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キヤノン EOS R8 徹底レビュー 完全版

このページでは「EOS R8」のレビューを掲載しています。

管理人の評価

ポイント 評価 コメント
価格 センサー・ドライブ性能はコスパ高
サイズ フルサイズ機としては小型
重量 フルサイズ機としては軽量
グリップ サイズを考慮すると十分な形状
操作性 AFジョイスティックがない
応答性 とても良好
AF性能 最新のキヤノンAF
画質 優れたISO・ダイナミックレンジ
カスタマイズ RPよりも豊富なカスタマイズ
メニュー ページ数が多く扱いづらい
レンズ まずまず選択肢があるものの完璧ではない
ファインダー この価格帯では平凡
モニター まずまず良好
バッテリー RP比で省電力だが容量は少な目
満足度 小型軽量で高性能だが操作性は妥協

評価:

外観

良く言えば高性能で小型軽量なカメラですが、悪く言えば価格に見合わあない操作性・ハードを採用しているカメラ。気になる点は以下の通り。

  • ボディ内手ぶれ補正がない
  • AFジョイスティックがない
  • 前面のFnボタンがない
  • 先幕メカシャッターがない
  • 価格を考慮すると平凡なファインダー

これらはファームウェアアップデートで改善しないハードウェアの部分。気になる場合は上位機種(EOS R6 Mark IIやEOS R6)を検討したほうが良いでしょう。これらが問題なければ、小型軽量でAF性能が高いカメラです。自由度の高いカスタマイズを駆使して自分好みの操作性に仕上げ、カメラ任せでサクサクとテンポよく撮影したいのであれば面白い選択肢になるのかなと。

ISO感度

競合他社の裏面照射型 2400万画素センサーと比べると少し見劣りするものの、デュアルピクセルCMOSセンサーとしては良好な高ISO感度性能を実現。ISO 12800くらいまでは実用的で快適な画質を維持しており、多少の画質低下を許容するのであればISO 25600くらいまでは使えるのじゃないかなと。

JPEGのノイズリダクションは初期設定でやや強め。ISO 6400くらいまでは初期設定でも問題ないと感じますが、ディテールが潰れたり、低コントラストな描写が曖昧に。効果が弱くともカラーノイズは補正しているので、弱設定で粒状感を残すのも一つの手。オフの場合は超高ISOでシャドウのコントラストが低下しやすいため、個人的には弱設定がおススメです。

ダイナミックレンジ

EOS RPは6D Mark II由来と思われる2620万画素センサーを使用しており、ダイナミックレンジは当時の最新モデルと比べると狭かった。しかし、キヤノンカメラのダイナミックレンジが狭かったのは過去の話。このEOS R8は高価な「EOS R6 Mark II」と同じ最新の2420万画素センサーを搭載し、裏面照射型の競合モデルと比べて遜色のないパフォーマンスを発揮。輝度差のあるシーンでも柔軟性の高いRAWで後処理することができます。

注意点として、電子シャッターやC-RAWを使用することでシャドウ側のダイナミックレンジが狭くなります。静穏性を重視したり、低反動や大口径レンズの露出ムラを回避するために電子シャッターを利用したいところですが、ダイナミックレンジが犠牲となる点には注意が必要。これは連写時のみならず、シングルショットの電子シャッターでも影響があるので避けることができません。特に電子シャッターとC-RAWの組み合わせでノイズが発生しやすい。ダイナミックレンジ優先の場合はメカニカルシャッター(電子先幕)が必須。

ドライブ

20万円台で40fpsの撮影速度を実現している驚異的なミラーレスカメラ。連写性能に対してバッファ・バッファクリアは貧弱だと感じるものの、少なくとも決定的瞬間を撮影する能力は競合機種を圧倒しています。さらにRAWバースト機能(プリ連写)にも対応しており、多少の反応速度はカメラ側で補うことができるのも便利。

