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キヤノン EOS R8 徹底レビュー Vol.8 JPEG 編

キヤノン「EOS R8」のレビュー第八弾を公開。今回はカメラ出力のJPEGにおけるピクチャースタイルの色やコントラスト、画質を調整する設定値についてチェックしています。

EOS R8のレビュー一覧

JPEG

画質設定

RAW出力のオンオフや種類を選ぶことができるほか、JPEGやHEIFの画質設定を変更することが可能。解像度はそれぞれ以下の通り。()内は同じRAWで画質を変更して出力した場合のファイルサイズ。

  • RAW:2,400万画素 6000×4000(29.1MB)
  • L Fine:2,400万画素 6000×4000(9.95MB)
  • L:2,400万画素 6000×4000(5.42MB)
  • M:1,060万画素 3984×2656(4.99MB)
  • S1:590万画素 2976×1984(3.03MB)
  • S2:380万画素 2400×1600(1.72MB)

最もファイルサイズが大きいのは、当然ながら最も画質の良いJPEG Lの高画質設定。ただしファイルサイズはJPEG Mの倍ほどあるため、ストレージを圧迫しやすいのが悩ましいところ。JPEG Lでも最高画質設定を避けることでJPEG Mに近いファイルサイズで保存可能。

ちなみにディテールの再現性に関して言えば、JPEG L FineとStandardで大きな変化はないように見えます。キヤノン曰く、圧縮率の差で画質にも影響があるようですが…。諧調あたりに違いがあるのかもしれません。

アスペクト

通常の「3:2」に加え、従来通り「APS-Cクロップ(×1.6)」と「1:1」・「4:3」・「16:9」のアスペクト比に対応。最近はやりの特殊な横長スタイルなどには対応していませんが、オーソドックスなアスペクト比は全てカバーしています。

ピクチャースタイル

従来通り「スタンダード」「ポートレート」「風景」「ディテール重視」「ニュートラル」「忠実設定」「モノクロ」の7種類。そして3枠のユーザー設定に対応。色合いはそれぞれのベースが存在するものの、シャープネスは個別の設定値がプリセットされています。

設定値

以下の6種類の設定を調整可能。

  • シャープネス 強さ0-7
  • シャープネス 細かさ 1-5
  • シャープネス しきい値 1-5
  • コントラスト ±4
  • 色の濃さ ±4
  • 色合い ±4

シャープネス3種はそれぞれのプリセットで設定値が異なり、コントラストはゼロベースで統一。色の濃さや色合いはプリセットごとのベースをゼロとして前後4段階で調整可能。

後述しますが、他社と比べてプリセットごとの味付けは薄め。特にハイライトとシャドーの諧調は統一され、カメラ内で自由に調整するのは難しい。外部で調整した設定値を「ユーザー設定」に登録するか、現像ソフト側で調整前提の撮影とするか悩ましいところ。ファインダー越しの撮影体験を変えたいのであれば、ユーザー設定の登録が必須。(後述)

数値だけ見ると全てのプリセット設定値は「0」ですが、それぞれ色合いが若干異なります。色相は同じように見えるものの、明度と彩度に違いあり。スタンダードを基準としてみると…。

  • 「ポートレート」は黄色や赤色の彩度・明度が高め。
  • 「風景」は全体的に彩度・明度が高め。
  • 「ディテール重視」はスタンダードに近いが青の彩度(明度?)が少し高い。
  • 「ニュートラル」は青や赤色の明度が抑えられています。
  • 「忠実設定」は緑や黄色がニュートラルよりも強調されているように見えます。

全体的に、他社のプリセットと比べるとそれぞれの違いはかなり抑えられている印象。味気ないと感じるか、統一感があると感じるかは人それぞれだと思いますが、他社の多くはもう少し濃いめの味付けでプリセットを区別する傾向が見られます。参考までに、以下に抽出した色の数値などを掲載。

