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キヤノン EOS R8 徹底レビュー Vol.1 外観・操作編

キヤノン「EOS R8」のレビュー第一弾を公開。今回はカメラの外観やコントロールレイアウトの確認。そしてシャッターサウンドや起動速度をチェックしています。

EOS R8のレビュー一覧

まえがき

カメラのおさらい

EOS RPの小型軽量ボディを継承しつつ、イメージセンサーとプロセッサはEOS R6 Mark IIと同等のミドルクラスモデル。R6 IIと同じく優れたAF性能を備えており、特にこの価格帯のフルサイズミラーレスで実用的な被写体検出を備えている貴重な選択肢。(競合となりうる選択肢はLUMIX S5II・ZV-E1など)

概要
主な仕様
センサー フルサイズ センサータイプ DP CMOS
有効画素数 2420万画素 ローパスフィルター なし
手振れ補正 - プロセッサ DIGIC X
測距点 1053点 被写体検出 対応
動画 4K 60p 連続撮影 最大40コマ秒
SS 1/16000~30秒* シンクロ速度 1/250秒以下
ファインダー 0.39型 OLED EVF解像度 236万ドット
モニター 2.95型 LCD解像度 162万ドット
USB USB 3.2 Gen2 HDMI D
W-Fi 802.11b/g/n Bluetooth 4.2
ストレージ SD UHS-II ×1 バッテリー LP-E17
電源寿命 省電力:370枚 / なめらかさ優先:290枚
サイズ 132.5×86.1×70mm
重量 461g(メディア・バッテリー含)
*シャッタースピード:電子先幕で1/4000秒、電子シャッターで1/16000秒まで
*USBはUVC / UAC 対応

ボディにはいくつか妥協(バッファ・手振れ補正・Wi-Fi・防塵防滴)が見られるものの、上位機種と同等のAFシステムや最大40コマ秒の連続撮影速度、クロップなしの4K 60p(IPBのみ)に対応。特に一眼レフ時代のEOSを考慮すると驚異的なAF性能を備えたミドルクラスのカメラに仕上がっています。イメージセンサーも最新の2,420万画素 DP CMOSセンサーに切り替わっており、RPと比べて高速読み出し、高ダイナミックレンジの結果を期待できそうです。バッテリーは従来通りですが、高性能化しつつ省電力化に成功しており、240枚から370枚まで改善。

防塵防滴は要所こそシーリングが施されているものの、多くは「部品間の隙間を極力小さくするよう高精度化」で不用意に降りかかる砂塵や水滴などの侵入を抑制しています。高い耐候性が前提となる撮影には不向き。特にRFシステムはEOS R8と組み合わせるであろうレンズ側(非Lレンズ)の防塵防滴も省略している傾向があります。その一方で、非Lレンズでも光学手振れ補正を搭載したモデルが多く、ボディ内手ぶれ補正を搭載していないEOS R8でも手振れを抑制しやすくなっているのがGood。

価格をチェック

売り出し価格は24万円前後。初動で16万円前後だったEOS RPと比べると高くなっています。特にRPは実勢価格で12万円前後となっており、価格差が10万円近い。いくら高性能とはいえ10万円の価格差を考慮するとEOS RPの実質的な後継モデルとは言えません。ボディのサイズや形状は似ていますが「似て非なるもの」と考えたほうがが良いでしょう。

EOS R8 ボディ
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EOS R8 レンズキット
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また、EOS RPのような「マウントアダプターキット」は存在しません。当時と比べてRFマウントのレンズが充実し、EFレンズを無理に使う必要がなくなったと考えているようです。

EOS RP ボディ
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EOS RP?マウントアダプターキット
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EOS RP?RF35 MACRO IS STM レンズキット
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EOS RP?RF35 MACRO IS STM マウントアダプターキット
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EOS RP RF24-105IS STM レンズキット
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EOS RP RF24-240 IS USM レンズキット
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EOS RP?マウントアダプターSPキット ゴールド
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EOS RP?RF35 MACRO IS STM マウントアダプターSPキット ゴールド
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エクステンショングリップ EG-E1 ブラック
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エクステンショングリップ EG-E1 ブルー
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エクステンショングリップ EG-E1 レッド
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競合他社で似たような立ち位置・価格帯のカメラは「LUMIX S5II」「α7C」「Z 6II」あたり。比較してEOS R8は高性能なAFや40fps、ノンクロップの4K 60pが魅力的。電子シャッター時のローリングシャッターもよく抑えられています。手振れ補正や防塵防滴、ファインダー性能などが必要なければコストパフォーマンスの高い機種と言えそうです。