バッファを使い切ることが多いシチュエーションではSD UHS-IIが足かせとなって満足に撮影することが出来ないかもしれません。その場合は20fpsなどに撮影速度を落とす必要あり。上位機種のEOS R6 Mark IIはバッファこそ大容量ですが、メモリーカードは同じSD UHS-IIまで。本当に連写・撮影枚数を重視するのであれば、EOS R5やEOS R3のようにCFexppress Type B対応モデルを検討したほうが良いでしょう。

ローリングシャッター歪みの許容範囲はシチュエーションによって異なるものの、非積層型CMOSセンサーとしてはほぼ最上級のパフォーマンスを発揮。この上が必要であれば、高価な積層型CMOS搭載モデルを選ぶしかありません。20万円台でこのパフォーマンスの電子シャッターを利用できるのはEOS R8のみ。贅沢は言えません。フラッシュの使用やローリングシャッター歪みを完璧に(近いところまで)抑えたい場合、電子先幕を使用したメカニカルシャッターが必要です。

AF

手ごろな価格のフルサイズミラーレスとしては高性能なAFシステムを搭載。EOS R3譲りの最新システムであり、カスタマイズ可能なフレキシブルゾーン、どのエリアモードでもトラッキング対応、被写体検出に対応。特に目玉となるのは、この価格帯ではまだまだ導入例が少ない被写体検出AFと言えるでしょう。ライバルとなるソニー、ニコンが対応できていない領域。

キヤノンの被写体検出は他社と比べて検出できる対象が広く、公式で言及している被写体以外でも快適に利用できる可能性が高い。全域トラッキングと異なり、初動で狙いを定める必要がないため、素早く撮影することが可能。また、人物も頭部や全身を検出する頻度が高く、個人的には撮影する手間や時間が惜しい家族写真などで重宝しています。従来機(EOS R5やR6)と異なり、帽子などを着用している際も瞳にピントを合わせやすくなっています。また、低照度におけるAFの動作も他社より安定しており、極端なシーンでも多少は対応することが可能。

全体的に高性能なAFですが、少し気になったのが遮蔽物が横切った際の追従性能。被写体検出がオンの場合は前景に引っ張られる傾向があり、どのような設定でも大幅に改善することがありません。これはニコンやソニーの最新機種と比べると少し見劣りするポイント。被写体検出をオフにすることで改善しますが、EOS R8の強みとトレードオフになってしまうのが悩ましいところ。このあたりが改善すると、向かうところ敵なしなのかなと。物理的な問題点は、AFジョイスティックを搭載していないこと。1点AFやゾーンAFを利用する場合にフォーカスエリアを移動するには方向ボタンかタッチパネルを使用する必要あり。実に惜しい。

解像性能

2023年の最新モデルとして解像度が高いカメラではないものの、一般的な撮影には十分な解像度の結果が得られます。トリミング・クロップ耐性を重視しなければ、特に大きな問題はないはず。ローパスフィルター搭載モデルのため細部のディテール再現性は見劣りしますが、そのぶんモアレや偽色は抑えられています。

高ISO感度のパフォーマンスが良好であるため、ダイナミックレンジの縛りが無ければ積極的に感度高めで撮影すれば良いのかなと。シャッタースピードを抑えて手ぶれ・被写体ぶれするくらいなら、感度を上げてしっかりと止めたほうがシャープな結果が得られます。ISO 12800くらいまではそのまま利用することができ、AIノイズ処理も考慮するとISO 25600くらいまでは耐用出来ます。

メニュー・カスタマイズ

小型軽量で手ごろな価格のフルサイズミラーレスとしては充実したメニューシステム。タッチ操作に対応しており、良好な操作性で応答性も良好。このクラスとしてはカスタマイズの自由度も高く、初心者から玄人まで、長く使えるカメラに仕上がっています。