コントラスト

前述したように、キヤノンのピクチャースタイルはハイライトやシャドーの諧調が統一されています。このため、プリセットを変更しても適正な露出(カメラの設定値ではなく見栄えとして)に大きな変動はありません。扱いやすい反面、印象に大きな変化がなく味気ないプリセットと感じる人もいることでしょう。

実写で確認

「ニュートラル」でもコントラストは強め。多少の調整であれば、後述する「オートライティングオプティマイザ」でコントラストや露出の調整が可能。もしも「フラット」な仕上がりを好むのであれば、ピクチャースタイルを追加する必要があります。

ピクチャースタイル ユーザー設定

EOS R8は他のEOSと同じく、自分でカスタマイズできるユーザー設定枠が3つあります。これはカメラ内のプリセットでも良いし、DPP経由でキヤノンネット上で配布(参考までにKevin Wang氏のプリセット集をリンク)されている独自のプリセットをインストールすることも出来ます。

前述したように、味気ないカメラ内プリセットに飽きたのであれば、積極的に配布されているピクチャースタイルを適用してみるのがおススメです。ただし、他社と異なり導入にはDPP経由のインストールが必須。SDカードに記録されたデータを読み込めるようになると便利なのですが…。

ノイズリダクション

詳しくは「ISO感度 編」のノイズリダクションを参照してください。ディテールが潰れるのでオフか弱設定がおススメですが、ISO 12800くらいまでは大きな変化無し。

HDRモード(HDR PQではない)

明暗差の大きなシーンで白飛びや黒潰れを軽減するのに役立つ撮影モード。JPEGかHEIF出力限定で、RAWは対応していません。一回の撮影で画像処理をする「動体優先」モードと、3枚合成で明暗部の情報量を高める「Dレンジ優先」モードの2種類があります。当然ながら、Dレンジ優先は動体が入ると合成時に不自然な描写となる可能性がある点に注意。

オートライティングオプティマイザ

基本的には暗部の増感(露出上昇)に使用すると思いますが、キヤノン曰く「コントラスト」「明るさ」を自動的に補正する機能とのこと。低コントラスト時にも作用するらしい。このあたりは将来的にじっくり検証したいところ。

設定と条件次第ではハイライトにも効果があることが分かります。

暗部も補正されますが、ニコンやソニーの同等の機能における最高設定と比べると効き目が弱い。

明瞭度

画像のエッジ部のコントラストを強調したり、弱めたりすることが出来ます。他社ほど影響が強くはなく、味付け程度に調整することが出来ます。

明瞭度を強めることで、低コントラストな領域が補正され、ディテールが分かりやすく描写されます。明瞭度を下げる場合は逆にソフトでディテールが分かりづらい結果を得ることが可能。オートライティングオプティマイザと異なり、全体の明るさやコントラストを変えずに、細部の描写を整えることができるようです。

まとめ

カメラ内のJPEG出力はキヤノンらしい一貫性のある結果が得られます。味付けを調整した程度の色合い差があるものの、コントラストは一定で、撮影者の意図で調整しやすいのはGood。

一方、他社のように「これでいいや(調整の余地がない)」と感じるほど、癖の強い設定はありません。明瞭度やオートライティングなどで調整することは出来るものの、結果に大きく作用するような効果は無し。あくまでもカメラ出力のJPEGにこだわる場合、撮影時の自然光やストロボによるライティングが非常に重要となります。

厄介なのが明暗差が大きくなる晴天下でストロボが役に立たない・使うことが出来ない撮影。どうやってもハイライトとシャドーを両立することができなくなるため、RAW現像ソフトで処理する必要性が高い。ニコンやソニーのように、暗部をガッツリと持ち上げる設定があっても良いと思うのです。

個人的な見解として、キヤノンのJPEGを使うとしたら以下の環境。

  • 家族写真(露出は人物にしっかりと合わせる前提)
  • (白飛び・黒潰れが気にならない)スナップ写真
  • 自分で整えたライティング環境下での撮影

機材ではどうにもならない風景写真などはRAW現像必須かなと。

参考情報

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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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