳を追いかけながらフォーカスガイドも利用できる。

初期設定で電子式フルタイムMFはオフとなっている。もしも一眼レフのような操作性のフルタイムマニュアルを使いたければオンにしておくといいだろう。

フルタイムMFの設定項目とは別に、ワンショットAFのMFに対応の有無を変更することができる。

一眼レフとは異なり、フォーカスリングの回転方向を切り替えることが可能だ。

RFレンズのMFリングはレスポンスを変更することができる。回転量に連動したほうが直感的な操作が可能となっているが、場合によってストロークが短いと感じるかもしれない。微調整が必要であれば回転速度に連動させたほうが良いだろう。

再生メニュー

再生メニューは従来通りだ。APS-C機、そしてこの価格帯のカメラとして珍しいのはHEIF→JPEG変換があること。

通信メニュー

通信メニューは1ページ7項目のみ。スマートフォンとの連携は非常に簡単で、複数のカメラとペアリングした状態でも動作は安定している。使い勝手は良好だが、ニコンSnapbridgeのようにBluetooth接続で自動的に縮小画像を転送できる機能があると良かった。

セットアップメニュー

セットアップメニューは5ページ31項目で構成されている。他の部分はEOS R7と非常に良く似ているものの、興味深いことにセットアップメニューの構成は大きく異なる。主な違いは「ファイル名の設定」「ヘッドフォン」「モニター/ファインダーの色調」「電源オフ時のシャッター状態」の機能が無いことだ。この辺りはEOS R7と物理的なハードウェアの違いによるところが大きい。

EOS R5までの節電機能に加えて「モニター低輝度表示」の時間を設定することが出来るようになった。設定時間は0秒から30秒まで5秒刻みで調整可能だ。

キヤノンとしては珍しくカメラ前面にAF/MFスイッチを搭載しているが、これを使わないと思ったらセットアップメニューから機能をオフにすることが出来る。出来ればオリンパスやパナソニックのような「Fnレバー」として使えるように変更出来ると良かった。

カスタマイズメニュー

カスタマイズメニューは5ページ22項目で構成されている。EOS R7との違いは4ページに「音声圧縮」機能があるかどうかだ。基本的には従来通りで、特筆すべき項目はない。カスタマイズに関する詳細は文字量は多くなるため、特集記事にて紹介したい。

マイメニュー

従来通りのマイメニューシステムを利用可能である。利用できる機能が増えているので、ボタンカスタマイズやクイックメニューで対応しきれない項目を積極的に登録しておきたい。登録したい設定項目を選ぶ際は大量のページから探す必要があるのは残念だ。できればオリンパス・OMデジタルのような操作性が好ましい。

カスタマイズ

文字数が多くなるので別ページに掲載。

連写・ドライブ

シャッター方式

EOS R10は前後メカニカルシャッターを搭載しており、状況に応じてメカニカルシャッター(前後メカ)と電子先幕(前が電子で後がメカ)を切り替えることが可能。また、前後メカニカルシャッターを使用しない「電子シャッター」も使用可能である。それぞれのシャッター方式に関する長所と短所は以下の通り。

  • メカニカルシャッター
    ・シャッターショックの影響がある
    ・高速シャッター時の露出ムラが発生し辛い
  • 電子先幕シャッター
    ・シャッターショックの影響を抑えられる(先幕が無反動の電子式)
    ・高速シャッター時の露出ムラが発生する
  • 電子シャッター
    ・シャッターショックが発生しない
    ・高速シャッター時の露出ムラが発生しない
    ・1/4000秒以上の高速シャッターに対応
    →Av/Fvモード 1/8000秒
    →Tv/Mモード? 1/16000秒
    ・15fps以上の高速連続撮影に対応
    ・ダイナミックレンジが僅かに狭くなる
    ダイナミックレンジ編を参照)

このため、大口径レンズ使用時やシャッタースピード、連続撮影速度に応じて使用するシャッター方式を切り替えるのが好ましい。ニコンや富士フイルムと異なり、キヤノンはシャッター方式を自動的に切り替える「オート」機能を搭載していないので、素早く切り替えるためにはマイメニューに登録しておくのがおススメだ。