EOS R8

箱など

キヤノンらしく黒を基調としたシンプルなデザインの箱。競合他社の一部では環境に配慮して紙素材を多用しているものの、キヤノンは従来通りの梱包・間仕切りを採用。

カメラ本体のほか、キットレンズ・ストラップ・バッテリー・充電器・説明書が付属。USB充電対応で外部充電器を付属品から外す企業が多いことを考慮すると充実しています。

EOS R8は高機能化したマルチアクセサリーシューを搭載しており、増加した電子接点を保護するためにシューカバーを装着。無くさないように注意したいところ。欠品で長い納期が発生している場合もあり、早めに予備を確保しておくのがおススメです。

マルチアクセサリーシューシューカバー ER-SC2
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外観

一見するとEOS RPとよく似たデザイン・サイズですが、トッププレートの角が滑らかな曲線に変化。グリップなどのシボ加工はきめ細かくなっています。外装は引き続きプラスチック製で、EOS R5など金属外装のボディと比べると質感は少し見劣りします。とは言え、剛性が高く、チープでプラスチッキーな印象は全くありません。トッププレートの仕上がりも良好で、指紋や傷がつきにくい塗装が施されています。

背面や側面のインターフェースはEOS RPと非常に良く似ています。デザインや設計の変更コストを抑えつつ、改善するところは改善したと言ったところでしょうか。

ハンズオン

EOS RPと比べてわずかに軽量。つまりフルサイズEOSとしては最軽量モデル。劇的に差があるわけではないものの、このサイズ・重量でR6 Mark IIと同じ画質・AFシステム・高速連写を実現しているのは正直に凄いと思いました。もちろん、手振れ補正非搭載、簡略化された防塵防滴などで実現した軽量化であることは否めません。レンズ側に手振れ補正を搭載する必要があり、そのぶんレンズの重量が増える可能性あり。

グリップ

EOS RPに引き続き、小型軽量ながら握りやすいグリップを備えています。ボディサイズが小さいので小指はあまりがちですが、その際はEOS RP用のエクステンショングリップを装着可能。小型~中型レンズであればカメラのグリップで十分と感じますが、大口径のズームレンズや単焦点レンズを使用する際はエクステンショングリップを検討したほうが良いでしょう。(レンズの直径が太いとカメラ底面より突き出る可能性もあります)

上部コントロール

シャッターボタン

いわゆる「カチカチ」しないタイプのシャッターボタンです。軽く抑えることでシャッター「半押し」となり、AFやAEが動作。さらにボタンを押しこむことで「全押し」となり、露光が開始。EOS R5と比べると全押し時の押し込みが深く、全押し時の抵抗感が弱く、全体的に少し緩めの印象あり。実写で問題視するほどの差ではありませんが、カメラを使い分ける際は気になるかもしれません。

前部コマンドダイヤル

シャッターボタンの背後にはキヤノンらしいデザインのコマンドダイヤルを搭載。R5よりも抵抗感がやや弱めですが、しっかりとしたクリック感のあるダイヤル操作が可能です。

M-Fnボタン

キヤノンではお馴染みのM-Fnボタンをシャッターボタン左側に搭載。従来と異なり機能の変更がダイヤル操作ではなく、M-Fnボタンとなっている点に注意。慣れは必要ですが、一度に前後ダイヤルを操作して2つの機能を素早く設定変更することが可能。

電源スイッチ・LOCK

電源スイッチが左肩から右肩へ移動し、LOCK機能と統合されています。右手で電源操作が可能になったのはありがたいですが、中間のLOCKが挟まっていることで操作には慣れが必要です。LOCKが必要ない場合、設定メニューの「マルチ電子ロック」項目のチェックリストを全てオフにすることで「ON」と同じ効果が得られます。

静止画/動画切替スイッチ

R6 Mark IIと同じく左肩に静止画と動画モードを切り替えるスイッチを搭載。これにより瞬時にモードを切り替えることができ、さらに動画モードでもP/A/S/Mを素早く操作することが出来ます。

背面コントロール

ボタン配置や役割はEOS RPと同じ。豊富なカスタマイズに対応しているので自分好みの操作方法に変更することが出来ます。右上の3ボタンは密集しているうえに親指で押しやすく、撮影状態の握り方で素早く操作することが可能。

背面下部のボタン類もEOS RPと同じ配置・役割。上下左右の方向ボタンもカスタマイズに対応しているので、様々な機能の呼び出しに利用可能。RPと比べてOVFシュミレーションや被写体検出関連の機能などが増加。

