EOS R5のローリングシャッター影響をチェックする

EOS R5は20コマ秒の電子シャッターを使った連写機能を備えています。しかし、ローリングシャッターがどれほど影響するのか気になりますね。今回はいつものテスト環境でR5の性能をチェックしてみました。フルサイズセンサーとしてはかなり良好な性能。

EOS R5の電子シャッターは実用的か？

この写真は、EOS R5の電子シャッターを使い、USB扇風機を「1/8000秒」で撮影したもの。
一見して分かるように、ローリングシャッターの影響で扇風機の羽根がありえない形状となっています。このことから分かるように、EOS R5の電子シャッターは完璧とは言えません。
ちなみにメカシャッターで撮影した作例が下の写真。（カメラは別です）

メカシャッター

ご覧のように、高速回転する扇風機の羽根をしっかりと捕捉していることが分かります。ただし、メカシャッター1/8000秒でも動きを止めきれないので、これ以上はグローバルシャッターを搭載した1/8000秒を超える電子シャッターが必要（メカ速で1/8000秒を超えるカメラが無い）。

じゃあEOS R5の電子シャッターは使えないのかと言うと、そうでもありません。あくまでもUSB扇風機の例は極端な状況を想定したものです。これまで使ってきたカメラでも電子シャッターの影響を調べているので以下に列挙してみましょう。

扇風機の羽根がコマ切れになっているほど、ローリングシャッターの影響が大きい。
見比べてみると他のフルサイズミラーレスより良好となっているのは一目瞭然。従来機「EOS R」より良好なのはもちろんのこと、競合の高画素ミラーレス「Z 7」と比べても遥かに良好となっています。
センサーサイズが小さいフォーサーズ型の「E-M1X」とほぼ同等。

比較的新しいキヤノンセンサーを搭載しているAPS-C一眼レフ「EOS 90D」と見比べてもご覧の通り。
もちろん完璧からは程遠いですが、見違えるほど改善したと言うことも出来ます。特にフルサイズセンサーとしては素晴らしいパフォーマンス。これ以上となると、積層型センサーを搭載したソニー「α9」「α9 II」くらいでしょう。

動画撮影でも同じようなパフォーマンスが得られる模様。なおクロップしてもあまり大きな変化はありませんでした。
特に4K 60pや8K 30pのフル画角に対応するフルサイズ動画としては良好なパフォーマンスを言うことが出来そう。

実際、小動物ていどのスピードであれば特に違和感なく撮影することが出来ると思います。ホバリング中のハチドリや昆虫類の羽ばたき、高速で横切る電車などは苦しいかも。歪みが気になる場合、高速移動する部位のみぶれる程度にシャッタースピードを調整すると問題なく撮影できる場合があります。

この写真は似たようなローリングシャッターの影響を受けるE-M1 Mark IIを使って撮影したもの。シャッタースピードは1/2000秒ほどで、これ以上のスピードで羽根まで止めようとすると歪みが酷く目立つようになります。このような場合はシャッタースピード次第で実用的な画質を得られるはず。

中途半端なスピードでパンニング撮影した場合にも同様にローリングシャッターの影響を受けやすい（目立ちやすい）と思います。

また、電子シャッター使用時にベースISO感度付近のダイナミックレンジが狭くなってしまう点には注意が必要。低感度ISOで電子シャッターを使いダイナミックレンジの広さを重視する機会は少ないと思いますが、覚えておくと役に立つ機会があるかもしれません。
問題は低感度のみであり、ISO800付近でメカシャッターと差は無くなります。特に心配するほどのことではないでしょう。

参考情報

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