連写速度

電子 電子先幕 メカ
高速連続撮影+ 23fps 15fps 15fps
高速連続撮影 15fps 7.7fps 6.3fps
低速連続撮影 3.0fps

メカニカルシャッターで最大15fps、電子シャッターで最大23fpsの連続撮影に対応している。電子シャッター使用時に20fpsを超える高速連続撮影は珍しくなくなってきたが、メカニカルシャッター使用時に最大15fpsを叩き出すカメラはこの価格帯に存在しない。非常にハイパフォーマンスなカメラだ。ただし、パフォーマンスを最大限活かすには条件が必要なので予め理解しておきたい。

バッファ・バッファクリア

連続撮影速度を活かすためにも重要なのが連続撮影枚数である。連続撮影が高速だとしても、撮影したデータを処理したり、SDカードに書き込むまで一時的に情報を保持できる容量が多く無ければ撮影速度を活かすことが出来ない。EOS R10の連続撮影枚数の仕様は以下の通りだ。

  • JPEGラージ:約123枚(約460枚)
  • HEIFラージ:約90枚(約190枚)
  • RAW:約21枚(約29枚)
  • RAW+JPEGラージ、RAW+HEIFラージ:約21枚(約23枚)
  • ()内はSD UHS-II使用時

公称値通りだとすると、RAW出力時の23fps連続撮影時はバッファが1秒とちょっとで埋まってしまう。R10と同時に登場した「EOS R7」がRAW 59枚に対応していることを考えるとバッファは半分に近い。ただし、SD UHS-IIに対応しているのでUHS-I対応スロットと比べて高速バッファクリアが可能だ。このため、Z fcやX-S10など、競合他社のSD UHS-Iのみ対応しているカメラよりも長時間の連続撮影で撮ることができる枚数は多くなると予想できる。実際に5秒・10秒・20秒の連続撮影をテストした結果が以下の通りだ。

RAW+JPEG(SD UHS-II SONY Tough 32GB)
5秒 10秒 15秒
メカ15コマ秒 41 68 97
電子23コマ秒 32 64 80

バッファを考えると良好な結果となった。高速連続撮影でバッファは5秒も持たずに詰まってしまうが、SD UHS-II対応カードを使用することにより高速バッファクリアで隙間時間はほとんど発生しない。

メカ15fpsより電子23fpsのほうがコマ数を稼げていない点に気がつく人もいるだろう。これは、バッファを使いきった直後に回復したぶんだけ撮影再開できるメカシャッターと、ある程度のまとまった枚数までバッファが回復しないと撮影が出来なくなる電子シャッターの違いである。理由は不明だが、電子シャッターでバッファを使いきると、ある一定までバッファが回復しないと次の撮影が不可となる。

C-RAW+JPEG(SD UHS-II SONY Tough 32GB)
5秒 10秒 15秒
メカ15コマ秒 59 101 144
電子23コマ秒 52 81 125

圧縮RAWであるC-RAWを使用することで撮影枚数を増やすことが可能だ。やはり高速電子シャッターよりも15fpsメカニカルシャッターのほうが撮影枚数が多くなっているのは面白い傾向だ。

23fps RAWのみ
5秒 10秒 15秒
RAW 64 104 156
C-RAW 91 153 199

どのような設定にしても、数秒以上の連続撮影ではSDカードの書き込み速度に依存する。このため、転送ファイルサイズは絶対的に小さいほうが有利だ。当然ながらJPEG出力のみ、RAW出力のみのほうが撮影枚数を稼ぐことが出来るのは言うまでもない。もしもRAW出力が必要で撮影枚数を稼ぎたいのであれば、JPEG出力をオフにすることをおススメする。

競合カメラとの比較

RAW+JPEG 5秒 10秒 20秒
R10 15fps 41 68 97
R7 15fps 49 62 86
X-S10 20fps 21 31 39
Z fc 11fps
(RAWのみ)
38 54 68
E-M1 III 20fps 71 96 121