一方で、従来のEOSユーザーからすると少し気になる部分あり。(上位機種の3ダイヤル操作と比べて)2ダイヤル操作は少し面倒で複雑。そしてMENUボタンの位置も微妙で操作性が良いとは言えません。さらにINFOボタンを使った右方向のカテゴリ移動に関しては慣れが必要と感じました。豊富なカスタマイズに対応していますが、AFジョイスティック非搭載をカバーするために自由度が少し低下。

EOS RPと同じデザイン、サイズを継承しているのは理解できるものの、価格も上昇しているので操作性にはもう少し力を入れてほしかったところ。個人的にはEOS R10のようなデザインが良かったです。重箱の隅を楊枝でほじくるのような見方をすると操作性が気になるものの、サイズと価格のわりに機能的なカメラ。Qメニューやボタンカスタマイズ、M-Fn機能を活かすことで、操作し辛いメインメニューを呼び出す機会は少なくなるはず。

JPEG

カメラ内のJPEG出力はキヤノンらしい一貫性のある結果が得られます。味付けを調整した程度の色合い差があるものの、コントラストは一定で、撮影者の意図で調整しやすいのはGood。

一方、他社のように「これでいいや(調整の余地がない)」と感じるほど、癖の強い設定はありません。明瞭度やオートライティングなどで調整することは出来るものの、結果に大きく作用するような効果は無し。あくまでもカメラ出力のJPEGにこだわる場合、撮影時の自然光やストロボによるライティングが非常に重要となります。

厄介なのが明暗差が大きくなる晴天下でストロボが役に立たない・使うことが出来ない撮影。どうやってもハイライトとシャドーを両立することができなくなるため、RAW現像ソフトで処理する必要性が高い。ニコンやソニーのように、暗部をガッツリと持ち上げる設定があっても良いと思うのです。個人的な見解として、キヤノンのJPEGを使うとしたら以下の環境。

  • 家族写真(露出は人物にしっかりと合わせる前提)
  • (白飛び・黒潰れが気にならない)スナップ写真
  • 自分で整えたライティング環境下での撮影

機材ではどうにもならない風景写真などはRAW現像必須かなと。

まとめ


満足度は90点。
フルサイズミラーレスとしては小型軽量ながら、優れた画質とAF、速写性を兼ね備えたカメラ。操作性やインターフェースには妥協が必要ですが、携帯性の良いレンズと組み合わせて気軽に持ち出せるフルサイズとしては優れた選択肢。

良かったところ

ココがおすすめ

  • 小型軽量
  • 裏面照射型ほどではないものの良好な高ISO性能
  • メカニカルシャッターで優れたダイナミックレンジ
  • この価格帯では珍しい40fps対応の高速連写
  • 非積層型のフルサイズセンサーとしては高速読み出し
  • 最新の高性能なAF・被写体検出機能
  • ローパスフィルター搭載
  • 操作性の良いタッチシステム
  • 統一感のあるJPEGプリセット

悪かったところ

ココに注意

  • ボディ内手ぶれ補正が非搭載
  • AFジョイスティックがない
  • 前面のFnボタンがない
  • 先幕メカニカルシャッターがない(電子先幕のみ)
  • 平凡な電子ファインダー
  • 電子シャッターでダイナミックレンジ低下
  • 連写性能に対してバッファが貧弱
  • やや複雑な2ダイヤル操作
  • ページ数の多いメニューシステム
  • JPEGプリセットが味気ない(トーンが統一されている)

購入早見表

併せて検討したいカメラ

EOS RP

EOS R8は外観・操作性こそEOS RPですが、性能と価格は全くの別物。AFや連写速度が重要であればEOS R8のほうがおススメですが、こだわりがなければEOS RPがコスパの良い選択肢。

EOS RP ボディ
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EOS R6

似たような価格で手に入る1世代前の上位機種。しっかりとした防塵防滴にAFジョイスティックや背面ホイールなど操作性が充実。ボディ内手ぶれ補正を搭載しているので手持ちのスローシャッターにも対応可能。センサー性能はR8やR6 Mark IIと比べるとやや劣りますが、それでも20fpsの高速連写に対応しています。

作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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