メニューボタンはお馴染みの左肩に配置。左手で操作し辛いと感じたら、ボタンカスタマイズで右手操作のボタンに割り当てることも可能です。

ジョイスティックがない

残念ながらAFエリアを操作するためのジョイスティックがありません。最近では10万円に近いAPS-Cミラーレスにも導入していることを考えると、売り出し24万円のEOS R8でジョイスティックを搭載していないのは残念。特に高性能なAFを考慮するとジョイスティックは欲しかった。(参考までのEOS R10とR7のジョイスティック部を撮影した写真を掲載)

ファインダー

EOS RPと全く同じ仕様。0.39型 236万ドットのOLEDパネルを使用しており、0.7倍の倍率を備えるファインダー光学系を使用。正直に言うと、2023年現在でEOS R8の価格帯としては低スペック。決して悪いわけではありませんが、他社と比べて優位性があるわけではありません。また、アイカップが非常に浅いので遮光性が悪く、日照条件によっては光りが差し込んでファインダーの視認性に影響あり。

アイカップはファインダー底面にてビスで固定されています。紛失するリスクはゼロですが、簡単に整備・交換することができません。(JJC系の互換アイカップは交換に必要な工具を同梱しています)

モニター

ファインダーと異なり、モニター解像度がスペックアップしています。解像度が1.5倍ほど向上しているので、RPから乗り換えた際は違いに気が付くかと思います。可動方式は従来通りのバリアングルを採用。

バッテリー・メモリーカード

メモリカードスロットは底面バッテリースロットの隣に配置。SD UHS-IIのシングルスロットで、雲台やカメラプレートによっては脱着が難しくなるのが悩ましいところ。同価格帯の社外製カメラは大部分が側面アクセス可能なカードスロットを備えています。

バッテリーはRPと同じLP-E17を採用。小型バッテリーで一日中の撮影には心もとないですが、それでもEOS RPよりも省電力化で継続撮影枚数が向上しています。また、USB-PD対応のバッテリーで充電と給電に対応。最悪の場合でも給電動作で撮影を継続することが出来ます。

ちなみに、バッテリースロットのドアに耐候性シーリングはありません。底面からの浸水には気を付ける必要がありそうです。別売りのエクステンショングリップはドアの部分にシーリングあり。

インターフェース

EOS R3から導入され始めているマルチアクセサリーシューを搭載。RPからの進化ポイント。電子接点が増加しており、高機能な最新ストロボワイヤレスマイクなどに対応しています。前述したように、増加した電子接点を保護するためにシューカバーが付属します。

側面にはEOS RPと同じ配置で様々な出力・入力ポートに対応。豊富なポートを備えていますが、HDMI DやUSB-Cポートはバリアングルモニタと干渉しやすく、マイク・ヘッドホンポートも干渉する可能性がゼロではありません。干渉する可能性が無いのはレリーズケーブルのみ。

レンズ装着例

小型軽量レンズと相性が良好。おおぶりのレンズを使えないこともないですがエクステンショングリップの装着がおススメです。

比較

小型軽量モデルらしくグリップは小さめ。エクステンショングリップを装着することでEOS R5よりも大きなグリップとなります。

起動時間の確認

起動後に間髪を置かずにAF動作・撮影が可能。非常に高速で、起動直後の露出・AWBもバッチリ。競合3社と比べて信頼性の高い高速起動と感じます。スナップ撮影にも有効と感じます。

シャッター音の確認

シングルショット

EOS RPと同じくメカニカルシャッターは後幕のみで、先幕は電子式限定。静穏性が高いかと言うとそうでもなく、EOS R5よりも高音で音量が大きなシャッター音です。俗に言えば「安っぽい」音に聞こえ、R5のように上品なシャッター音ではありません。特に静粛性が重要とされるシーンでは電子シャッター推奨です。

高速連続撮影

上品ではないシャッター音が毎秒6コマ秒で音を立てます。

まとめ

良く言えば高性能で小型軽量なカメラであり、悪く言えば価格に見合わあない操作性・ハードを採用しているカメラです。主な気になる点は以下の通り。

  • ボディ内手ぶれ補正がない
  • AFジョイスティックがない
  • 前面のFnボタンがない
  • 先幕メカシャッターがない
  • 価格を考慮すると低スペックのファインダー

このあたりはひっくり返っても改善しないポイントであり、気になる場合は上位機種(EOS R6 Mark IIやEOS R6)を検討したほうが良いでしょう。

前述したポイントについて問題なければ、小型軽量でAF性能が高いカメラです。自由度の高いカスタマイズを駆使して自分好みの操作性に仕上げ、カメラ任せでサクサクとテンポよく撮影したいのであれば面白い選択肢になるのかなと。

参考情報

購入早見表

EOS R8 ボディ
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EOS R8 レンズキット
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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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