同価格帯のカメラで比較すると、RAWのファイルサイズやSD UHS-II対応の有無で撮影枚数には大きな違いが発生している。マイクロフォーサーズは特にOM SYSTEMがじわりじわりとSD UHS-II対応機種を増やしているが、APS-Cミラーレスは富士フイルム・ソニー・ニコンともに出遅れている感あり。EOS R10の存在感は大きい。

オートISO

EOS R10はR7と同じく自由度の高いオートISO設定が可能だ。焦点距離に応じて(手ぶれを抑える)シャッタースピードの下限が変化する自動設定があり、±2EVで調整が可能となっている。

さらに手動設定で1秒から1段刻みで1/4000秒まで下限を固定することも可能である。被写体ブレを抑えたい場合は自動設定よりも手動設定の活用がおススメだ。

ローリングシャッター

CMOSセンサー全体を一度に露光出来るのが理想的だが、現在は発熱やノイズなど、様々な問題から実現に至っていない。現在はイメージセンサーの上ラインから下ラインまで段階的に読みだしていく「ローリングシャッター」方式が一般的だ。言葉で説明しても難しいので、下部の動画で分かりやすい。

動画のように、コンシューマー向けのデジタルカメラは大部分がローリングシャッター方式を採用したイメージセンサーを使用している。海外企業で「PIXII」のようなカメラがグローバルシャッターを採用しているが、国産ミラーレスでこの方式を採用しているカメラは存在しない。(キヤノンの業務用向けカムコーダーくらい)
実際にこのカメラのローリングシャッターの影響を調べた結果が以下の通りだ。

ご覧のように扇風機の羽根が不自然な描写となってしまっている。ローリングシャッター方式では、このように高速移動する被写体を撮影する際に問題が発生する。影響の度合いはEOS R7よりも強く、X-S10と比べても強いが、Z fcほどではない。他のカメラではどのような影響があるのか?は以下の通り。

競合機種と比較して悪くない性能だが、とりわけて良くもない。2022年の最新モデルと考えると少し期待外れな部分もあるが、これ以上の性能を10万円ちょっとのカメラに求めるのは酷である。ちなみに蛍光灯は1秒間に120回点滅(西日本)を繰り返しており、毎秒120回の点滅中、撮像時に4回の点滅がフレームに写りこむ。単純計算でEOS R10の幕速は33msだ。

まとめ

良かったところ

ココがおすすめ

  • 手ごろな価格
  • 外部充電器が付属
  • 小型軽量
  • デジタル接続対応のホットシュー
  • しっかりとしたカメラグリップ
  • AF/MFスイッチ
  • AFジョイスティック
  • 多くのボタンがカスタマイズ対応
  • レスポンスのよいタッチパネル
  • 起動速度
  • 競合他社と同程度のダイナミックレン
  • 最新のAFシステム
  • 被写体検出機能
  • 豊富なメニューシステム
  • 15fps / 23fpsの高速連写
  • SD UHS-IIによる高速バッファクリア
  • ISO低速限界設定

この価格帯のキヤノンEOSカメラとしては驚くほど機能的なカメラだ。従来機と決定的に異なるのは、高級機と比べた際にオートフォーカスやカスタマイズでほとんど区別化されていないことである。オートフォーカスは最新のAFアルゴリズムやシステムを採用し、応答性や柔軟性が良好で、全体的に使い勝手が良い。

極めつけは被写体検出機能で、この価格帯のカメラにこのような機能が搭載されるのは他社を含めて初めてだ。基本性能が高いAFと組み合わせて、非常に快適な撮影を実現している。子供やペットなど、日常の動く被写体を追いかけながら撮影するにはコストパフォーマンスの高いカメラと言える。

新設したAF/MFスイッチ、前後ダイヤルやジョイスティックを含めて、豊富なカメラコントロールに対応。初心者から玄人まで楽しめる操作性に仕上がっている。ボタンカスタマイズも充実しており、EOS R7と比べてほとんど遜色がない自由度は魅力的だ。ユーザーモードも2枠備えており、状況に合わせてカメラ設定を素早く切り替えることもできる。

連続撮影のパフォーマンスも良好だ。メカニカルシャッターで15fps、電子シャッターで23fpsの高速撮影に対応。この価格帯のカメラとしては十分以上の性能と言える。基本的なバッファは大容量とは言えないものの、SD UHS-IIの高速転送に対応しており、バッファクリアが非常に高速だ。

悪かったところ

ココに注意

  • 防塵防滴に非対応
  • ボディ内手ぶれ補正なし
  • 小型バッテリー
  • センサー画質(2022年のカメラとして)
  • 電子シャッターの連写で詰まりが発生
  • 対応レンズが少ない

非常にコストパフォーマンスの高いカメラだが、いくつかの点で妥協が必要となる。
この価格帯のカメラは「防塵防滴」「手振れ補正」などに対応していることが多いが、EOS R10はどちらも非対応である。レンズ側に手振れ補正を搭載していることが多いので問題と感じる機会は少ないと思うが、防塵防滴はレンズ側も対応していないことが多い。コンディションの悪い日に撮影が多いのであれば、他のカメラシステムを検討したほうが良いと思う。

2400万画素センサーは十分な性能を発揮していると感じるものの、他社と比べた際に優れたセンサーとは言えない。高ISOでノイズが発生しやすく、低照度や高速シャッタースピードを必要とするシーンは得意ではない。

最も気を付けたいのは対応レンズが少ないことだ。現時点で2本の標準ズームレンズしか存在しない。サードパーティ製AFレンズの登場は今のところ期待できず、MFレンズを使用するとEOS R10の良いところを捨てることとなる。一眼レフ用レンズをアダプター経由で使用する手もあるが、生産終了が続いているので、新品の入手が徐々に困難となってきている。
フルサイズ対応のRFレンズを含めると選択肢は増えるが、ボディに対してサイズと価格が釣り合っていないものが多い。

総合評価

満足度は95点。
防塵防滴やセンサー画質には妥協が必要で、レンズラインアップは拡充を待つ必要があるものの、優れたAFや操作性は間違いなく強みと感じるカメラだ。この価格帯で動く被写体の撮影が多いのであれば、数多いライバルを押しのけて、最優先で検討すべきカメラと感じた。

もちろん完璧に動体を補足できるとは言わないが、従来機と比べると遥かに快適な撮影が可能だ。起動速度が速く、瞬間的に被写体を検出し、効果的な追従AFで高速連写に対応している。家族やペットなど、日ごろから動く被写体をカジュアルに撮影している人にとって最適と感じることだろう。

ボディ内手ぶれ補正やセンサー画質、防塵防滴などを考慮すると、特定の撮影シーンでは上位機種のEOS R7を選んだほうが良いと思う。悪天候や低照度では耐候性やISO性能、手振れ補正などが重要となる。とはいえ、一般的なシーンであればR10で十分と感じる人も多いだろう。実際、私もR7よりR10を持ち出す機会が多かった。

あえて言えば、他社と比べて遊び心の要素は少ない。
JPEG出力に個性的な色使いやトーンの設定がなく、富士フイルムの豊富なフィルムシミュレーションや、ニコンのカスタマイズ性が高いピクチャーコントロールと比べると見劣りするのは確か。実用的なボディデザインだが、所有する喜び、ときめくようなカメラコントロールではない。「写真撮影」には適したボディだが、意外性がなく、飽きやすい人とは相性が悪いかもしれない。

全体的に見て、性能・サイズ・価格のバランスがよく、レンズラインアップが充実すれば非常におススメしやすいカメラだ。初心者から愛好家まで幅広い層に受け入れられるカメラであり、長く使っていける名機となることだろう。

参考情報

購入早見表

EOS R10 ボディ
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EOS R10 18-45mm キット
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EOS R10 18-150mm キット
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作例

オリジナルデータはFlickrにて掲載